[0655] 写真家のホンネ「ヤラセは報道写真で許されるか?」

投稿:  著者:


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0655   2000/07/18.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 16448部
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 <報道写真家は、高い塀の上を歩いている>

■デジクリトーク <投稿>
 写真家のホンネ「ヤラセは報道写真で許されるか?」
 星野 健

■展覧会案内&リレー連載(2)
 MAX "MIX" ART SHOW
 プリンタワークの大冒険
 井上和洋

■デジクリトーク
 ラジカル鈴木ニューヨークに行く(1)
 歩き過ぎで足にはマメが2つも
 ラジカル鈴木

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記  0116 7/18
 洋上で聞いたあの曲、その瞬間私は一人だった。
 ------(フェーズ1)航海日誌62日目-------
 川井拓也@sea

■新刊案内
 DTPWORLD7/8月号 「Illustrator9.0のココが○ココが×」



■デジクリトーク <投稿>
写真家のホンネ「ヤラセは報道写真で許されるか?」

星野 健
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●アート写真 vs. ドキュメンタリー写真

一般的に、アート写真家とドキュメンタリー写真家は折り合いが悪いようだ。

「笑うことすらできない。あれは自己表現の放棄だね」
森村のモナリザ写真を見た友人のフォトジャーナリストは、憤慨して言った。
「昔の名画をまねることがどこが革新的なのか理解不能」だかららしい。
そんな友人は、他の有名写真家にも辛辣だ。
「猫と死んだ嫁さんのヌードの写真で金儲けをする、あのハゲおやじはなんな
んだ」

こうした反応は報道写真、ドキュメンタリー写真でメシを食っているひとびと
のなかでは、それほど珍しい反応ではない。彼らがアート写真家をこのように
批判する背景には、自分たちが「操作を行わず撮影する」ことや、「安易に自
分の周りの人々(恋人など)を撮らない」ことに対する自負心がある。すなわ
ち、「日常から真実を切り取ることこそが写真」という信念から絞り出される
意見だ。

要するに、一般的な「アート写真とドキュメンタリー写真の分け方」とは、前
者が「ヤラセあり=操作(被写体の配置など)を前提として作られた写真」で
後者は「ヤラセなし=手を加えず、真実を写し込んだ写真」というものである。

ところが、実際は、二つの種類の写真は、この分類が示すほど、お互いが乖離
しているわけではない。たとえば、ドキュメンタリー写真を批判するひとがい
る。彼らいわく、「あれってヤラセじゃないの?」。彼らの疑問点は、長方形
のフィルムに写り込んでいる事象が「真実か否か」だ。

そう、実は、アート写真とドキュメンタリー写真は、それほど単純に二極化し
ていない。今回は、ドキュメンタリー写真がいかにヤラセ(絵作りという意味
で)の世界と密接に関係しているか、すなわち、曖昧な「真実性」に基づいて
いるかについて話したい。

●ヤラセの現実

例えば、ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」は世界でもっとも有名な写真
の一つだが、あの写真にはヤラセの可能性があり、ついこの間まで論議がされ
ていた(結局、ヤラセでないと結論したらしい)。

アメリカのタブロイド誌で活躍したウィージーの写真は、ヤラセ写真のオンパ
レードだった。また、日本国内でもっとも有名なヤラセ写真はやはり、沖縄サ
ンゴ写真だろう。これは、朝日の社員がサンゴに文字を書き込み、「こんなヒ
ドイことをした人がいる」と環境問題に関する告発を自作自演した事件だ。

当時の社員の弁明は実に興味深い。
「もともと、そのサンゴにはうっすらと文字が書いてあった。それでは、写真
的に栄えないので、カリカリとなぞって深くした」というのである。

「沖縄サンゴ事件」は、私たち報道写真家にとってきわめて教訓的である。と
いうのは、いつ自分が「朝日のカレ」になるか分からないからだ。ひょっとし
たら、真実をねじ曲げたマスコミの恥としてつるし上げられ、二度とカメラを
持てないようになったのは自分かもしれない。

●「ヤラセ」という行為の曖昧性

それほど、ヤラセ写真とヤラセでない写真の境目は曖昧だ。だいたいの場合、
ヤラセにおける言い訳(詭弁)は、「その状況は行われた(行われる)かもし
れない」から「再現してみた」というものだ。次の例とその弁明について、皆
さんはどう思うだろうか。

1.ある労組の決起集会の撮影で、拳を挙げてシュプレヒコールを行う際、顔が
 見えなくなる危険性から、挙げる拳が右手に統一してもらうよう、頼んだ。
 (弁明・ひょっとしたら言わなくても全員右手を挙げたかもしれない)

2.さほど寒くない日、100人の人のなかで、たった一人だけコート着ている人
 を見つけ撮影を行い、「寒い日」というキャプションを付けた。
 (弁明・ひょっとしたら出会っていない100人以外の人は全員コートをつけ
 ているかもしれない)

3.暴力団員の撮影に伴い、フンドシだけでドスを構えて振ってもらった。
 (弁明・ひょっとしたら毎日素振りの練習しているかも知れない)

4.記者会見で、ある書類を受け渡すシーンを3回繰り返してやってもらった。
 (弁明・ひょっとしたら受け渡しがうまくいかず3回やることもあるかもし
 れない)

5.自分の彼女を駄菓子屋へ連れていき、死ぬほど買わせて食べさせそれを撮影、
 「駄菓子屋が人気」というキャプションをつけた。
 (弁明・過食症の女の子ならそれぐらいするかもしれない)

6.自分の父にマッサージを行い、介護保険問題のイメージ写真として使用した。
 (弁明・120パーセント私のオヤジは介護保険の御世話になるだろう)

7.どこかの首脳に核ミサイルのボタンを押すマネをしてもらうよう、頼んだ。
 (弁明・第三次世界大戦が明日勃発するかもしれない)

8.pcの画面を撮るとき、アングルの問題上、モニタの位置を移動させた。
 (弁明・ひょっとしたら普通の人には目に見えない小人が位置を変えるかも
 しれない)

9.16000部を発行しているウェブマガジンの読者でない人に、楽しそうにパソ
 コン上でそのマガジンを読んでいるカットを撮影した。
 (弁明・ひょっとしたらすぐにでも会員登録するかもしれない)

というわけで、カメラマンたちが、「日常生活をあるがまま撮る」なんてこと
は、意外と少ないかもしれない。少なくとも、そこにはカメラマン個人の主観
的な情報選択と情報操作が介在しているからだ。
 
●カメラマンの力~毎日が究極の選択~

こうした状況、つまり「ある程度の絵作り」がもし、仮に行われているとして、
私たちはその現象をどう捉えるべきだろうか。それはもう、その人の価値観に
頼るしかない。

サンゴの事件が、許されるべきでない境界を越えてしまったのかどうか、私に
はまだ分からない。もともとキズのついていたサンゴにもう少しハッキリ見え
るようになぞったことがダメなことで、記者会見で顔がかぶらないようにマイ
クの位置を動かしすことは「イイ」ことなのか。カメラの前でポーズを撮らせ
ることは「アリ」なのか。
 
こうして写真を撮るという行為について考えていったとき、アート写真かドキ
ュメンタリー写真か、ヤラセが善か悪か、といった境界線はもはや意味をなさ
ない。
 
より重要なことは、カメラマンという人種が、連続性のある人間の時間のなか
で、125分の1といった時間を切り裂き、画像を定着させることができるという、
きわめて特殊な能力を持つ人間だということだ。被写体を選び、1日の何万分
の1の時間を、そして3次元上のありとあらゆる角度からたった一つの角度を
選択し、シャッターボタンを押し込み、一つの絵を生みだす。それは神の行為
といっても言い過ぎではない。
 
そして、その圧倒的な行為を行なう力を与えられているがゆえに、あらゆる批
判を受け入れることを覚悟し、あらゆる責任の所在が自分にあることを自覚す
るべきなのだ。

そういう意味では、少なくとも私たち報道写真家は、高い塀の上を歩いている
のである。右に落ちれば英雄、左に落ちれば卑怯者。

そう、明日、私はカメラマンではないのかもしれない!

【ほしの・けん】deadfrog2001@hotmail.com
20代、職業斜真家。人生に迷うことにかけては人後に落ちない。近況・フラン
スミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち」のDVDを手にいれるために
秋葉原でプレステ2を購入。つかのまの幸福な日々を過ごしている。

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■展覧会案内&リレー連載(2)
MAX "MIX" ART SHOW
プリンタワークの大冒険

井上和洋
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従来の高画質を最優先するプリントアウトとは異質のプリンタワークにチャレ
ンジしたデジタルアーティストたちの作品を展示する「MAX "MIX" ART SHOW
--プリンタワークの大冒険--」が開催される。参加予定作家は、井上和洋、井
上佳子、木村智博、成光雄、藤原ヨウコウ、山田真屋、YUMEの7氏。

・会期 7月24日(月)~28日(金)9時半~17時半
・会場 「EPSON SQUARE 御堂筋」大阪市中央区淡路町3-6-3 NMプラザ御堂筋
Tel.06-6205-2727 Fax.06-6205-2728

リレー連載(2)井上和洋
●プリントアウト後の加筆に賭ける

ん~困った。プリント後の加工や仕事を見せるような展覧会意図だ。作りなが
ら考える、ということで、取り敢えず今までに作った3Dデータを再構成してレ
ンダリング。プリントアウト後の加筆に賭ける事にした。

それだけではありきたりなので布にプリントアウトしたものを小粋な家具(小
品)なんかに布着せしたらどーかなと、ぼーと考えてたけど、なかなか小粋な
家具(小品)なんてあるものじゃありません。ホームセンターで小さなお尻の
人用の小さな木イスが売っていたので、まーこれでいいかって気持ちで取り敢
えずアクリル絵の具でイスにエージング(古めかしく見せる塗り方)して座面
に布プリントアウトを貼りました。

次に加筆です。久しぶりにテンペラで描きたかったのでテンペラメディウムを
作りました。これはダンマルという樹脂をテレピン油で溶かしたものに鶏卵を
混ぜ、死ぬほど攪拌します。こうすることでエマルジョンといって、水分と油
分が共存した状態になります(マヨネーズもこの状態です)。このメディウム
で顔料を練りこみテンペラ絵の具を作りプリント面に加筆します。~なんか技
法教室みたいです~

テンペラで加筆したのは、水性のリキテックスや油絵の具では、水分や油分が
プリントインクの染料を犯してしまい元の絵がぐちゃぐちゃになるからです。
それと今回出力していただいたピクトリコの薄い布は、布自体にプリント染料
が染み込んでペーパー出力よりも定着が良い事を知っていたからでもあります。

他にはアルキド樹脂というものを塗りたくった上にテンペラ加筆をしてみまし
た。この樹脂は乾燥するとはげしく黄変しますが、それも作品の絵肌にあって
いるかなと。

「プリンタワークでこんな冒険」なんてかんじの展覧会ですが、未知の領域に
挑戦してTRY&ERRORをくりかえし大胆な冒険をする余裕もなさそうなので、無
難になんとかしようとしている自分に少々うしろめたさを感じつつ、完成をめ
ざしております。

きっと他の皆さん、計画的に着々とやっているんだろうな~。

【いのうえ・かずひろ】BXE01341@nifty.ne.jp
1966年京都生まれ。91年京都市立芸術大学大学院修了。その後(株)ガストウ
ォールペインティングを設立し商業施設などに手描きによる壁画を始める。CG
のイラスト、パースにも興味を持ち96年アトリエサンク設立。88年より抽象油
彩による個展、グループ展活動。92年からはCGによる活動。93年日本CGグラン
プリ優秀賞受賞。94・97年JACA日本ビジュアルアート展入選等。

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■デジクリトーク
ラジカル鈴木ニューヨークに行く(1)
歩き過ぎで足にはマメが2つも

ラジカル鈴木
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6月10日(土)より18日(日)まで、長年待望のNYへ行ってきました。

行き帰りとも、13時間のフライトを経てきました・・。コンチネンタル航空だ
ったんですけど、各座席に液晶モニターがあって、映画、バラエティ、ゲーム、
音楽なんかが楽しめるので飽きなかったです。行きに、ジャズをずっと聴いて
いたら、いやが上にも気分は盛り上がってきました!!

そして遂に到着...昨年飛行機が突っ込んでしまった事故のあったニュージ
ャージーのニューアーク空港へ到着後、送迎バスでいよいよマンハッタン入り!
初めて訪れたマンハッタンは、まるで映画のセットのようでした。ミッドタウ
ン、マディソン・スクゥエア・ガーデンとペンシルバニア・ステーションのま
ん前のサウスゲート・タワーホテルに着いたのが現地時間で8時頃、しかし日
が長く、まだまだあたりは明るかった。

落ち着いてから、まず、歩いてすぐの場所にある、エンパイア・ステートビル
へ夜景を観に出発!! もうすぐ日が暮れる絶妙の時間です。土曜の夜、アメ
リカ各地からの観光客でにぎわっており、上まで上がるのに待たされること一
時間。しかし、そんな疲れも、眠さも何もかも108階の展望台に上がったとた
んに吹っ飛んでしまいました。その夜景は生涯、今まで観たものの中で最高で
した・・・ 108階からほぼ全てを見渡せるマンハッタンの夜景!!!

・・・いろんな意味で凄かったですNY!!! 驚きの連続!! 日本の常識が
全く当てはまらない場所!!!

6月、こっちも丁度季節の変わり目です。着いた日が35度、そして数日間10度
と気温の差が激しいのと、過労でちょっと体調を崩しました。歩き過ぎで足に
はマメが2つも。いったい何キロ歩いたのかな。少し痩せたかもしれないな~。

行ったことがある方ならお分かりかと思いますが、例えばどのくらい歩いたか
というと、アッパーイーストサイドのメトロポリタン美術館から宿のあるマデ
ィソン・スクゥエア・ガーデンまで、とか、SOHOの下のキャナルst.からマデ
ィソン・スクゥエア・ガーデンまで、といった具合です。すごいでしょ?

翌日、11日の日曜、昨日と同じ35度。マンハッタンから地下鉄で一時間弱、あ
の、コニーアイランドへ!! コニーアイランドって、あのサビレ具合が好き
っていうファンが多いですね。花屋敷も負けた! っていう感じの・・

映画、アニーホールで有名なローラーコースターは確認しませんでしが、ジェ
ットコースターは遠くから確認できました。噂によると、凄い勢いなので、乗
るとムチウチになるらしいです(笑)。向かう途中のサブウェイで本物のファ
ックとアスホールを聴きました。その黒人の子供、やたらファックを使うんで
す、見事でした。「ファッキン・ビッチ、アスホール、マザーファッカー」て
なかんじ。

すごいいい天気の、海水浴日和日だったので、ビーチは賑わっていました。様
々な人種の人人人が皆海に入る・・・ 初めてですこんなのは。

その後、ニューヨーク市立水族館を観てから、セントラルパークを目指してマ
ンハッタンへ戻ります。すると、セントラルパークではプエルトリカンのお祭
りみたいのだったらしく、ノースミッドタウンまでもう大変な騒ぎ。。。。

道が全然進めない。大きな大きな身長が2mくらいある人や、体重が300kgくら
いありそうな人と、目が合おうものなら殺されるんじゃないかと思ってヒヤヒ
ヤでした。

Puerto Rico Dayのことを知ってる人があまりいないんですが、毎年恒例なん
ですってね。セントラルパークでおそらくグロリア・エステファンか誰かがコ
ンサートしてたみたいですが、なにしろ人人人で向うに進めないんです。メト
ロに乗ればまた大声で騒いでる連中がいたりしてもうたいへん。

NYには何十万人ものプエルトリカンがいて、日本人など完全にマイノリティな
のだと思い知りました。案の定、「日曜日のセントラルパークのお祭り」で集
団婦女暴行があったという報道がありました。そう、絶対何かあったろうなと
は思ったんです。ただならぬテンションだったから・・

向うからもメールしようとメールアドレス帳持って行ったんだけど、パソコン
の借りられるコピーショップのキンコーズの黒人さんの係りの説明がよくわか
らなくてダメで、やっぱりパソコンを借りられる市立図書館は、予約がいっぱ
いで、結局送れなかった。ヴィレッジとタイムズスクエアにネットカフェがあ
りましたけど、見つけたのが最終日だったので出しませんでした。メールは挫
折です。

しかし、どうやって日本語textで送るのかが疑問だったのですが、帰ってきて
からやり方を人に聞いたら、まずマイクロソフトのサイトにアクセスして、日
本語環境ソースをダウンロードできるから、そうして、インストールすればい
いとのこと。ちょっと見つかったら怒られるかもしれないけど、なるほどね~。

【らじかる・すずき】radical@big.or.jp
「バッファロー`66」の主人公と同じく、1966年11月7日生まれ。同月日に出生
した人:アルベール・カミュ、上原謙、キュリー婦人、長瀬智也、笑福亭笑瓶、
そしてスティーヴ・マックィーンの命日、また「せんべい・あられの日」でも
ある(笑)。干支は丙午(ヒノエウマ)。 さそり座。血液O型。埼玉県春日部
市で育つ。受賞暦多数。イラストレーションを広告・書籍・雑誌・キャラクタ
ーデザイン・映像作品に展開中。
http://www.big.or.jp/~radical/

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記  0116 7/18
洋上で聞いたあの曲、その瞬間私は一人だった。
------(フェーズ1)航海日誌62日目-------

川井拓也@sea
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【現在の船の位置=凸】
東京>>香港>ベトナム>シンガポール>スリランカ>セイシェル>ケニア>
エリトリア>エジプト>イスラエル>ギリシア>クロアチア>イタリア>カナリア
>凸>>キューバ>メキシコ>カナダ>ロシア>東京
Transported by http://www.peaceboat.org/
Planning&Produced by http://www.taiyokikaku.com

【ip2000チームが航海しながら制作・発信中のコンテンツ】
●「ドリームキャッチャー~人生の宝物~」
7/30より連続10週毎日ノンスクランブル枠で放映予定!
http://www.vaionet.com/

●本日更新!@ぴあ「さすらいの通信芸人」
吉澤由香の洋上モバイル日記
http://www.pia.co.jp/sp/wwm/index.htm

【今日のコラム】
□□□□テクニカル度
■■■■旅行シズル度
□□□□おもしろ度
□□□□制作プロセス度

長い大西洋クルーズに入り、船では各種イベントが開かれている。ちょっと前
に七夕イベントがあった。後部デッキにはネプチューンバーというバーがあり
その中に屋台の「まんだら屋」がある。カクテルからたこ焼きまで26時くらい
まで営業しており、みなの憩いの場となっている。

ここで七夕のイベントが行われたのは7月7日のことだからだいぶ前になるが、
この日は昼からイベントの仕込みが行われていた。船内にはPAチームという機
材や音響を取り仕切る頼もしいチームがあって、毎イベントごとにいろんな人
のわがままを実現させてくれる。ここのチームリーダーである馬野氏はもう一
年以上も船に乗っており、さながら「海の上のPAさん」である。

いつだったか通信をしている時に「馬野さんってこんなに船乗っていると東京
の家どうしているですか?」と聞いたら「いや、ありませんよ。家は」と軽く
返され驚いたことがあった。しかし自分もこのプロジェクトを続けていくなら
「家」はいらんかな? などと考え始めていたりして恐ろしい・・。

そんなPAチームが、いつものようにBOSEのスピーカーやらミキサーを揃えて音
の調整をしていた。私はちょうどインマルサットで通信をしていた時のことだ。
インド洋の通信衛星を捉えていたころなので、後部から上空に向けて衛星をセ
ッテイングする。見下ろすネプチューンでは人々が慌しく飾り付けを行ったり
席を準備していたり、さながら文化祭の前のようだった。

PAチームは音のテストのためにいろいろな曲を流していた。その大音量は地中
海に響いていた。そしてある曲がかかった時に、私はふと頭が白くなった。そ
して回りの喧騒がまるでフェードアウトするように消えていくのが分り、人々
の動きはスローモーションになっていくように見えた。インマルの通信を行っ
ているパソコンではFTPソフトが稼動していて、ゆっくりと書類にステイタス
バーが動いており、それが日本とつながっていることをはっきりと示していた。

私がこのプロジェクトをはじめて最初に作ったイメージビデオは、ピースボー
トから借りたビデオの中から船の先端がいろいろな海を進んでいくシーンと出
航のシーンをつないだものだった。それは何度となく、本当に数え切れないく
らいいろいろな人に見せたビデオだ。ある時は大画面プロジェクターで、ある
時はパソコンで、ある時はTRV900の液晶で見せたビデオだ。

そのビデオに使った曲は「海の上のピアニスト」のテーマ曲だった。エンニオ
モリコーネが好きな私は、迷いなく最初に選曲した。その曲が今偶然にも地中
海の上で大きなスピーカーから流れている。

オリビア号はイタリアに向け進んでいて、静かな地中海が眼下に広がっている。
私はしばし作業する手を休めてその曲を聞いた。回りにスタッフは誰もいなか
った。誰もこの曲と私の関係のことは知らないだろう。私はそれが「自分への
ささやかな偶然のプレゼント」だと解釈して全身で聞くことにした。この喜び
は誰かに伝えたかったが、しかし誰よりもそれを喜べるのは自分であることも
よく分っていた。

この曲を最後まで聞かせて欲しい。知ってか知らずか曲の終わりまでかかり、
次の曲はロックになった。私の目の中で人々は動き出しまた喧騒が戻ってきた。
まるで蜃気楼のような一瞬だった。ふとPCの画面を見ると、データはすべて東
京のサーバーに吸い込まれていた。慌てて接続を切断して私は船底に戻り「船
の上のプロデューサー」に戻ったのだった。

今日の画像は1枚である。大西洋を進むオリビア号。私は毎日この場所で15分
無心になる。(▼1)壁紙用のデータも近日中に公開予定である。よろしけれ
ばご一緒に航海はいかがだろうか?

※文中▼がついている部分は以下のサイトの「日刊デジクリ with ip2000.net」
をクリックしてください。コラムに連動する写真が掲載されています。
http://www.ip2000.net/

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■新刊案内
DTPWORLD7/8月号 「Illustrator9.0のココが○ココが×」
http://www.wgn.co.jp/
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デジクリ読者の皆さん、こんにちわ! DTPWORLD編集部、激辛大好き編集者、
津田淳子と申します。今日のお昼は「辛冷麺」という、唐辛子の色で一面真っ
赤っかな冷麺を汗ダラダラで食べてしまいました。後から舌を洗いたくなるほ
ど辛いとわかってても何故か辞められない、激辛探検。はてさて、これは体に
○なのか×なのか……。

さて今日は、7月13日に発売した「DTPWORLD7・8月号」のご紹介をさせていた
だきます。

第1特集は「10人の達人たちが激白!! Illustrator9.0のココが○ココが×」。
中根ケンイチさん、海津宜則さん、ラジカル鈴木さん、大賀葉子さん、昆工さ
ん、夢姫/駄場真弓さん、石田智之さん、宮川千春さん、吉岡ゆかりさん、森
川眞行さん。第一線で活躍する10名にIllustrator9.0を使って作っていただい
た作品&Tips紹介と、作品を作る際に感じたIllustrator9.0のイイところ、ワ
ルイところを率直に語っていただきました。

後半ではver5.5、8から9への差分を一覧表や、新機能や機能変更点の詳細解説
をカッコイイ作例を使って紹介。またIllustrator9.0で作ったデータはきちん
と出力できるのかなどのデータ検証もしていますので、バージョンアップを考
えているユーザーは必見です!

第2特集は「新聞作りの大研究」。一番身近な媒体なのに意外にその制作現場
は知られていないのが新聞です。何百万部の全国・日刊紙から郷土に根ざした
地方紙、好き者にはたまらないスポーツ紙、業界紙から地域の広報紙まで盛り
だくさんの内容で新聞作りに迫ります。DTPを活かして多メディア展開を目指
す、新聞の「今」がわかる硬派な(?)特集です。

特別企画は「名刺デザインに挑戦!」。ちょっとしたコツとテマでできる、見
栄えのするステキな名刺の作り方を伝授。またCD-ROM名刺やDr.コパ先生によ
る風水を生かした名刺の作り方なども紹介しています。

短期集中連載「カラープリント実力養成講座」をはじめ、「Photoshopサイバ
ースタジオ」「QXデザイン・タクティス」「DTPクリエイターのためのWEBサイ
ト構築講座」「すすめ! 印刷探検隊」などなど、連載も読み応えバッチリ!

そして、創刊以来4年間、隔月刊誌として発行してきたDTPWORLDですが、10月
13日発売号(2000年11月号)より、いよいよ「月刊誌」として生まれ変わりま
す。今までの濃い内容はそのままに、編集・デザイン・印刷にスグに役立つ情
報を更にパワーアップしてお届けします。

ジェイソンは金曜日だけ、でもDTPWORLDは毎月13日発売です!

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●"山下憲治氏"を偲ぶメールマガジンフォーラム'2000 <新情報>
 7月21日(金)19:00より開催!

【問合わせ】info@kip.net メールマガジンフォーラム事務局 078-511-4647
NEW!!【参加申し込み】kwmo_reg@www.docan.co.jp 
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■編集後記(7/18)
・風呂上がりの夕食でビールを飲んで、いい気持ちでハニー号の散歩をした後
ベット脇に置いたテレビデオを酔った頭で見る怠惰な日々。WOWOWで録画した
「アルマゲドン」と「ディープインパクト」をたまたま2日続けて見た。よく
似た話だ。どっちの方が評価が高かったかは知らないが「ディープ」の方が俗
っぽくて面白かった。B級、トンデモが好きなわたし。とくにあのカタストロ
フの場面がいい(技術的にどうかはわからないが)。ヒロインを比べたら断然
「アルマゲ」の勝ち。だから両方とも保管しておくことにした。(柴田)

・アスキーの豊泉さんから650号の後記について追記メールをいただく。「こ
こからは雑談になりますが、うちの妻も空手やってたんですよ。結婚当初(も
う10年前っすが)、普通なら『こいつ~』ポカ。『いや~ん』みたいな展開に
なることを無条件に信じてふざけて手を出したところ、バシッと上段払いをさ
れて(それだけでも結構痛かった)おまけに腹に突きまで入れられたことがあ
るっす。K-1なんかをテレビで一緒に見ていて僕が『今のローキック効いてる
よね』とか言うと『ふっ。受けたこともないくせに』と鼻で笑われて気分悪い
っす。」もう、これ読んであまりのラブラブぶりがうらやまし~、と、奥さん
の気持ちがごっついわかります、そうそうそう!ということで微笑ましいで賞。
もう空手はナマってしまったが、人の脇腹はつつくの好き。(hammer.mule)


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http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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