[1202] マツカサ、再び美術教育を考える:後編

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1202   2002/11/20.Wed.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21205部
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            <絵がかけても、モテないなあ>

■MKチャット対談
 マツカサ、再び美術教育を考える:後編
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■電網悠語:Ridual開発記編(17)
 競合調査/サイト解析/育成
 三井英樹

■デジクリトーク
 関西弁考察 私が関東でおしとやかと思われる理由
 北川かりん



■MKチャット対談
マツカサ、再び美術教育を考える:後編

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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前回のあらすじ:小学校の絵画展でまったく同じ構図、色彩の作品がならんで
いたという話から、それが美術教育としていかがなものか、を推察する二人。
技術と創作という両面から様々な考察を重ね、音楽との対比からマット水彩
へと話題は流れていくのであった……

●情報は経験の代わりにはならない

かさい: マット水彩が小学校で採用された理由だけど、不透明ガッシュだと塗
    り重ねでやり直しが効くからかもしれないなー
まきお: でも、薄く塗ると、ドロヌマやん(^_^;)ちゅーか、小学校の先生が、
    絵の具のちゃんとした使い方教えてくれないのが問題だよな。薄く塗
    ってた気がするな
かさい: 思い出した。小学校高学年のとき、水彩画を書いていた俺に向かって
    担任の先生が「そんなにベタ塗りしちゃダメだ」って言ったのよ
まきお: 淡彩で描け、と
かさい: うんそう、マット水彩を混ぜたり塗り重ねたりすると、汚くなると思
    ったオレは、まるで色彩構成のように色面を配置する描き方をしてい
    たんだな。それを注意されたわけ
まきお: ジミー大西みたいな感じかな
かさい: んー、もっとデザイン的だったよ。あんなに大胆な色使いはやってな
    い(笑)トーンセパレーションもどき
まきお: なるほど。実際、マット水彩にしか出会わなければ、あたしゃ絵描き
    になってないですよ(笑)絵を描くのが嫌いになってた可能性あるな
    ぁ。ほんと、マット水彩はキライでしたわ
かさい: これから美術教育はどうなっていくのかなあ…なんか悪いほうへ悪い
    ほうへ向かってるような気がするが…
まきお: 美術、というとあれだが、もちょっと広く「物作り教育」ね。
かさい: そそ。なんか「作り出そう」とする気持ちだったり、そのための考え
    方だったり、そういうものがすっぽり欠落した人間に育つんじゃない
    かって、不安になる
まきお: たとえば、理科系では「実験」をする時間がすごく減ってるらしいね
かさい: 解剖とかだけじゃなくて、化学の実験も?
まきお: 全体的にね。生感覚の欠如。コンピュータなんて大学に入ってからで
    いいのにねぇ。なんでコンピュータの使い方を学校でやるのかがわか
    らない。電話のかけかたや、TVの見方なんてやんないのにさ
かさい: 人間の総合力は、経験を積み重ねることでしか養われないんだ、って
    ことをわかってないのかな
まきお: いや、わかってないことはないと思うんよ。ただ、情報が多いよね、
    今の世の中。英語とコンピュータが入ってきて、土曜日が休みになっ
    て、という状況なわけだ
かさい: しかし情報は経験の代わりにはならないよな…
まきお: そこですな。近代社会は「情報は経験の代わりになる」というのが前
    提で、世の中成り立っているわけで
かさい: だから、以前もやったけど「デジタルやるのにアナログのスキルは必
    要か?」なんて議論がでてくるわけだ
まきお: うちの親父が70すぎて、PCに挑戦しようとしているのだが
かさい: 前にも聞きましたな。で、どうなの?
まきお: まず本を読んでシミュレーションするわけです(笑)で、そこで本の
    記述につまずいて、前に行けない(^_^;)
かさい: 困ったもんだね(笑)
まきお: で、さわってみて、わかんないところを本なりで調べればいいじゃん
    と思うでしょ?
かさい: ま、そうだね。
まきお: で、さっきの絵の具の話に戻って考えてみれば、教科書にちゃんと絵
    の具の使い方とか、FAQがあればね、いいのに
かさい: ははぁ、そこへ行きますか 
まきお: うん、親子だからさ、キモチはわかるわけよ(^_^;)お手本じゃなくて、
    FAQが必要なんじゃないかしらね、経験重視の教育って
かさい: こんな失敗をしたときは…ってやつね
まきお: 減点法でしょう? 日本の教育って。お手本の様にできたり、全部正
    解が100点で、そこから減点していく。でもそれだと「間違えた」と
    いうことが決定的な失敗であるように思えてくる。実際は間違えた時
    にどう対処するかを教えるべきなんだろうなと。算数なんかは先生に
    聞けばいいわけだけど、美術や音楽は専門の先生を用意できないなら、
    教科書でフォローすべきだ
かさい: なるほどね
まきお: 先週、プラモデルの話をしたけど、プラモデル塗料も大きく分けて三
    種類あるんよね
かさい: ほう、今はそんなことになってるのか
まきお: うん、ラッカー、アクリル水性、エナメルね
かさい: 昔は水性はなかったね
まきお: で、特性が違うから、うまく使い分ける必要があるわけで、そういう
    ことがわかってくると、いきなり模型が思うように色つけれたりする
    し、そうすると楽しいわけで、だから、技術的知識と、作る楽しみっ
    てのは二人三脚でさ、バランスよくないとあかんのではないかなと 
かさい: たぶん、スポーツでもそうなんだけど、技術が伴わないと面白くない
    わけよね。とかく、今はテクニックだけ重視な風潮が身の回りにある
    ので、ついテクニックを否定するようにとられることを言いがちなん
    だけど
まきお: そそ。うまくできないとキライになるだけで、だから知識の方ばっか
    にいっちゃう。義務教育の時間内では、トライアンドエラーを行う時
    間的余裕がない、というのが問題なんだろうけどねぇ

●義務教育のプログラムって、、、

かさい: でもさあ、義務教育という、失敗してもいくらでも取り返しが付く間
    に、そういうことをやっとかんとアカンのんちゃうんかなぁ? やっ
    ぱり
まきお: そのあたりは親の責任なわけよ、という意見もあるわけでね
かさい: 責任ねえ…
まきお: つまり、学校ってのは、絶対多数、最大公約数でしかあり得ないわけ
    で、それだけではだめ、と判断して処置するのは親の責任であるわな
    当然。
かさい: まあね、確かに全部学校にまかせっきり、というのも親としては情け
    ない話だわ
まきお: すごく割り切った言い方をすれば、小学校の先生ってのは、子供が大
    人になっていく上で、最低限必要な知識を与えるのが仕事であるわけ
    で、個人個人の能力を伸ばしてやるというのは、仕事ではない、とい
    うリクツはあるだろう
かさい: でも実は、その「最低限必要な知識」というのは団体(社会)で、自
    分が果たす役割、だったりするんだよな
まきお: いや、それ以前の、同じ言葉をしゃべって、話が言えて、聞けるとい
    うレベルじゃないかしら、義務教育って
かさい: んー、それくらいのレベルは低学年まででクリアして欲しいと思うの
    は贅沢かね?(^^;)
まきお: 無理でしょう~。ぼくが言ってるのは、たとえば政府の仕組みがどう
    なってるとか、そういう最低限の知識のことね。「政治が悪い」って
    いったって、政府と行政の区別がつかなきゃ、話ができないわけで 
かさい: そうか。まあ、いずれにせよ、社会行動の基礎を学ぶところには間違
    いないよな
まきお: うん。だから最初の絵の話にもどるとさ、一概にその同じ絵が悪いと
    は言えなくて、みんなに自由に描かせて、絵が嫌いな子供をたくさん
    作りだしている方が悪いって可能性もあるな、と。国語の授業は作文
    もあるし、朗読やかきとりもあるわけで、なんで美術と音楽はこんな
    偏ってるかなー
かさい: ふーむ、やっぱり教える側の知識不足・経験不足なんだろうなあ。教
    えられないから「好きに描け」か「見本どおり描け」としか言えない
まきお: 自由に描いて、文句言われるよりはシアワセかもしんないぞ(^_^;)
かさい: どっちも不幸だよ(^^;) なんで先生がそうなのか、というとそういう
    ふうにしか教えられなかったからだろうな、大学で
まきお: 教育課程とってないから、わからん(^_^;)
かさい: 美大で教育課程とっても、わからんよ(笑)で、なんで大学ではそう
    なのか、というと、やっぱり美術や音楽は、進学や就職にはあまり重
    要じゃないからだろうなぁ
まきお: それ不思議! そのはずなのに、なんで世間の親は女の子にはピアノ
    を習わせるの(^_^;)?
かさい: ウチは習わせてないよ(笑)
まきお: 音楽なんてさぁ、まかりまちがって、音大行くなんていいだしたら、
    大変だよ、親、破産だよ(^_^;)
かさい: 確かにそうだな(笑)でも、女の子→最終目的は結婚→だったら学科
    の成績よりも→やっぱりピアノ てな思考じゃないの?(^^;)
まきお: 今時、ピアノができるのが結婚の条件かぁ?(^_^;)
かさい: そういうわけじゃないがな、なんか特技があったほうがもてるだろう
    と(笑) オレもピアノが弾けたらもっともてたのに、と思うことが
    よくあるよん(笑)
まきお: 思うなぁ、それは(笑)でも、なんでやろね? 絵が描けてモテたと
    いう感じはしないのだが(笑)
かさい: 絵がかけても、モテないなあ(笑)だから、娘はともかく、息子には
    ピアノを習わせてやろう、と生まれる前は考えていたのだ
まきお: 親の屈辱を息子に託すわけ?(^_^;)
かさい: そうじゃないがな、息子がピアノでモテモテになれば、オレに感謝す
    るだろう?(笑)
まきお: 息子の彼女を狙ったらあかんなぁ~。鬼畜やなぁ~
かさい: 誰がそんなことを言うたか!(^^;) ま、結局ピアノを習わせるのはや
    めたんだけどね、オレよりモテモテになったらムカツクから(笑)
まきお: 鍵盤は一応、義務教育でやるわな。あ、ひょっとしたら、義務教育の
    プログラムって、「モテる」項目中心に組み立てられてるんやろか…
    (^_^;)
かさい: んなアホな(^^;)

【笠居 トシヒロ/WEB&グラフィックデザイナー】
MacもWinも新しいマシンが欲しいです。誰か買ってくれ~~(笑)
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
「TRICK劇場版」を見に行った~。くわッぱ!
<http://www.makion.net/>

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■電網悠語:Ridual開発記編(17)
競合調査/サイト解析/育成

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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サイト開発をする際、勿論競合サイトや直接は接点がなくても参考になるサイ
トにはお邪魔する。色々とページを繰りながら、感心したり、イライラしたり、
勝てるなぁと自惚れたり。時には、こりゃ勝てんわ、と思うことも。

それでも、そのサイト観察のレポートを書けと言われて、大抵困る。全体印象
として、どんなモノかは頭に入った。これから作るべきサイトのイメージも大
体出来上がった。でも文字にしにくい。漠然としたイメージが、ただ漠然と頭
の中にある。ただし、開発が成功するとき、それはその漠としたイメージから
ズレないで進めたときだと思っている。

それは単に文字化能力や説明能力の欠如しているだけかもしれないが、自分が
訪れたサイトの記憶の仕方に鍵があるように思う。皆でサイト評論会を開くと
き、その名やURLを聞いただけで、頭の中にその漠としたイメージが広がる。
具体的な像ではなく、どちらかと言うと色のような感じ。色の名前を言いはし
ないが、同じ触覚を持っている人と話すとき、その受け取った色合いの誤差が
少ない気がする。

でも、そんな曖昧な感覚レポートを提出する訳にはいかない。このサイトは○
○色です、と言っても意味がない。だから比較しやすい項目を探す。全体から
受ける印象は、派手か、地味か、サイバーか、クラシックか。できるだけ提出
先の語感と同じになるように苦労しながら。

それでも、自分が相手だとして、自分が提出した資料だけを見て、そのサイト
を訪れていない時に、厳密に言えばスナップショットも見ないうちから、正し
い意識合わせができるかと言うと自信がない。正直いって、URLを明記する以
上、こちらのコメントを参考にしながら訪れてくれることを期待している。

先日Ridualを使いながら、また新たな発見をした。競合サイト分析。自動ダウ
ンロードを先に使っても、最初から手で書いても良いのだが、サイト全体の印
象をあのインターフェースで結構忠実に描けることに気がついた。

手で描く場合、入り口のページから順々にリンクで飛ばされるたびに画面上に
ページを置く。置いたら、参照しているページのタイトルを入力する。ただそ
れを繰り返す。ただただ単純作業だ。しかし、自分の印象をそのページの大き
さや色で記録できる。印象深いページや手のこんだページは自然と大きくなる。
そして全体あるいはそれなりの数を見渡したあと、見栄えを調整するために、
再度そのサイズ調整を行う。これよりもそっちを大きくしよう。その時に、不
思議と最初に見た印象と、その後に見たページとの間で色々と比較を行なって
いる。

出来上がった画面は、基本的に情報の経路だけが浮き彫りになっている。記述
の際にディレクトリ構造も意識しながら書き写すと、開発者の意図も見える。
ここでメンテナンスを考えている。ここはどうも後から突貫工事で作ったみた
いだ。ファイル名にしてもそれなりに分かり易さをベースにしているので、推
測できるものが多い。SVGで出力して、Illustratorで開く、ヘッダーとフッタ
ーを加え、Ridualでは行いにくい微調整を加える。資料が出来上がる。

コストを考えると、ここまで丸々外注することも可能だ。差別する訳ではない
がバイト君でも一向に構わない。サイト全体を見渡せと言われたら時間を考え
て億劫になっても、概略図的地図が渡されたら、見るべきものが分かる分だけ
進みやすい。迷いそうな所が見えている分だけ、イラつかない。

サイトによっては人間不要でここまで可能だ。ドメインが複数に分かれていな
いことや動的部分がそれなりに解析できるという条件で、ダウンローダが使え
る。URLを入力してリーターンを押したらそのままほったらかし。それなりの
時間をかければ一生懸命ページをダウンロードしてくれる。後は、インポート
しアナライズ。サイトマップもサイトレポートも出来上がる。あとはローカル
に落としたページを辿って、ゾーンパネルで印象に従って大きさや色という重
みを付けていく。ページ数が多くても、マシンスペックが高ければそれなりに
快適で、鼻歌交じりの作業だ。

再構築するサイトの話を聞き、その競合サイトを幾つか選んで、二~三人で半
日。A3シートが数枚。同業種のサイト構成図が出来上がっている。しかもそれ
なりにきれいに。少し手を加えるだけで、そのままクライアントに出しても良
いものもある。

まだ再構築プランを出す話なので、自作のページはひとつもない。かなり冷静
に構造比較ができる。冷静な分、こんなのありかなぁ、あんなのは...。アイ
デアも出る(こともある)。

Ridualが生成するサイト構成図はどれも、ノッペラボウなので、グラフィック
の趣味も混じらない。情報の流れに集中して考えることができた。以前、表現
力がないと話したが、制限もまんざら悪くない。できることが決まっているか
ら、その中で工夫する。

出来上がったサイト構成図も眺めながら、こういったモノが私なりのサイトの
印象だったんだろうかと改めて思う。実はこうして考えていたんだろうかと。
自分の頭の中を見ているようで、面白くもあり、恥ずかしい気もする。そして、
この図は後々まで、ディスクがクラッシュするまで残る。適切な場所に置けば、
今後色々な人に見られていく情報に成る。なんだか緊張する。

開発者が言うのも変だか、Ridualは奥が深い。エンジニア系の会社にいるとど
うしても解析系にスポットが当たるが、どうして立派に上流系でも役に立つ。

しかももう一つ効用を確信した。ただサイトを描きなぞるだけの作業をしても、
作業者はそれなりの意見を持てる。何が不便で何が便利か。バイト君に頼んで
も、そのバイト君はその作業が終わった時点で、何らかの意見を持てる可能性
が高い。大きさと色だけのパラメータしかないが、そこには意図があるから変
更されている。その意図を聞いてみると興味深い。記録する方法が与えられれ
ば、その記録を工夫するのが人間だ。これは、サイトの構造を考えるという訓
練と呼べるかもしれない。

同じ字を何度も何度も書かされて、遂に嫌いになってしまった習字を思い出す。
あのまま文句を言わず書き続けたなら、私でも何かを見つけたかもしれない。
いつかRidualの書記係りのバイト君が、とんでもないインフォメーションアー
キテクトになっているかもしれない。ワクワクしてきた。

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / info@ridual.jp
最近FEPを変えた、I○E2002。フォーカスが変わるたびに画面右下でちょこま
と切り替わる。こちらの変換の癖を無視して、要らぬおせっかいを焼いてくれ
る。うざい。ソフトを創るうえでの反面教師。そうならぬよう頑張ろう。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://member.nifty.ne.jp/mit/MilkAge/

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■デジクリトーク
関西弁考察 私が関東でおしとやかと思われる理由

北川かりん
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少し前の話になるが、羽野晶紀の結婚記者会見で宗家嫁心得の中に「関西弁を
使わない事」を見つけた全国の関西出身女性はきっと全員こう叫んだと思う。
「ほんなら何かい? ワシがそないに下品やっちゅうんケ!?」

今、バッシングを受けている和泉元彌の宗家騒動は、実は「関西女性明日へは
ばたけの会」が影で操作しているとにらんでいるのは私だけか?

10年前、羽野晶紀は大阪のローカルTV番組で大阪弁丸出しで笑ってた。それが
狂言師と結婚してあんなにお上品に記者会見を行うとは思ってなかった。この
「お上品」というのは、関西弁を使わないから「お上品」なのか? 否か? 
その真相が最近、関東に引っ越してきてみて身をもってわかったのである。

「日本一中小企業の多い町」がキャッチフレーズの東大阪市で私は生まれた。
「中小企業」の大部分を占める町工場から、機械の奏でるリズミカルな金属音
と、鼻をつく化学臭、そして油にまみれて真っ黒になったおじさんが工場の軒
先でタバコを吸ってたりするような町である。

日本の高度成長期に子供時代を過ごした私は、近所のドブ川が毎日、赤や緑と
七色に変化する様を見て楽しんだ。今の時代なら工業用水の垂れ流しで、大問
題になるだろうが、あの頃の日本は利益優先で規制がゆるかったのだろうと思
う。そんな土地で30数年育った私は、もうどうしようもなくコテコテの関西人
に成長してしまった。そんな「じゃりん子チエ」のチエちゃん並の私が、最近
横浜に引っ越してきたのである。

慣れない土地で一番困るのは言葉、方言である。もう、今さら大阪弁が抜けな
いのだ。まあ、普段の生活には大阪弁でもいいかと思うのだが、仕事の場面だ
とどうしても「標準語」を使う機会が増えてくる。初めの頃はよく舌がもつれ、
喋るのが恥ずかしかったが、最近では開き直って、標準語と大阪弁のチャンポ
ンで喋っている。

最近ではこの標準語も上達してきたらしく、出身はどちらですか? と聞かれ
て「大阪です」と答えると「えー、全然大阪の人に見えないですねー」と言わ
れるまでに成長した。しかも、「きっと大阪でもお上品な地域があるんですね
ー」とまで言われるに成長したのである!(しつこいって)

かといって、私はそんなに横浜の山の手にふさわしい人間になるべく努力して
いる訳ではなく、中身は全然変わっていない。ただ、標準語で喋るとやはり使
い慣れてない分、大阪弁のマシンガントークのスピードが出せない。喋ると噛
むし、話のオチもうまくおとせない、ストレスが溜まる。だから、どうしても
聞き手にまわってしまうのだ。

そこで、初めの羽野晶紀の話に戻るが、「はっはーん。晶紀ちゃんもきっとこ
んな感じなんやな」と、勝手に解釈してるのだ。きっと黙ってニコッと微笑ん
でいても話の中にツッコミを入れる隙を探してるのかもしれない。これは現代
大阪人女性の性なのだ。

しかし、関西弁=下品なんて、全くナンセンス! それは最近のTVによる一部
分がクローズアップされてるだけだ。昔の船場のご了さんのはんなりした言葉
使い等を聞いてみて欲しい。艶のある美しい関西弁はたくさんあるのだ。私は
無味無臭の標準語より方言の方が好きだ。関西弁然り、江戸弁はチャキチャキ
格好いいし、今住んでいる横浜のジャンジャン歯切れ良く喋るのも楽しい。

言葉も作品も、何かその人の匂いがしないとおもしろくない。おかしいけど、
何か独特のその人ならではの匂いがした時、人って興味を持つんじゃないだろ
うか?

【北川かりん】 「ロボぐるみ」制作者。TASU主宰者。
TASU 北川かりんホームページ
http://www.h3.dion.ne.jp/~tasu/

緊急!展覧会インフォメーション!
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●デザインフェスタvol.16 

日時:2002年11月23日(土)、24(日)11:00~19:00
会場:東京ビッグサイト ブース:C-331
入場:前売り800円、当日1000円(前売りは全国のローソンチケット、チケット
ぴあ、デザインフェスタオフィスで販売)
*ビッグサイトへの交通アクセス等こちら↓で確認できます。
デザインフェスタ 
http://www.designfesta.com/

*生ロボぐるみをご覧になれます。お近くの方は是非いらして下さいね! 皆
さんにお会いできるのを楽しみにしています。入り口付近のブースですので、
是非声かけてやって下さい。いっぱい友達できるといいな~♪

●エプソンカラーイメージングコンテスト2002
日時:2002年11月22日(金)~28日(木)11:00-20:00 *22日は授賞式 
会場:青山スパイラルホール 1F スパイラルガーデン 入場無料

*今回、写真部門のエプソン賞というのを頂きました。受賞作品の展覧会が青
山スパイラルホールであります。是非見に来て下さいね! たくさんの人に支
えられて何とか続けてこれました。本当に皆さんどうもありがとうございます。
この賞を頂いた事を励みにこれからも頑張りたいと思います。皆さんこれから
も応援よろしくお願い致します。
エプソンカラーイメージングコンテスト 
http://www.epson.co.jp/contest/
青山スパイラルホール 
http://www.spiral.co.jp/

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■編集後記(11/20)
・まぬけな脚本「RED SHADOW 赤影」、へたくそCG合成「怪獣大決戦ヤンガリ
ー」、吉良が浅野に意趣を含まねばならぬ理由は次々と否定されてナルホド納
得の「上野介の忠臣蔵」、冒険やな~ワニ社長の「かっぱちゃんのぶらぶらプ
チ道楽日本レトロうろうろ篇」、ご都合主義の「総司はひとり」、過去の記事
がまんま通用するとんでもない国「サピオ別冊・危険な隣国」、角川文庫の背
中は最低、そしてわたしの変わらぬ日常、そんなたらたらしまらぬ文章を書い
ております、こっちです。思いつくままのしまらぬ読書&ビデオ日記。(柴田)
http://allabout.co.jp/diary/virtualbeauty/

・ひっえー。まぁ赤影は評価の分かれるところかも。横山光輝の原作に沿わせ
るなんてこと考えてはらないと思うなぁ。でも綺麗な場面や構図があったり、
軽快、コミカルさがあったり。それに映像へのこだわりは強い人だと思うので
すが。時代劇ではあんまり見たことのない撮り方しはるし。うーん、見方が違
うなぁ。まぁ確かに鋼は意味なかったなぁ。敵方が再利用すると思ったんだけ
ど。お会いしてお聞きしたことをここで書けたらいいんだけど、書けないの。
うーん、はがゆいぞ。あの方も筋の通った方だと思うのですのよ。/小林製薬
のCMを嫌う人は多い。芸術点は劣るかもしれない。でも、なんていうか、没個
性に見えて主張してくるんだよね。ネーミングもあっぱれ。凝ったものが嫌い
って言ってるんじゃない。凝ろうと思えば凝れるのに、あえてあのまま持って
くる勇気がいいのですわ(しつこいが、凝ったほうがいいに決まってる。手を
抜くとは別)。適度に綺麗で、適度に有名なタレント使ってるのに、商品名が
覚えられなかったり、好きにも嫌いにも入らないCMよりはマシなんじゃないか
と。菊地桃子のCMはきっつい。助けて~と思う。でも一度見たら覚えちゃう。
アップルのイメージアップになったかどうかは……だけど。 (hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント> 今日の情報号にも詳細あり。
 ノート=ウドム・テーパニット著 白石昇訳書「エロ本」1197号。

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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