[0039] 動かさない勇気

投稿:  著者:



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0039 1998/05/27発行
  <http://www.towers-inc.com/mag/daily/>
  情報提供はこちらまで 
  登録・変更<http://www.towers-inc.com/mag/daily/regist.html>
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

●本日のコラム『動かさない勇気』
 水曜日担当:まつむらまきお

●柴田のコネタ
 ◎SOHO者の家は汚れる一方

●本日のニュース
 ◎『WildRiverSSK2.1(WINDOWS版)』が6月下旬より発売開始
 ◎主要サイト情報
  Microsoft/ Sun Microsystems
●イベント・情報
 ◎WAO! オープンカレッジ開催
●本日のTIPS/3Dアプリケーション編



●本日のコラム/もっとFLASH!第七回『動かさない勇気』
 水曜日担当:まつむらまきお

よく、アニメーション初心者の人がいきなり、キャラクターが歩くアニメー
ションを作ろうとして、挫折したという話を聞く。あたりまえである。「歩
く」という動きはたしかにアニメの基本であるのだが、メチャ難しいのだ。こ
んなモノに最初から挑戦してはイケナイ(^_^;)。

ついつい、アニメーションというと、ダイナミックな動きやストーリーを描く
ことを考えてしまうのだが、最初はまず一枚の絵を作ることをオススメする。
動かすことはあまり考えなくていい。とりあえず、自分が好きなイラストを描
いてみる。グラフィックデザインでもいい。重要なのは、静止画として美しく
完成されているコトだ。

できあがったイラストを眺めていると、だんだん、その絵の中で動かしたい部
分というのが見えてくる。あくまでも、キャラを走らせたいとか、ややこしー
コトは考えないようにしよう(^_^;)。雲がながれていくとか、キャラの目が
キョロキョロと動く。ロゴの色が変化する。そういったシンプルで必要最小限
の動きだ。

これなら、動画など描かなくても、FLASHのトゥイーン機能を使って簡単に実現
させることができる。最初と最後の位置を決めて、トゥイーン。実にカンタン。

で、これがアニメーションか?といわれると、ちょっと困る(^_^;)。アニメー
ションマニア(除くオタク系アニメ(^_^;))であるぼくとしては、正直言って
こういったモノをアニメーションと認めたくはない。やはり、キャラクターが
生き生きと動き回って、物語が生まれてこそ、アニメーション!という気持ち
は強い。

そこで考えた。これはアニメーションではなくて、「モーション・イラスト
レーション(またはグラフィック)」なのである。アニメーションとしての完
成度は低いかもしれない。でも、イラストレーションとして作品が完成してい
れば、そこに、ほんの少し動きを与えてやることで、より世界を明確に表現で
きる。ならば、これはこれでひとつの作品形態、「モーション・イラストレー
ション(グラフィック)」なのだ。

そう考えると、ちょっと気持ちが軽くなる。アニメーションを作ることではな
く、イメージを作ることこそが大切。「モーション・イラストレーション」
だって、アニメーションに負けない魅力を持つことができる。
それに、これはとってもWeb向きだと思う。窓から覗く風景。物語ではなく風
景。過剰な演出でなく、ひかえめで効果的な動き。
そういったイメージがあってもいいと思う。

ところが、気持ちが軽くなりすぎると、ちょっと困ったことになってくる。

FLASHが普及し、Webの世界でもフライングロゴなど、グラフィックの面で様々
なアニメーションが使われるようになってきた。まさに「モーショングラ
フィック」花盛りである。でもたまに、「あー、動かさなきゃいいのに」なん
てページもある。折角のグラフィックデザインと動きのデザインがまったく
合っていないために、おたがいがイメージを損なってしまっているのだ。ま
た、ちょっとケースが違うが、デザインの悪さを動きでごまかそうとする場合
や、逆に演出過多ですべてが台無しになっている場合もある。これらは、根本
となるイメージの欠如からなる悲劇だ。

イラストレーションもグラフィックデザインも、本来、動きなんかなくたっ
て、人の目をひきつけ、心を動かす力を持っている。いや、持っていなくては
プロの仕事ではない。その上で、画像に動きが必要であれば、おのずと効果的
な動きは作れるはずである。しかし、動かすことが目的となって、根本となる
イメージが欠如していては、ちょっとヤバい。なんでもかんでも、動いていれ
ばいい、という価値観はめちゃヤバい。

動かさない勇気。あたりまえのコトなんだけど、たまにはそんなことも考えて
みたい。

さて、そろそろ言いたいことも言っちゃったので(アニメーションの話を文字
だけでするのがどんなに苦しいか!(^_^;))、次回からは笠居 聡宏さんと往復
書簡?の形でかわりべったんの連載となる予定。お楽しみに。

///////今週のFlash TIPS///////
シンボルにカラーイフェクトをかけてできた色(トゥイーン中の中間色など)
と同じ色が欲しい時がある。そんなときは、画面のスナップショットを撮っ
て、新規書類にペースト、スポイドでクリックするとその色をピックアップ、
パレットに登録できる。

【プロフィール】
まつむらまきお
まんが、イラスト、アニメーション作家。大阪府吹田市在住。
パソコン誌、一般誌、女性誌、Webにて活躍中。
世界一わかりやすくて笑えるFLASH攻略本「おしえて!!Macromedia FLASH2」
(まつむらまきお/たなかまり共著 毎日コミュニケーションズ刊 2,000円+
tax ISBN4-89563-888-X)絶賛発売中です。ZEHI!
http://www.asahi-net.or.jp/~GU5M-MTMR/
Mailto:makio@luna.email.ne.jp

*********************************************************************
●柴田のコネタ「SOHO者の家は汚れる一方」

SOHOやってると、通勤しなくていいから、その分早く仕事につける。わたしの
場合、午前8時にはデスクに向かう毎日だ。その分早く仕事を終えて、午後4時
からは自由時間だ。SOHOばんざい。というのは大ウソで、いつになっても仕事
は終わらない。電車に乗って家に帰らなくてもいいから、その分仕事が出来
る。結局、夕食後また3時間くらいは仕事している。

仕事にけじめがない。時間にけじめがない。毎日が日曜日だが、毎日が月曜日
だ。週日はやはり家でじっと仕事していて、自転車でのびのびと散歩で出るの
は土日だ。週日にたらたらと書店を回っているのはなんとなく罪深い。

机に向かいっぱなしでよくストレスが溜まらないものだと、家族は感心する
が。家で家族に背中を見せているからには、元気なところを演出しなければな
らない。たぶん、子供らはもう何10年も、オヤジが日中寝ている姿は(堂々と
した昼寝以外は)見たことがない筈だ。いつも働いている。何にも言わない
が、そういう姿を見せるのが教育だ。やせ我慢だ。

SOHOの問題は、家が汚れることだ。勤め人時代は、土日に集中してあちこち手
入れしたり、掃除ができたが、いつも家にいると、いつもひまなようだがいつ
も忙しい。時間があるようでじつはない。風呂の掃除もいいかげん、庭の手入
れもいいかげん、本棚の掃除もめったにしない。「今度の休みにまとめてやっ
つけます」ということができない。休みなんてないんだもん。そういうけじめ
のなさで、家はどんどん汚れていく。

SOHOの先輩であるデザイナーの村上光延さんが、SOHO?なにいってるんです
か、うちはSOKOですよ、と言っていたのを思い出す。そうだよ、仕事部屋も倉
庫化し始めた。これから梅雨に向かうが、土日を本当の土日にしなければ家庭
ぢゃなくて家屋があぶない。

*********************************************************************
●本日のニュース

『WildRiverSSK2.1(WINDOWS版)』が6月下旬より発売開始

PhotoshopやPhotoDeluxe1.0で30種類以上のエフェクトをかけることができる
フィルタ集が、フォーチュンヒル株式会社から6月下旬より15,000円(税別)で
発売開始。

レタッチソフト単体では非常に手間のかかる、文字の立体化や金属的な質感へ
の変換を非常に簡単にしてくれるプラグイン。Photoshop4.0のアクション機能
にも対応しているため、大量の画像処理も自動で行ったり、より複雑なオリジ
ナルエフェクトを生み出すことが可能。
Macintosh版は昨年9月に発売されており、高い人気を得る。今回は要望の多
かったWindows版の発売。

□システム条件
Adobe PhotoDeluxe1.0もしくはAdobe Photoshop3.0J、4.0.1が動作する環境、
スクリプト機能に関してはAdobe Photoshop4.0Jのみ対応。

詳しい説明は、
http://www.fortunehill.com/ssk.html
2.0Mac版の体験版は、
http://www.fortunehill.com/down.html
タワーズでの検証ページ
http://www.towers-inc.com/mag/less/app/ssk/index.html
どれも今のところMacについてですが、Winでも同じです。

---------------------------------------------------------------------
●主要サイト情報

◆Microsoft
~~~~~~~~~~~
 Microsoft社、「Digital Sound System 80」を今年のElectronics
 Entertainment Expo(E3)で初公開予定。
 ハイ・エンドホームオーディオシステム並みのクリアサウンドを提供する
 Microsoft初のPCスピーカーシステム。
 <http://www.microsoft.com/corpinfo/press/1998/May98/speakpr.htm>

◆Sun Microsystems
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 日本サン、Solaris/Javaのハード/ソフトウェア開発者向け支援プログラム
 を統合・拡充した「Sun Developer Connection」を開始。
 <http://www.sun.co.jp/Press/release/1998/0526.html>

嶋田美香

*********************************************************************
■イベント・情報

●WAO! オープンカレッジ開催

第一線のクリエイターを講師に揃えたWAO!の【クリエイティブ講義】。彼らが
カレッジ生徒に対して何を語り、何を伝えているのでしょうか。

「WAO!のクリエイティブ講義をぜひ体験したい」という多くの方からのご要望
にお応えして、普段の授業のいくつかを“オープンカレッジ”として聴講でき
るシステムを構築しました。

時点で聴講できるクリエイティブ講義は以下の6つ。どこにもマネできない充
実のラインナップ。あなたもぜひ本物のクリエイターの凄さに触れてください。

○岡部正泰先生(クリエイティブディレクター・コピーライター)
「広告表現におけるコピーとデザイン」
開催日:6/2(火)・6/9(火)、全2回、PM1:30~4:00
7/6(月)・7/27(月)、全2回、PM7:00~9:30
受講料:1万円

○早川和良先生(CMディレクター)
「映像を通じて伝えること」
開催日:6/13(土)・6/20(土)、全2回、PM5:00~7:30
受講料:1万円

○植木英則先生((株)TYO取締役映像事業部長・デジタルフロンティア代表)
「CG業界の現場」
開催日:7/4(土)、PM5:00~7:30
受講料:5千円

○石侍露堂(せじ ろどう)先生(映画監督)
「映画における演出とカメラワーク」
開催日:5/30(土)、PM5:00~7:30
7/9(木)、PM7:00~9:30
受講料:5千円

○渡部恵美先生(グラフィックデザイナー)
「レイアウトの基本」
開催日:6/8(月)・6/22(月)、PM7:00~9:30
受講料:5千円

○奥野雅之先生((株)ギミック専務取締役・プロデューサー)
「CG業界最新事情」
開催日:6/6(土)、PM5:00~7:30
受講料:5千円

聴講ご希望の方は、お電話にてお申込ください。
※なお、定員になり次第締め切らせていただきますので、ご了承ください。
デジタルクリエイターカレッジWAO!
03-5381-1016

*********************************************************************
■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
---------------------------------------------------------------------
●StrataVision3D Ver.5.0編/「サイクル」

振り子運動や回転運動など、繰り返し動き続けるアニメーションに利用しま
す。回転なら1回転、振り子なら1往復など、基本となるアニメーションを作
ります。

アニメーションパレット上のアニメーション末尾のマーカーを選択し、[アニ
メーション]→[サイクル]ダイアログボックスで「選択オブジェクトのサイ
クル有効」にチェックを入れ、開始時間(通常はデフォルトでいいです)を入
力すれば、自動的に繰り返しのアニメーションを実行します。(アニメーショ
ンパレットでは末尾のマーカーが反転矢印表示になっています)

StudioPro2.Xでは、サイクル設定の多重化やサイクル回数設定が可能になり、
かなり高度な自動化も可能です。
オブジェクトリンクで別のオブジェクトと連動させることもできますので、ヘ
リコプターのローターや、車のタイヤなどの動きの激しいシーンでも利用でき
ます。頑張れば、歩く・走るなどのアニメも作れます。
★★★(松岡アキラ)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0039 1998/05/27発行
発行社  タワーズ株式会社
     <http://www.towers-inc.com/>
     大阪市中央区高麗橋1-5-6 東洋ビル3F
     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供はこちらまで 
           担当:濱村和恵
------------------------------------------------------------
※リアルタイム編集後記「編集長はつらいよ」はこちら↓
http://www.towers-inc.com/square/editor/visit.shtml
※討論・激論・あったか感想・なんでもありの「日刊デジクリBBS」↓
http://www.towers-inc.com/cgi-bin/towers-inc/daily/dailybbs.cgi
※バックナンバーはこちらから手繰ってくださいね↓
http://www.towers-inc.com/mag/daily/
------------------------------------------------------------
★【日刊・デジタルクリエイターズ】は無料です。
 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)

Copyright(C), 1998 TOWERS INC.
許可無く転載することを禁じます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■