[0537] 情熱という不思議なもの

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0537   2000/02/22.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 15267部
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 <私は石ころのようにそこにいた>

■デジクリトーク
 情熱という不思議なもの
 魚住耕司

■デジクリトーク <投稿>
 オーサリングエンジニアってなんだ?
 のり

■デジクリトーク「眠ル繭」制作楽屋落ちシリーズ 
 カメラマンとわたし-6
 梅地浩太郎 

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 00025(2/22)
 新プロジェクト「ME」スタート?
 川井拓也





■デジクリトーク
情熱という不思議なもの

魚住耕司
───────────────────────────────────
デジクリ読者の皆さん、こんにちわ。いかがお過ごしでしょうか? 先月、風
邪ひきのうわごとを書いた魚住です。

およそ、どこがデジタルでどこがクリエータに関係ある? と訝しい奇っ怪な
文を書いてしまいましたが、「命の創造」というものがチマチマとした惑星の
上で完結するお話とは限らない、もっと広大な時空の中で織り続けられている、
その布目にたまたまいるのかもしれない、などと止せばよいのに発熱頭で思っ
ているうちに、ああいう変ちくりんなものが書きあがったという事情です。先
月の風邪、あれは智恵熱も入っていたのかもしれません。

本当は、あんな大きな話を吹くつもりではなく、彗星が宇宙のコウノトリかも
しれない、と軽く紹介して、昔そんな彗星の探索者になりたかったなぁ、とい
う話を書いてお茶を濁すつもりだったのです(^^;

彗星探索者(コメットハンター)というは、その名前の通り自分の望遠鏡で早
朝薄明の始まる前、夕方太陽の残映去って後の空を監視して地球に接近する新
しい彗星を探す人です。

考えてみれば、妙な世の過ごし方です。多くの場合、それで一円だって儲かる
訳ではないのに、冬は寒さに耐え、夏は蚊に取り巻かれて望遠鏡にかじりつく
のですから。手に入るのは、新しい彗星を発見した時に自分の名が付くかもし
れない、という、その気のない他人には誠にばかばかしいであろう名誉だけ。

おまけに発見できるかどうかも運次第。また発見しても早いもの順に三名まで
しか名前が付かない制約もあります。探索数十時間で発見して名声が上がるか
もしれないし、千時間を超え紛らわしい星雲・星団の全てを諳んじている程で
も、発見できないかもしれない。一生、発見できないかもしれない。

なんと奇妙で割りの合わぬ生き方だろうかと思うのですが、要するに「好きだ
からやっている」という事につきるのでしょう。基本的に星を見ることそれ自
体が好きだから、彗星を探している・・・。

「好きだから」という言葉を、「情熱」という言葉に置き換えるとよいのかも
しれません。この不思議な個人の心の指向が、彼を動かしているのだと。

天文学という学問は、今までこういう割りに合わない生き方を選んだ、いわば
「ロマンチスト」達に支えられてきました。なぜならば、空は広くそして職業
としての天文学者は、常に一握りの存在でしかないからです。(また、天文学
者といっても、職業としての天文学者が、観測をするとは限らない、という事
情もあります。実証の過程を宇宙空間に求めた物理学者、というのが「天文学
者」の本分であり、「観測」という技術に必ずしも秀でているとは限らないの
です)。

ご存知の方が多いことでしょうが、昨年来行なわれている"SETI"プロジェクト、
http://setiathome.berkeley.edu/
「貴方のパソコンの空き時間を異星人探しに貸してください」というあれです
が、初めてこの企画について聴いた時は、天文関係者の発想だねぇ、と思いま
した。何か対価がある訳でもなければ、それで異星人が見つかるという保証も
ない訳です。或いは将来、世界中を巻き込んだ愚行、と嘲笑して智恵誇りとす
る手合いもでるかもしれない(今現在ですら、いるでしょう)。

異星人の文明があり、電波を使っているかもしれないという「荒唐無稽」とい
われてもしかたないような「仮説」から、その証明のために方法を考え、実行
する。こういう行き方は、実はとても強靭な精神が必要なんではないか、と思
います。

昔ある学者さんが学問について、「それは、他の仕事によって”打ち破られ”
時代遅れとなることをみずから欲する」「それに甘んじなければならない」と
評し、続けて「絶え間ない進歩のうちにある文明人」の生活は”終わり”とい
うものが持てず、つぎつぎに生み出されるモノのごく一部を一時的に素早く捉
えているに過ぎない故に、”生きることを厭う”ことはできても”飽く”こと
ができず、無意味な死を迎えざるを得ない。それゆえに、その生も無意味とな
る。と、トルストイの近代社会的「進歩」への意見を紹介しつつ、この時代の
特性を語っていたのですが、SETIの仮説も努力も、明日には「無意味」である
ことが証明されるのかもしれませんし、めでたく宇宙の異星人とコンタクトが
取れたなら、それ以後はこんな探索など不要となる(無意味になる)でしょう。

しかし、このような今日の努力が明日は捨てられる、という事情は、何もSETI
だけの事でしょうか?

「日刊デジクリ」は「クリエーター=制作者」のメディアですが、手がけてい
るそれが何であれ、一体「無限の進歩の過去の一時期」にすぎなくなる今の為
に努力するのは、苦労するのに値することなのか? 斜に構えて”批評”する
方が、人生良い所取りできて「安全」というものではないのか? そういう足
元が空虚になる様な虚脱感に囚われたことはないでしょうか?

そのあたり、上記の学者さんは講演を、聖書を引用してこう結んでいます。
「”斥候よ、夜はなほ長きや。ものみ答えていふ、朝はきたる。されどいまは
なお夜なり。汝もしとはんとおもはゝ゛、再び来れ。”かく告げられた民族は
その後二千余年の長きにわたって、同じことを問い続け、おなじことを待ち続
けてきた。そして、この民族の恐るべき運命はわれわれの知るところである。
このことから、我々はいたずらに待ちこがれているだけでは何事もなされない
という教訓を引き出そう。そしてこうした態度を改めて、自分達の仕事に就き
そして”日々の要求”に-人間関係の上でもまた職業の上でも-従おう。このこ
とは、もし各人がそれぞれの人生をあやつっている守護霊(デーモン)をみい
だしてそれに従うならば、容易にまた簡単に行われうるのである」と。

例えば、事務の仕事などは基本的には「誰でもできる」ものでしょう。しかし、
その時その場に居合わせた以上、その人が行為するしかないでしょう。もしそ
の人がしなかったら? 当たり前に立ち行く筈のことが、立ち行かぬ事になり、
ドミノ倒しよろしく、他の事にも支障が出るでしょう。

人間は、情熱という不思議なものに導かれ、やらでもの苦労も厭わぬし、逆に、
当たり前の日常が不都合なく動くのも、個々人が「情熱」というこの不思議な
心持ちをどこかで維持しているからでしょう。

一体、情熱という心の持ちようとは、何処から来た何なのでしょうか?
・・・。

いかんいかん、またデジタルともクリエーターとも無関係な投稿になってしま
いましたm(..)m

怪しい道に入り込んだので、お詫びも兼ねて、以下近日近所でのイベントなど
紹介させて頂きますm(..)m

・2月29日 「ウェッブデザインサミットin九州」が福岡で開催
日時 :2000.2.29(Tue) 15:00~17:30
場所 :イムズホール(福岡市中央区天神1-7-11 イムズビル9階)
講演内容:15:00~15:50
講演:伊藤幸治((有)イメージソース代表取締役)
「XML時代のWebデザイン」
16:00~16:30
研究報告:大谷竜也・吹上剛一(MAF会員)
「XMLによるWebマガジン運用報告」(ワークショップ試作品)
16:40~17:30
ディスカッション
:「次世代のWebデザインとビジネス展開」
伊藤幸治 & 福井信蔵 & 影山裕一

主催 マルチメディアアライアンス福岡
共催 Webデザインコンソーシアム、福岡県、西日本新聞社、
九州朝日放送、デジタルハリウッド

これは次世代型のインターネット記述言語であるXML をいち早く福岡で普及さ
せるため、XML 技術を利用したWeb デザインに関する最新動向の講演や、主催
団体"MAF" で実証実験した成果について報告するセミナーです。来福されるメ
ンバーは豪華で、キノトロープ退社しイメージソース開設された伊藤幸治氏と、
"Shinzo Graphica"を主催されている福井信蔵氏です。先着200名様限定です。
詳細と申し込みは、以下のURLへ
http://www.node8193.com/wds2000/

・3月4日 「北九州シネマサロン」映画上映会開催
日時 :2000.3.4(土曜)
開演時間(昼の部)13:30~
(夜の部)18:00~
場所 :小倉井筒屋パステルホール
(北九州市 小倉北区)電話:093-522-3856
上映作品:「ダイナマイトどんどん」
監督:岡本喜八 原作:火野葦平
出演:菅原文太 北大路欣也 宮下順子 嵐寛寿郎
金子信雄 中谷一郎 田中邦衛 藤岡琢也
ケーシー高峰 フランキー堺 ・・・等
トークショー(昼の部のみ)
:ゲスト/梶山弘子(スクリプター)
聞き手/北野純子
主催 北九州シネマサロン(093-321-2995)
後援 北九州市教育委員会 河伯洞と若松の会
協力 (株)井筒屋

先程、かっこつけた「情熱」の話をしましたが、この上映会は、まさに情熱を
充たすのを目的に金を出して苦労を買っている酔狂なスタッフ達による手作り
上映会です。トークショーをされるのは、スクリプターという映画撮影現場の
記録のお仕事につかれている梶山弘子さん。なお、女史からお借りした貴重な
写真を中心にした資料展が2 月23日から小倉井筒屋新館一階「市民ギャラリー」
で開催中です。
(私のPM-2000は、今朝からその為の印刷をずっーと続けています)
web上の案内は以下にあります。
http://www.lbe.co.jp/~matunaga/

もう一つ(まだあるのか^^;)
・3月11日から 「おもちゃでアート」展覧会開催
http://mojiko.com/toycamera/Y2K22toy.pdf

で案内していた、おもちゃカメラで門司港という街を撮ろう、というイベント
の作品展示会が行われます。3月に入ったら、web を公開し、開催以後は、web
上でも作品を楽しめるようにするつもりです。でも、ブリントを見ないと、本
当の良さは分かりませんから、ぜひ会場へと足を運んでください。

日時 :2000.3.11~3.26まで
場所 :北九州市門司区港町 門司港郵便局
コミュニティルーム
電話:093-321-2400
門司港郵便局URL http://ww7.tiki.ne.jp/%7Epost-mojiko/

以上、うだうだと書いた長文をお読み頂いたことを感謝いたします m(..)m
いよいよ、梅が咲く季節になりました。もうすぐ、桜も咲くんだなぁ・・・

春が待ち遠しい魚住耕司【うおずみ・こうじ】
http://www.mojiko.com
http://member.nifty.ne.jp/goka/abc/
uozumi@mxj.mesh.ne.jp

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■デジクリトーク <投稿>
オーサリングエンジニアってなんだ?

のり
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はじめまして、のりといいます。私の職業は「オーサリングエンジニア」とい
います。Director やFlash を使ってコンテンツをオーサリングするのが仕事
です。って、言っても、どんな職業か想像できる人は少ないでしょう……。
CD-ROM コンテンツのプログラミングとかShockwave のプログラミング、Flash
アニメーションの制作とかいろいろします。一部私の仕事を紹介しますと……
…こんなんです。

JAL ONLINE(日本航空、日本IBM)
http://www.jalonline.jal.co.jp/(WEBは制作していません)
JAL の予約システム。PCから、国内チケットが予約できるというもの。クライ
アント部をDirector でプログラミングしました。1999年通産省マルチメディ
アグランプリネットワーク部門ビジネス賞受賞。デザイン:インフォ・クリエ
イツ。システム:日本IBM。

Smile Project(日本IBM)
http://www.ibm.com/jp/design/smile/
日本IBM のデザインチームが新しいデザインの可能性について取り組み、提案
したWEB コンテンツです。Shockwave 制作・WEB構築・アドバイザー担当。制
作には、大重美幸氏、有限会社 武蔵、萩永剛史氏、林拓也氏も参加。デザイ
ンは、日本IBM。

インテル村のサンドイッチ屋さん (インテル)
http://www.intel.co.jp/jp/home/cpc/simd/index.htm
FLASH のオーサリングを担当。やさしくPentiumIIIの機能を紹介します。秋葉
原店頭デモも大好評!イラストレーションはYOUCHAN。

地球を守る (環境庁)
http://kankyo.jsf.or.jp/
科学館での常設展示物&WEB です。子供に遊びならが、環境について考えても
らうという発想のコンテンツです。FLASH のテクニカルオーサリング、サイト
制作担当。アニメーションはA.e.Suck氏。

などと、いろんな仕事をしているオーサリングエンジニアについて、普段、私
が考えていることをお話しましょう。

私は、現在、フリーとして活動していますが、サラリーマンの時代もありまし
た。大学を卒業して、まずは、東京のコンピュータ関連の会社に入社しました。
その会社では、SE(システムエンジニア)として研修を受け、日々勉強してい
ました。今、思えば、当時教えてもらった勉強の方法や、社会人としての知識
は非常に役に立っています。

SEという仕事も、オーサリングエンジニアと同じくらい謎で、いろんなことを
しました。本当は、アプリケーション(UNIX 上で動く開発アプリ)のサポー
トで伺ったはずなのに、そこのネットワーク環境がまだ整っていないので、
Windows(まだ、3.1だった)にネットワークボードを指して、一生懸命ドライ
バをインストールしたり、半分開発みたいなことまでお手伝いしたり、営業と
いっしょに客先まで出向いてデモしたり、といろいろです。

オーサリングエンジニアという言葉は知らなかったものの、当時のSEという仕
事はまさに、それと同義でした(そういう意味では生まれもって、オーサリン
グエンジニア向きの性格なのかもしれません)。

私は、オーサリングエンジニアは「映画監督」だと思います。「映画監督」は、
自作自演するときもあれば、本当に監督業だけをするときもあります。また、
人によって、監督のスタイルが異なります。時として、監督は、作品のクオリ
ティだけでなく、すべての方向性をも左右する力を持つときがあります。

#オーサリングエンジニアを監督にたとえると、クライアントは、
#プロデューサーです。
#いろんな事に口を挟み、監督の持ち味を台無しにすることがあります。

つまり、オーサリングエンジニアは、時として、企画、デザイン、イラストレ
ーション、サウンド、プログラミングなど、すべてを行うときもありますし、
プログラミングだけの時もあります。

では、すべてをこなせばそれで良いオーサリングエンジニアか?といえば違う
と思います。すべての要素、デザイン、イラストレーション、サウンドなどを
信頼できるパートナーに任せることができる場合は、分業をします。自分の領
分をわきまえて仕事をすれば、最高のコラボレーションができるのですから。

では、何を持ってして、自分の領分と見極めるか? それは、「自分らしさ」
です。私は、Lingo を書いているときも自分らしいし、Flash のアニメーショ
ンを1コマづつ制作しているときも自分らしいと感じます。つまり、その作業
が永遠につづいても、楽しいと感じられることが、自分のすべき領分だと思い
ます。そのため、私は、自分の領分以外のパートは信頼しているパートナーに
お任せしています。

#オーサリングエンジニアに限ったことではありませんが、フリーで活動する
#ためには、中途ハンパなマルチタレントが必要なのではなく、ひとつひとつ
#をきちんとこなす才能が必要なのでしょう。


先日「なぜ、デザイナーとイラストレーターの両方が必要かわからない」とク
ライアントさんに言われ、こう説明をしました。

「基本的に、(パートナーの)デザイナーはイラストレーションも描きますし、
(パートナーの)イラストレーターはデザインができます。プログラマの私も
必要に迫られデザインをすることもあります。しかし、「出来る」のと「お金
になる」のとは、レベルが違うのです。そのため、分業が必要です」と説明し
ました。

説明していて、自分でも気がつきました。確かに、その通りだったのです。プ
ロとしてお金をいただく以上は、自分の最も得意とするところで力を発揮した
いと思っていたのです。すると自然と自分の担うべきパートがわかってきたの
でした。ふだん当たり前のようにしている分業について、再確認をした瞬間で
した。

そして、最近思うことは「映画監督」としてのオーサリングエンジニアを極め
るためにより素晴らしい作品を制作していきたいということです(そして、い
つかは本当の映画監督になってみたいです)。

そのために、素晴らしいパートナーとの出会いも大切にしたいですね。

最後に宣伝です。書籍を出版させていただきました。

・DIRECTOR7テクニカルノート(秀和システム)
http://www.shuwasystem.co.jp/Dir7TechNote/
http://www.3oclock.com/D7book/

機能からビヘイビアを逆引きできる、リファレンス形式のDirector 本。マル
チユーザサーバーや、各種Xtra も豊富に取り入れたサンプルは、そのまま使
えるビヘイビア形式で収録しています。 また、ビヘイビア集はDirector Lite
でも使用できます*。
記念に、1冊を読者プレゼントさせていただきます。詳細は、デジクリまで。
*)一部DirectorLiteの機能制限のため使用できないものがあります。

【伊藤のりゆき】
本業は、Director でのオーサリングだが、最近また、違う方向を模索しつつ
ある。もチといろんなものを制作したいと思う今年は、20代最後の年。恵比寿
にて、今夜も制作中です。
プライベートWEB → http://www.3oclock.com/
プロモーションWEB → http://www.togoru.com/
メール:nori@3oclock.com

▼DIRECTOR7テクニカルノート(秀和システム)希望者は以下まで。
mailto:info@dgcr.com
サブジェクトは「DIRECTOR7テクニカルノート」

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■デジクリトーク「眠ル繭」制作楽屋落ちシリーズ 
カメラマンとわたし-6

梅地浩太郎 http://www.yk.rim.or.jp/~umeji/
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合宿の幕は開けた。
スタッフも揃い、CD何枚にも及ぶデータの流し込みも終わった。施設の専属ス
タッフの方が、ログインアカウントや相互マウントなどの環境を整えてくれて、
最高の環境ができあがった。マシンは2CPUのオニキスがいっちょ。あとはO2が
2 台。とりあえず平野さん、梅地がO2ルームへログイン、シンメイさんがオニ
キスへログイン。

今回の合宿の最大の目的は、長野の美味しいものを食べ尽くすこと!
ではモチロンなく、徹夜で麻雀しまくること! でもなく、
「スタッフ間での共通認識を高めること」である。

モンスターのモデルに関して言うと、これまでの作業で体は何体かある程度出
来ていたのだが、まだ性格付けなども完全にはされておらず、こいつがどうゆ
うふうに動き、どう攻撃してくるか、等は決まっていなかった。

いわば人形に魂を吹き込む作業をここで初めておこない、東京へ帰ってからの
作業をスムーズに行えるような共通認識や作業手順を確立しよう、というのが
最大の目的であった。

そして「花の妖精」に魂を吹き込む作業を開始。所さん新城さんのディスカッ
ションの後、こいつは「優雅でバレリーナ的な動きをするやつ」と決定。しか
し、小学校でのフォークダンスくらいしか踊りの経験のない僕に、優雅なバレ
リーナのポーズってよくわからない。

苦戦していると所さんが「こう、手をひいて、そう、足は交互でこっちをぐっ
と、そそ」と自らポーズをしてくれる。それをスケッチ! さすがカメラマン。
きれいなポーズはお手のもの! 基本の動きも決まり、攻撃は優雅な花びらの
舞いに蔓の鞭。きれいな花には刺がある、がぴったりのモンスターの完成です。

夕方になる頃、アスミックエースエンターテインメントのO野さんも到着。差
し入れをどっさり抱えてきてくれました。仕事の合間に部屋の外に出て煙草を
吸っていると、大きな窓から日本アルプスに日が落ちていきました。(つづく)

「眠ル繭」サイト
http://www.porcu-pine.com/mayu/

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 00025(2/22)
新プロジェクト「ME」スタート?

川井拓也
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「ip2000」とは5 月に出航して世界を一周するピースボートという船を移動デ
バイスとして使いそこに映像、WEB、出版、デザイン、音楽を作るデジタルツ
ールを満載して「BSデジタル放送」「CSデジタル放送」「WEB」「雑誌」「CD」
などのソフトウェアコンテンツを制作していこうという壮大なプロジェクトで
す。ソフトウェア業界の「WILL」プロジェクトと解釈していただくとより理解
しやすいかもしれませんね。

先週後半の進行をレポートします。

・水曜
ピースボート事務局のスタッフ定例会議に、3 人の女性と共に参加。持ちこみ
企画としてビデオを使いながら主旨を説明。最近見たアップルのスティーブジ
ョブス氏のプレゼンを参考に、ちょろちょろ動きながら手の動きをダイナミッ
クに使ってプレゼンしたつもりだが、緊張して理想の動きにならなかった。

しかしスタッフは「なんかすんごいことが始まるのか?」のような予感は感じ
たみたいで、プレゼン終了後は「シーン」としていましたが(異物への反応?
それとも圧倒されていた?)打合せ終了後は「なんでも言ってください!」な
どのうれしい反応が。

その後このプロジェクトのクライアントを想定しようと打ちあわせ。4 時まで
及んだ。現在の想定ターゲットクライアントとして3 クラスに分けて想定した。
A はつてがあり現実的に提案可能な人間関係をスタッフの誰かが持っているこ
と。B はかろうじて人をたどれば紹介まで行きつく可能性のあるもの。C はま
ったく脈はないが、プレゼンをしてみたいクライアント。このリストはいずれ
公表する。

・木曜
ライバル会社のクリエイティブディレクターと飲む機会があり、多いに刺激さ
れた。女性が4 人に私一人という構造だったが、私の女性的感覚も手伝い、女
性陣が多いに盛り上っていた。というか、私は石ころのようにそこにいたとい
うことなのだが。

そこで別プロジェクトスタート。「ME」プロジェクトである。メディカルエン
ターテインメントの略で、かつ「自分ME」を知ることは究極のエンターテイン
メントであるというポリシーにのっとったプロジェクト。構想はテーマパーク
を作るくらいでかいが、まずは第一歩として医療機器の規制を調べ、ゲームセ
ンターにプリクラ感覚でレントゲンを置くということを目標に始める。マツモ
トキヨシの店頭を使うなどさまざまなアイデアが出た。船にレントゲンがあれ
ば、医療という観点からもコンテンツを作れるなと思った。

・金曜
CGアーツ協会の主催するプレゼンテーションコンテストの、ロゴの締切日。ま
だパートナーのデザイナーがいないので、自らフォトショップで制作した。ち
ょっと間に合せ気味。でも本番ではすごいプレゼンしないと! また仕事で電
通の「地上波デジタル双方向実験」を見に行った。コンテンツの出来はイマイ
チだが、未来のテレビのイメージは割とつかみやすい。会社の現場のプロデュ
ーサーなどに見せたかった。が、見ているのはデジタル系の部署の人間。クリ
エイティブの最前線の人間が見てくれないとなあ~と思う。

私が公私共に愛用しているプログラマブルリモコンのクロッサムを改造して、
リモコンとして使用していた。あのリモコンはRC232Cがついていたからな・・。
ブツブツ。ちなみにBSデジタルのデータ放送におけるインターフェイス開発を
現在担当しているので、最近リモコンには詳しい。リモコンのインターフェイ
スの研究サイトを作ろうと思っているところだ。

・土曜
会社で仕事。その後ワタリウムのオールナイトイベントの撮影のお手伝い。す
ごいイベントだった・・・。そこでまた偶然が。TOKIONマガジンの編集長のル
ーカスさんがいた! 以前ファッションデザイナーの紹介で面識だけはあった
のだが早速「ip2000」の企画書を渡す。

・日曜
会社にて業務。WEB の打合せ。その後情報リサーチとピースボートから借りて
きた膨大な映像資料のコピー作業。三菱のVISEO でPC画面を見ながら音声のみ
コピー中の映像の音を聞く。気になったらリモコンで映像を見てプレゼン映像
に使えるかチェック。最近PCモニターでビデオの入力機能がついていないと仕
事が進みにくくなってきた。

今週はプレゼン準備と招待状の制作・発送にあけくれる週になりそうだ。
(続く)

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■編集後記(2/22)
・買い物から帰ってくると、必ずハニー号が駆け寄って、買い物袋をクンクン
する。そのとき「おみやげだよ」というと、目を輝かして(ホント)人より先
に階段を駆け上がり玄関前で待機する。そこで、パンやらお菓子の一部をやる。
おみやげという言葉はわかるようだ。人が食事中など、鼻でうるさくなくとき
は、「捨てちゃうよ」「ネコ飼っちゃうよ」とおどかすと、しばらく凍りつい
ていることもある。最近は「アイボ買うぞ」という。悪い親かも。(柴田)

・ネット業界はバブルで湧いているが、一方、倒産の話もちらほら聞くように
なった。甘くはないのだな。少数精鋭な会社の方が生き残っていけそうだ。NT
やUNIXも扱え、構築だけでなく運用でき、トラブルに対処可で、英語マニュア
ルを読解できる方。キーボードラブな方。ネットのことが理解できている方。
ハッカー?とんでもない、あのレベルなら誰だって可能だよ、という知識を持
ち、なおかつ要求に即したスクリプト、プログラムの書ける方。一つの言語を
しっかり勉強したから、あとの言語は応用でいけるよ、などと言える方。HTML
書けるよ、最新情報も自分で入手しちゃう、という方。デザインやCGも好きだ
けど、映画や美術展も好きなんだよね、という方。クライアントが何を言いた
いのか理解し、企画・提案のできるネットを熟知している方。忍者ハッタリ君
よりも笑う誠実マン。浅はかさ故の短期決戦ではなく、土台をしっかり固めら
れる方。経験豊富な方、もしくはそれをカバーできるほどの努力家。井の中の
蛙でない方。意地悪じゃない方。キリないや。そういう人たちの集まりって、
スゴイ会社になるのにな。そういう人いらっしゃいません? (hammer.mule)
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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.shohyo.co.jp/nagesen/ <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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編集長     柴田忠男 < mailto:tdo@green.ocn.ne.jp >
デスク     濱村和恵 < mailto:zacke@days-i.com >
アソシエーツ  神田敏晶 < mailto:kanda@knn.com >
        森川眞行 < mailto:morikawa@siliconcafe.com >

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