[0617] 犬よりましな人生

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0617   2000/06/03.Sat発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 16278部
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 <僕は、様々な映画の中の言葉に励まされて今まで生きてきた>

■デジクリトーク
 犬よりましな人生
 十河 進

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0084 6/1
 デボラさんマトリックス携帯を持って登場! シンガポールロケ日記part1
■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0085 6/1
 デボラさんが暴走! シンガポールロケ日記part2
■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0086 6/1特別篇
 だめ!そこに立っちゃ! JPGが体を貫通するよ!(?)
 川井拓也

 


■デジクリトーク
犬よりましな人生

十河 進
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●救われないライカ犬の生涯

「スプートニク」という名前は、村上春樹の小説「スプートニクの恋人」のお
かげで最近の若い人にも知られているようだ。昭和32年(1957)10月4日、ソ
ビエト連邦が打ち上げに成功した世界初の人工衛星である。

スプートニク1号は96分間、地球の周りを回った。人類が地球から大気圏外へ
送り込んだ初めての物体である。この時、アメリカは強烈なスプートニク・シ
ョックを受けた。宇宙へロケットを打ち出せる技術力があるなら、モスクワか
らワシントンまで核ミサイルを撃ち込むことなど簡単に思えたからだ。冷戦ま
っ盛りの頃である。

さらに1カ月後の11月3日、ソ連は再び人工衛星の打ち上げに成功する。スプ
ートニク2号である。今度は102分間、地球を周回した。ただし、人工衛星の中
には生き物が乗っていた。初めて宇宙空間を経験した栄誉は、その生き物に与
えられた。だが、歴史上、その生き物はライカ犬としか名を残していない。

そのライカ犬は雌だった。雌犬の方が耐久力があるからという理由で選ばれた
のだ。背丈は約60センチ、特別訓練を受け、身体に生理記録を送信するための
メーターが付けられていた。しかし、彼女が何という名前だったのか、どこに
も記述はない。

だが、僕らが知らないだけで、「南極物語」(1983)が有名にしたカラフト犬
タロとジロのように、もしかしたらロシアでは有名なのかもしれない。渋谷駅
前のハチ公よろしく「同志ニーナ」などという愛称で、モスクワ駅前に銅像が
あったりするかもしれない。「じゃ、赤い広場のニーナの前で」なんて、ロシ
アの若い男女がデートの待ち合わせをしている……。

そんなことを想像しても、彼女の犬生(?)が救われるわけではない。彼女は
宇宙空間に打ち上げられ、狭い宇宙挺の中に閉じ込められたまま、地球を回り
続け、やがて死んでいったのだ。

僕はずっとそう思っていた。孤独の中で飢えて死んでいったのだ、と。しかし、
調べてみるとスプートニク2号は102分しか地球を回れなかった。その後、どう
なるのか。もちろん、大気圏に突入し、炎と燃えながら消滅する。どちらにし
ろ、羨ましい死に方ではない。

●生き抜くための慰めの言葉

人間は、自己を慰めるための、あるいは自己に言い聞かせる励ましの言葉を持
っている。「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(1985)のイングマル少年は、
「人工衛星で死んだライカ犬より僕はまだ幸せだ」と満天の星を見上げてつぶ
やく。

「犬のような僕の人生」というタイトルを持つスウェーデン映画は、孤独な少
年の心の揺れを描いている。時代は、まさにスプートニクが打ち上げられた頃
である。病気の母親と意地悪な兄と暮らす少年は、母の病気が悪化して夏に田
舎の親戚に預けられ、そこでの出来事が彼に人生を学ばせる。

おとなしく内向的なイングマルは、その村でスポーツ万能のガキ大将サガと出
会い仲良くなる。サガはボクシングまでやる活発な存在だ。だが、男の格好を
していてもサガは女の子である。徐々に女の体になっていく自分を嫌悪してい
るような女の子である。

大人になると忘れてしまいがちだが、子供時代にも、その時その時の悩みや苦
しみや悲しみがあった。時には、絶望的な思いに打ち震える夜もあったはずだ。
耐えられない孤独を感じたこともあるだろう。エーリッヒ・ケストナーが名作
「飛ぶ教室」の序文に書いたように、である。

そんな時に自己を慰め励ます言葉を持ち得たイングマルは、確かに「ライカ犬
よりは幸せ」だ。人間には人生を生き抜くための慰めの言葉が必要である。人
生を積極的に、肯定的に生きるための励ましの言葉が……。

イングマルは賢明にも自分より不幸せなライカ犬を想像し、それよりましな自
分の生活を肯定する。僕には家族がいる、僕には友だちがいる、僕は狭い宇宙
挺の中で死を待っているわけじゃない、と彼は思う。ずっと、ずっと、僕は幸
せなんだ、と言い聞かせる。

●サンドイッチの年を噛みしめる

フランス映画「サンドイッチの年」(1988)は、1989年に日本で公開された。
バブルの余韻が残る時代だ。おしゃれなミニシアターで公開され、あまり多く
ない人々の涙腺を緩ませた映画である。

ある大企業の社長が、ユダヤ人の店が右翼の人種差別主義者によって襲われた
ニュースを聞くところから映画は始まる。その店の主人の名を聞いて、40年前
に知り合った貧しいユダヤ人の少年のことを彼は思い出す。

パリが解放されて3年たった頃、ひとりのユダヤ人の少年がひとりの金持ちの
少年と知り合いになる。ユダヤ人の少年は行き暮れているところを、偏屈で人
嫌いのマックス老人の店に雇われる。マックスは世の中を罵り、金にうるさく、
使用人に厳しい。

ユダヤ人の少年の事情が徐々に明らかになる。大戦中に一家でドイツ軍に捕ら
えられ収容所で両親は殺され、戦後、イスラエルに送られるが、そこを逃げだ
しパリに来て放浪していたらしい。彼は初めてできた友だちの存在に高揚する。
彼と待ち合わせをする時、まるで恋した少年のように彼の心は浮き立つ。

だが、所詮、金持ちの息子の親切は気まぐれの所産である。金持ちの息子にと
っては何でもない対応が、ユダヤ人の少年を傷付け、ある夜、彼は両親の写真
を抱いてベッドで泣く。そこへ、偏屈なマックス老人が心配してやってくる。

マックスは少年が持っていた両親の写真を自室の鏡の前に置く。そこにはいつ
もローソクが灯され、何枚かの写真が置かれている。マックス老人の妻と娘と
息子の写真である。マックスは何の説明もしないが、彼らが皆、収容所で殺さ
れたことは想像に難くない。

マックスは「思い出だけが確かなもの」と言い、死者たちの栄光をローソクの
火が照らし出すのだと教える。少年を夜明けの街に散歩に連れ出し語る、その
時のマックスの言葉がこの映画のタイトルになっている。

「陽が昇る限り、いい日も来る。大人は夜中に泣かないなんて思ったら間違い
だ。涙も人を造るんだ。今年はいろんなことがあった。人生には5度や6度は、
こんなことがある。残りは何てことはない日々の連続さ。今年のような年はハ
ムの薄切れのようなものだ。2枚の厚いパンに挟まって、つまりサンドイッチ
の年だ。そういうときは、よく噛みしめなきゃならん。カラシがいっぱいで涙
が出ても、全部、食べなきゃならんのだ」

僕は、様々な映画の中の言葉に励まされて今まで生きてきた。このマックス老
人の言葉もそのひとつだ。「サンドイッチの年」とつぶやくだけで、僕には勇
気が湧いてくる。

もちろん、マックス老人の他にも恩人はたくさんいる。

「この娑婆にゃ、悲しいこと辛えことがたくさんある。だがな、忘れるこった。
忘れて日が暮れりゃ、明日になる」と励ましてくれたのは、「関の弥太っぺ」
(1963)こと中村錦之助である。その頃、まだ小学生だった僕にも「悲しいこ
とや辛えこと」はいっぱいあった。

「トト、人生は、お前が見た映画とは違う。人生は、もっと困難なものだ……
自分のすることを愛せ。子供の頃、映写室を愛したように」と励ましてくれた
のは、「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989/1990公開)のアルフレード
(フィリップ・ノワレ)だった。

●映画を見て人生を決めた青年もいた

10年前の6月14日、突然の異動命令に激高して会社を飛び出した翌日、平日の
昼間だというのに妙に観客の多い銀座和光裏のシネスイッチで僕は「ニュー・
シネマ・パラダイス」を見た。評判になっている映画だった。

翌日も出社拒否のままロケに直行した。その日のカメラマンは加藤孝といい永
年の仕事仲間であり、個人的には友人だった。モデルの碇さんは加藤君のお気
に入りで、当時、女性誌やコカ・コーラのCMに出ていた、とても感じのいい人
だった。アシスタントはカモシダ君といい、元気のいい青年だった。

気の置けないスタッフだったこともあり、ロケ現場に向かう途中の車の中で僕
は異動に対する憤懣を少しずつ打ち明けてしまった。若くて美人の碇さんがひ
どく心配してくれて、何となく気分が良くなってきた。まったく、男は単純で
ある(数ヶ月後、彼女は加藤君に「ソゴーさん、会社辞めました?」と聞いた
そうだ。残念だが、その後、一度も会っていない)。

そのロケでアシスタントのカモシダ君と話している時に、彼が「『ニュー・シ
ネマ・パラダイス』を見てインドに行くことを決めた」と言った。アルフレー
ドに激励されてローマに行き映画監督になるトトのように、彼もまた写真家に
なるためにアルフレードの「決して帰ってきてはいけない」という言葉だけを
胸にインドへ行くのだという。

アルフレードの言葉と、その言葉によってインドへ行くというカモシダ君の言
葉が身に染みた。彼らの言葉が僕に跳ね返ってきた。「俺は一体、何がやりた
いのだろう」と、彼らの言葉は僕に迫ってくるのだった。

突然の異動命令は、僕のキャリアや培ってきた知識・人脈を根こそぎ奪い断ち
切るもののように思われた。まったく知識のないジャンル、ひとりも知らない
筆者、創刊したばかりの本、おまけに平編集者から一気に責任者へ、という内
容だったのだ。スタッフも3人抱えることになる。

冷静に自分の反応を振り返った。「こんな会社、辞めてやる」と荒れて飛び出
した2日前の自分の姿が甦る。8年間、アマチュア向けのカメラ誌を編集してき
て、飽きていたのは事実だった。自分の新しい挑戦のために、プロ向けの写真
誌を企画していたところだった。

「創刊したばかりの雑誌で、何か新しいことができるかもしれない。自分が作
りたい雑誌にすればいいんじゃないか」と、碇さんに指示を出す加藤君の声を
聞きながら思った。あの時、僕は「少なくとも自尊心だけは失くすまい。自分
のすることを愛そう」と決意した。

あの時の僕を励ましてくれたのは、間違いなく「ニュー・シネマ・パラダイス」
だった。そして、映画がひとりの青年の人生に影響を与える力があるという事
実だった。

天使が失われた街に住む、かの私立探偵が言うように「しっかりしていなけれ
ば生きていけない」し、「やさしくなれなければ生きていく資格はない」のだ
ろうが、僕は「映画がなければ生きていけない」のである。

人はパンのみにて生きるにあらず。

【そごう・すすむ】DG@genkosha.co.jp http://www.genkosha.co.jp/dg/
玄光社勤務。小型映画編集部、フォトテクニック編集部、ビバビデオ編集長、
コマーシャルフォト副編集長を経て、現在は季刊DG/デジタルグラフィ編集長。
インドへ行ったカモシダ君は、その後、日本から取材に来た女性マンガ家と恋
に落ち、帰国して結婚したらしい。

▼ぎょ、カモシダってあのアジャパーの、サイバラの旦那のこと?

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0084 6/1
デボラさんマトリックス携帯を持って登場! シンガポールロケ日記part1
------(フェーズ1)航海日誌9日目-------

川井拓也
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【現在の船の位置=凸】
東京>>香港>ベトナム>シンガポール>凸>>スリランカ>セイシェル>ケニア>
エリトリア>エジプト>イスラエル>ギリシア>イタリア>>>>
緯度1゜57 経度 102'16E 水深39m オリビア号の速度16.8kts(ノット)

【今日のコラム】デボラさんマトリックス携帯を持って登場!

怒涛のアジアロケのファイナルを飾るのはシンガポール。14時から22時とこれ
また短時間だ。慣れてくるとなんとなく船が「移動手段」というより「住まい」
という感じになってくる。東京で生活していたときの会社の機材がそのままあ
り、いつも一緒に徹夜していてネットでつながっていた面々が実際にとなりの
2段ベッドで寝ている。そしてドアを開けると異国。目的地に行きロケをして
戻り編集をはじめる。雑誌の記事などと違い「映像」は不確定要素が絡まりあ
い、最終品質に影響を及ぼす。どんなに過酷な状況でも機転を利かせて撮影現
場を判断しなければいけない。

シンガポールのロケは、事前にピースボートのスタッフと相談していくつかの
オプショナルツアーと連携してやっていこうという話になった。オプショナル
ツアーにはこんなコースがあった。
○「昭南島」の歴史をたどる
○多民族ストリート散策
○グルメ&ショッピングツアー
○高層マンションの家庭におじゃま

安定して撮影できる可能性があり、かつ今までの2カ国で「宝物」が手にとれ
る場所にないという屋外での撮影に悩まされた我々は「高層マンション」でコ
ーディネートしてもらうことにした。ツアーでは4家庭訪問するのだが、その
なかから2家庭に交渉をしてもらうことにした。通訳はマレー語と英語が話せ
る人を手配。車ももちろんだ。ピースボートの先乗りスタッフの井上さんが、
入港してすぐに今日の段取りを教えてくれた。

くもりの天気のなか、ワールドトレードセンターに入港。晴海よりきれいで都
会だ。船が公園の横にぴったり横づけされるので、新しく今回から入った「ピ
ースボート」のロゴも映え、写真構図としては最高のアングル。

下船して、まずワールドトレードセンターで行われる「マニフェスト2000」の
ダンスを撮影。船の上でダンサーを募集して、トップデッキで毎日練習をして
いるチームだ。日に日にレパートリーが増えてきて、今回は3曲披露。ベトナ
ムは思わぬステージの狭さに苦戦していたダンサーも、今日は広いスペースで
のびのびパフォーマンス。3台のカメラで「ノーマル」「スローシャッター」
を駆使して撮影した。これらの素材はコロンボで合流する清水康祐に引渡し、
洋上のプレミアとアフターエフェクトを使用してスカパ用のイメージビデオに
仕立て上げる。
www.peaceboat.org

撮影が終わり、通訳のデボラと対面。「で、でかい!」おばちゃんの通訳だが
容姿はアンジェリカヒューストンとスーザンサランドンを足して2かけたよう
な感じ。握手して早速番組のコンセプトを説明、前2カ国の素材のプリントア
ウトも見せる。

VaioNetのこの番組は、なんといっても「宝物」にまつわるユニークなエピソ
ードがどれだけ取材対象者から引き出せるかにかかっている。デボラさんは
「ドユーアンダースタンドマイエングリッシュ?」を連発しながら確認をして
いく。はっきりしたおばちゃん。

黒いスライド式のNOKIA携帯を見て「Oh! This phone used キアヌリリーブス
in movie "Matrix"」と言っても「I dont know」ときっぱりであった。しかし
この黒い携帯が見事に似合う。トリニティの20年後という感じだもんな~。

このデボラさんはロケ中に暴走、すごいことになる次回をお楽しみに!
http://www.ip2000.net
http://www.vaionet.com/

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0085 6/1
デボラさんが暴走! シンガポールロケ日記part2
------(フェーズ1)航海日誌11日目-------

川井拓也
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【今日のコラム】デボラさんが暴走!

「高層マンションの家庭におじゃま」というピースボートのオプショナルツア
ーをさらにコーディネートしてもらい、VaioNetのミニ番組「ドリームキャッ
チャー」を通訳のデボラとともにロケ中。まずは一軒目の住宅。日本でいう公
団住宅といえるのだが、熱帯ということもあり廊下側がすだれ状で中がよく見
える。そこでタイから移住してきたRENUさんにインタビュー。

シャイな彼女は英語ではうまくインタビューできなかったが、マレー語になる
とイキイキと話してくれて、豊かな表情をファインダーが捉えることができた。
そして次にメインといえる子供のインタビュー。カメラに慣れないANDREW少年
は恥ずかしそうにしている。宝物を入れて欲しいカプセルを渡すと、デボラさ
んは部屋からなにやら持ってきた。それはマッサージ用の木の器具だった。
「これ宝物?」

デボラさんはテキパキと彼にそのマッサージ機を渡して我々にこう説明した。
「彼は小さくてまだうまくしゃべれないから私が話します。マッサージ機をも
った彼を撮影すればいいでしょ。ではいきますよ」とどんどん進める。カメラ
を回すとデボラさんは横でしゃべりはじめた。「彼がもっているのはマッサー
ジャー、ある日お母さんが買ってきたのを使ってみて以来いつも遊ぶのに使っ
ている・・・」

「マイク、少年の胸についているんだよね・・」どうにか少年自身にしゃべら
せようとつたない英語で悪戦苦闘。するとデボラさん、ばりばり質問するもの
だから答えが「yes.....」「no....」となる。「彼こわがってないか?」

しかし、このデボラさんの暴走から「インスピレーション」を得た。ちょうど
思い出したのが「Snowman」だ。イギリス英語の独特のイントネーションによ
る朗読にすばらしいアニメーションがついた作品だ。この短時間と言語の限界
から、話している中身で勝負をすることから完全に方針を転換して、映像と音
声のコラージュ、もしくは朗読に切り替えてもいいかもしれない・・・。そう
考えたのだ。

次の家に移動する。FARIDAHさんは「貝」が宝ものということでコレクション
の一部を見せてもらいながらのインタビューである。次に、お父さんのRIDUAN
さん。「宝物は家族」という彼に、デボラさんは「だめだめ、ものでなくちゃ」
と言ったがふと考えて「OK OK!」とモノなしで語ってもらった。訛りの激しい
英語で半分も理解できなかったが、非常にいい話が聞けた。

船に戻り、webディレクターの村上とバトンタッチする形で合流する番組ディ
レクターの山本と、今までの撮影素材を試写。通しで見ると厳しい条件の中で
の撮影ではあったが、表情のある映像になっている。これからの編集が楽しみ
だ。どんな映像が撮れているかと言うと・・・。

○香港の高級幼稚園での子供のインタビュー(4人)
○香港のベイエリアでのビジネスマンのインタビュー(1人)
○ベトナムダナンの田舎町での女性通訳のインタビュー(1人)
○ベトナムダナンハン河沿いでの子供インタビュー(8人)
○ベトナムランコー村の民家玄関での老人と子供インタビュー(3人)
○ベトナムランコー村の海岸沿いでの子供インタビュー(2人)
○シンガポール高層住宅廊下での女性と子供インタビュー(2人)
○シンガポール高層住宅屋内での家族のインタビュー(4人)

番組はスカイパーフェクTV 749chのVaioNetでノンスクランブル枠とし7月末か
らはじまる。
http://www.vaionet.com/
http://www.ip2000.net

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0086 6/1特別篇
だめ!そこに立っちゃ! JPGが体を貫通するよ!(?)
------(フェーズ1)航海日誌11日目-------

川井拓也
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【今日のコラム】東京にSOS

さて、スタッフも船と陸地のサイクルの感覚に慣れ始めた3国目はシンガポー
ル。最後の先進国(?)ともいえるエリア。しかしipチームにはトラブルが絶
えない。まずTRV900の液晶がもげた! さらに悪いことにどうやっても液晶フ
ァインダーも映らない。デッキ部分は生きているので、予想してワイド側にし
てオートで撮ることはできてもあまりにリスキー。そこで東京にSOS。こんな
救援メールが戻ってきた。メールの主は東京サイドの事務局長、岡田である。

> 事務局岡田gyoです。
>
> やはり船上との交信はタイミングはずすと難しいですな。
> バックアップTRVの件、リース機を1台確保しております。
> 持って行くかどうか連絡待っていますが、時間も無いので
> やまゆうに預けます。
>
> やまゆうは6/1朝8時過ぎに家を出ます。
> 間に合えば、リース機を持って行かなくても良い場合のみ
> メールで連絡下さい。gyoのケータイも可。
> (置いていく場合の返却の心配などは不要)
>
> 連絡無い場合は持っていきます。
> 10万の料金が発生します。
> 返却は清水帰国時にお願いします。
> (清水出国時には修理機1台を持っていってもらうつもりです。
>  その後リース機の使用は控えましょう。)
>
> リース機はソフトのキャリングケースで手荷物で行きます。
> アクセサリーもそのまま入っています。
> (借りたまんまです。梱包不十分な点はご容赦を。)
> しかし、なにぶん借り物なので出来るだけボディのみの使用に
> 限った方が良いでしょう。あまりバラさずに・・・。
>
> 連絡間に合うかな?ダメもとの連絡でした。

シンガポール上陸直前にこのメールをキャッチ。実は入港前というのは船の姿
勢が変わるため通信には向かない時間帯。しかし伊勢華子のウルトラ1の入稿
データと、これらのメール通信があるので、入港30分前に通信。FTPでデータ
が飛んでいく。1MBのデータをFTP、プログレスバーがどんどん伸びていく。
それでも13分くらいかかる。

しかし、湾内に入ってきたオリビアは右に舵を切り込んだ。いかん姿勢が変わ
る。「rimein 2min」とプログレスバーは表示。こうなったら11分の通信を無
駄にしないために手でアンテナの角度を変えるしかない! パソコンとともに
そ~っとアンテナの角度を航跡とは逆に回していく。インマルの電話機には携
帯のようなBARが表示されており、それが1本になっていたのが2本に戻る。表
示は「rimain15sec」

「頼む、最後までデータ行ってくれ!」祈るような気持ちでアンテナを回す。
そこにおばちゃん登場、「あれ、マーライオンよ!」とバタバタとアンテナの
前を横切った。「おばちゃん! そこに立たないで! JPGが体を貫通しちゃ
うよ!」慌てて意味不明な言葉でおばちゃんをどけて画面を見ると「転送終了」
の文字。ヘトヘトでその場に崩れる。で、受信したメールを見ると「ゲゲッ」
とトラブル発生。今度はメールの「中身」を解決する戦いが始まる!

まもなくこれらの通信日記が始まる。
http://www.ip2000.net
http://www.vaionet.com/

▼航海日誌何日目というのがよくわからないので原文ママです。
▼テスト的「ネット買い付け企画」に是非参加していただきたい! 
デジクリ読者は、是非「デジクリで見た」とコメント欄に書いてください!
デジクリ大賞一口5万円提供を決定しました。

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■編集後記(6/3)
・戸田市にある巨大100円ショップを見に行く。自転車で10分くらいのところ
だ。小さな店舗に商品ぎっしりというのが普通だが、ここはスーパーの3階を
全部使っているからめまいがするほど広い。全部を見て回るには相当のパワー
とヒマが必要だ。文房具、食品、衣料、化粧品、調理器具、、、なんでもある。
CD-R、掛け時計、包丁2本セットなんてのも。結局買ってきたのは、カタカナ
語辞典、ラベル、ミニ便箋、デジカメやテレコを入れて持ち運ぶためのソフト
キャリーケース、乾電池、ミニ羊羹(!)だった。安上がりの娯楽。(柴田)

・また占いを教えてもらったので、ぜひ試してみてください。昆虫&花占い。
私は「かすみ草」、男だと「アリ」。なんか地味でちょっと不満。パン占いだ
と「食ぱん」これもなんとなく地味。どちらも当たっているのがのんびりした
性格。やっぱり仙人な時間の流れ。かすみ草にはグレキャラがないのも笑える。
ぐれたことないもんなぁ。                (hammer.mule)
http://www.shueisha.co.jp/uranai/ ←昆虫&花占い
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Vega/8080/ ←パン占い


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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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