[0052] Fireworksは印刷用のデータを作れるか?

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0052 1998/06/11発行
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●本日のコラム『Fireworksは印刷用のデータを作れるか?』
 木曜日担当:森川 眞行

●柴田のコネタ
 ◎「あなたのE-mailアドレス名の由来を聞かせて」第11回

●本日のニュース
 ◎主要サイト情報
  Apple/ Microsoft/ Sun Microsystems/ SGI/ Macromedia
●イベント・情報
 ◎1998“Beyond the Canvas”デジタルアートコンペティション
 ◎アーバナート#6
 ◎JPC定例セミナー
●本日のTIPS/3Dアプリケーション「LightWave3D編」



●本日のコラム『Fireworksは印刷用のデータを作れるか?』
 木曜日担当:森川 眞行

先日、DTP関連の仕事をされている会社の方にFireworksをプレゼンする機会が
あった。最近はDTP関連の会社もWeb制作には意欲的なのだ。

グラフィックソフトウエアをばんばん使いこなしている人、特にDTPの関連の人
にFireworksをプレゼンするのは楽しい。みんな決まって「おおおっ!」「うわ
あ!」「げげげ」「うっそぉ!」とオドロキの声をあげる。…そしてプレゼン
が終わると大きな溜息をつく。「これが印刷にも使えたらなあ…」

先々月、初めて初めてFireworksをプレゼンしたmACademiaでも、終わってから
DTPの仕事をしている人から「印刷には使えないのですか?」と聞かれたし、先
月のマクロメディアユーザーカンファレンスのプレゼンの時も同じ質問を受け
た。同席していたFireworks開発者のトム・ヘール氏は「ノーコメント」と言っ
ていた。Webグラフィックス制作用ソフトなのだから、開発側としては答えにく
い質問だったのだろうね。

ボクが『日刊デジクリ』や『FIREWOKS徹底検証』で「FireworksはAdobe
PhotoshopとAdobe Illustratorの機能を合わせ持ったソフトウエアだ」と言い
まくっているので、「ホントにPhotoshopとIllustratorがいらなくなるのです
か?」と聞かれる。

本当です…嘘は言っていないぞ…。でもそれは「Webデザインを行うに際して」
という言葉を必ず前に付けての話。どうも「PhotoshopとIllustratorの合体」
というフレーズのインパクトが強いから、そっちばかりが先行して「DTPにも使
える」みたいな伝わり方をしていることが多々ある。

さて、本当にFireworksは印刷にも使えるのか?それは使い方次第。気になる解
像度に関しては、自由に設定できるから300dpiの高解像度画像も制作できるこ
とは確かだ。けど、そこから先はFireworksだけで印刷用のデータを制作して出
力するのは難しい。なにしろCMYKサポートはしていない。書き出しのファイル
もJPEG、PICT、TIFFというラスターデータのみ。制作画面でベジェ曲線を採用
しているので勘違いしやすいが、PostScriptでの保存や書き出しはできない。
あくまでラスターデータとしてAdobe Photoshop等に移行する前提でのイメージ
制作としてなら、印刷用のデータも作れる…ということだ。

それでも、多くのデザイナーがFireworksに惹かれていることは確かだ。ラス
ター・ベクター・テキストの区別なく常にエフェクトが効き、更新されるこ
と。オブジェクトに対して複数のアルファを設定できること。そして何よりラ
スターとベクターを同時に扱えることによって生まれる新たなデザインの発想
というものがとても魅力的であるらしい。

冷静に考えると、印刷を前提として(高解像度・CMYK)ラスター・ベクター・
テキストを当時に扱い、さらにライブエフェクト機能を備えたソフトウエアっ
て、きっとハードウエアやOSが追いつかないと思う。もちろん何が起こるかわ
からない、この世界だし進化のスピードも早いから断言はできないけど…。

それでも身勝手な夢を見たり、無謀な要求をするのがユーザーなのである。
Fireworksを毎日使っていると、多彩な機能に満足する反面、次々にソフトウエ
アに対してのリクエストが生まれてくる。Fireworksはバージョン1の製品であ
ることをすっかり忘れてしまっている(笑)さらにまだ出荷前のバージョンな
のだよFireworksは…。

本日はFireworksの検証のために、京都まで画像処理の大御所様のオフィスまで
出向いた。そう、京都の「あの人」である。カラオケボックスでモニタのキャ
リブレーションをしてしまう「あのお方」である(笑)Photoshop AtoZの著者
であり、デジタルカメラの大御所である「あの人」だ。画像に関してはボクが
師匠と仰ぐ方である。目的は画像処理ツールとしてのFireworksの可能性の検
証。比較になるのは当然Adobe Photoshop。

もちろん10年近い歴史をもつPhotoshopに比べれば、Fireworksは100点満点では
ない。画像補間方式もバイリニア法のみである。拡大した時にPhotoshop独自の
バイキュービック法には仕上がりではかなわない。
しかし、FireworksはWeb制作のためのソフトウエアなのである。ましてバー
ジョン1。バイリニア法での画像補間方式の欠点を補うために、Fireworksでは
アンシャープマスクの機能を備えている。これはFireworksがピクセル単位での
画像編集のアプローチに積極的に取り組んでいく姿勢だと思う。

他にもトーンカーブでの補正などリクエストしたい部分も多々ある。でもそれ
はFireworksがプロのツール、つまり金儲けができるツールであることを十分に
認めているからこそ出てくる難癖(笑)なのである。純粋なリクエストなので
ある。

「久々に新しいソフトウエアの可能性を感じますね」と「京都のあの人」は
言った。
同感である。
Fireworksを説明するために、他のソフトウエアと比較してしまうが、実際に
Fireworksは今までのソフトウエアとは全然違ったアプローチで登場してきた。
そしてWebデザインという仕事の現場を十分に理解している。

それは使ってみればわかる。

【プロフィール】
森川 眞行 (もりかわ まさゆき)
1958年大阪府茨木市生まれ。 1981年大阪芸術大学美術学科彫塑専攻卒業。
以降、17年間グラフィックデザイナーとして活動。
1989年Macintoshに遭遇して、カッターナイフとシャープペンと写植見本帳
を窓から捨てる。1993年シリコンカフェの名称でフリーランスになる。同年
関西DTP協会を設立して初代会長に就任。1996年G-TOOLという素材フリーサ
イトを作り、爆発的アクセスに腰を抜かす。1997年、ボクのアイデアに出資
者があつまり、G-TOOLをコアにした新会社・タワーズ株式会社を設立。取締
役に就任。

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●柴田のコネタ

自分で毎日コラム書くのは大変だ、誰かに助けてもらおう、ということで<業
界の愛犬家たち>という史上最強のテーマを出したが、その後が続かない。そ
こでまた考えた他力本願。<あなたのE-mailアドレス名の由来を聞かせて>と
いうの。ディジタル・イメージの名簿を整理していて思いついた企画(ってほ
どのものではないね)だ。さて、ディジタル・イメージのメンバーの中から変
わったアドレス名を持つひとたちにこれから登場してもらう。読者で、わたし
のアドレス名はこんなにかっこいいゾという人は投稿してください。

<あなたのE-mailアドレス名の由来を聞かせて>第11回
fukafuka@たにぐちじゅんぺい、ふじわらかずえ
(ディジタル・イメージ会員、イラストレーター)

http://www.towers-inc.com/mag/daily/rendo/fukafuka.jpg

---こういうわけです。
ああ、そうなの。仲良しの夫婦やねぇ。(柴田)

-------まんがで来てしまった、画像ですよ、どっかに置いておいてアドレス書
く?でも、メールマガジンっぽくないか、モリカワさんにま~かせ。

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■本日のニュース

マクロメディアのニュースが今日のメイン。

●主要サイト情報

◆Apple
~~~~~~~
 Apple Centerリストを更新。
 <http://shop.apple.co.jp/applecenter/ac_map.html>

◆Microsoft
~~~~~~~~~~~
 MicrosoftのWebTV Networks社、WebTV Plusネットワークシステムをカナダに
 向け発表。このシステムはテレビのプログラムをインターネットと統合させる
 ことにより、テレビサービスを向上させるもの。WebTV PlusレシーバーはSony
 of Canadaが販売。
 <http://www.microsoft.com/corpinfo/press/1998/Jun98/CanadaPR.htm>

 MicrosoftとNortel(Northern Telecom社)、Nortelの1-Megモデムと
 Microsoft Windows NT ServerやNetShowを使ったハイスピードなインターネッ
 トソリューションを共同で発売予定。
 <http://www.microsoft.com/corpinfo/press/1998/Jun98/nortelpr.htm>

 Microsoftとそのパートナー、SUPERCOMM '98でキーとなるテレコミュニケー
 ションプラットフォームとアプリケーションをデモ予定。
 <http://www.microsoft.com/corpinfo/default.htm>

 HP-UX10.20.用Internet Explorer4.0プレビュー版、Sun Solaris用
 Internet Explorer4.0製品版(Outlook Express付)のダウンロード開始。
 <http://www.microsoft.com/ie/unix/>

 Tod Nielsenインタビュー「MicrosoftとJavaはどこへ向かうのか」第2回公
 開。
 <http://www.microsoft.com/japan/developer/visualj/resrcs/interview/
default.htm>

 Microsoft Direct Access Summit大阪開催のご案内。
 <http://www.microsoft.com/japan/smallbiz/events/msdasum/>

◆Sun Microsystems
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 Sun、企業向けアプリケーションの開発を簡単にするJava Jumpstartソフトを
 リリース。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980608.4.html>

 Sun、インターネットサービスプロバイダ(ISPs)の需要に合うSolaris for
 ISPsサーバソフトを発表。管理コストを安くし、新たなネットワークサービス
 の素早い展開が可能に。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.2.html>

 Sun、Internet Mail Serverの次期リリースとInternet Calendar Serverの新
 リリースを発表。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.3.html>

 SunとIntel、Intelアーキテクチャ(IA)における初のSolaris能力センター
 2つがオープンすると発表。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.4.html>

 日本の日立、Java OS技術を基にしたMulti-RDRセットトップボックスを開発。
 衛星チャンネルを通じてダウンロードされる安全なネットワークベースの
 情報サービスを提供。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.5.html>

 Sun インターネットサービスプロバイダをサポートするためAdvanced
 Internet Consulting Practiceを発表。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.7.html>

 Lucent TechnologiesとSun、業界リードの統合されたネットワーキングソ
 リューションをインターネットサービスプロバイダに提供するため包括的に
 提携。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.8.html>

 Sun、Javaソフトの利点をテレコムインテリジェントネットワーク(IN)にも
 たらす計画を開始。
 <http://www.sun.com/smi/Press/sunflash/9806/sunflash.980609.9.html>

 サンのワークグループ・サーバ「Sun Enterprise450」、データマート性能を
 あらわす2種類のベンチマークで好記録を達成。
 <http://www.sun.co.jp/Press/release/1998/0609.html>

◆Silicon Graphics
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 スティーブン・ホーキング博士、シリコングラフィックスを訪問。
 <http://www.sgi.co.jp/Headlines/1998/May/hawking/>

◆Macromedia
~~~~~~~~~~~~
 Netscape社とMacromedia社、全てのNetscape NavigatorにShockwave Flash
 プラグインを同梱。Shockwave Flashプラグインのダウンロードを不要に。
 <http://www.macromedia.com/jp/macromedia/pr/>

嶋田美香

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■イベント・情報

●1998“Beyond the Canvas”デジタルアートコンペティション
http://www.metacreations.com/community/btc_98/

MetaCreationsのソフトを使ったオリジナルのデジタルアートで挑戦。1人5作
品までエントリー可。

提出期限:1998年6月30日必着
送付物:自分の作品、エントリーフォーム(完全に記入したもの)、エント
リー料金$20(1作品毎)、作品の記述(英語100字以内)、自分の住所を書
いた封筒

提出先:1998 Beyond the Canvas Competition
     MetaCreations Corporation
     5550 Scotts Valley Drive
     Scotts Valley, CA 95066

*作品は、CD-ROM、3.5インチディスク、Zip cartridge、Jaz cartridge、high
grade VHS video cassetteで提出。
*作品(アニメーション・ビデオ含む)は、TIFF、PICT、BMPファイルなどの高
解度(300dpi)と低解度(72dpi)両フォーマットで提出。アニメーションやビ
デオはQuickTime、AVI、NTSCビデオフォーマットで提出。
*イメージのサイズは640×480ピクセル以内。
特賞:グッゲンハイム美術館を訪れるスペイン、Bibaoへの旅行2名分
1等:MetaCreationsソフト($1000相当)
2等:MetaCreationsソフト($500相当)
3等:MetaCreationsソフト($250相当)

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●アーバナート#6

現在、第一線で活躍するアーティスト達を審査員に迎えてのアートコンペティ
ション。審査員は浅田彰・粟津潔・立花ハジメ・日比野克彦・タナカノリユキ
等々。受賞作品以外にも明和電気、カオルコなどの新作も展示される。特別イ
ベントとして13日には受賞作家達のアートパフォーマンスも披露される。

期間  6/5(金)~6/15(月) 5/11(木)は休館
    13日(土)15:00 1F円形広場
    「アートパフォーマンス」
時間  10:00~20:30 ※最終日は18:00まで。
料金  ¥300 小学生以下無料
会場  大津パルコ4F/スペース4
問先  大津パルコイベント受付 077-527-7015

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●JPC定例セミナー
http://www.MdN.co.jp/JPC/

◆日時:平成10年6月17日(水)13:00受付開始 13:30~17:00
◆場所:東京オペラシティタワー48階アップルコンピュータ本社セミナールー

(東京都新宿区初台)
◆参加費:JPC会員¥5,000 JPC団体会員¥7,000 非会員¥10,000

◆テーマ:「カラーマネージメントシステム最先端」

□第1部(13:30~15:00)
「キャリブレーションモニタとカラーマネージメント運用法」
カラーマネージメントを運用するにあたり、要となるキャリブレーションモニ
タとカラーマネージメントソフトCobra Matchとの組み合わせによる活用法を、
具体的なデモを交えて紹介します。
プレゼンター:株式会社東陽テクニカ 主任/丸山龍太郎、小林繭子

□第2部(15:20~15:50)
「製版とデザイン現場を結ぶカラーマネージメントはどうあるべきか?」
ポイントとなるプロファイルの作成やアプリケーションの設定など、使える
データに作り込むプロセスを、事例を交えてユーザの立場から提案します。
プレゼンター:株式会社イメージパーク システムプランナー /庄司正幸

◆カラーマネージメント部会情報交換会(17:00~18:30)
「色が合わない」という不可避の問題について、どこにその根元があるのかを
参加者の皆さんと共に解決してゆきます。
進行役:カラーマネージメント部会ディレクター/杉山久仁彦
参加費:会員無料 非会員¥2,000

※お問い合わせ、お申し込みは、JPC事務局まで
mailto:JPC@MdN.co.jp
TEL 03-5275-8998 FAX 03-5275-2933

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■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
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●LightWave3D編/「多様なポリゴン形式」

LightWave3Dは数多くのポリゴン形式を扱えます。
点ポリゴン・・・・点情報だけのポリゴン
線ポリゴン・・・・線情報だけのポリゴン
三角ポリゴン・・・一般的な三角形状のポリゴン
四角ポリゴン・・・四角形(頂点が4つ)形状のポリゴン
多角形ポリゴン・・それ以上の多角形ポリゴン

感心したのは、点・線・多角形が1ポリゴンとして扱えることです。点ポリゴ
ンは星などに、線ポリゴンは糸など、多角形ポリゴンは複雑な断面形状など、
形状に合わせた無駄のないデータ作成を可能にしてくれるのです。

四角形ポリゴン以上では、頂点位置によって表面がねじれたような形状になる
ことがありますので注意しましょう。
★★★
松岡アキラ(ディジタルクリエーター)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0052 1998/06/11発行
発行社  タワーズ株式会社
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     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供はこちらまで 
           担当:濱村和恵
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