[0578] 奮闘戦隊ヒッコシファイブ

投稿:  著者:  読了時間:27分(本文:約13,000文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0578   2000/04/11.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 15898部
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 <「それ」を作らなければ「彼」は来ない>

■デジクリトーク
 奮闘戦隊ヒッコシファイブ
 なゆみ かすい

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0055(4/11)
 それを作れば彼はくる・・・
 ------世界一周出航(5/22)まで残り41日-------
 ------南十字星出航(8/31)まで残り141日------
 川井拓也

■デジクリトーク
 上田萬画大学2000 春休み萬画セミナー
 斎藤史郎



■デジクリトーク
奮闘戦隊ヒッコシファイブ

なゆみ かすい
───────────────────────────────────
引越しの敵、ひとつは経費であり、もうひとつはゴミ――それらの敵と戦うた
めに誕生した 5人の戦士たち。

  輸送はおまかせ、ヒッコシレッド!
 水廻りはおまかせ、ヒッコシブルー!
  掃除はおまかせ、ヒッコシグリーン!
  電気はおまかせ、ヒッコシイエロー!
 手続きはおまかせ、ヒッコシピンク!

その名も、奮闘戦隊ヒッコシファイブ!!

なーんていう、初っ端からサブイ話はどうでもいいし、そんな三流戦隊の話を
でっち上げるような気力もありません。

「都合により今月号の『観用少女』(*1)は休載させていただきます」

これが裏のタイトル。もう、慣れっことはいえ、隔月誌で休載が続いてしまう
ということは、即ち、半年以上、新しいお話が読めないことを意味します。そ
れが関係してかどうかは不明ですが、この頃、どうにも元気がなくて……。

さて、お気づきのことは思いますが、時期的にもお約束のお引越しネタを数回
に分けて書かせて頂きたいと思います。というわけで、引越しの1カ月ほど前
のことから時系列に添って始めさせていただきます。

まずは航空機のチケットの手配。この所、乗る機会がなかったので、ニュース
等では耳にしていたものの、実際にどのような割引形態になっているのか不明
でした。そこで、各航空会社のウェブサイトでチェックしつつ、チケットレス
で発券し、カードで決済してみました。

発券後、JASは申込内容をメールにまとめて送ってくれましたが、ANA/ANKの分
は何もナシ。念のため、JASのメールは縮小印刷して、六穴のクリアファイル
に挟みつつ、ANA/ANK分は受付番号等を搭乗日となるページに手書きしました。

でも、これは一長一短なのかもしれません。クレジットカードの番号のような
ものは記載されてないとはいっても、プライバシーの気になる人にとって受け
付け番号のみならず詳細な申込内容が記載されて(暗号化等のなされていない)
平文で送られてくるというのは気になるところかもしれないからです。こうい
ったメールは選択制が無難なところかな、と。

それはともかくとしても、予約時点で座席の指定までできて、久しぶりであり、
はじめてのインターネットからの予約に感動。そして、そこに、JAS、ANA/ANK
と並べたのは、実は3便も乗り継がなければならないからです。これは間違っ
ても、海外旅行ではありません。国内の移動です。しめて、4万円也。しかも
片道。それだけあれば、短期のパックもので良ければ海外旅行に余裕で行けて
しまいます。地方から地方への移動となるので、国内便的にハブとなる空港を
経由していると、どうしても、3便となってしまうのです。

航空網。すなわち、ネットワークであるから、インターネットの仕組みとも、
おんなし。ただ、どこの空港でも自在に他社便に乗り換えられるから、インタ
ーネットのように同じ地域のローカルのプロバイダーに対する相互アクセスで
も(相互接続でもしてない限り)なぜか東京を経由しちゃうような非効率なこ
とは、当然、ないのが良いところ。いや、それは当たり前。

ほんと、インターネットが、タコ足構造から、真のウェブ構造になる日なんて
来るのかなぁ……来るとすれば、どこかが寡占してしまったとき。それくらい
のような気しかしないところが寂しいところ。これは脱線。

ちなみに、JRの場合、距離が距離なだけに、乗車時間が長くてイヤかも。それ
に、駅のホームって朝とかは寒いもの。ロビーならともかく、さすがにホーム
に空調はムリだし。実は、寝台特急+新幹線+汽船で行った時、乗り継ぎ待ち
が、おひさまが昇る前にあたってしまって、時間が時間だけに、どこかで時間
を潰そうにも行く所が思い当たらず、最悪だったことがあるのです。しかも、
トータルで26時間もかかってしまって、もう、へとへと。それに、所要時間が
長くなると、それに伴って食事代もかさんでくるし……。

さて、続いて、NHKはフリーダイヤルもあるけれど市役所の隣なので後日とし、
NTT・PHS・電気・ガス・水道・粗大ゴミの業者さんとアパートの管理会社(不
動産屋さん)へと電話してまわりました。

この中で奇をてらっていたのがガス屋さん。うちの近辺には都市ガスは引かれ
ていないのでプロパンガス。それゆえ、大きくない事務所なのだと思う(それ
でも、ローカルではあるけれどテレビCMを流していたりする:ガスではなく、
他事業だけど)けれど、電話に出られた方に移転先の住所を伝えたら、変わっ
ている、変わっていると大笑いされてしまいました(←おばさん笑いで!)。
しかも、なかなか止まらない様子。ココにしたって、実に変わった地名ばかり
じゃないかと言い返したくもなったけれど、“おとな”なので、じっと堪える
ことにしました。

また、そのガス屋さんではありませんが、移転先の電話番号を伝えると、携帯
の番号かと問われたこともありました。いくら「09」で始まる番号だからとい
ったって……。そんなこんなで、いずれも、請求は移転先にしてもらい、立ち
会いも不要とのことで、それらの手続きは電話だけで完了。

手続き関係はこのくらいにしておいて、本のような使わないものから、次々と
送っておくことにしました。それにしても、多い・重い。引越しのパックだと
入りきらなそうだったから、個々に送ったほうが安くあがるとは思うけれど。

それから、同時に不要物やゴミも出てきます。いろいろと雑誌類も、たくさん。
基本的に雑誌類はコレと決めたもの=保存または資料的価値のありそうなもの
以外は買わないようにしていますが、これはいい機会かもしれません。これを
機会に(記憶からも)捨て去ろう……確かに、様々なエッセンスが山のように
詰まってはいるけれど、それは他者の考えたものでしかないし、既に過去のも
のなのだから必要ない。いや、必要としたくない。

ただ、どうしても処分しがたい娯楽系雑誌(MOEとか、ね~ね~とか)は梱包
し、専門誌についても必要な部分だけスクラップ。しかし、書籍類だけで何箱
になるのやら。また、それにつれて処分すべきものが山のように出てきました。
加えて、FDやCD-ROMが入っているものは、それらのメディアを抜き取ることは
もちろん、ビニールが使われていたりすると剥がさなければならず、やっかい
な作業。

そうこうしているうちに、もはや内容の陳腐化したCD-ROMやFDの山ができまし
た。それに、雑誌付録ではないけれど、Windows 3.1 FD版等、何十枚にも及ぶ
FD。一体、どうしろと。でも、燃えないゴミとする以外、ありません。CD-ROM
あたりは、なんとかリサイクルできないものなかと思いますが、複合材になっ
ているから、コスト的に無理なんでしょうか。

そして、新聞。インターネットを始めて新聞はとらなくなったし、勧誘の人が
来たって、インターネットで見てるから要らないとか、いろいろ言い放ちつつ
シャットアウト。インターネットのことを口に出せば、わりと簡単。それでも、
お約束のように「スポーツ新聞は?」とか「3カ月だけ」などと言っては(ほ
んとは配ってはいいけない気もするけど)商品やら商品券を積み上げてくるけ
れど、丁重にお返しして、お諦めいただきます。

ただ、以前は、一般紙を数年、続いて工業紙も数年、とっていました。一般紙
の方は、ほとんど処分済み。一方の工業紙の方はというと、全く処分した記憶
がありませんでした。つまり、折々、捨ててなかったのも悪いけれど、だいぶ
押入れに詰まっているということ。

そして、タウンページを見ながら、故紙回収の業者に電話。どの業者も、持ち
込みは受け付けるけど、回収はしない旨、さらっと言ってくるだけ。もちろん、
駄目なような予感がなかったわけではありませんが、あまり引っ越しはしない
方なので、そのへんの事情は良く分かっていませんでした。確かに採算は合わ
ないのだろうけど……。(つづく)

*1[ 観用少女(プランツ・ドール)]

 川原由美子著。朝日ソノラマの隔月漫画誌「ネムキ」に掲載されている漫画。
 また、「観用少女」と書いて「プランツ・ドール」と読まなければならない。
 これは「精霊使い」と書いて「エレメンタラー」と読まなければならないの
 より、やっかいだ(余計に混乱するって)。ともかく、読んでいると、やす
 らぐというか、世の中なんて、ちっぽけに思えてきて、とにかく安心する。
 読むニトログリセリンといったところ。

 うーん、ホリィ(いきなり、モンスターファームかよ!)の笑顔も良いけれ
 ど、プランツたちの笑顔はまた格別。ハンカチ、必須。

 ちなみに、このネムキ(http://www.asahisonorama.co.jp/hp/nemuki.html)
 には、富江も連載されていたりする。あぁ、こわや、こわや……。

【なゆみ かすい】mailto:kasui@flux.gr.jp
うーん。複数話構成の時は、当然ながら、それらのシリーズ中での語調は保持
するように努めていますけど、ぜんたいはバラバラで模索中。なんだか、ムツ
カシイ。自分探しの旅みたいな。このシリーズもテンションの遷移によって、
バラバラで大迷い。既に最後の方まで大筋では書き上げっているのですが、ど
うも、変容していきそうな予感。さて、最初は月1でお引き受けしていた掲載
も気が付けば月2くらいになってきました。へへへ。(イタリア人風?)

▼いったいどこからどこへ行こうとしているのか?

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0055(4/11)
それを作れば彼はくる・・・
------世界一周出航(5/22)まで残り41日-------
------南十字星出航(8/31)まで残り141日------
川井拓也
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枠組みはある、企画が追いついていない。そんな意見が多いこのプロジェクト。
私が今やろうとしていることはちょうどある映画に似ている。それは「フィー
ルドオブドリームス」だ。若きケビンコスナーが扮する農夫がある日天からの
声を聞く。どこからともなく聞こえる声とは・・・。

「それを作れば彼はくる」

彼とは誰か? 映画ではそこから彼の旅が始まる。作家のテレンスマンの家に
おしかけて「夢」の話をする。テレンスマンは表向き拒絶しつつもその「夢」
を自分も知っていると話す。そしてその「彼」とは、死んだ自分の父親だった
というラストにつながっていく。

私の父親は、二度会社の社長になって二度つぶしている。それが私の誇りでも
ある。「永遠の蒸気機関車」という雑誌を出していたころは、付録にD51の実
物大魚拓ならぬプレート拓をつけていた。

さらにシングルレコードの付録にはD51のさまざまな通過音(SE)がステレオ
で収録されていた。左から右へシュシュポッポシュシュポッポと蒸気機関車が
集音地違いで抜けていくのだ。レコードの中心にはデザインとして機関車の車
輪の真中があしらわれていて、それがプレーヤーにかけるとまるで機関車の車
輪が回っているように見えるのだ。こんなオタク仕様が昭和30年代に売れるわ
けがない。今の時代に父が活躍していればさしずめプレステの「電車でGO」で
も開発していたかもしれない。

そして懲りずに作った新しい会社では「ティーンビート」という音楽雑誌を作
った。そこには付録でソノシートをつけた。バンドにビートルズの演奏だけさ
せて収録したのだ。

しかし、まわりの多くの仲間は言ったという。「そんな2流バンドの演奏だけ
なんて誰が聞くのさ?」「違う、伴奏にして歌うんだよ」「へっ?」「自分が
ビートルズになったつもりで歌うのさ、楽しいだろ?」「?????」
その当時「カラオケ」などという概念はまだなかった。

私の幼少時代は、部屋に大きく詰まれた機関車とビートルズの返品本にのっか
りながら、はさみでジョキジョキと切り絵にして遊ぶ日々だった。切っても切
っても同じ本があるのは、子供としては楽しかった。母親は父親の会社の返品
本を嬉々として切り貼りしながら育つ息子を、複雑な目で見守ったことだろう。

私はそんな父を尊敬している。今ごろ一出版社の社長の息子だったらリッチな
生活でもしていたかな~なんて姑息なことも考えなくもないのだけれども・・。
それが失敗である理由は時代より早すぎたこと、そして戦略家とめぐり合えな
かったことだと、息子ながらに感じている。早すぎるアイデアは「異端」でし
かなく、戦略なきアイデアの露出は結果的に「無駄」でしかない。

私は今最強の戦略家のサポートをもらえる可能性がでてきた。彼は言う、「き
っとうまくいく。でも今全てをあせって実行に移してうまくいくと思うか?」
私はその言葉を父の失敗とフィールドオブドリームスのセリフとだぶらせる。

「それを作れば彼はくる」
地球一周でそれを作れば南十字星から「彼」が降りてくる。

「それ」を作らなければ「彼」は来ない。私は5月のクルーズでなにをしなけ
ればいけないのかが分かってきた。それを明日から2日以内に具現化して関係
スタッフと検討をする。

プロジェクトwebページ
http://www.taiyonet.or.jp/kawai/ip2000/
プロジェクト会議室
http://www67.tcup.com/6708/ip2000.html

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■デジクリトーク
上田萬画大学2000 春休み萬画セミナー
                    
斎藤史郎 上田市マルチメディア情報センター 事業課
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このメールマガジンにも何度か登場している、上田市マルチメディア情報セン
ター(長野県上田市)で、3月24日~26日に「上田萬画大学2000春休み萬画セ
ミナー」が開催されました。マルチメディア時代の人材育成を目的としたこの
イベントは今年で5回目を迎えました。

今年は、県内の小学4年生~高校生の合計40名が集まり、マンガ担当とパソコ
ン担当のそれぞれ20名ずつに分かれて作業しました。マンガ担当は漫画家の
日野日出志先生、中山星香先生に紙の上での漫画の描き方を教わりました。
パソコンの指導には、西野つぐみ先生とDenjiro先生をお迎えしました。また
地元上田のサポーターグループ「十勇士クラブ」のメンバーにも協力していた
だきました。

参加者は、Macを使ってPhotoshopでの色ぬりやFlashでのアニメーションの作
り方を教わり、最後に2人のコラボレーションでアニメーション作品を作りま
した。ここでは、パソコン担当の講師を担当した私(斎藤史郎)が、主にパソ
コン担当のセミナーの様子をメインにご紹介します。

●3月24日(1日目)

1日目の朝、少し緊張した面もちで、40名の参加者たちがセミナールームに集
まりました。過去の上田萬画大学(今回で5回目の開催)に参加した子もいま
すが、大部分の子は初めてです。開催するスタッフの方も、2人一組のコラボ
レーションというのが今回初めての試みなので、ちょっと緊張気味です。

開校式で参加者、スタッフの自己紹介、注意事項、全体スケジュールなどを説
明した後、いよいよセミナーの開始。まず過去の上田萬画大学の作品を、講師
用のMacの画面(前のスクリーンにも映っている)を使って、いくつか見せま
す。いろいろ教える前に、何をやろうとしているのか、イメージを持ってもら
おうという時間ですが、やはりマンガやアニメーションに興味がある子たちな
ので、食い入るようにスクリーンを見つめています。オチがある作品では笑い
が起こったり、結構反応があって一安心。

パソコンが初めてという子もいるので、Macの基本(画面上のものの名前、フ
ォルダやウインドウの操作など)を説明した後、Photoshopを使って色ぬりの
開始です。こちらで用意したSARUTOBiくん(情報センターのキャラクター、故
石ノ森章太郎氏のデザイン)の線画に、2人で交互にマウスを持ちながら色を
塗っていきます。最初はバケツツールでの流し込み、その後は鉛筆ツールやブ
ラシツールで、自分のタッチで塗るやり方を教えます。ここでタブレットとペ
ンを渡すと、いつもの紙とペンの流儀でおもしろがって塗っていきます。

ところが、ここで難問発生。そう、鉛筆やブラシで塗ると、線画の線が塗りつ
ぶされて消えてしまう! 何とか下描きの線を消さずに塗る方法はないもので
しょうか? ここでいよいよ、重要かつ難しい概念、「レイヤー」の登場です。
この後のFlashでもレイヤーは出てきますから、ここでしっかり理解してもら
わないといけません。でも下は小学4年生からいる子供たちに、すんなりわか
ってもらえるでしょうか?

私は過去の様々なセミナーでも、レイヤーの概念を教えるのに一苦労していま
す。そこで今回、情報センターの物置部屋(通称サティアン(笑))からSARU
TOBiくんのアニメ映画で使われたセル画を掘り出し、セロテープでセル画を重
ねて貼り合わせて、レイヤーを説明するための教材をあらかじめ作っておきま
した。

苦労して作った教材を、子供たちに見せていきます。水彩で背景が描かれた画
用紙、その上に透明なセルに描かれたSARUTOBiくんが重なります。「こうやっ
てレイヤーを重ねて、1枚の絵ができます」と説明して、その教材を子供たち
の机に順ぐりに回してもらいます。プロのアニメーターが作ったセル画ですか
ら、子供たちも興味津々。レイヤーが重なって絵ができる様子が、無事にわか
ってもらえたようです。

さて、いままで塗っていたSARUTOBiくんの線画に、複製したレイヤーを重ねて
「乗算」モードにします。さらに新規レイヤーを作って、背景と複製レイヤー
の間に置きます。そこで新規レイヤーに色を塗っていくと、あら不思議。原画
の線は消えずに色が塗れていきます。透明なセル画に裏から色を塗っていくよ
うな感じで、子供たちも一つ上級のテクニックに大満足です。
(厳密に言うと、乗算モードにすると黒い線画の線が太くなって、タッチが変
わってしまいます。絵を変えずに白い部分だけを簡単に透明化するテクニック
をご存じの方がいましたら、ご一報下さい)

教えていて感じることですが、子供たちはとにかく覚えるのが速いです。大人
に教えるセミナーとは全然違って、こちらが説明する前に自分でテキストの先
を見て、どんどんやっていってしまいます。もっともこちらの方も、「テキス
トを見ながら自分でできる」ということを狙って、全60ページの詳しいテキス
トを用意しておいたのですが・・・。

一通り色塗りが終わったところで午前のセミナーは終了。セミナールームの隣
のスペースで、ペアで一緒にお弁当を食べてもらいます。

午後はまず2人で作品企画会議。午前の最後に渡しておいた企画用紙(絵コン
テ用紙)に、画面の絵と説明、セリフなどを描いてもらいます。最後の成果作
品の出来・不出来に関わる重要な部分です。

一応この時間まではマンガ担当とパソコン担当を一緒にいさせて、何とか仲良
くなって作品企画を考えてもらおうという魂胆でした。が、友達同士のペアで
申し込んで来ている子はいいのですが、初対面のペアの中にはなかなかうち解
けなくて、2組に一人付いているアシスタントが苦労する場面も・・・。

それでも日頃から漫画を描いている子たちですから、おもしろがって企画をど
んどん描いていきます。あまり超大作を企画されても3日間では作れませんか
ら、「画面は4~5画面」「同時に登場するキャラは3体まで」「セリフは5~6
個」などと制限は付けているのですが、子供たちは後の制作の苦労を考えずに
すごい企画を描いていきます。見ているスタッフの方は「・・・果たしてでき
るのか?」。

会議の後、マンガ担当は別会場(技術研修センター)へ移動。パソコン担当は
そのまま残って、Flashのアニメ制作のセミナーに入ります。FlashもPhoto
shop同様、かなり膨大な機能を持ったソフトなのですが、相手は子供たちです
し、時間もないので、今回のアニメ制作に必要な部分だけに限定して説明しま
す。「絵の取り込み」→「シンボルへ変換」→「ステージ上に配置」→「トゥ
イーンでアニメーション」あるいは「絵を並べてコマアニメーション」。午前
中に色を塗ったSARUTOBiくんの絵を使いましたが、トゥイーンで絵が動くと、
「お~っ」と声が上がります。

残る時間はFlash上での絵の描き方を教えて、いろいろ描いてもらっている内
に、マンガ担当の子たちも帰ってきて、1日目のセミナーは終了です。

●3月25日(2日目)

明けて2日目。朝に全員が集合した後は、マンガ担当はすぐに別会場へ移動し、
パソコン担当は昨日やれなかった「音の入れ方」の勉強です。まずは素材集の
音の取り込んで、アニメにBGMをつけます。ソフトはSoundEditを使い、ファイ
ルオープンのダイアログを使って音を聴きながら、使いたい音素材ファイルを
選びます。Flashに読み込んでフレームに音のファイルを張り付けると・・・
見事にSARUTOBiくんが音に合わせてアニメーション。

音素材のサンプルは5つ用意していたのですが、登場するのがSARUTOBiくんな
ので、時代劇風の素材を選んだ子が多かったです。でも20人みんなでやると、
部屋の中でいっせいに時代劇が始まって、うるさいうるさい。(笑)しかもそ
のままだと、アニメが終わっても音が流れ続けて止まりません。あわてる子供
たちに「メニューの『サウンドをミュート』を選んでください」。やっと静か
な部屋に戻ります。

その後は、Macにおむすび型マイクをつけて、自分のセリフを録音します。恥
ずかしがってなかなかしゃべらない子、思い切り絶叫する子、隙を見て私にマ
イクを向けて説明の声を録音して面白がる子などなど。音というのも立派な遊
び道具になりますね。無事に自分のセリフをSARUTOBiくんにしゃべらせられる
と、教えることは一段落。あとは制作するのみです。

午後に入って、講師は漫画家の西野つぐみ先生、Denjiro先生のご夫妻に交代。
アルファ(透明度)の使い方やボタンの作り方など、高度なテクニックを説明
してもらいます。それから参考作品ということで、先生方が描いている「戦う
メイドさん」などのFlashアニメーションをスクリーンで上映。オープニング
風アイキャッチやエンディングテーマ風の作品など、商品ではなくプライベー
トで作っている作品で、ちょっとプレミアムものだったかもしれません。

その後は徐々にマンガ担当の子が描いた絵のスキャンデータが送られてくるの
で、そのデータを使って、作れる部分からアニメーションを作っていきます。
Photoshopで色を塗り、Flashに取りこんで張り付けて・・・と進んでいくので
すが、何しろマンガ好きな子たちなので、色塗りだけで凝る凝る。スタッフは
「そんなに細かく塗ってたら終わんないよ」と気をもみます。

そんなこんなで、2日目のセミナーは終わります。残りあと1日。作品完成まで
たどり着けるんでしょうか?

●3月26日(3日目)

セミナーは9時半開始なのですが、「早く来てやっててもいい?」と聞く子が
何人かいたので、8時過ぎに来てセミナールームを開けておきます。一番早い
子は8時20分着。着いたと思うとすぐにMacの前に座って色を塗り始めます。9
時過ぎにはもう全員揃ってしまいました。子供たちも「これを完成させるのは
ただごとではない」と危機感を持ってきたようです。作品づくりも最終段階に
入りつつあるので、それぞれのペアにマイクを渡してセリフを録音してもらい
ます。

10時半からはマンガ担当は別会場へ移動して最後のマンガ講習。パソコン担当
はひたすら絵に色を塗って、アニメーション作りです。昼休みもそこそこに、
作品作りは午後も続きます。デッドラインは3時半。

マンガ担当の子も戻ってきて、2人で画面をにらみながら必死の作業です。こ
の感じは本当に大人のクリエイターたちと変わりません。3つくらいのペアは
早くも2時くらいで完成したのですが、その他のペアは本当にギリギリまでや
っていました。

3時半から作品発表会開始。若干遅れましたが、何とか始まりました。小学生
のペアの方から、スクリーンで作品を上映して、漫画家の先生方から講評をい
ただきます。先生方は最後の必死の追い込み作業を見ていたので、「よく完成
させましたね。おめでとう」とか、「みんなアマチュアなのに”シュラバ”し
ていてすごい」(笑)といった講評・感想が出ていました。

発表会の後、先生方から全体の講評。私の心に残ったのは、日野日出志先生の
言葉でした。「参加者のみんなの瞳(め)がとてもキラキラしていたのが印象
的でした。僕も若い頃はきっとそんな瞳をしていたんだと思うんだけど、今は
なかなかそんな風になれないから、すごくうらやましかったし、僕らも勉強に
なりました」。そして、この日の午後に到着した上田萬画大学学長の里中満智
子先生から、参加者に修了証の授与。先生は一人一人の参加者と握手してくれ
て、子供たちもうれしそうでした。

最後に記念撮影をして、アンケートを書いてもらって、解散。同じマンガ好き
な子たちですから、最後に住所交換などいろいろしていたようです。特に中学
生・高校生くらいの年代は、好きなことにかける情熱やエネルギーはものすご
いものがありますから、このセミナーの3日間だけでなく、今後も続く縁を結
んでくれれば、私たちの苦労も報われるというものです。

上田萬画大学2000のホームページ
http://www.umic.ueda.nagano.jp/2000manga/

上田萬画大学2000の全体概要や当日のセミナーの様子、参加者が作ったFLASH
作品などが掲載されています。どうぞごらんください。この他に26日(日)
に「アンパンマン」の作者やなせたかしさんと、上田萬画大学学長である里
中満智子さんをお迎えしてのトークライブが行われました。その様子もHPで
ご覧いただけます。

【さいとう・しろう】shiro@umic.ueda.nagano.jp
1967年9月22日生まれ。乙女座AB型。動物占いは「ひつじ」。都内のメーカー
の研究職に勤務した後、95年7月に故郷上田へUターンし、上田市マルチメディ
ア情報センターに勤務。セミナー/イベントの企画・運営、デジタルアーカイ
ブ事業、BBS「上田まんなかネット」運営などを担当。趣味は旅、パソコン、
カウンセリング、絵。
http://www.umic.ueda.nagano.jp/~shiro/

上田市マルチメディア情報センター
http://www.umic.ueda.nagano.jp/

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■編集後記(4/11)
・シベリアが好きである。お菓子の。カステラの間にヨーカンをサンドした、
甘いものが嫌いな人にはぞっとするような代物。名前がいいね、シベリア。大
雪原を行く機関車のをイメージしたという説もあり、ロマンチックだ。昔は三
角形だったが、さいきんスーパーで買ってきたのは長方形だ。小腹が空いたと
きなど絶好のお菓子。1パックで2日はもつ。他の誰も食べないのだ。(柴田)

・makeにはまる。自宅サーバのなかのものを最新バージョンにアップする必要
性に迫られ、やり始めたのはいいが、いろいろ怒られ、なんでやね~ん! な
のである。締め切りあるからmakeにかまってられないのである。英語ドキュメ
ントの「僕も人手が足りないんだ。なになに以外のシステム移植はサポートで
きないんだ =)」などという軽い文章までも、頭のウニ化を助長しながら真剣
に読んでしまっている。スクリプトを書いているときもそうだが、頭がウニに
なって、眠くて眠くて仕方なくなって、もうあかんわ、と布団の中にもぐりこ
んだ瞬間にひらめく。時間の経つのが早い。        (hammer.mule)

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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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デスク     濱村和恵 
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