[1215] コンテンツは超ニッチから生まれる

投稿:  著者:  読了時間:24分(本文:約11,500文字)



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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1215    2002/12/09.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21135部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:info@dgcr.com
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    <「好きな奴らが勝手にやっちゃった」的ビジネスモデル>

■KNNエンパワーメントコラム
 コンテンツは超ニッチから生まれる
 神田敏晶

■NAKED SHORT STORY
 窓掃除
 神崎詞音

■イベント案内
 第13回イメディオサロン“X'mas & Year-end Party! 2002”
 オリジナルアートCDジャケットデザイン体験セミナー





■KNNエンパワーメントコラム
コンテンツは超ニッチから生まれる

神田敏晶
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KNN神田です。

先週はストリーミングワールドアジア2002に出演&レポートをおこなってきま
した。講演の席で、ストリーミングコンテンツに毎月個人的に2000円以上かけ
ている業界人が少なすぎてびっくりしてしまいました。これはどこの講演でも
事前の前フリで確認しているのですが、ブロードバンドやストリーミング業界
に身を置く人たち自身が、有料コンテンツを購読していないという現状そのも
のが、ボクは問題ではないかと思います。

もちろん、対価を支払う価値あるコンテンツがあるのか? という問題はさて
おき、コンテンツ課金するビジネスモデルがこれだけ稼動しているにもかかわ
らず…という現状は認識する必要がありそうです。

いつも、講演では「完璧なビジネスモデルほど崩壊している」と訴求し続けて
いますが、いまだにショートムービーの「405」の作品は見続けられ、メイキ
ングビデオが売れています。
http://www.405themovie.com/

現在、見てもストーリーはともかくCGは斬新であり「ifilm.com」のランキン
グのベスト10にまたもや返り咲きしています。また現在ではヴィジュアルエフ
ェクツのコンサルティング業にまで進化しています。これもビジネスモデルで
はなく、「好きな奴らが勝手にやっちゃった」的ビジネスモデルです。考えて
みればyahoo!もそのモデルなのです。

好きな人が好き勝手やっているうちに、見えてくるのがこの業界の特質かもし
れませんね。考えてみるとパソコン業界そのものが、ホスト型コンピュータの
超ニッチなニーズから生まれてきたものなのです。インターネットもネットワ
ークという中の超ニッチから生まれてきました。現在のブロードバンドやスト
リーミングはインフラの時代であり、次は超ニッチなコンテンツからブレイク
する段階にようやくさしかかってきたと感じるのです。

また巨大なメディア、映画、ラジオ、テレビも生まれるべくして生まれたので
はなく、技術とコンテンツの駆け引きの中から存続できるビジネス「チャンス」
を得て成長したのです。

映画は演劇を見れないビンボーな人たちを対象にして生まれました。金持ち相
手のパッケージ型映画は破綻しました。ラジオは受信機拡売のためのプロモー
ションコンテンツに広告がついたことにより成功しました。テレビは映画を手
軽にお茶の間にディストリビュートする目的が、お茶の間で見て楽しいコンテ
ンツとして、広告フォーマットとバランスをとりながら成立したビジネスモデ
ルです。

どのメディアも何十年かけて普及してきました。インターネットは生まれてか
ら約10年。ストリーミングの歴史は約8年です。そろそろ、本当のストリーミン
グのビジネスモデルが意外なところから現れそうな気配がしてきます。

また、いまや最高峰の巨大メディア産業が提供するコンテンツといえども、2
泊3日で300円でDVDで借りられる時代。注目を集めるのは今まで見たこともな
い映像であったり、体験であったり、サービスであったりします。それらを選
んで届けてくれるネットワークが必要な今日この頃なのです。

さて、今年のストリーミングメディアアジアで、気になった製品をいくつかご
紹介したいと思いますが、その前に今年の流行は、CMS(コンテンツ・マネジ
メント・システム)やCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)DRM(デジタ
ルライツマネージメント)など、またもや奇怪な横文字3文字が並びます。
「ソリューション」という謎のコトバとともに、すぐに数百万円から数千万円
という価格が飛び出してきます。またBtoBを合言葉にエンタープライズ向け製
品は順調に伸びてきています。

しかしです! 大事なのはそこに流れるコンテンツをサポートするツールが少
ないところが残念なのです。今回はクリエイターの視点に立ってみて面白そう
な視点でリポートしてみると…

まず、ディスクリート社の「plasma」です。3ds maxをベースにしたアニメー
ション作成ソフトなんですが、CGの入門ソフトとしても面白く使えそうに思い
ました。FlashのあのアニメーションテイストのSWFファイルに書き出してくれ
るので、Flash使いの人たちにとっては便利なのではないでしょうか?
水曜日のまつ&かささんたちはどう思われますか?
3Dで作って、普及しているFlashで見せるという形態です。レンダリングも「カ
トゥーン」レンダリングがとってもユニークです。
http://www.too.com/digitalmedia/plasma/plindex.html
http://www.discreet.jp/products/plasma/
http://www.saburi.com/plasma/

デモ版はこちら
http://www.discreet.jp/products/plasma/plasma_demo.html

そして、同様に3DをもとにWeb3D用画像を提供するのが「アナーク」です。
http://www.anark.com/

日本では、ディストーム社が扱っていますが、
http://www.dstorm.co.jp/anark/

デモ版はこちら
http://www.anark.com/developers/studio_download_intro.asp

こちらは、ビデオ映像のバックグラウンドで使いたくなるような、効果が反映
できるので、ぜひともビデオでの出力もサポートしてくださいと、ボウルダー
のアナーク本社の人たちにお願いしておきました。テンプレートがあるだけで
も企業のプレゼンテーションにかなりのインパクトを与えることでしょう。

そして、待望の日本語版が先週登場した「ヴィジュアルコミュニケ―ター」も
日本ではメメックス社から発売となりました。
http://www.seriousmagic.com/ 
http://www.memex.co.jp

これからのクリスマスやお正月に、ビデオレターが届くのが当たり前になりそ
うです。

今月のKNN Nightでは、それらのクリエイティブツールを「個人放送局」に焦
点をあてて、お届けしたいと思います。

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KNN Night Vol.6
今週の金曜日、デジタルハリウッド渋谷校にて
【タイトル】KNN Night vol.6 「個人放送局ツールの進化」と題して
個人放送局ツールに、ついてトークいたします。

ゲストスピーカー
・メメックス/ヴィジュアルコミュニケ―ター
飛田幹司氏 松永みき氏
http://www.memex.co.jp 

12/6に発売になったばかりの日本語版を当日、即売もいたします。
(価格予定2万円)。当日手渡しのため購入希望者は申込み時にご予約下さい。

・ディ・ストーム/ビデオトースター2
城戸孝夫氏 立石章三郎氏
http://www.dstorm.co.jp/

ビデオトースター2による演出効果を実演いただきます。他にクレイアニメ制
作ツール「Aura 」、Web3D制作ツール「Anark Studio 1.5」などを紹介。

【日時】12月13日(金)21:30(開場)~23:00
【場所】東京・渋谷 Q-FRONT6F デジタルハリウッド渋谷校
http://www.dhw.co.jp/school/location/shibuya/location_shibuya.html
【費用】3000円
【参加】info@knn.com へ、お名前・会社名・電子メールを明記し、
サブジェクトに「KNN Night vol.6参加DGCR」として
お申し込みください。


KandaNewsNetwork,Inc. http://www.knn.com/
CEO Toshi Kanda mailto:kanda@knn.com
45-14 Oyama-cho,Shibuya,Tokyo,Japan151-0065
Phone81-3-5465-6555 Fax81-3-5478-8719

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■NAKED SHORT STORY
窓掃除

神崎詞音
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軽自動車を走らせ、朝8時過ぎ、客先へ向かっていた。
まったく太陽は顔を覗かせていない。
今が夕刻と言われてもまったくそのまま信じられそうな、鈍よりとした隙間な
く墨黒に塗られたような空。
ミズキはとても憂鬱だった。
ハンドルを握る手に一瞬視線をやって、深い溜息をつく。
地図を見ながら隣でナビゲートをする同僚は、そんなミズキには気にもとめず
に、進行方向の信号機の数を数えながら、あの先の信号その次の信号が来たら
左折してね、その左折した先2本目の道をまた左、3軒目だわ、このお宅。そう
言ってナビゲートの任務を果たす。
今日もまた、見知らぬ家の掃除か。信号待ちで車を停止させているとき、ポケ
ットの中の飴のことを思い出し、舌打ちする。喉が少し痛い。今舐めたいけど、
もう客のとこに着いちゃうもんなぁ。

ミズキは一般宅の清掃を請け負う会社のアルバイトをしている。
仕事ぶりがいい、というか、まぁ客受けが良いらしく、会社はフルタイムの契
約社員にしたがっているが、ミズキは“やりたいこと”があるから、という理
由で不定期勤務のアルバイト処遇に留まっている。
ミズキは弱小貧乏劇団の手弁当公演を続けるかたわら、アイドル向けの楽曲の
仮歌ボーカリストのアルバイトやこの清掃のアルバイトをしている。
最近はライブハウスや路上で、ポエトリー・リーディングもしている。
自分がやりたいことは・・・表現すること、だった。
自分の中の喜びとか悲しみとか怒りとか嘆きとか・・・
でも、この頃思うのだ。
何かが足りない、というよりも、出尽くしてる。
ミズキの言いたいことなんて、誰かが似たようなことを歌にしたり小説にした
り映画にしたりしている。そもそも、ミズキ自身、ミズキが表現していること
が本当にミズキ自身の中から生まれたものなのか、疑っている。
自信がなくなっているのだ。
やりたいことなんて、本当は何もないのかもしれない。

同僚がフロントガラスの前に広がる空を指差して、雨降り出しそうだね、こん
な日に窓掃除なんかしてもまた年末には結局大掃除しなきゃならないのにねぇ、
でもまぁ掃除頼むお金持ちだし、いいんだよねそれでも。ミズキに語りかけて
いるのか、独り言なのかよくわからない抑揚のない言葉を発していたところで、
今日の仕事場に辿り付いた。
車を玄関先に止め、表札を確認してインターフォンを鳴らしてミズキは言った。
「おはようございます。お掃除のラクリンです!」
数秒後、どうぞ開いてますから、と返事が返る。
門を開け、石畳を前に進む。綺麗に手入れされた庭の芝生を横切る。
こういう家の窓掃除なら、今日ははかどるかもしれない、とミズキは思う。

掃除を依頼する客はさまざまだ。
中にはキッチンの改装をしたら換気扇の構造がよくわからないので、10年換気
扇の中を開けられなかった、なんて主婦もいる。換気扇のドラムにこびりつい
たどろどろの油と4時間格闘して、それでも綺麗にはならなくて、あらお掃除
屋さんに頼んだのに駄目なのねぇと、料金支払いを渋る嫌な主婦。
アパートの原状回復を頼む大家もいる。独身の男が住んでいたような部屋なん
かは悲惨だ。浴室の壁ににまんべんなく発生して放置された黒カビ、排水溝に
つまった髪の毛の中にちじれた短い毛などを見つける時、まったく、何ゆえ得
たいの知れぬ独身男の陰毛などを目にしなければならないのか、情けなく行き
場のない思いに浸ることもある。
公衆トイレ並みに汚れたトイレを掃除依頼され、絶句することもある。
ミズキは一人暮らしだし、だから自分の家のトイレを他人が目にする機会は多
くはないが、トイレが汚い状態を放置しようとは思わない。ここまでトイレを
汚したまま放置する神経、それも一般家庭の専業主婦が、という疑問符につい
て、ものすごい勢いで便器を洗いながら考え続けた。
答えは見つからなかったけれど、あの家の奥さんは、たぶん自分の中の何かが
ぷつりと切れてしまっているのだろう、と思った。

玄関まで同僚とふたり、掃除道具を担いでたどり着くと、今日の掃除の依頼主
の奥様が立って待っていた。
「おはようございます。えーと、今日は窓のお掃除ということでお伺いしてお
りますが・・・」
ミズキが言い終わる前に、依頼主が答える。
「そう。窓、全部お願いしますね。」
ミズキが質問する。
「全部でどのくらいありますか。」
依頼主は、何秒か押し黙り、頭の中で家じゅうの窓の数を計算したのだろう、
口を開いて答えた。
「20組くらいかしら・・・枚数、って言ったわねぇ、50くらいかしらね。」
やれやれ、と、ミズキは思う。
50枚の窓なんて、今日一日かかったってふたりで終わるかどうかわからない。
窓が50枚って・・・まったく、無駄にでかい家に住みやがって。
しかも、この客のオーダーは午前中3時間だ。
ミズキは言った。
「申し訳ありませんが、3時間では12、3枚がやっとかと思います。残りは後日
にお願いしてよろしいでしょうか。」
依頼主の奥様は、あら、という表情を浮かべたが、また何秒か押し黙った後、
こう切り出した。
「そうよねぇ。お掃除屋さんだからって、超人ではないものね。普通に考えれ
ば家中の窓を人に拭いてもらうことじたい、なかなかお願いできないことよね。
わかったわ。じゃ、今日は3階のテラスの窓だけお願いするわ。少し大きめの
窓ですけど、6枚。あとはまた今度予約するということでどうかしら?」
ミズキは慌てて言った。
「あ、あの奥様、3時間ありますので、まだ他にもできますので・・・」
依頼主は、にっこりと微笑んだ。
「いいのよ。もし早く終われば、そのままゆっくりしてらして。」
そういって、どうぞおあがりください、と言いながら、依頼主は中へ入ってい
った。
同僚は声に出さずに、やったねミズキ、という顔をしている。
度々この仕事をするようになってから、こういう金持ちの気まぐれに遭遇する。
ミズキには想像できないくらいの金持ちなんだろうな、と、最初のうちはこの
手の豪邸に出入りする時には興味深々な部分もあったけれど、結局、どこかの
部分で彼らを人間としてどうこう思うことがなくなった。
どんな金持ちの家でも、塵や埃はたまる。金持ちでも汚い家に住んでる人間も
いれば、金持ちじゃなくてもすっきりとした綺麗な家に住んでいる人間もいる。
私は、窓掃除をしにきただけ。

テラスの窓は、たしかに大きかった。
見晴らしのいい高台にあるそこからは、灰色の空がまるで東京湾の海みたいに
広がっている。枯れた赤褐色に染まった木立が風にそよいでいて、眼下に広が
る住宅地の先に遠くにかすんで見える新宿の高層ビル群が落書きみたいだった。
バケツに水を汲み、さっそく取り掛かろうとしたが、目立った汚れもなく、窓
枠に埃もたまっていない。まるで昨日掃除したばかりみたいに、ガラスは一点
の曇りもなく透明に透き通っている。
窓掃除なんて、必要ないじゃん。
いったい、なんなんだ、あの人。
同僚は嬉々としてつぶやいている、今日はついてるねミズキ、すっごい嬉しい、
早く終わったらゆっくり、ってもう終わってるようなもんじゃん全然汚れてな
いしー、これだったら窓全部、ってのもなんかわかるなぁ、カラ拭きだけでも
充分だしさー。やったー。

ミズキは同僚を睨みつけ、そして言った。
「窓、拭こうか全部。50枚。」
同僚は、はぁ?と、素っ頓狂な声を上げ、何いってんのバカじゃないせっかく
あたしたち得してんのに、おかしいよ、やめなよお客さんにそんなこと言うの、
と騒いでいたが、ミズキはその声には振り向かずに依頼主の姿を探しに階下へ
降りていった。
1階の居間らしき部屋の前で声をかけた。
「お客様、窓50枚、できますのでやります。」
そう大きな声をかけると、中から依頼主が現れた。
「あら、そうなの。でも無理なさらなくていいのよ。」
ミズキは言った。
「いえ、あの、大変綺麗にされているので、そんなに時間かかりませんから。」
依頼主は、小さく微笑んで言った。
「できるところまでで、いいわ。できなかったら、またあなたに来ていただい
てお願いしますから。それじゃ、3階の部屋からお願いしますね。」
かしこまりました、と答えながら、駆け足で階段を上りテラスへと戻った。
そして、同僚に言う。
「あんたは別にいいよ、やらなくても。やりたくなきゃ。」
私は窓を掃除しにきたんだから。
損しただとか、得しただとか、そんなことどうでもいい。
そんなちっぽけなラッキーやアンラッキーの感情に振り回されて、手抜きをで
きるできないだので一喜一憂なんかしたくない。

今日という一日のほんの数時間を楽に過ごすことの意味。
ミズキは決して真面目な性格ではないし、どちらかといえば不真面目だし、会
社をずる休みなんて大得意だし、責任感なんて皆無に等しいし、協調性のかけ
らもない、どちらかといえば社会不適合者の部類だと思う。
だから、きっとちっぽけな損得勘定に揺り動かされるなんて、ごめんなんだ。
ちっぽけな自分の未来を死守するためにせこい立ち居振舞いを無意識にしてし
まう人間の浅ましさみたいなものを、こんな単純でシンプルなアルバイトの現
場でも感じなきゃならないなんて、本当に世の中はどうかしてる。
窓を掃除する、それだけのことなのに。

ミズキは黙々と窓を拭いた。
3階のテラスの窓を拭き終わると、今度はテラスに面した部屋の、そして隣の、
・・・どの部屋にも綺麗に磨かれた美しい大きな窓がある。
同僚もぶつぶつ言っていたが、明らかに不満を隠せない表情をしながらも、仕
方なさそうに窓を拭いていた。
3時間後、結局2階の窓すべて拭いたところまでで、結局50枚全部というのは無
理だった。依頼主が呼びにくる。
「もうお時間でしょう。けっこうよ、ここまでで。どうもありがとう。」
ミズキは、少しバツの悪さを感じながら言った。
「すみません。全部できなくて。」
依頼主は、お支払いするわ、仕度ができたら下にいらしてください、と言い残
し又階下に降りていく。

後片付けを済ませ、ミズキと同僚が玄関に向かうと、依頼人は3時間の料金と、
ペットボトルのお茶とワッフルの包みを袋に入れ手渡してくれた。
「お急ぎでしょうから、車の中でどうぞ召し上がって。」
どうもありがとうございました、と、ミズキと同僚は頭を下げ、踵を返した。
その時、依頼人がミズキを呼び止め、言った。
「あなたは決まったお休みの曜日はあるの? またあなたがいらっしゃる日に
残りの窓をお願いするわ。」
ミズキは、不定期なのでいない時もありますが、またよろしくお願いします。
そういい残し、午前の仕事場を後にした。

次の仕事場に向かう車の中、同僚がミズキに鳥のように騒ぎ立てる。
ミズキってなぁんかああいうおいしい客に気に入られるよね~、いいよね~、
でももったいないどうして何曜日と何曜日はいるとかって言ってこないかなあ、
いいなぁああいう品のいいお金持ち、うだうだ文句言わなそうだし、やっぱり
いいよね余裕があるってかんじ・・・
ミズキは、うるさくまくし立てる同僚のその言葉をさえぎって、言った。
「ほら、うだうだ言ってないで午後の客んとこ、地図みてよ。今日は午後も窓
掃除なんだから。」
まったく、人間なんて勝手なもんだ。
窓を掃除する、それだけのことなのに。
いつか掃除する窓さえ奪い合う時だって、やってくるのかもしれない。


++++++++世の中を眺めていると、そこにはどんな事象にも人間の損得
++++++++“感情”が揺らめいていて、これは人類にプログラムされた
++++++++もう本能に分類される性なのではないだろうかと、よく思う。
++++++++そういう私も、なるべく損はしたくないし、なんといっても
++++++++無駄に何かに感動操作されたりなんかしたくない。そう思い
++++++++つつも、あんまり裏事情ばかり探るのも・・・楽しくないの
++++++++で、とりあえず自分の門外漢の分野の野球だのサッカーだの
++++++++マラソンだののスポーツ系の世界には素直に感動を求めるこ
++++++++とにしているのだけど。
++++++++私が損したな・・と感じる時は、なんといっても、自分にと
++++++++ってあんまり好きになれない曲に、お仕事モードで歌詞書い
++++++++たりしたときである。ああ、また無駄な歌詞を意味もなく生
++++++++みだしているだけ、と悲しい気持ちにさせられる。
++++++++なら、書かなければいいのだが、私の中の損得“勘定”が、
++++++++やらしい胸算用してるのだ。もしかしたらブレイク、ってね。

【神崎詞音】 http://210.150.171.169/droo-d/-sion/
作詞家。露崎春女(現:Lyrico)KAZAMIなどの実力派ディーヴァから、アニメ、
ゲーム音楽まで、多岐ジャンルに渡り作品を提供。

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■イベント案内
第13回イメディオサロン“X'mas & Year-end Party! 2002”
http://www.imedio.or.jp/seminar/eve/salon/salon13.html
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日時:12月19日(木)18:30~
会場:seven(大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビルB1F)
費用:男性3000円/女性2,000円 定員150名
主催、問合せ:ソフト産業プラザ イメディオ 西原
   TEL.06-6615-1000  mailto:welcome@imedio.or.jp
2002年、今年も残すところあと僅か。来る年につながる人脈作りや、情報交換
を行って頂けるよう、デジタル業界で活躍される方々を招いての交流Partyを
開催します。関西で活躍されている各種団体のプレゼンも予定しております。
ぜひこの機会に、沢山の方と交流を深めてみませんか。(主催者情報)

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■セミナー案内
オリジナルアートCDジャケットデザイン体験セミナー
http://www.dhw.co.jp/school/location/osaka/report/20021129164637.html
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日時:12月11日(水)19:00~21:00
会場:デジタルハリウッド大阪校(大阪市北区西天満6-5-17 デジタルエイト
ビル1F)
参加費:無料(要予約) 定員:20名
20世紀FOX×デジハリ大阪 映画「ウェイキング・ライフ」共同イベント。実
写撮影をベースに、CGによるペインティングとデジタル編集によりつくられて
いる映画「ウェイキング・ライフ」風なデザインで、CDジャケットを制作する。

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■編集後記(12/9)
・買いに走った「ぶざまな人生」(勢古浩爾著・洋泉社新書)、年頭にガツン
とやられた「まれに見るバカ」のあの人の本だ。まだ読んでいない。読みかけ
文庫が3冊あって、まずそいつを終えなければならないのだ。読書日記なんか
始めなければよかった。さて、期待のこの本、まえがきだけながめた。「『ぶ
ざま』でなければ生きられない。だが、『ぶざま』を自覚しなくては、生きて
いる資格がない」帯にはこうある。「人生を黙って耐えて生きる男のための覚
悟の書」、はい、覚悟して読みましょう。年末もこの人にガツンとやられるの
だろうか。バカからぶざまへ、なんか象徴的なわたしの読書だなあ。(柴田)

・K-1面白かったぁ。と書きたいが、仕事でぱんぱんで、その上その時間中ず
っと電話でうち合わせをしていたから、目の端でちらちら画面を見る程度でし
かなかったんだけど。ぬるい試合がなくて、みんな勝って欲しいと思ったくら
い。ああ生で見たかった。/その数時間前、弟が帰省していて、それに合わせ
て妹がおいを連れてきていた。K-1の話題になり、前日のバラエティ番組に出
ていたサップの話をしようとしたら、妹も弟も見ていた。格闘技に興味のない
妹まで見ていたか。あの番組の視聴率高かったんだろうなぁ。(hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント>
 ノート=ウドム・テーパニット著 白石昇訳書「エロ本」1197、1207号。
 Painterキャラクターデザインブック 1206号。
 Web Site Design vol.6 1210号。

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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