[0094] ギャラは京橋の焼肉屋での晩飯

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0094 1998/07/31発行
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●本日のコラム「ギャラは京橋の焼肉屋での晩飯」
 金曜日担当:上田和浩

●読者投稿コーナー「日本独自の映像コンテンツ表現」

●本日のニュース
 ◎新感覚の表組プラグイン/ エクステンション発売中

●イベント・情報
 ◎Webサイト制作パートナー募集



●本日のコラム「ギャラは京橋の焼肉屋での晩飯」
 金曜日担当:上田和浩

今回はちょっとくだけた感じでFortuneHillと上田の関係を暴露します

94年の春頃、RayDreamのユーザーだった私の所にFortunehillから突然電話がか
かってきて、(コンテストで作品を出していたの)遊びに来ないかという事だった。
大阪の会社なので結構近所にあるのだと知った。

行ってみると、Tさんというひとなつっこいあんちゃんが、いきなりいろんな事
をしゃべってきた。RayDreamのことや、字詰めのJ-Kernerの話など(DTPはやっ
てなかったので、文字詰めに関する話はその時はぴんと来なかったのだ)。

で、RayDreamの3.1日本語版のパッケージを準備しているが、アメリカから送っ
てきたデーターの一部が壊れているので、上田君、修正してくれないか?という
話に、いきなりなってしまった。修正といっても3Dで似たような画像を起こす
わけで、でも比較的単純なデーターだったのでその場でモデリングをしてマッ
ピングを起こして、レンダリングを行った。だから、RayDreamのVer.3Jのパッ
ケージの蛇文様の壺のイラストは、英語版とちょっと違うのだ。じつは…。

そん時のギャラはその夜の京橋の焼肉屋でおごってもらった晩飯だった。それ
からRayDreamのVer.3のデモンストレーションムービーをDirectorで作成してく
れないかという仕事を外注でもらった。

デモ版のソフトって機能制限とかされたり、マニュアルもなしでいきなりいっ
ぱいボタンを見せられたらかえって触る気がしなくなるやろ?それやったらムー
ビーで制作手順とか、機能説明を分かり易く説明したほうがよっぽどいいやん、
てな感じで頼まれてしまった。

出来ますよと、二つ返事でOKしたが、実はDirectorは触った事がなかったのだ、
(ガーン)ついでに言えばRayDreamもVer.3はぜんぜん触ってなかったのだ、
(グアーン)パッケージのイラスト作る時はVer.2で作ったよおいら(ドギャーン)
ああ、はったりの世界…。

デモを引き受けてからいそいそと参考本とDirectorVer.3を使って悪戦苦闘して
デモを作成した。相当気合の入れたもので、マウスでオブジェクトをクリック
したりするんだけど、そのマウスを動かすのも自動ではなくて、手作業でタイ
ミング処理なんかちまちまスクリプトでWaitを入れてやっていたので、すごい
時間がかかった。


ひと夏かかってようやくRayDreamDesigner3のデモムービーが完成した。Ver.3
からのユーザーの方はこのデモを見て買ったという人が多いかと思う。

10月頃東京にTさんと連れ立って、出版社巡りをして、RayDreamの連載記事を載
せてくれる雑誌を探しに行った。(といっても、TさんはApple社に用事があって、
そのついでだったんだが…)

文章書けるやろ?ほな行こう、そんな感じだった。ろくに書いたことも無いのに、
これも二つ返事で引き受けた。ああ、はったりの世界…


ところが待ち合わせをした新大阪駅でTさんに待ちぼうけを食らわせられてし
まった。千なり瓢箪(秀吉のあれね、新大阪駅にでっかいのが展示してあるのよ)
を待ち合わせにしていて、私は時間通りに待ってたんだがTさんは遅れて来て、
千なり瓢箪の前の展示場所(そのちょっと前に移転されたらしい)をちらりと覗
いて、新幹線に間に合わないものだから自分だけさっさと先に東京に出かけて
しまったのだ。ひどい話である。

途方に暮れて2時間大阪駅で待っていたが、FortuneHillが開く時間になって連
絡を入れて(携帯なんて便利なものなかったので)東京で再度待ち合わせをする
事になった。(もともと出版社めぐりは午後の予定だったので時間的にはOKだっ
たのだが…)これにも彼はちょっと遅れてきて、かなりきれそうになった。でも
ひとなつっこい顔で謝られるとまあ、いっかという気にさせられてしまう。あ
の人の得な所だった。

最初に行ったのがホルベイン画材、雑誌STEP BY STEPを最初に出していたとこ
ろだ。ここで編集の生田さんに出会った。なんとなく即決で連載が決まってし
まった。これが現在まで続いているSTEP BY STEPの連載記事だ。最初は2ヶ月に
1回のペースでそれでもねたを探すのが結構大変だった。それが月間になり、さ
らにこのデジクリで週間ペースに。ねたを探すのは、ひじょーにつらい作業だ、
実際。

その日はアスキーや、BNN、ソフトバンクといった大手の雑誌社も回ったが結局
成果があったのは最初のSTEP BY STEPだけだった。2時間大阪駅で待たされた時
はよほどさっさと家に帰っちまおうかと思ったが、それだと今日の活動もな
かったのだと思うと感慨ぶかいものがある。人との出会いを大切にしようと思
う今日この頃です。しみじみ。

【プロフィール】
うえだ・かずひろ
90年頃から3DCGに手を染める。RayDreamはVer.1からのユーザー
幽霊ツールと悪魔払いツールが懐かしい…(注)
StepByStepにRayDreamの記事を連載中。
RayDreamの解説本も出版予定です。

(注) 一時的にオブジェクトを隠すツールの日本語訳、当時はフォーカルポイ
ントコンピューター(株)が扱っていました。現在はフォーチュンヒル(株)が
扱っています。

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●読者投稿コーナー

「日本独自の映像コンテンツ表現」

現在、様々なクリエイティブツールのデジタル化に伴い、あらゆる表現分野に
於いて表現活動のパーソナル化が進行、浸透している。例えば、写真に於いて
は HIROMIXというシンボル的な存在により、若者を中心としたその潜在性が芸
術的にもビジネス的にも一気に表面化した。そして、その傾向は写真やグラ
フィックデザインといった静止画から、動く画である「映像」においても強ま
りつつある。

しかし、ここで重要なのは、そういった表現が必ずしも「トップ・チーム」の
格下的な存在ではないという事実である。写真表現においての一流プロカメラ
マンを目指した「誰も撮れない写真」ではなく、簡易カメラで日常を切り取っ
た「誰もが撮れる写真」であるが、それが「私の日常」であるが故に「私にし
か撮れない写真」という新しい認識、つまり新しい市場を写真界にもたらした
のである。

そして映像に於いても同じ事が言える。映像表現活動のパーソナル化に伴い、
その動きに対応した新しい認識が必要不可欠なのである。それは、ハリウッド
映画を頂点とする「非日常の夢としての映像」に対する、パーソナルデジタル
映像クリエータにとっての、いわば「日常の声としての映像」に応じた構造的
な受け皿を整備するという事だ。しかも日本映像界の「トップ・チーム」であ
る第一線クリエータに対する支援との共存的、トータル的な視点での支援認識
が急務である。

次世代を担う人材の独自性を守り、育てつつ、「トップ・チーム」との関係性
を築いてゆく事がハリウッドの表面的模倣に留まらない、真の意味での日本独
自の映像コンテンツ表現確立へと繋がってゆくのである。しかし、こういった
試みは採算ベースに乗りにくい為、映像コンテンツ界にとって本質的且つ重要
な事項にも関わらず、民間企業だけではなかなか実行されないのが現状だ。

日常生活の有り様が姿を変え、寝てる時の夢となって現れるように、すばらし
い「夢」を観る為の「私にしか観れない日常」を支援しましょう。それが、世
界に日本の映像コンテンツをアピールする!っていう事に繋がるのだから…。

(寺山直哉 デジタルメディアラボ関西支社)

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■本日のニュース

●新感覚の表組プラグイン/ エクステンション発売中
『Flex Table AI-7.0M』
『Flex Table AI-7.0W』
『Flex Table QX-3.3M』

株式会社ジーサイスは、有力誌から高い評価を得ている表組プラグインソフト
Mac版 Illustrator 7.0J用「FlexTable AI-7.0M」に引き続き、
QuarkXPress3.3J表組エクステンション「FlexTable QX-3.3M」(Bar
Code453921712301)、及びWindows版Illustrator V 7.0 表組プラグインソフト
「FLEX TABLE AI-7.0W」(Bar Code453921712212)の販売を開始した。いずれも
定価\48,000。

これで同系のソフト3本が出そろうことになり、DTPで不可欠なIllustratorと
QuarkXPressにおいて作業性の良い高度な表組作成の環境が提供されることに
なった。特にWindows環境ではこのような拡張ソフトがほとんどなく、Windows
ユーザには大きな朗報。

製品情報詳細、及びデモ版のダウンロードについては
http://www.rokuro.co.jp/xecys/ にて公開中。

【FLEX TABLE QX-3.3M、及びAI-7.0M/Wの主な仕様】
●イージーでスピーディーな「表作成」機能
 文字枠をスピーディーに分割・合成編集。テキストはCSV形式にも対応。 
 データベースからの一括流し込みが可能。
●ハイスペックな「体裁」機能
 セル内の書体、サイズ、4方行揃え、枠スペース、アミ掛け等の体裁を実行。
●角丸等の「罫線編集」機能
 表組に不可欠な角丸、ブランクに多用される斜線(対角線)を簡単に作成。
 この他4パターンまで罫種設定可能。(*注:QX-3.3Mは角丸不可。)
●お得な「四則演算、挿入」機能
 四則演算が行える。
 カンマの自動挿入や文頭文末に任意の文字(¥、-、円など)の一括挿入がで
 きる。 見積書や値組みの作成に非常に便利。
●強力な「置換」機能
 最大5ワードの検索・置換文字の設定可能。また改行やタブを任意の文字に
 変換できる。

なお、Illustrator5.5J用表組ソフトについては「LINE MAN」を同社において
販売している。

お問い合せは、株式会社ジーサイス マーケティング部 小山まで。
tel:03-5951-3303 fax:03-5951-2252 e-mail= mailto:xecys@rokuro.co.jp

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■イベント・情報
 今見られるイベント・アート・セミナースケジュール
http://www.towers-inc.com/mag/daily/event.html
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●Webサイト制作パートナー募集

CG-ARTS協会はデジタルクリエイターの制作活動を支援するWebサイト構築プロ
ジェクト「Cプロジェクト」をスタートします。つきましては、現在入札により
制作パートナーを募集しております。

報酬の上限は400万円。

個人、団体、企業を問わず、ご応募お待ちしております。
詳細については下記URLをご覧いただくか、メールでお問い合わせください。
<http://www.cgarts.or.jp/cpro/>

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0094 1998/07/31発行
発行社  タワーズ株式会社
     <http://www.towers-inc.com/>
     大阪市中央区高麗橋1-5-6 東洋ビル3F
     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

情報提供・投稿はこちらまで 
              担当:濱村和恵
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