[0442] お父さんがビデオ編集に目覚める

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0442   1999/10/15.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 14100部
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 <あとは慣性の法則にしたがって>

●デジクリトーク
 お父さんがビデオ編集に目覚める
須貝 弦

●デジクリトーク
 2Dから3DCGへ(RayDreamStudioを使って)
 松生裕史
 
●公募案内
 TBSがシンボルマークを公募



■デジクリトーク
お父さんがビデオ編集に目覚める

須貝 弦
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「親バカ商法」っていうのがある。ソニーの「スタミナハンディカム」のCM
がそうだ。入学式とか運動会とか、そういうシチュエーションのもので親バカ
の物欲を刺激するので、サラリーマンのお父さんにとって、DVカムっていう
のは物欲番付の結構な上位に位置しているらしいことは、想像ができる。

親バカは、子供の写真を使って何かを作るのが好きだ。そういう年賀状がこの
世からなくならないことが、それを如実に物語っている。デジカメで撮影した
わが子の写真をデスクトップの背景にしている人も、読者の中にたくさんいる
だろう。

しかし今までは、ビデオ編集まではなかなか手が出なかったのが現実だ。ビデ
オの編集機は高かったし、カメラの編集機能を使いこなそうとマニュアルと格
闘できるだけの根性は、なかなか備わっていないものである。

その点、ソニーのバイオは戦略がお上手だった。iLink でバイオとDVカムを
接続し、編集ソフトで切ったり貼ったり――ということが、簡単にできるよう
になっているし、最近はメモリースティックなんていう「ひとりよがり、でも
ソニーらしい」アイテムまで登場している。ウォークマンで育った若いお父さ
んはこういうのにめっぽう弱いから、デスクトップ/ノートを問わず最近のバ
イオはよく売れているらしい。

また、パソコンショップの店頭でバイオの総合カタログを見ると、そこらへん
のセールスポイントが上手くまとめられていて、「読ませるカタログ」になっ
ている。また、DVカメラと一緒に展示してあって、それが実際に取込みがで
きる状態になっている場合もあって、ユーザーがバイオとDVカムの親和性を
体験できる。こんなところにも、ソニーのただならぬ情熱を感じるのだ。

そんなふうにして、ソニーが頑張って築いてきた「パソコンでムービー編集し
ましょう!」という市場に遅れてやってきたのが、アップルのiMac DV だと言
える。もっとも、アップルは昔からAVパソコンと呼べるものを出してきて、
それなりの地位も得ているのだが、対コンシューマーの気合いの入れ方として
は、やはりアップルが後発だ。

アップルがアメリカでリリースした動画編集ソフトは「ファイナルカットPro」
はプロシューマー向けの製品だったが、iMac DV にバンドルされる「iMovie」
は、ベタベタのコンシューマー向けのようだが、それこそ子供のムービーを編
集するくらいはカンタンだろう(まだモノを見ていないので、想像するしかな
いが)。

いまのところ、Macを販売するショップの現場では「iMac DVはぜったい売れる
!」という印象を持たれている。「ひょっとしてPowerMacの市場を喰ってしま
うのではないか?」とすら言われているくらいだ。

それはともかく、「パソコンは欲しいが奥さんのOKが出ない」という人にと
って、今回の新しいiMacは朗報に違いない。iMacほど奥さんを落としやすいパ
ソコンはないはずだからだ。

そんなわけで,新型iMacが店頭デビューする日(明日だ)は、朝から秋葉原に
行ってみようと思う。iMacを購入したユーザーに占める親バカの割合いを、こ
の目で確かめてくるつもりだ。

【すがい・げん】gsugai@hh.iij4u.or.jp
iBookかiMacかはかなり迷うところなんだが、「持ち運ぶか」「DVを使うか」
といったところが選択の基準になるだろう。ちなみに我が家にもビデオ編集が
できるマシンがある。8100/80AV にはS端子があるのだ。でもビデオカムは持
っていないけど、せっかくマシンがあるんだからなんかやってみようかな。と
いうわけでこれから新宿のカメラ店を偵察してきます。

Webマガジン「マッカー」は15日に更新しました!
http://www.dgcr.com/mac/

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■デジクリトーク
2Dから3DCGへ(RayDreamStudioを使って)

松生裕史
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みなさんこんにちは。趣味で始めた3DCGでいつのまにか、こんなところに
まで顔を出すようになってしまった松生(まついけ)と申します。多分9割く
らいの方は一体何者?と思っているはずなので、まずは自己紹介からいきたい
と思います。

今のところは、本職の片手間に3DCGイラストを手掛けています。ソフトは
今ちょうど激変中のRayDreamStudio(PoserやBryceなどで有名なメタクリエー
ション社の3DCG制作ソフト)が制作の9割、たまにアニメーションマスタ
ーというアニメーション制作に強いソフトを実際はアニメーションには全然使
わず、モデリングの補助用として使ってます。

独特な世界観を持ったCGということで、かつてRayDreamの国内販売元(フォ
ーチュンヒル:当時)の方から販促物に使わせて欲しいと連絡があり、それ以
来制作記事なんかを書かせてもらってます。

僕のCGを見てくれた人達からRayDreamで本当にあんなCGが描けるんですね、
驚きました……といった内容のメールをよく頂き、RayDreamの一般的な認知度
ってそんなもんかーと逆に驚かされました。

確かに、最近では人のモデリング(特に女性の)がブームになっているためか、
なめらかな曲面で構成されたモデルを作りにくいRayDreamは他のソフトに一歩
譲っている感はありますね。僕も人物を中心に表現することが好きなので(美
少女系ではないですが)RayDreamのモデラーには苦労してます。

とはいえ、もともと低価格なソフトなんで、その辺を割りきってモデリングは
別ソフトを使うという手もあります。特に今、RayDreamと連係できるNURBS 風
モデラーを開発されている方がいるので、期待大です。

RayDreamStudioを選んだ理由は、ただ単に、当時(といっても3年程前)3D
CGソフトといえば地味なイメージがあった時代に奇麗で品のいいパッケージ
が目にとまったからです。しかも低価格。とりあえず、3DCGに触れるには
ちょうどいい機会と思い買っていったのです。大半のユーザーは多分似たよう
な動機で買ったはずですよね?

ところが最初は何から手をつけていけばいいのか全然わからず、サンプルでつ
いていた車や飛行機のモデルを、適当に配置してレンダリングして、あーまあ
まあ奇麗かな、という状態でした。スプライン曲線を使用したモデリングもう
まくできず、しばらくやる気をなくしていました。

それまではCGといえばペイント系のソフトしか使ったことがなかったため、
感覚がついてこなかったのです。立体的に作りあげていくという感覚は絵を描
くというよりも、まさにプラモデルとかレゴブロックの世界でした(しかも僕
は子供の頃は、プラモデルを作るよりも、作った後で壊すのが好きでした)。

そんなときに、ふと、RayDreamは確か海外のソフトだったはず、海外のユーザ
ーはどんなCGを描いているんだろう? と疑問が沸きました。で、さっそく
インターネットでいろいろと漁ってみたところ、予想以上に本格的にRayDream
で描いている人が多いことを知りました。特によく宣伝に出てくるオートバイ
のCGには刺激を受けました。題材自体はただのバイクですが、今まで見たど
のCGバイクよりもリアルな質感が強烈でした。僕のページの戦闘バイクはモ
ロに影響が出てますね。

当然次にどうやったら、あれほどの質感が出せるのか? という疑問にぶち当
たりました。今度は、RayDreamの解説書を探しに本屋へ直行しました……が、
関連本のまったく無いこと。結局大阪の大型書店で「レイドリームハンドブッ
ク」を見つけ、やっとRayDreamの質感設定の扱い方……まさにここに最大の特
徴があったわけですが……の秘密(?)がわかりました。入れ子状に何層にも
シェーダーチャンネルを重ねることで、非常に複雑な質感を表現できる構造だ
ったわけです。

それが理解できてからは、自然と自分の表現したいものに一歩一歩近づいてい
る手応えを感じるようになり、こうなると制作するのが面白くてやめられなく
なります。あとは慣性の法則にしたがって、どこまでいくのやら……。

長々といきなり自己紹介を書いてしまいました。ぜひ一度、ホームページに来
てみてください。独特なCGとよく言われますが、個人的には素朴なイメージ
だと思ってます。人の本質的なところに触れるような絵を目指しているつもり
なんです。見た人が、なんか気になる絵だなぁと思うような……。

--> URL:http//www.sun-inet.or.jp/~matsuike/jp_index.html

【まついけ・ひろし)】 matsuike@sun-inet.or.jp
1972年1月23日兵庫県に生まれる。大学では電気工学科を専攻していた
が、まるで自分に向いていないことに気付き、画像情報系へと方向転換。現在
某印刷会社に勤務。ふとしたきっかけで、3DCGの世界に染まり、独自路線
のCGを制作活動中。そのうち動画にも挑戦予定。

・ホント、独自な世界ですよ~。WEB サイトに行ってみましょう! なお、ア
ゴストから「レイドリームワンダーランド」上田和浩著 4000円という好
著もありますよ。(柴田)

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■公募案内と意見
TBSがシンボルマークを公募
http://www.tbs.co.jp/mark2000/jtop/index.html
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TBSがシンボルマークを公募している。TBSとグループ各社が放送をはじめ、い
ろいろな活動の際に使用するシンボルマークであり、社名を表現するものでは
ない。「一目でそれとわかり、皆様に愛してもらえるようなデザインを募集」
とのことで、フジテレビの目玉マーク(吉田カツ制作)のようなもの?(あれ
はシンボルマークだろうなあ? 社章かな? ワカリマセン)

最優秀作品1点には賞金500万円と副賞を、また次点ほか優秀作品10作品
には1点につき20万円と副賞を予定というビッグな公募だ。締切はクリスマ
スイブ。

ところが、気になる文面が「応募者へのお願い」にあった。「応募作品の権利
に関し、以下の注意事項についてご承諾後、ご応募いただきますようお願いい
たします」の最後に、こうある。

選考の結果応募作品が最優秀作品として採用された場合、応募者は応募作品に
関するすべての権利をTBSに完全に譲渡し、TBSは応募作品をすべてのメディア
で自由に利用できるものとします。さらに、応募者は採用された最優秀作品を
公表する権利(方法、時期含む)、氏名表示権、同一性保持権(放送等利用目
的および態様に照らしてコンピュータグラフィックス化、立体化を含む必要な
改変を行う権利など)を含むいかなる権利主張も行わない旨同意し、また第三
者からの権利侵害 等の訴えがあった場合はTBSにいかなる迷惑もかけないこと
に同意したものとみなします。

これは曖昧ではないぞ。最優秀作品はTBS のものである、と宣言しているわけ
だ。理解はできるが、あんまりだという気もしないではない。大企業で500
万というのはいかにも安い、というクリエイターの意見もある。そこでTBS に
メールを出して聞いてみた。

【「応募者へのお願い」にある文面から解釈すると最優秀作品は、賞金500
万円で著作権を譲渡するわけですか? そして、このマークは自分の経歴に、
自分の仕事として公表もできない、自分の作品集にも掲載できない、自分から
は一切離れたものになるのでしょうか?】

回答はすぐに来た。

【原則的には、著作権を譲渡していただくので、TBS のものとお考えください。
しかし、作品集に掲載するなどの場合は、紳士的に話し合いをさせていただき
たいと思っております。「TBSマークデザイン募集実行委員会」 TEL.03-5562-
5922 E-mail : mark2000@tbs.co.jp】

「『何も考えずに著作権が帰属』ではなくて『一応いろいろ検討した末』の応
募要項みたいなんで、まあOKじゃないかと思う」とあるクリエイターは言う。
まあ、そんなところで。著作権法にはこうある。(柴田)

第六十一条一項 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。

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■編集後記(10/15)
・昨日はJPCの総会とパーティがあった。JPC会長の原田Apple 社長も参加され
てにぎやかな会合だった。「2年半前に社長になったときは誰も祝福してくれ
なかった」と言う原田さん、「今は誰もが『運がいいね』と言う」と笑わせて
くれた。いい話と悪い話の構成も、間のとりかたも絶妙で、さすがに勢いのあ
る会社の社長のトークはチガウと思った。その内容をいろいろ書いてしまいた
い誘惑にかられるが、いちおう内輪の話とゆうことで。面白かった。(柴田)

・社長の原田さんといえば就任された当時のお顔は厳しく怖い感じがした。そ
れから約1年後にお見かけした時は、笑顔が板についている、そんなにこやか
な印象を受けた。人間ってその時々で顔が違うのだなぁ、と思っていたりした。
根拠のないことを信じてはいけないのだろうけれど、女の直感はバカにできな
いのさ、な~んて言ってみる。今の小渕首相の顔はイヤだ!(hammer.mule)

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■  日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.shohyo.co.jp/nagesen/ <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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