[0026] たんなる「技術を教える学校」ではない学校設立の話

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0026 1998/05/12発行
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●本日のコラム『たんなる「技術を教える学校」ではない学校設立の話』
 火曜日担当:柴田忠男

●イベント・情報
 ・フォーチュンヒル グラフィックスタジアム
 ・MdN 6月号特集はPhotoshop5.0j
●激励メッセージ
 ・「意外なところでウッカリミスが!」/ 許斐節子さん
●本日のTIPS/3Dアプリケーション編



●本日のコラム『たんなる「技術を教える学校」ではない学校設立の話』
 火曜日担当:柴田忠男

竹久マサオさん。ディジタル・イメージの会員で、大阪は平野区に住んでい
る。この人の経歴は波瀾万丈で、早稲田の文学部美術史学科を出て、ワーク
ショップ写真学校を修了後、欧米を放浪。旅行社タヒチ駐在員、学習塾経営な
どを経て、いまは写真家、DTP屋、CG作家である。一時期鍼灸師を目指していた
がどうなったのか? あまりに面白い経歴なので、私が1997年に編集長をして
いたオンラインマガジン「WONDER-J」で半生記(反省記)を連載してもらった
ことがある。その竹久さんが最近マルチメディア関係の学校を始めたというの
で話を聞いた。

「学校」という。School for digital-design &expressionという表記があ
り、「デジタルの技術を習得し、アーティスト・クリエイター・プロデュー
サーから表現手段を学び、あなたの秘めた潜在能力を引き出すことを目的とし
た学校です」という。気合を入れて作ったのであろうが、志が空回りしている
ような、ちょっと分かりにくい学校案内であった。

以下、竹久さんの話から。
この学校話は、京都でマルチメディアコンテンツの制作ほか各種プロデュース
を手掛ける竹久さんの友人の松川恵一氏(株式会社エニアックインターナショ
ナル代表)が仕掛人である。竹久さんが92年に知り合った頃には、彼は大手の
デジタルメディアの仕事を手掛けながら既に『現場の歯車としてだけではなく
自分で仕事をプロデュースできる人材の育成』を考えてたという。竹久さんは
まだMacを使い始めたばかりの頃で、自宅で学習塾を開いていた。会うといつも
「いつかそんな場所を創りたいね」と話し合っていたそうだ。

最初に具体的に学校の話が出た頃は、竹久さんはちょうど東京にDTPの出稼ぎに
行く直前だったので、その話はパスした。その時は大手スポンサーのバック
アップで、京都リサーチパークを会場にして1年ほど続いていたが、あるスポン
サーが降りた段階で休止状態になっていた。

そして松川氏が昨年秋に自力で学校を再スタートしようという時、ちょうど鍼
灸の学校の試験に落ちて、またDTPで日銭を稼ぐ竹久さんに再び声をかけて来た
というわけだ。

昨年秋に集まったメンバー(これをコアスタッフと呼ぶ)は7人、それぞれが仕
事でデジタルにかかわり、多くがデジタルデザイン系の教育に携わる経験が
あった。竹久さんもその後、デジタルハリウッド大阪校で教える機会を得た。

メンバーの1人がポロっと言った「大勢の学生を前に、砂地に水をまくような空
しさを覚える授業は、もうしたくない」という言葉にみんなが賛同した。そし
て「デジタルを通して、表現するということを考え、学び、そして本人が希望
するならば一緒に新しいビジネスの道を模索していく」という学校のコンセプ
トができつつあった。

ところが昨年末に、実務の中心となって引っ張っていたメンバー1人が他界。以
来急遽、竹久さんも立ち上げの事前準備から関わることになった。竹久さん
は、そんななりゆきで大阪でのDTPの仕事は3月でやめたという。

コアスタッフは、松川恵一、梅垣忠幸(株式会社システック経営、職業は歌
手?)、田村敏也(アートビット副社長)、佐古克行(StudioX-rated主宰)、
岡田弧一郎(京都芸術短期大学講師)の各氏と竹久さん。

授業の方は、基礎、ガイダンス、応用1・2の各コースそれぞれを3カ月で修了と
なる。来年度からは通年のコース設定も予定している。

1クラス10人以内の学校なので、基礎的な部分は共通の授業となるが、生徒各自
が目指す制作を中心に個々に対応していく。ただしメンバーすべてが2Dから
3D、アニメーション、オーサリングに至るまでをオールラウンドで教えられる
わけではないので、各自の仕事の折り合いをつけあいながらの協力体制で臨む
こととなる。

最新の機材が揃っているわけではないが、実際に仕事に携わるメンバーの現場
の話を聞きながら、各自の表現の可能性を追求してもらえる場になればとコア
スタッフは考えている。そして、各自の制作活動をプロジェクト化し、協力し
て新しいビジネスプロデュースに結び付けて行けるような構造を作り上げてい
こうとしている。

ところが、いかんせん広報活動の遅れもあり、生徒数が未だ不足しており、開
講を延期の状態である。スタッフは駅前でのチラシ配りもしたそうだ。現在、
京都地下鉄での募集広告やチラシ(今は忙しいので外注)を打っている。

並行して、学校の主旨を理解してもらう手段として、京都の町家(ほとんど廃
屋に近いが、なかなかしっかりした造り)を利用した、デジタルを中心とする
ギャラリー『デジラ』(仮称)の開設を進めている。器が大きいだけにその整
理や準備も大仕事になるが、5月中旬にオープンの予定だ。そのコケラ落としに
は、ディジタル・イメージ会員の藤原ヨウコウさんの「電脳畸人シリーズ」と
なる。

企画展以外にも展示希望者を募っている。一般応募の場合、会場費は不要だが
DMなどの経費は作家負担となる。期間は2週間が基本である。

12回発行のB5片面のNewsletter「d'express」は間もなく創刊となる。これは主
に京都市内の画廊や喫茶店に置かれる。PDF化によるwebへの掲載も準備中であ
る。たんなる「技術を教える学校」ではない学校という試み、スタートは
ちょっとモタモタしているが、志は高い。ぜひ、多くの学生を集めて立ち上
がって欲しいものだ。

学校のホームページは http://amnet-park.com/d-gakko/
学校事務局 604-8222
      京都市中京区四条通室町西入ル一筋目上ル観音堂町467 2F
      Tel.075-253-2886 Fax.075-253-2887

【プロフィール】
柴田忠男
「月刊アイピーネット」に「ゲゲゲの変酋長(マチガイ、編集長)日記 」4月
後半分が近く掲載される。その日記をもとに、「デジタル部活日記」を
「STEP-BY-STEPアート&デザイン」に展開中。あと締切近いのは、「JPCDOC」
か。あっ、共同通信社の出版コラムは昨日締切だった。

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■イベント・情報

●フォーチュンヒル グラフィックスタジアム

フォーチュンヒル主催のコンテスト。毎月20日締切。今回は金曜コラム担当の
上田和浩氏が審査委員長。
第2回はexpression、第3回は、アニメーションがテーマ。

□コンテスト開始記念・初めてのグラフィックス
はじめて作った作品を、深い眠りから目覚めさせてください。

□第1回/「初めてのレイドリーム」
あなたが一番最初にRayDreamを使って作った3D作品を送ってください。
背景なんてなくてもOK、あってももちろんOK。
これは失敗かなあ、という作品でも、心意気で入賞するかも?
お気軽にご応募ください!!賞品もあります!
詳しくはこちらで。
http://www.fortunehill.com/gs_1.html

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●MdN 6月号特集はPhotoshop5.0j

デジタルクリエイターのためのマッキントッシュマガジン【MdN】の今月の特集
は、遂に登場したAdobe Photoshop5.0j。ヒストリー・テキストレイヤー・レイ
ヤー効果・カラーマネージメント・マグネット選択ツール・3Dトランスフォー
ムなどの新機能を、美しいカラー図版で解説している。

他には最新フラットベッドスキャナ7台のテストデータやデジタルデータからの
高精細印刷の特集は、DTPクリエイターには必見!連載記事の「Photoshopの達
人」「3Dマスターへの道」「最先端CG制作の現場から」も見逃せない。CD-ROM
が付録に付いて1470円

今月号は通巻50号だそうで、Macintoshでのデジタルクリエイティブの歴史が掲
載されている。日本語2書体でイメージセッタと格闘していた苦労の日々を思
い出すのは私だけではないはず…。(森川)
http://www.mdn.co.jp/Magazine/

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■激励メッセージ

許斐女史に<創刊おめでとうメッセージ>を下さいとお願いしたら、いまに
なってこういうのが届きました。一応、分類は<創刊おめでとう>にはいりま
すよね? さすが許斐さんらしい。

『意外なところでウッカリミスが!』
許斐節子

こんにちは! 華華工房ことfunfunの、konomi@です。
funfunは、CD-ROM制作からプレスに関わるサービスの提供やソフト開発などを
行なっている会社です。どちらかというと、大阪近辺ではCD-ROMで馴染みのあ
る方が多いかと思います。

さてさて!世の中、インターネットだ! 光ファイバーだぜ! ニューテクノ
ロジーよ! と大変そうですね。
実は、私も、みんながインターネットサーバーの事でワイワイ騒がれているの
を見て、「おもしろそうだな。」と思った1人です。

早速、一昨年末、WindowsNT4.0が出たのを機会に、ALL Microsoftでサーバーを
作って楽しんでみました。なぜNTかというと、unixならインターネットサー
バーができるのは当り前だし、funfunは Windows NT Advanced Serverの頃から
使っていたのが理由です。

サーバーを始めた頃は、
「おもしろい! ネットの世界は怖い!」
と、思ったものの、半年で嫌になってしまった(疲れたのだ)。
新しい技術はどんどん出てくるし、ホームページの書き換えをしていないと気
になるし、サーバーはダウンしていないか心配だし。

おまけに、しょっちゅう、Microsoftお得意のService Packが出てくるんです。
あれってどこが、サービスなんやろ?と、思いません? ただのバグつぶしや
んかぁ! プンプン。Microsoftに限らず、アプリケーションのバージョンアッ
プが速すぎる反面、バグなんだか、どうだかわからないような動きって多く感
じます。

みんな、一体、どうやって対応しているんでしょうか???とっても不思議で
す。私は、大事なマシンには、すぐに新しいソフトを食べさせないようにして
いますが。

さて、新技術の動向に目を光らせている人は多いと思いますが、、、意外なと
ころでウッカリミスが増えてきています。
では、ここ最近、funfunにプレス用に持ち込まれる印刷物やデータで多く見掛
ける「うっかり」を紹介しておきましょう!

1) "Windous"
2) "西日本偏"
3) "Softwere"
4) "内臓ハードディスク"

さて、何か気付きました?
<正解>
1) "Windows"
2) "西日本編"
3) "Software"
4) "内蔵ハードディスク"

「フンッ!こんなマチガイなんてしないもんねっ!」と、鼻で笑ってるキミ!
案外、何人ものスタッフの目を逃れて? 気付かずに印刷にまわっているんで
すよ。気付かずにプレスしてしまうと、後でハズカシ~って言われちゃうか
も!?運が悪けりゃ(?)、ポケットマネーで再プレスという事になるかもしれませ
んしね。怖いですねぇ~嫌ですねぇ~

ということで、CDに関わらず、印刷物の誤字脱字には、よぉぉぉ~く気をつけ
ましょう。
では、足元?じゃなくって、手元のデータにも、たまには目を光らせて下さ
い。

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■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
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●StrataVision3D Ver.5.0編/「プリミティブから変形」

モデリングの基本はプリミティブオブジェクトと呼ばれるオブジェクト(球、
立方体、円柱など)の組み合わせです。配置されたプリミティブオブジェクト
をダブルクリックすると3D編集モードとなり編集用のウインドウがあらわれ
ます。

プリミティブはベジェ曲線(イラストレーターなどでお馴染みの曲線です)で
構成されており、スムーズな形状を維持したままの変形が可能になっていま
す。しかし、立方体などの直線成分のオブジェクトもベジェ曲線で構成されて
いるので、そのまま変形させると豆腐を歪めたような変形になってしまいま
す。直線的な変形をするには編集前にプリミティブをポリゴン化する必要があ
ります。

他の方法もありますが、[モデリング]→[面の修正]→[スムージング]で
ポリゴン化できます。(本来はこのような目的に使うツールではないと思いま
すが)ポリゴン化させる形状によって「限界角度」の設定数値を変えてみる
と、スムージングの効果の現れる度合いが変わります。角をスムージングした
くなければ角度を小さく設定します。

Vision3Dではベジェ曲線編集によって変形されたオブジェクトのレンダリング
は、非常に時間がかかってしまうようです。レンダリング用のデータは該当オ
ブジェクトをポリゴン化することをおすすめします。効果バッチリ(死語?)
です。(ポリゴン化前のオリジナルデータのバックアップを忘れずに)
★★★★ (松岡アキラ)

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●チバレイこと千葉麗子さんの「東京」が面白かった。共感し、私も頑張ろ
うって思いました。彼女のコラムが読んでみたいなぁ・・。(濱村)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0026 1998/05/12発行
発行社  タワーズ株式会社
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     大阪市中央区高麗橋1-5-6 東洋ビル3F
     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供はこちらまで 
           担当:濱村和恵
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