[1049] ドイツ、ハノーバーCeBITにて

投稿:  著者:  読了時間:12分(本文:約5,900文字)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1049    2002/03/18.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20403部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:info@dgcr.com
登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 <1970年の大阪万博をまわっているような気分>

■デジクリトーク
 ドイツ、ハノーバーCeBITにて
 神田敏晶

■デジクリトーク
 こんな天然見た事ねえ。
 白石 昇



■デジクリトーク
ドイツ、ハノーバーCeBITにて

神田敏晶
───────────────────────────────────
KNN神田@フィンランド移動中です。

先週より、ドイツのハノーバーで開催されているCeBIT取材でドイツにきてい
ます。現在開催中ですが、北欧の携帯および欧州のブロードバンド取材のため
にヨーロッパを回っているところです。CeBITの情報は、ネットで速報合戦が
くりかえされていますが、すべての会場を見てから、じっくりとレビューでき
ればと思います。
 
しかしながら、今回、ハノーバーメッセの会場にきて驚いたことがいくつかあ
ります。まず、会場の膨大な広さです。この会場はまさにCOMDEXやCES、NABな
どが開催されているラスベガスコンベンションセンターのホールクラスが、32
ホールもあり、3日間をフルにつかってようやく全容が見えてきたという感じ
です。
 
しかも、それらのブース出展社数が8000社もあり、日米の展示会不況と呼ばれ
る中、大盛況な催しとなっています。CeBITの日本事務局によると、その差は
「歴史のちがいではないでしょうか?」というコメントをいただきました。
 
このハノーバーメッセは、第二次世界大戦後のドイツ経済発展のために外貨獲
得を目的として、英国の主導のもとに、ハノーバー市も出資して、ハノーバー
メッセ株式会社を運営しているそうです。
 
日本では市がからんで、第3セクターとして事業会社が運営されている場合も
多く、国からの助成金が基本的な収益源となって失敗した事例もたくさんあり
ましたが、このハノーバーメッセはあくまでもハノーバー市は投資社の一部と
して、自立する運営をめざしているそうです。
 
このCeBITはハノーバーメッセ(毎年4月開催)の電気・通信分野から独立した
展示会ですが、いまでは、本家のハノーバーメッセをしのぐ80万人の来場者を
集める大展示会となっています。
 
今回、取材でまわって感じたのが、1970年の大阪万博をまわっているような気
分に時々なります。デザインやホールのつくりが、当時のデザインの影響をう
けているからでしょうか? また会場の広さもそれぐらい広大です。
 
もう、1日が終わりプレスセンターにもどってきたら、足、腰、肩、がガクガ
クで温泉につかりにいきたい気分です。ドイツでは花粉症が発症しないのが幸
いですが、毎日、バンテリンのお世話になっています。
 
また、プレスルームのファシリティも、展示会の出展社のメリットである、プ
レスの待遇が非常によくできています。米国のように無料食事はでないのです
が、プレス専用の食堂があり、プレスパスがないとこのプレスセンターにはい
ることもできません。料金もプレスセンターは安く、変に無料の食事で選べな
いよりも、豊富な食事をカフェテリアで得るほうが、プレスの評判はいいよう
です。
 
また、会場内には20を超える専門レストランがあるということも、この展示会
場の特徴でしょう。簡単なスタンドカフェにはじまり、、カフェ、ビストロ、
ブラッセリー、レストラン、高級レストランが20いくつもあり、メジャーなブ
ースには必ず趣向を凝らした飲食の場があるのも、この会場のユニークなとこ
ろだと思いました。
 
たとえば、幕張メッセやビッグサイトにおきかえてみると、どうしてもカフェ
テリア形式の地元の利権関係のある業者がずっと飲食関係の利権を持っている
ため、多彩な飲食のサービスを展開することが不可能という現状があります。
展示会にいくと、セルフオーダー形式のカレーやステーキでレジで清算という
コースしか選べません。最近はまだ味がまともになったと思いますが、競争の
ないところに、変化は望めません。
 
各ホールごとに多彩なレストランが必要かどうかはわかりませんが、このホー
ルにいけば、フランクフルトが食べたいとか、生ビールを選びたいとか、展示
会を回る際のプランが、楽しくもあります。
 
日本も国際展示会であれば、有名どころのしゃぶしゃぶ屋や焼肉屋、うどん屋
などファーストフード以外も用意したほうがいいかもしれません。確かに近隣
のホテルですませることもできるのですが、会場からでずに利用できる点が重
要かと思いました。
 
また、今回こちらで、GSMの携帯電話を購入しましたが、電話を購入するとも
れなく、4時間分の通信料金がはいっているドイツ国内電話番号が会場内で買
えました。160(約1万8000円)ユーロでした。値段はノキアの携帯で、これか
ら移動する国のGSMカードさえ交換すれば、その国の電話番号を持つことがで
きます。
 
とにかく、ユーロ圏の国のSIMカードさえ、コンビニやキオスクでプリペイド
カード感覚で購入すれば、ドイツであれ、フィンランドであれ、オランダであ
れ、フランスであれ、どこでもこの1台の携帯電話で各国仕様に変身してくれ
るので、国際ローミングしている日本のビジネスマンは本当に損をしまくりっ
て感じでしょう。その国のローカルでは、市内料金で利用できますからね。
 
確かに3G先進国日本から比べて、まだまだの欧州ですが、GSM圏というシェア
の高さは今後、i-modeの世界進出とあいまってすごいことになりそうな予感が
しました。

先週の金曜日より、オランダのKPテレコムグループのe-Plus社がドイツで世界
ではじめての日本以外のi-modeサービスを展開しはじめました。今までのノキ
アやモトローラ、エリクソンのシンプルな携帯電話から一気に、i-mode端末へ
と変身していきそうな感じです。

今回、DoCoMoの夏野企画部長もこられて、講演からミーティングと忙しそうで
したが、急遽モトローラから、i-modeを検討中というリーク情報も流れてきた
ので、夏野さんの交渉がうまくいったのかもしれませんね。あくまでも予測で
すが…。

さて、そろそろフィンランドのヘルシンキ空港に到着です。いきなり、空港で
ワイヤレスブロードバンドになっているそうなので、そちらで今回のテキスト
を送信してみたいと思います。

Finnair AYO854便にて ハンブルグーヘルシンキ飛行中

The smallest digital TV station in the world
KandaNewsNetwork http://www.knn.com
Toshi Kanda mailto:kanda@knn.com

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク
こんな天然見た事ねえ。

白石 昇
───────────────────────────────────
・前回までのあらすじ。

艱難辛苦を乗り越えて平成十三年十二月二十日に蹴り込んだ著作者事務所にて
著作者のマネージャーから素晴らしく好意的な対応を受ける白石昇。その対応
に困惑していると満を持して著作者登場。まるでものまね王座決定戦ご本人登
場のような展開。

バックナンバー
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/shiryou.html

私はまず合掌を伴った会釈をしながらとりあえず一発目が肝心だからこの目の
前の著作者にどうやって蹴り込んでおこうかと思ったがその思念はすぐに本物
だ本物だ本物だ本物だという身体の奥で脊髄反射的にリフレインしはじめた音
声に妨害される。

今この瞬間はっきりした。

私もまたミーハーであると。

しかし私は翻訳者としてそのような事実を表に出すことなく藝ある初対面の挨
拶を著作者に対して蹴りこまねばならな

「こんにちははじめまして白石昇のバカ野郎」

なんだと?

「いやあ来たか会いたかったよこのバカバカバカバーカ」

どう直訳しても意訳してもバカと言う意味でしかない泰単語を嬉しそうに笑顔
で繰り返す著作者を目の当たりにして私は挨拶の言葉など吹き飛んでしまいそ
のいきなりのカウンターパンチに内面グロッキー状態だった。

やべえこいつ純正ハードパンチャーだしかも天然の。

「手紙面白かったよ俺もバカだけどお前もバカだよなあバカ同士いい仕事しよ
うなよろしく頼むよこのバカ」

著作者は私に近づいてきてバカという単語をを連呼しながら喋り続けたった三
通の手紙だけで自分の藝的資質を把握されてしまっている私はその著作者の勢
いに押されながら、

「ああバカだけど俺達はプロのバカだよなアマチュアじゃなくて」

とボケにもなっていないヘタレた言葉を返すだけで精一杯だった。

藝人としてほとんど敗北感に近い悔しさを全身に溜め込んだまま私は翻訳に使
った書き込みだらけのテキストを彼に差しだし最初のページ開いてとりあえず
ここに署名してくれと言った。

本当は翻訳許可証として一筆書けと言いたかったのだがそんな気の効いた言葉
を選別する余裕など私にはなかった。

私は一刻も早くこの超スーパーウルトラ天然自然水による言葉責めの濁流を遮
断したかったのだ。

オッケー書く書くと著作者はそう言うと奥の机の上に腰掛けてそこに用意され
ていた絵具や色鉛筆を使って自分の著作である翻訳テキストに画を描き始めた。

お前は武者小路実篤かと私はどう翻訳してもここにいる自分以外の人間には理
解できないであろうツッコミを心の中で押し殺す。

しばらく経って私の手にテキストが戻された。

印刷されている本の題名が消されて白石昇の本と書き替えられている。

ボールベンで俺の本に興味を持ってくれて有り難うございますと書いてある。

その下に大きく真っ黄色に塗りつぶされた著作者自身の似顔絵が描かれている。

そしてその両眼からは暴力的な勢いで流れ落ちる涙が水色の色鉛筆によって描
かれていてその涙を浴びるような位置に英文字で署名がしてあった。

武者小路実篤どころの話ではない。

こんな天然見た事ねえ。

私は衝撃と悔しさにまみれたままでその天然著作者を交えて再度四人でさっき
まで話し合っていた印税比率や仕事のプロセスなどの確認作業をした。

何も問題はなかった。

マネージャ氏が微笑んでいた。

アシスタントとして来てくれた友人は始終笑顔だった。

著作者は嬉しそうに来月の舞台に私を招待するから絶対見に来いと言った。

じゃあよろしくと再度握手を著作者と交わし私と友人は事務所を去った。

門まで見送りに来た著作者とマネージャー氏に手を振りながら車に乗り込み私
はどうやったらあの天然を藝でいっぱついわす事が出来るかずっと考えていた。

私の中に生じた悔しさはまだ続いていた。           (つづく)

【しらいしのぼる】noboru@geocities.co.jp
言語藝人。昭和44年5月1日長崎県西彼杵郡多良見町生まれ。『抜塞』で第12回
日大文芸賞を受賞。

昨年度業務報告
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/

いつも御意見御感想誹謗中傷など有り難うございます。(完全匿名)
http://ebi.2ch.net/test/read.cgi/21oversea/1008089168/

メールマガジン
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2444/mailmagazine.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(3/18)
・「スラムダンク」は井上雅彦じゃなくって井上雄彦である。うっかりした。
全巻を読み終えて、インターハイ部分は2回読み返して、最終巻は4回読み返し
た。すばらしい。とくに最後の1分間の攻防はものすごい表現力である。マン
ガの最高峰のひとつだ。これを読んでバスケットボールを目指すようになった
若者が必ずいるはずだ。わたしは夏木陽介の「青春とは何だ」を見て学校の先
生を目指したのだ(なんという昔の話、なんという単純)。そこでひさしぶり
に、高校時代にバスケット部だった悪友に会うことにした。彼は今デザイナー
だ。わたしは当時は生物部だった(というと必ず笑いものになる)。(柴田)

・今日の白石さんのコラムで鳥肌。いままで著作者については、ベストセラー
作家であって、他でも活躍されている人というイメージしかなかった。叶わな
い。こんな人って存在するんだ。自意識過剰とか、作りモンじゃないってとこ
ろがすごい、じゃなくて、すげー! 早く翻訳し出版してっ。(hammer.mule)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 

情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで
 担当:濱村和恵
登録・解除・変更・FAQはこちら <http://www.dgcr.com/regist/index.html>
広告の御相談はこちらまで  
メーリングリスト参加者募集中  <http://www.dgcr.com/ml/>

★等幅フォントでご覧ください。
★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。携帯対応メルマガもあります。
 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)/
★日刊デジクリは、まぐまぐ<http://rap.tegami.com/mag2/>、
Macky!<http://macky.nifty.com/>、カプライト<http://kapu.cplaza.ne.jp/>、
Pubzine<http://www.pubzine.com/>、E-Magazine<http://www.emaga.com/>、
melma!<http://www.melma.com/>のシステムを利用して配信しています。

Copyright(C), 1998-2002 デジタルクリエイターズ
許可なく転載することを禁じます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■