[0765] ドメイン風ネーミング・モデルの罪は誰があがなうのか

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0765   2000/12/14.Thu発行
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 <大人のすることのようには思えない>

■デジクリトーク
 ドメイン風ネーミング・モデルの罪は誰があがなうのか
 なゆみ かすい

■デジクリトーク
 左脳派クリエーターの憂鬱
 なりた麻美



■デジクリトーク
ドメイン風ネーミング・モデルの罪は誰があがなうのか

なゆみ かすい
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(The another story of #717:新アニメ「新言語戦記C♯」に寄せて)

最近、ドメイン名の話題が熱い。取っておいたネタだけど、冷めないうちにと
いうことで……。

●惑星「.NET」の裏側にあるもの

かねてから「.COM」、「.NET」、そして「.ORG」というのは「gTLD」のひとつ
であり、多くの人がそれを知っている。

一方、Microsoftは「COM(Component Object Model)」を開発していた。オブジ
ェクト間の通信を取り決めた、あるいはそれを担う技術で「ActiveX」や「ASP
(Active Server Page)」といった技術もこの「COM」の上に成り立っている。

そして「COM+」の名の下にインターネットやイントラネットへの対応等を施し
たものの開発を続けいていた。しかし、今年になって突如として発表されたの
が「.NET戦略」。あわせて「COMフレームワーク」から「.NETフレームワーク」
へと舞台が変わることとなった。

これを見て、まず思ったことは「COM」の次は「NET」かということだ。つまり、
「.COM戦略」でも良かったはずなのだ。それなのに、あえて「.NET戦略」にし
たように見える。世間では「.COM企業」という固有名詞が氾濫していたから避
けたかったのだとは思うが、かといって「.NET」というのは安直すぎる。

いや、「.NET戦略」というだけならまだいい。安直さもいいかんげんなところ
で「Microsoft.NET」だとか「Windows.NET」というように、これからは何でも
「××.NET」と表現していこうとしているように伺えるから性質が悪い。

先に書いたように「.NET」という名称は「gTLD」のひとつであり、その配下に
既に多くのドメイン名が、そして、Microsoft以外の個人または企業や団体に
よって殆どが取得されている。もちろん、Microsoftも「.NET戦略」の発表に
あわせて、いくつかの「.NETドメイン」を取得したようだが、商標として守ら
れているものなので空いていたようだ。

しかし、辞書に載っているようなフレーズは既に殆どが取得されているため、
取得されていないフレーズを探す方が難しい。もっとも、休眠ドメインも多い
ので金銭的な折り合いを付けることができれば取得も難しくないかもしれない。
そう……気の効いた「××.NET」を持っていれば小遣い稼ぎができるかもしれ
ない。汎用的な意味のない多くの人に魅力のないドメインだと意味がないかも
しれないが、これからは「.NET」を取得しよう!(笑)

それでも、ドメイン名はあくまでドメイン名。商標ないし固有名詞と混同する
つもりはない。また、「.NET」という汎用的な表現を嫌っているのであって、
「Microsoft.NET」や「Windwos.NET」という表現を嫌っているわけではない。
それに「.NET戦略」という表現は、Microsoftの「××.NET」のみを総称した
名称だというのも、もちろん分かる。

ところが、すべての「.NETドメイン」をMicrosoftのもの、あるいはMicrosoft
が管理するものだと勘違いする人がいないとは言い切れない。「.NET戦略」と
いうのは「.COM企業」というような表現とは全く性質の異なるものなのだ。

一般に紛らわしすぎる名称であり、大人のすることのようには思えない。

●これからも、クレーターは増え続けるのか?

「au.NET」というのは、KDDIの携帯経由のインターネット接続サービス。しか
し、驚いたことに「AU.NET」というドメインは、WHOISで調べてみると「オー
ストラリア学術研究ネットワーク」の所有となっている(2000/11/23現在)。

類似商標の調査はしなかったのだろうか……。ドメインの取得はウェブ・サイ
トの開設を義務づけるものではないのでサイトを開設しなくとも、メールのみ
だとか、その他のサービスだけのために取得してもいいのだが、ドメイン風ネ
ーミングがあると、ユーザー的には「(www.)au.net」というドメインのサイト
があると思うのが筋というもの。

加えて、Microsoftの「.NET」のように「NET」だけを大文字で表記しているも
のだから更に紛らわしい。「au.NET」よ、おまえはMicrosoftの運営するサー
ビスなのかい?――と、問いたくなってしまうくらいだ。

ただ、このようなドメイン風ネーミング、「××.CO.JP」なんて長くて実用に
耐えないため、そのまま社名や商標には使い難い。そのため、サイト名と連動
したドメイン風ネーミングをしようとするなら、専ら「gTLD風」にするしかな
かった。

しかし、じきに「JPドメイン」の第二レベルが開放される。JPドメイン風ネー
ミングも多く出てくることが予測される。また、既に「××.JP」という名称
の企業は存在するようだ。

#740の「毒入りクッキー、食べていませんか?」ではクッキー問題について書
き、「JPドメイン」の開放に係る危惧についても触れた。この「JPドメイン」
の開放によって、それと同じような危惧がドメイン風ネーミングについてもい
える。

「.NET戦略」問題や「au.NET」問題が「P波」だとするなら、これからやって
来るのは「S波」。この混乱の波が国内に押し寄せて来るのも時間の問題だ。

罪は誰かが償わなければならい。一体、誰が償うのか? 誰が償うべきか?

●明日を迎えるために

さて、話は少し変わる。「JPドメイン」のような「ccTLD」の場合、従来のよ
うに第三レベルからの開放が望ましいと考える方だ。ドメイン名を見るだけで
ある程度の属性が分かるからだ。「gTLD」には、全く取得制限が付されていな
いものの、(個人サイト等を省けば)ある程度はTLDと属性が一致する。その
ため分かりやすい。「.COM」と「.ORG」の間には見えない線が引いてあるのだ。

それでも、「ccTLD」で第二レベルから開放されていると国籍しか属性が分か
らない。いや、登録に際して国籍を問わない「ccTLD」もあるので、それすら
危うい。

そのような理由から、取得しやすいことを除けば「××.JP」に魅力が感じら
れないため、「gTLD」か従来の「××.CO.JP」や「××.GR.JP」等の方が良い
と思っている。分かりやすさよりも印象をとるわけだ。

その時、ドメインを取得するとして……「JPドメイン」なら、属性で取得可能
なドメインが振り分けられるため、どの属性で取得するかはすぐに決まる。し
かし、「gTLD」の場合は時として迷うかもしれない。

今、誰でも取得できる「gTLD」は三つ。この中から、どれかひとつを取得する
とすれば、個人的には「.NET」で取得したい。

もちろん、先に述べた話題とは関係なく、かねてから「.NET」だけを取得して
きたし、その理由は一言で言ってしまえば「.COMは映画的でない!」からだ。
世間で「.COM」が騒がれていたりしても、これまで「.COM」が格好の良いもの
と思ったことはない。

何故なら「××.COM」という名称が映画に出てきても、お笑いにしか思えない
のだ。空想めいているかもしれないが、映画や小説の中でも映えるような名前
の方が良いでしょ?

また、第二候補は「.ORG」だ。今の時代、あるいは未来を託して「.ORG」。第
二候補は……というよりも「.ORG」がイメージとして本命かもしれない。最も
映画的であり、次世代的、近未来的であるかのように思えるからだ。

そう、「.NET」だけを取得してきたと書いたが、今では誤りなのだ。この間、
例外として「.COM」と「.NET」と「.ORG」の三つを同時に取得した。TLD毎に
サービスを切り分けるためだ。この記事が掲載される頃にはその内容について
既にお知らせしているかもしれないが、「.NET」が中核サービス、「.COM」が
(防護商標的な意味も強いが、未定ながら)発展サービス、そして「.ORG」が
コミュニティーといった具合だ。これはソフトウェアのオープン・ソース関連
のサイト等でよく見られるような「.COM(ユーザー・サポート付きの製品用)」
と「.ORG(ユーザー・サポートなしの製品用)」といったモデルに倣って計画
したものだ。

●参考:最近の主なドメイン関連の話題@デジクリ(2000/11/23現在)

#571 ドットコムCFの威力
#565 ビジネスモデル特許の脅威
#654 くたばれ! ビジネスモデル特許!
#681 ドメインが取れない!
#739 日本語ドメイン狂騒が生み出したもの?
#743 マックフォレスト・ドットコム、静かにオープン
#747 日本語ドメインについてワシラも考えた

【なゆみ かすい】mailto:kasui@flux.gr.jp
韓国で「音声ドメイン」の登録サービスが始まると聞いて、それって「鈴の音」
とか「波の音」とかでもできるってことかなぁ、すごい! と思ったが、その
件に関する記事をよく読んでみると予想とは全く違う内容で「発音」でないと
ダメな様子。「Voice」だけど「Sound」ではないというわけ。がっかり。それ
でも「Sound」に対応したドメインが出現するような日も、いつか来るよね?
例えば、フーリエ変換してその要素に何等かのエンコーディングを施してドメ
イン名に変換するとかして。ただ、SF映画並みにエージェント技術が進歩して
ドメイン名そのものの必要性が無くなっていたりするかもしれないけど。

そこで、今すぐにでもできそうな、MML(Music Macro Language)ドメイン・
サービスなんていうのはどうでしょう。ジングルなんかを登録しておくわけ。
これはドメイン・サービスでなくても、キーワード・サービスでいい。

例えば、音楽の心得がある人だったら、CMソングのメロディーを直接にMMLで
タイプすれば、そのCMの関連サイトに行けたりするし、不得手な人だって鼻歌
をMML化するソフトがあれば解決できる。それから、多言語ドメインが平気で
使える時代になったら「CDEFGAB」ではなく「ドレミファソラシド」でもいい。
もちろん、キーワード・サービスなら最初から「ドレミ」でいい。

ただ、純オリジナルものおよびオフィシャルな登録なら良いけれど、著作権の
問題やら類似曲の問題がややこしすぎるから商標以上に判断が大変だし、問題
も多発しそう。それに著作権のない既存曲の処遇の問題も。以上のことから、
かなり非現実的。Napster以上の権利問題が発生するね。きっと……。

# またも後書きが本命か!?(汗)
なゆみ かすい [ kasui@flux.gr.jp ]

▼すみません、11月末にいただいた原稿を大事にとっておきましたので、、、

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■デジクリトーク 
左脳派クリエーターの憂鬱

なりた麻美
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右脳、左脳などという言葉は、随分前から聞き知っていたが、自分が右脳人間
か左脳人間かなんてことについては考えたこともなかった。自分では、あまり
言語中枢が発達しているとも思わないし、物心ついた頃から絵を描いていたし、
地図や図形にもぼちぼち強いからきっと右脳人間だ。っと勝手に推測していた
程度である。しかし、事実はそれとは異なっていた。私はバリバリの左脳人間
だったのだ。

その事実に気付いたのは、最近テレビのとある番組でその特集をやっていた時
のことだ。手始めに、確認テストをやる。左にシンプルな図形、右にシンプル
な図形を組み合わせた複雑な図形があり、左の図形が右のどの図形に含まれる
か結びつけるテストであったが、なんと、私はそれが一問もできなかったので
ある(問題の意味を取り違えていたというウワサもあるが。。。(-_-;))。

その後、右脳人間と左脳人間の違いをドキュメンタリータッチで解説していた。
右脳人間は、ちらかった部屋を片付ける時、片付いた部屋のイメージを明確に
思い浮かべ、それに従ってテキパキと部屋を片付ける。それに引き換え、左脳
人間は、曖昧なイメージしかつかめず、なかなかうまく部屋が片付かない。あ
げくの果て、昔のアルバムをみつけて思い出に浸る始末である。そして、左脳
人間のそれは、まさしく自分の行動と一致していた。(-_-;)

思い起こせば、他にも思い当たるフシはある。受験の時、平面構成がニガテだ
った。音楽や、映画、スポーツに夢中になれる人をうらやましく思う。デザイ
ナーをやっていた頃、何をすればいいのかわからず途方にくれた。デザイナー
をやめて、SEになった時、「世の中にこんな向いてる職業があったのに、何で
私はデザイナーなんかやっていたんだ」っと思った。etc・・・。

多くの人は、私の絵を見ると、その中に物語を望むようである。以前は「これ
はどういう物語なのですか?」っと聞かれ困ることがよくあった。実際には、
自分で絵を描く時、タイトルを決めて、その言葉の中から絵を作っていくこと
が多い。それも、左脳派ゆえの発想方なのかもしれない。現に、タイトルを絵
の下に提示するようになってから、そのテの質問はめっきり減った気がする。

左脳人間の弱点は、イメージを浮かべるのがニガテなコトだ。従って、物の形
や、構成が曖昧になりがちである。それを思うと、果たして、世の中に左脳派
のデジタルクリエーターなんぞ、何人存在するのであろう。ふと、そんな考え
が頭をよぎる。

右脳派クリエーターのカッコイイ作品を横目に見ながら、「左手を動して、右
脳を鍛えれば、私もいつか、あんなのが作れるようになるかもしれない」等と
いう理屈を考える。ついには、ブックオフにて、「頭が突然鋭くなる右脳刺激
法」なる本を100円でゲットし、今晩、左手で歯を磨いてみよう。などと思い
ながら家路を急ぐのであった。

【なりた・あさみ】nya@highway.ne.jp
神奈川県出身。桑沢デザイン研究所卒。(株)CSK勤務。現在は、汎用大型機
のSEをやりながら、ペインターでイラストを描いています。試行錯誤を繰り返
しながら作品作りが出来るペインターと出会い、ようやく自分の世界が見えて
きたような気がします。本の装丁や挿画の仕事をしていきたいと思っています。
将来の夢は、「タヒチで絵描き」でしょうか。(笑)

にゃりたの猫やしき
http://home.highway.ne.jp/nya/

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■編集後記(12/14)
・先日、ひさしぶりに接骨院にマッサージに行ったら、院長から「体がたがた
ですよ」と言われてしまった。首筋が凝って頭が痛い。腰が痛くておきあがる
ときも難儀である。背中や腰は押されると痛いところだらけだ。思えばこのと
ころ、ず~っとデスクにつきっきりだもん。リープがよくないのかな? あま
りに自然に椅子にかけているので、そんな苦痛なく長時間を座ったまま過ごし
てしまうからだ。運動不足がとにかくいけない。わかっちゃいるが。(柴田)

・なりたさんのコラムを読んで、私も左脳人間のような気がしてきた。どうや
ったら調べられるんだろう。/ゴアさん敗北宣言。日本にきて首相やってみな
い?などと冗談で書いておこう。/恵美須町にTRIO大阪店がオープン。古い音
楽雑誌やサブカル雑誌の創刊号、デモテープ、カレンダーなどが並ぶ。T-ZONE
やNinox近くのハチ、と言えば分かる人は分かるであろう。/ネット公開記者
会見。劇団☆新感線の「野獣郎見参」のもの。一般人も質問できる。今やって
いるドラマ「やまとなでしこ」の堤真一が主演。     (hammer.mule)
<http://www.yajyuro.com/> 野獣郎見参オフィシャル、記者会見もここ
<http://www.lawsonticket.com/lt1211/tokusyu6.htm> ソース

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"#!!F|4)%G%8%/%j$OEj$2A,%7%9%F%`?d?J=`Hw0Q0w2q$N http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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