[0033] アニメーションの密かな楽しみ

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0033 1998/05/20発行
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●本日のコラム『アニメーションの密かな楽しみ』
 水曜日担当:まつむらまきお

●柴田のコネタ
 ・「コマーシャル・フォト」6月号にCGクリエイター5人が登場
●本日のニュース
 ・QuarkXPressのアップグレード料金!!!!
●イベント・情報
 ・「CG検定」「マルチメディア検定」に対応した教育サービス
●本日のTIPS/3Dアプリケーション編



●本日のコラム/もっとFLASH!第六回『アニメーションの密かな楽しみ』
 水曜日担当:まつむらまきお

ぼくは昔、イラストやまんがを描きながらも、ずっとアニメがやりたくて仕方
なかった。アニメといっても、大手スタジオで制作される、TV番組や映画の
ようなものではなく、CMやこども番組でみかけるような短編作品。ああいっ
たものがとても好きで、自分でも作りたかった。

自分の絵を動かす、というのは考えただけでもわくわくする。「絵が動く」
と、いきなりそこに「時間」が生まれ、「生命」と「世界」が現出する。もと
もと、まんが家や絵描きは、キャラクターや世界を、「絵」としてではなく、
生きている人物、生きている世界として頭の中に創造している。それを「絵」
という形で写し取って、現実世界に引っぱり出しているわけだが、アニメー
ションはさらにそれを一歩押し進めた作業であるわけだ。

しかし、自分の頭の中で生き生きと動いているキャラクターを、アニメーショ
ンにするのは、とてもホネがおれる。ぼくごときの画力では、一枚絵を描くの
もやっと、コママンガでは、うっかりしているとコマごとで顔やプロポーショ
ンが変わってしまうよーなありさま(^_^;)。これがアニメーションとなると、
空間のデッサン力だけではなく、時間のデッサン力、動きを描く力も必要とな
るのだ。ひえ~。

さらに問題となるのは「ストーリー」である。もし、アニメーションで「物
語」を語ろうとすると、これはもう、えらいことだ。まんがや絵本なら、何枚
か描けばすむのを、アニメだと、そのコマの間の時間まで埋めなくてはならな
い。

こんな風に、個人でアニメーションを作るということは、類い希なる画力と、
想像を絶する根気が必要だと、ぼくは思っていた。

ぼくはとてもセッカチで飽きっぽい人間である。面倒なことはキライだし、根
気もない。まんがだって、最初は16ページや32ページといった、「まっとう」
なマンガを描いていたが、描いているうちに、次のが描きたくなってくる。仕
上げる手間暇がまどろっこしい。そこでこんどは4ページのショートストーリー
をやってみる。これはなかなか心地よい。いま描いているのは4コマばかり。ど
んどん短くなっている(^_^;)。

そんなセッカチで飽きっぽくて根性がない(何度も書いていると、自分でなさ
けなくなってくる(^_^;))人間でも、アニメーション作りの楽しみを得られる
のがFlashである。今まで何度も描いたように、まず「絵を描く」という基本的
な部分がしっかりしているから、苦にならない。ドローベースで解像度から解
放されているおかげで、回転や拡縮といった時の劣化を気にする必要もない。
うまく作れば、1枚の原画だけでも、それなりのストーリー性をもたせたアニ
メーションに仕上げることができる。動画の階層構造化が可能なので、複雑な
動きも少ない動画数で実現できる。以前、Di rectorやHyperCardでアニメー
ションをやっていた時は、絵のクオリティを保つために、主に解像度の面で
様々な工程を経なくてはならず(このあたりのことは2回目で書いた)、かな
りしんどかったが、Flashでは「描くこと」と「動かすこと」に専念できるのが
とてもありがたい。

ぼくが仲間とこの2年ほど続けている「ミニヤムクン」というWebアニメーショ
ンコンテンツがある(ぼくのページからリンクされている)。ここでは、毎月
2回、短編アニメーションの競作をやっている。仕事の合間にやっていることな
ので、ぼくの場合、長くても1日以上時間を割くことはない。でもFLASHのおか
げで、ヘタすれば、カラーの4コママンガを1本描くよりも、1分のアニメを
作る方が早い(仕事などで、その時間がとれず、更新は遅れがちだが)。これ
は考えたらすごいことである。しかも、本や雑誌と違って、できたら即公開で
きる。反応も即座に得られる。セッカチなぼくにはとても向いている。
残念なのは、ギャラが入ってこないことだけだ(太っ腹なスポンサー募集中^_^;)。

というわけで、コンピューターやソフトといった初期投資がかかるものの、今
やアニメーションはマンガよりもお手軽な表現手段なのである。

///////今週のFlash TIPS///////
Shockwave書き出し時にあるオプション「読み込みを禁止」を見過ごしていませ
んか?これをチェックしていないと、ブラウザのキャッシュからでも、FLASHで
編集可能な形で動画を取り出すことができる。しかも、Illustratorを経由し
て、ハイクオリティで印刷することもできる。どのように悪用されても、文句
のいえない国もあることを忘れないように。

【プロフィール】
まつむらまきお
まんが、イラスト、アニメーション作家。大阪府吹田市在住。パソコン誌、一
般誌、女性誌、Webにて活躍中。世界一わかりやすくて笑えるFLASH攻略本「お
しえて!!Macromedia FLASH2」(まつむらまきお/たなかまり共著 毎日コミュ
ニケーションズ刊 2,000円+tax ISBN4-89563 -888-X)絶賛発売中です。
ZEHI!
http://www.asahi-net.or.jp/~GU5M-MTMR/
Mailto:makio@luna.email.ne.jp

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■柴田のコネタ

「コマーシャル・フォト」6月号にCGクリエイター5人が登場

玄光社発行の「コマーシャル・フォト」6月号(5月15日)に5人(正確には6
人)のデジタル・アーティストが紹介されている。ロボットメガストア(新井
昌一と野口ゆかの2人組み)、成光雄、ニック・スミス、久納ヒロシ、檜山巽ら
がそれぞれ見開き2ページで登場。

「作品テーマと挑戦してみたい仕事」というコメントと、プロフィール、ポー
トレート、そして何人かは簡単な制作プロセスが収められている。全員がディ
ジタル・イメージの会員だ。

じつはそれだけで、それ以上のつっこみはないの残念。デザインも印刷もきれ
いだが、アーティストカタログの域を出ていない。お手軽といえばお手軽。同
じ号にはCM制作便利ノートとか、レンタルスタジオ’98とかが特集されてお
り、イエローブック的な記事(といえるか?)に強いのがこの本の特徴。広告
業界の情報を集中させる仕組みがあるから(私も編集部にいたときそれを作っ
た)、労せずしていろいろなデータが集まる。

だが、それに安心して、あまりに問題意識の薄い記事とカタログばかりやって
いると、いずれどこかに足元をすくわれる。インターネットの時代、カタログ
用のデータなんて簡単に集まる。編集部OBが苦言を呈する次第である。

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■本日のニュース

●QuarkXPressのアップグレード料金!!!!

5月18日(月)の、Quarkの発表会に出席した
本紙日刊デジタルクリエイターズのシンパ記者からメールが来た。

>QuarkXPressの件、お知らせします。まず、アップグレード料金ですが、
>QuarkXPress 3.3 for Power Macintoshから→¥99,000 
>QuarkXPress 3.3 for Macintoshから   →¥109,000
>QuarkXPress 3.1 for Macintoshから   →¥129,000
>となってます。米国でのアップグレード料金は300ドル程度だとか。
>なんて高いんでしょう。10本入れてたら100万かかりますよ。
>また、Mac版からWindows版へのクロスアップグレードの設定はありません。
>ちなみに米国では実施されています。
>なお、パッケージの料金はオーププライスで公表できないそうです。
>ただし、プレス会場での情報によれば20万円は下らないそうです。
>ということでこれまでより高くなった、ということです。

>出荷日の詳細は出ていませんが、出力センターなどには
>すでにアップグレードの連絡は済んでおり、
>発表直後に届くユーザもあるようです。
>一般販売は発表直後に代理店に出荷し、
>店頭には6月初旬に並ぶだろうということです。

>この暴利(と敢えて言っちゃいますが)をどうお考えになりますか?
>それとも、本当にこのぐらいのお金を取らないと
>クォークってやっていけないのかしらん?

昨日はさる印刷会社でその「うわさ」を聞いて、そんな金額なら「アーバン
プレスが買える」と言って笑ったものだが、本当だったのね。シンパ記者に
もっと聞かせろと迫ると、そんなムチャクチャなお金を忠実なユーザから取る
くせに、Quarkでは2億円の投資をなんとかいう会社に行なうと発表したとか。
さらに、発表会の後は、沢の鶴の鏡割りで始まるというというバブリーなパー
ティがあり、エイブラヒミ社長は真っ赤な顔でご満悦でしたとさ。(柴田)

>そうそうもちろんドングルは付きます。

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●マクロメディア商品の発売日情報

・Fireworks J-----Win、Mac版58,000円(予価)で9月初旬発売予定
・Flash 3J-----Win、Mac版39,800円で6月30日発売
・Director 6.5J-----Win、Mac版188,000円、HYBRID版248,000円で6月30日発売

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■イベント・情報

「CG検定」「マルチメディア検定」に対応した教育サービス開始!
短期カリキュラムを開発し講師派遣やwebを活用した教育支援まで

多くのPCスクールや企業が〈CG検定〉や〈マルチメディア検定〉を教えるため
の「講師不足」や「カリキュラムが用意できていない」といった問題を抱えて
いる状況を受け、株式会社ユーミックスでは、「マルチメディア検定」「CG検
定」に対応した実践的なカリキュラムを開発し、8月よりサービスを開始します。
カリキュラムの販売はもちろん、講師派遣やwebを活用した教育支援も実施します。

さらには、NECソフトウエアが開発したイントラネット環境による社員教育シス
テム(JCYNES)にもこのカリキュラムが採用予定です。

●カリキュラムの概要
 <カリキュラムの特徴>
 ・短期でありながら合格に必要な重要なポイントは全て網羅
 ・制作実習と座学を交互におこなうことで、実践と理論の融合をはかる
 ・過去の出題傾向を分析したうえで、学習のポイントをアドバイス
 ・オリジナルテキストとサンプルデータが用意され自己学習にも最適
 ・出題傾向などの最新情報はユーミックスのWebサイトに掲載

 <サービス提供形態>
 ・教材およびカリキュラム販売
 ・講師派遣
 ・イントラネット用カリキュラム提供(JCYNES向け)

 <講座名>
 「マルチメディア検定3級対策講座」(2日間)
   3級合格対策に的を絞り、出題のポイントを学ぶ。
 「マルチメディア検定3級/短期集中コース」(5日間)
   実際にホームページを制作しながら、3級出題のポイントを学ぶ。
 
 「CG検定3級対策講座」(2日間)
   3級合格対策に的を絞り、出題のポイントを学ぶ。
 「CG検定3級対策/短期集中コース」(4日間)
   実際にCG制作を実習しながら、3級出題のポイントを学ぶ。

■お問い合わせ先
 株式会社ユーミックス
 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-5-7 ヒルクレスト平河町1F
 TEL 03-3234-7550 /FAX 03-3234-4780
 URL http://www.u-mix.co.jp/
 E-Mail

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■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
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●StrataVision3D Ver.5.0編/「パス表示」

アニメーション設定されたオブジェクト選択時には、その軌跡(アニメーショ
ンパス)が表示されています。そのパスを編集することでパスの経路を変更す
る事もできます。しかし、同時選択オブジェクトが多い場合、軌跡表示の負荷
がかかって非常にレスポンスが悪くなるときがあります。

[アニメーション]→[アニメーションパス表示]でパス表示の有無の切り替
えができます。データが重たくなった場合、パス表示の必要がなければパス表
示を切った方が作業効率が良くなります。
★★(松岡アキラ)

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●マクロメディアのU-CONに参加。ロドニーさんが可愛いーーー!!彼の作品はも
ちろん、彼自身のファンは多いと思う。38には見えないーー!!何かしている人
達って、皆総じて実年齢よりも若いという印象を受けます。今日のコラムのま
つむらまきおさんも、若い若い!!なんであんなに若いのーーー!!
●社長の手嶋さん。初めてお見かけした時、「虎」とか「龍」というイメージ
を受けました。どうしてひげを剃ってしまわれたのか!!カリスマなイメージを
持つ方です。じゃんけんもお強いし(笑)マクロメディア社の社員さんは、皆楽
しそうにお仕事をされているような気がします。
●パーティーで、沢山の方にお会いしました。皆様ご存知の方々ばかり。原稿
をお願いしてきましたっ!楽しみにしていてくださいー!
沢山の方が読者になってくださっていました!!嬉しいですー!又お会い出来る日
を楽しみにしてます!(濱村)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0033 1998/05/20発行
発行社  タワーズ株式会社
     <http://www.towers-inc.com/>
     大阪市中央区高麗橋1-5-6 東洋ビル3F
     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供はこちらまで 
           担当:濱村和恵
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