[0017] 3Dなんてこわくない! 03

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0017 1998/05/01発行
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●本日のコラム『3Dなんてこわくない! 03』
 金曜日担当:上田 和浩

●本日のニュース
 ・IDGの新刊「カラーマネージメント!」
  カラーマネージメントの謎はこれで解明された
 ・日刊デジクリのBBSが出来ました!
●イベント・情報
 ・デザインの世紀「インフォメーションアートのデジタルとアナログ展」
●本日のTIPS/3Dアプリケーション編



【日刊・デジタルクリエイターズ】金曜日のコラム
 金曜日担当:上田 和浩

「3Dなんてこわくない! 03」 

先日あるユーザーの方からRayDReamの数式について質問を受けました。マ
ニュアルにはさらっと流されている感じで、使い方は分かるけど、具体的な数
式についてのレクチャーが無く、有効に使われている方は少ないかと思いま
す。今回は数式について、解説してみます。

数式は、RayDreamを触っていると、いろんな所で顔を出しています。具体的
には、数式オブジェクト、デフォーマー、シェーダー関数、反射背景、背景
幕、照明マッピング、推移オプション、です。それぞれのケースで、入出力の
変数が定められています。使える演算子は共通です。

●数式オブジェクト
数式オブジェクトは、32*32のメッシュ形状を数式を使って変形させたもので
あると思ってください。その証拠にどんな数式で作成したものでも[カウンタ]
機能で、ポリゴン数を確認した時には2048で、一定しています。
(3角メッシュだから32*32*2=2048)
数式によってはぎざぎざのエッジを形成するものがありますが、それは実際の
数式の形状ではなく、またエラーでもなく、単に用意されたメッシュの限界を
示すものです。

数式オブジェクトはデフォルトの波紋の関数が結構複雑なために、自分で使う
気にならないかも知れません。もっと単純な例から試したほうが良いでしょ
う。最も単純な数式は

X=20*u;
y=20*v;

でしょう。これは平らな板を生成します。(20*は特に意味がありません。拡大
しているだけです。)
入力変数のu,vは、メッシュ形状のuv値に等しいものと考えてください。さ
て、今度は

X=20*u;
Z=20*v;

これは縦方向の板になります。それでは

X=20*u;
y=20*v;
Z=20*v;

と入力してみると、斜めの板になると思います。

どうでしょうか?入力変数u,vをいろんな関数を使って値を変えてx,y,zで出力
することで様々な形ができるということにに気が付かれたでしょうか?

今度はsin関数をかけてみます。

x=20*u;
y=10*sin(10*v);
z=20*v;
カーテンのヒダのような形状ができたと思います。数式を適当にいじってみて
できる形をストックしてみてください。特に数学的な素養が無くても適当にパ
ラメータを触っているだけでも思わず面白い形ができます。

x=20*(u+v);
y=10*sin(10*v);
z=10*sin(10*u);

これはちょっと奇妙なヒダ状の形状になります。

z=20*sin(PI*(v-0.5));
x=20*cos(PI*(v-0.5))*cos(2*PI*(u-0.5));
y=20*cos(PI*(v-0.5))*sin(2*PI*(u-0.5));

これは球体です。

x=(1+p1*v)*cos(2*PI*u);
y=(1+p1*v)*sin(2*PI*u);
z=5*v;
円柱です。

R=20*(1+p2*(2*u-1)));
r1=10*(1+p4);
r2=r1*(1+p3*(2*u-1));
a=2*PI*u*(2+p1);
b=2*PI*v;
x=(R-r2*sin(b))*cos(a);
y=(R-r2*sin(b))*sin(a);
z=r2*cos(b)+(2+p1)*2*u*r1;

これは螺旋です。P1は螺旋の数を調整できます。-1で1回転、1で3回転で
す。ということは、数式の4行目a=2*PI*u*(2+p1);の、(2+p1)という部分が
回転数をあらわしている事がわかります。実際ここを(5)と書き換えてやると、
5回転分の螺旋が出来ます。8行目のz=r2*cos(b)+(2+p1)*2*u*r1;にもp1が
関係していますが、ここの(2+p1)は螺旋の間隔(伸び具合?)をあらわします。
P2は螺旋の回転半径の収束度をあらわしています。1にすると完全に収束する
渦巻状の形状になります。逆に-1にすると反対方向に収束する事になります。
0だと普通の螺旋形状です。p3は、螺旋の断面の直径の収束度をあらわしま
す。1にすると完全に断面の直径がが0に収束します。-1は逆方向に収束しま
す。p4は螺旋全体の直径を調整する事ができます。この場合は螺旋の間隔も同
時に広がります。

●数式オブジェクトの合成
これは数式オブジェクトの応用です。面白い形状が2つ出来たとします。この
数式を合成してアニメーションでモーフィングさせることができます。

例えば最初のカーテンのような形状と球体を合成します。

x1=20*u;
y1=10*sin(10*v);
z1=20*v;

x2=20*cos(PI*(v-0.5))*cos(2*PI*(u-0.5));
y2=20*cos(PI*(v-0.5))*sin(2*PI*(u-0.5));
z2=20*sin(PI*(v-0.5));

x=p1*x1+p2*x2;
y=p1*y1+p2*y2;
z=p1*z1+p2*z2;

パラメーターのp1とp2を使ってモーフィングアニメーションを作成できます。

●シェーダーの関数としての数式

シェーダーの場合は入力変数がx,y,z、u,v nx,ny,nzです。出力がRed、
GreenBlue,Valueです。
Valueはバンプチャンネル等、色情報を必要としない場合に出力します。出力
は割と自由度が高く、例えばRedだけで出力する事もできますが、Valueと色
チャンネルを同時に出す事は出来ません。

Red=x;

これが一番単純な数式でしょう。球体に割り当ててレンダリングしてみてくだ
さい。X座標値を元にオブジェクトが赤でグラデーション塗りされるでしょ
う。

今度は
Red=u;
と入力してみてください。同じように球体に割り当てるとUVマップの座標値を
元に赤のグラデーション塗りされるでしょう。

今度は
red=10*nx;
と入力してください。Red=x;とよく似た結果になりますがnxは法線ベクトルな
ので、面の位置ではなく角度で塗り分けられます。
従って、value=nz;とやると、フォーエレメントのシェーダー関数[雪]に似た効
果が得られます。

今度は演算子で遊んでみます。

red=sin(6*x);
赤い縞模様ができます。

red=sin(6*x);
green=sin(7*x);
赤と緑、黒の縞ができ、加色混合で黄色の縞も出てきます。

red=sin(6*x);
green=sin(6*y);
blue=sin(6*z);
赤、青、緑の直交する縞模様ができます。

●反射背景

シェーダーの関数に似ていますが、uvの入力はできません。x,y,zのみです。

●背景幕

反射背景と逆にuvの入力はできますがxyzはできません。このuvはもちろん視
野フームの縦横を表します。

●照明マッピング

背景幕に似ています。入力パラメータはu,vです。照明マッピングは、ライトを
囲む仮想球体にZ-の方向から立方体マッピングマッピングしたものが光に影響
されると考えてください。u,vはそのマッピングのuv値を示します。

●デフォーマー
デフォーマーに使う数式は、入力変数x,y,z 出力変数,dx,dy,dzです。数式に
より変形はちょっと未完成な所があってあまりお薦めできません。例えばグ
ループに対して使うと形状が変な所に飛んでしまいますし、自由形状なんかで
も、表示とレンダリングが合致しません。まともに使えるのは基本オブジェク
トに対する変形だけと思っておいてください。

デフォルトでは

dx=-x;
dy=-y;
dz=-d;

です。立方体では分かりづらいですが、反転させた感じになります。

dx=2*x;
dy=y;
dz=d;

ではx方向に2倍サイズになります。

Sin関数を使うと
dx=x-sin(y*y-y);
dy=y;
dz=z;

まあこんな感じです。

●推移オプション

入力変数t,tmin,tmax 出力変数 Valueです。

一番分かり易いのが

Value=(t-tmin)/(tmax-tmin);

これは直線的な推移を表します。

u=(t-tmin)/(tmax-tmin)
Value=sin(PI*u);
サインカーブの一部で推移している。

u=(t-tmin)/(tmax-tmin)
Value=sin(4.5*PI*u);
サインカーブが顕著。推移カーブが-値にも掛かっていて、不自然な挙動をす
る。

u=(t-tmin)/(tmax-tmin)
Value=sin(25*u)/5+u;
直線推移との合成。ふらふらとした推移を示す。他の推移オプションでは設定
できない動きの一つ。


●演算子について

三角関数
sin 正弦
cos 余弦
tan 正接

asin 逆正弦
acos 逆余弦
atan 逆正接
atan2(a,b) a/bの逆正接

sinh 双曲正弦
cosh 双曲余弦
tanh 双曲正接

平方根を返す
sqrt

ベキ乗
pow(a,b) aのb乗

指数
exp

対数
log

常用対数
log10

整数値を返す
floor (小数点切り下げ)
ceil (小数点切り上げ)

絶対値を返す
abs

aをbで割った余りを返す
mod(a,b)

●書式について

大文字と小文字を区別します。

乗算は*で表現します。xを2倍する場合は、2*xと表記します。
うっかり2xと書いてしまうと、2xという名前のローカル変数として認識しま
す。

2バイト文字を入力するとエラーになります。特にMac版ではシステムエラー
になります。

行の最後は;を入れてください。

円周率は、PIと表記します。piはだめ。
定数eは、Eと表記します。

●最後に
数式は、初心者にはとっつきにくい機能で、簡単にエラーを起こし易いワイル
ドな機能でもあります。その反面、ユーザーには非常に自由度の高い機能なの
です。エラーにめげずにぜひチャレンジしてみてください。

今回は難しい内容になってしまいました。次回はもう少し柔らかい内容にしよ
うと思います。


【プロフィール】
上田 和浩
90年頃から3DCGに手を染める。RayDreamはVer.1からのユーザー
幽霊ツールと悪魔払いツールが懐かしい…(注6)

StepByStepにRayDreamの記事を連載中。
RayDreamの解説本も出版予定です。

(注6) 一時的にオブジェクトを隠すツールの日本語訳、当時はフォーカルポイ
ントコンピューター(株)が扱っていました。現在はフォーチュンヒル(株)が
扱っています。

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■本日のニュース

●IDGの新刊「カラーマネージメント!」
 カラーマネージメントの謎はこれで解明された

笠井享氏執筆の「カラーマネージメント!」が発行された。カラーマネージメ
ントの謎はこれで解き明かされた。原稿とプリント、モニタと印刷結果、
カラーマッチングの理論と検証の方法のすべてがわかる。なお、筆者笠井享氏
から書籍の企画意図や使い方など、直接本人からのメッセージを近く掲載予定
である。

以下、発行所IDGのHome Page のコピー。
http://www.idg.co.jp/books/lib/color_management.html

書籍名
カラーマネージメント!
副題
エプソンカラープリンタで学ぶColorsync

著者:笠井 享
版型:B5変形判
頁数:200ページ
ISBNコード:ISBN4-87280-336-1
価格:4,000円+税

 文字や音声が化けていたら正確な情報の授受ができないように、カラーも化
けてしまえば意味がない……今まであきらめていたカラーの不一致。なぜそれ
が起きるのか、どうすれば防げるのか?
 とっつきにくい、信頼性に欠けると誤解しがちな、ColorSyncをはじめとし
たカラーマネージメントシステムを正しく使えば、カラーマッチングは不可能
ではない。本書では現行の新バージョンソフトにおけるCMS使いこなしテク
ニックを解説するとともに、バージョンアップしても陳腐化しないバージョン
インディペンデントをめざした理論解説を試みている。
 また、付録として精密印刷カラーチャート及び、多数のICCプロファイルや
ICCプロファイルカスタマイズユーティリティなどを収録したCD-ROMを添付
している。

本書の構成
第1章 ColorSyncの全体を把握する
第2章 コンピュータ環境のカラーキャリブレーション
第3章 Adobe PhotoshopでColorSyncをさらに理解
第4章 プリンタ側のColorSync処理
第5章 Adobe PageMaker6.5JのアプリケーションColorSync
第6章 QuarkXpress 4.0JのColorSync
第7章 2大ドローソフトのカラーマネージメント
第8章 Adobe PhotoshopとColorSyncプラグインモジュール
第9章 より深く理解する為のカラーマネージメント基礎知識
第10章 ColorSync関連技術資料

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●日刊デジクリのBBSが出来ました!

感想・情報など自由に書き込んでください。コラムに対する意見なども大歓迎
です!

http://www.towers-inc.com/cgi-bin/towers-inc/daily/dailybbs.cgi

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■イベント・情報

●デザインの世紀「インフォメーションアートのデジタルとアナログ展」

昨年、フランスで行われたパリ日本文化会館のオープニング展覧会が再現され
る。
展覧会はクラシックアートとデジタルアートとの二部構成となっており、デジ
タルアートでは高城剛、立花ハジメなど爽々たる面々のコンピューターグラ
フィックス作品を見る事ができる。日比野克彦と横尾忠則がそれぞれデザイン
した、パリ日本文化会館開館記念ポスターも展示されている。
作品の展覧だけでなく2D・3D映画も楽しむ事ができる。

期日:4月22日(水)~6月28日(日)毎月曜は休館 ※5/4(月)は開館。
時間:10:30~19:30(入館は19:00まで)※最終日は17:00まで。
料金:一般 ¥950 大高生¥650 中小生¥350
会場:サントリーミュージアム天保山 06-577-0001
http://www.suntory.co.jp/news/garaly_s.html


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■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
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●StrataVision3D Ver.5.0編/「バンプマッピング」

最近主流の3Dソフトのほとんどにバンプマッピングがサポートされていま
す。「凸凹感を表現するマッピング」と言い換えれば分かりやすいでしょう。
表面の凸凹をモデリングで表現するとデータが非常に複雑になりますが、バン
プマッピングをつかうとモデリングはシンプルに済ますことができます。
凸凹感はグレースケールのバンプマッピング用のテクスチャー(白い部分が
凸、黒い部分が凹)で表現します。
レンガやタイル、岩などの素材感を出すのに役立ちます。
バンプマッピングはあくまでも表面が凸凹感を出すだけで、オブジェクトの形
状自体を凸凹に変形させるわけではありませんので、注意しましょう。(凸凹
の内容にもよりますが、アップで利用する際は不自然な質感になるときがあり
ます。)
写真や実素材をスキャナで取り込んでグレースケールに変換したものでもバン
プ素材として使えます。(しかもリアル)
★★(W by 松岡アキラ)

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●メガソフトさんで、TAの当たるキャンペーンを実施中。TAで直接FAXが
送信できる「RVS-COM」発売記念。
詳しくは<http://www.megasoft.co.jp/rvs/>
●タワーズで、テクスチャーフィルタや著作権フリー画像集の当たるアンケー
トがスタート。<http://www.towers-inc.com/present/index.html>

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0017 1998/05/01発行
発行社  タワーズ株式会社
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編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供はこちらまで 
           担当:濱村和恵
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