[0401] 動き始めた「コンテンツID」

投稿:  著者:  読了時間:16分(本文:約7,600文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0401   1999/08/26.Wed発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 13830部
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 <がんばれ、志の高い書店>

●デジクリSPECIALコラム
 コンテンツを守り再利用を促進する「コンテンツID」構想
 水無月 実

●ニュース
 クリエイター向けのヴィジュアル専門書店 PROGETTO(プロジェット)
 明日、東京渋谷にオープン

●展覧会情報
 「SLANG OKay? スラングをデザインする。」展

●柴田のこねた
 うどんといえば-----の、続き



■デジクリSPECIALコラム
コンテンツを守り再利用を促進する「コンテンツID」構想

水無月 実
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インターネットの世界では、多くのクリエイターが活躍している。クリエイタ
ーの活躍で、日々、多くのコンテンツが生まれているのは、皆さんご存じのと
おり。でも、問題はそのコンテンツの権利関係が十分に保護できないこと。こ
の問題の解決を図り、より健全で効率的なデジタルコンテンツの流通を目指す
試みが始まろうとしている。

今日のインターネットの隆盛は個人ベース、企業ベースでさまざまなコンテン
ツが制作されてきたからだ。インターネットの発達と、コンテンツの制作、コ
ンテンツの充実は切り離せない。また、その内容も日々充実してきた。

今の問題は、これらのデジタル化されたコンテンツが違法なコピー等で無断流
用されるというネガティブな面ばかりではない。個人ユーザーがインターネッ
ト上に優れたコンテンツを見つけても、正当な手続きを経て、それを再利用し
たい場合にも問題がある。

法人であれば、権利関係を処理してくれる部署があり、それ相応の手続きを踏
むこともそう難しいことではない。しかし、コンテンツの権利関係は複雑で、
個人レベルでは思うにまかせない。この問題もコンテンツの活用を考えるには、
解決しなければならない。

また、最近のインターネットで注目されているエレクトリック・コマースなど
新たな展開にも、課金、決済などのシステムが未整備である。

そこで今回紹介するのは、デジタルコンテンツごとにユニークなコード「コン
テンツID」を付与するという考え方である。このコンテンツIDはそれを管理す
る機関が付与してくれる。この付与機関が発行したコンテンツIDは電子透かし
やヘッダ方式により、それぞれのコンテンツに埋め込まれる。

もちろん、このコンテンツIDが個々のコンテンツにアクセスするためのキー、
コンテンツを検索するためのキーとなる。また、コンテンツIDにはコンテンツ
の属性情報も記録されており、その情報はデータベースで管理されている。

コンテンツを正式に再利用したい場合には、コンテンツIDを手がかりに検索す
れば、その権利関係が明確になるので、権利処理も容易である。また、コンテ
ンツを販売、再利用ための対価も明確になる。

クリエイターは自分のコンテンツに与えられたIDを探れば、そのコンテンツが
どこでどのように使われたかが分かる。もちろん、どこに販売されたかの履歴
も分かる。この仕組みがクリエイターに安心を与えられれば、クリエイターは
インターネットに優れたコンテンツをどんどん発表してくれるのではないだろ
うか。

この仕組みは、コンテンツクリエイターに正当な報酬を集めてくれる。それが
次のコンテンツ制作の糧にもなるだろうし、新たなコンテンツビジネスを生み
出すのではないか。

この計画の中心になるのは、コンテンツID フォーラムである。 このフォーラ
ムはまだまだ生まれたてであるが、東京大学安田浩教授を会長に、若干名の幹
事とアドバイザリ、事務局があり、幹事会の元に4つのワーキンググループを
置いている。

4つのワーキンググループ(WG)とは「機能要求条件検討WG」、「技術検討WG」
「法務検討WG」、「カテゴリー検討WG」である。

気になるのは、コンテンツIDの運用開始であるが、それは少し先のことになる。
今はコンテンツIDフォーラムが設立されたばかりで、今後のスケジュールは本
年10月をにデファクト化を目指したコンテンツIDフォーマットが制定される。
その後、12月に実証実験が開始され、2002年3月にコンテンツID付与機関を設
立して、運用が開始される。

コンテンツIDフォーラム
http://www.cidf.org

【ascii24 関連記事】コンテンツIDフォーラム発足会開催 10月に著作権保護
のための独自IDフォーマットを決定へ
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0804/srvc08.html

【ascii24 関連記事】市場で流通するデジタルコンテンツのすべてに“コンテ
ンツID”を--東京大学の安田浩教授に聞く
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0819/keyp02.html

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■ニュース
クリエイター向けのヴィジュアル専門書店 PROGETTO(プロジェット)
明日、東京渋谷にオープン。
デジクリも応援するぞ!
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出版社や書店も、この不景気にあえいでいる中、資金力もなく規模も小さいが、
志が大きな「新しい書店」が明日オープンする。有名なクリエイターをはじめ
多くの人が、この企画の必要性を理解し協力している。以下に、同書店からの
インフォメーションを紹介し、日刊デジクリも応援することを声明する。

店名: PROGETTO (プロジェット) 経営: (有)PROGETTO K Y
住所:〒150-0044東京都渋谷区円山町5-5 橋本ビル1階  
TEL: 5459-3901 FAX: 5459-3902 
営業時間: 11:00~20:00 日曜祝日休み

内容:デザイン、写真、建築、アートを中心としたクリエイター向けのヴィジ
ュアル専門書店。デジタル化の流れへの対応はもちろんのこと、過去から現在
まで、内外を問わず最良のものを独自にセレクトして展開する。書籍のみでな
く、CD-ROM、VIDEO、DVD等も販売する。更にアーティストのプリント、ポスタ
ーなどの作品販売も行なう。     
     
企画の柱:
1)アーティスト作品の展示および販売コーナー
2)お茶会(アーティストとお客さんの交遊する気取らないトークショー)
3)アーティスト・セレクションによる本のコーナー
   
オープン企画:
1)ポエトリー作品展及びオリジナルTシャツ販売
2)9月3日(金)午後7時より、スカイラブ・レーベルのメンバー( 伊藤桂
司氏/東泉一郎氏/ヒロ杉山氏)によるお茶会
3)谷田一郎氏セレクションによる本のコーナー

協力スタッフ
シニア・アート・ディレクター: 奥村靫正
アソシエイト・アート・ディレクター: 青木克憲
WEB/アート・ディレクター: 東泉一郎
スペース・デザイン: 尾形優+小野一郎/高橋智宏
コンテンツ及びWEB協力:(株)ボイジャー/(株)デジタローグ/DIVO/ドラゴ
ン・フィッシュetc.

・創造のために・

長引く不況から来る出版文化の閉塞状況は、構造的な問題もあって製作から流
通に至るまで重苦しくのしかかっている。そこに風穴を開けない限り新たな流
れも空気も生まれない。私たちの店"PROGETTO"は、書店という形態を出発点と
して、創造性を武器に戦う人々を支援することで新たな流れが産みだせると考
え、企画された。

現在、クリエイターにとって、創造のための資料を集めたり、刺激を得たりす
る場は、限られた形でしか無い状況。書店について考えると幾つか挙げられる
かもしれない。しかし、基本的に売り上げ至上主義の総合書店であったり、現
代美術に偏っていたり、いずれも従来の書店の枠組みの中で機能しているもの
がほとんど。

つまり、供給する側(店側)の論理、そして趣味によって成立しているのは否
めない。そういったお店では、同一の価値観を有するものしか受け入れないし、
趣味としてはいいが仕事では使い勝手が悪い。こうした貧困な状況はクリエイ
ションのインフラとして脆弱この上ないものである。

クリエイターにとっては、自分の美学を出発点として、多様な価値観を見やす
く編集された形で呈示されれば、仕事でも個人でも利用できる。かつデジタル
化や多様なパッケージメディア、パッケージ以外のカルチャー・コンテンツへ
の対応も望まれる。

私たちはそうした要望に沿う事を願って、クリエイターが刺激を得る場として、
更には情報発信の場として機能するべくこの店"PROGETTO"を作る。特に現在需
要に対して供給の少ないデザイン、写真、建築、アートをメインテーマに構成
した店作りをし、クリエイターがお客様であり、店の作り手でもある店を目指
している。

・書店の未来形を創る・  

現在私たちの生活する街には多くの書店がある。しかし、そこでは大量の本が
並んでいるにもかかわらず、人々は自分の求めている本が無いといつも感じて
いる。それは、取次主導で送られて来た本をただ漫然と並べているだけの陳列
方法のため、実際に本があっても無いと感じてしまうこともあるし、紙の本、
CD-ROM、VIDEO、CD、DVDと商品の形態が変わると同じ作家のものであっても、
同じジャンルのものであっても、違う売場ないしは店に行かなくてはならない
という不便さにも原因がある。

私たちの店"PROGETTO"は、そうした不満の解消とあるべき姿を求めて次の5つ
のキーワードを軸とした店作りを行なって行こうと考えている

1)ショップ化
商品を陳列、販売するだけでなく、自ら情報、価値を創り出し発信する。

2)専門化   
焦点のない店に魅力はない。特定目的に必要な商品は何でも揃うワンストップ
ショップを目指す。

3)マルチ化  
メディア商品の価値は形態ではなく内容にある。既存の流通枠を超え、その含
意によって商品選定を行なう。

4)エンタティンメント化
楽しくなければ仕事ではない。来店する度にワクワクする気持ちを持てるよう
な仕掛けを用意する。

5)情報化  
情報のハブとして機能する場、これこそ未来のそして本来の書店の役割である。

・ネーミングの由来・

1)イタリア語で、英語のPROJECTに当たる言葉。ただ英語や日本語でのプロジ
ェクトが計画、企画を意味するのに対しイタリア語の場合、デザインの意味も
ある。それも建築デザインだけでなく、グラフィック、プロダクトなどデザイ
ンの総称という意味で使われている。お店の扱おうと考えている商品構成とも
対応した実に便利な言葉である。    

2)日本語でプロジェクトというと 実現しない企画をいうことが多かったりす
るが、イタリア語でのPROGETTOは実現する企画を指す。我々の企画も実現する
企画である。

3)フランスの哲学者ジャン・ポール・サルトルが使った用語のPROJET(投企)
のイタリア語に当たる言葉でもある。この言葉の持つ政治的ニュアンスは別と
して、現存する自己を超えて行こうとする考えはお店の考えとも一致する。

・Webサイトは構築中、できあがったらまた紹介します。(デジ栗)

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■展覧会情報
「SLANG OKay? スラングをデザインする。」展
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<以下は主催者情報>

グラフィックデザイナー松田ゆうきの個展。テーマは、スラング。同じコトバ
であっても、特別な深いニュアンスが込められたスラングは、それぞれに、遠
回しに否定したり、喜びを知的なブラックで表現したりと、注目してみれば、
とても面白くてカッコイイ。これはもしかして、日本人的なウラオモテ人格の
欧米版ではないかも…?と捉える作家が、さまざまなスラングをタイポグラフ
ィ&ビジュアルでデザインした、ミニサイズのポスターコレクションを開催し
ます。セレクトしたスラングは、明快でわかりやすいコトバを中心に、少々キ
ツめなのもあって、バラエティ豊か。

前回個展「数のタイポグラフィ展」(ダブルクロック)における数のことわざ
ポスター集も合せて構成します。

松田ゆうき:1995年オデオンデザインオフィス設立。広告、パッケージ、CI制
作などの仕事を手がける。98年個展「カラフルアクロバット1998」開催。99年
ダブルクロックデザインギャラリーにて個展「数のタイポグラフィ展」開催。
1998年、第3回日本デジタルアートコンテスト佳作入選。神戸生まれ。

日時 9月7日(火)- 9月18日(土)12:00-18:00 日・祝休館
   オープニングパーティ:9月11日(土)6:30pmから
問い合わせ(作家):松田ゆうき/オデオンデザイン:Tel 06-6443-1630
会場:CREAM ROOM 550-0002 大阪市西区江戸堀1-23-12 Boo高木ビル2F

http://www.shinn.co.jp/cream/
mailto:cream@shinn.co.jp

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■柴田のこねた
うどんといえば-----の、続き
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399号を発行直後に、速攻でmimiさんからこういうメールが。

うどんといえば
http://www.ckp.or.jp/satonao/column/oishii/sanuki1.html
面白いよ。

行って見ました。「さぬきうどんを Chain Eating ! 」という長編お笑いレポ
ート。なかなか読ませるあやしい文体。そうそう、うどんといえば讃岐うどん、
であった。そこで、本誌おなじみの十河進さんに、このサイトを見ての感想を
もらった。十河さんは本場高松の生まれ育ちである。

「食べ物は、完全に嗜好の世界だから、ある人がうまいと言えば、ある人はう
まくないと言う。日本一うまいうどん屋、なんてナンセンスだと思う。その人
がそう思っていればいいだけの話だから、それを広める必要もないと思う。

だいたい日本全国のうどん屋を食べて回れるわけがない。僕は高松で生まれて
高松で育ったが、最近の讃岐うどんアイデンティティには、けっこううんざり
している。昔、帰郷するたびに宇高連絡船のデッキに走り、並んで食ったうど
んは本当にうまかったし、高校の学食で食った20円のうどんもうまかった。か
な泉でセルフサービスで食っていた50円のシングルうどんもうまかった。気取
った川福は嫌いだった。

うどんは家庭料理だった。明日は法事だから昼食にうどんを出そう、というこ
とで、前の晩にうどんを打つ。あそこの家のうどんはうまい、と評判になり、
分けて欲しいという要望を受けて玄関横の半間ばかりの土間でうどんを近所に
売るようになる。そんな打ちたてのうどんを買ってきて、醤油をかけて食う。
僕のおやつは、それだった。

東京のうどんが食えなかった。高松は、どんな喫茶店でもうどんがある、うど
んがうまいと評判の喫茶店がある、喫茶店のうどん定食は、うどんといなり寿
司とコーヒーのセットだなどと、高松というと「讃岐うどんですね」という輩
の単細胞ぶりに迎合するように、そんな讃岐の異常な(と彼らが思う)うどん
事情について話したりした。

僕は讃岐うどんをうまいと思う。一日2回、三食とは別にうどんを食っていた。
だからといって、讃岐うどんが一番だと自慢したことはない、嗜好なんてみん
な違う。僕が食べられなかった真っ黒な汁のべたべたしたうどんをうまそうに
食っていた人は大勢いた。食い物なんて、本人がうまいと思っていれば、それ
でいいじゃありませんか」

んんんん、、、、讃岐人の意外に冷静なコメントでした。
  
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■編集後記(8/26)
・中野ブロードウエイに行った。もちろん目的は「まんだらけ」で手塚治虫の
本を探すことであった。しかし、すごいね、このビルの中、異国だ、迷路だ、
目が回る。結局お目当てのものはなかったが、おおいに楽しめた。時間のある
ときじっくり探検したいものだ。長谷川つとむ著「手塚治虫に関する八つの誤
解」(中公文庫)買う。いわゆる「手塚本」の最高峰。「火の鳥」から「ネオ
・ファウスト」へ、という偉大な発見に感動しない人はおるまい。(柴田)

・スケルトンカップのカップヌードルが出るって? 世の中なんでもスケルト
ンなのね。見えすぎたら面白くないやん。メカ類は透けていた方がわくわくす
るけど、オープンする楽しみが減る~。秘密はないとねぇ。(hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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