[1234] Enterでドカン。

投稿:  著者:  読了時間:16分(本文:約7,900文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1234    2003/01/21.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21141部
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            <危機感が通じない>

■デジタルサウンズ研究室
 Enterでドカン。
 モモヨ

■電網悠語:Ridual開発記編(24)
 圧倒的な品質
 三井英樹



■デジタルサウンズ研究室
Enterでドカン。

モモヨ
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ここのところ、子供達の通学の用意をさせている間に『まんてん』を見るのが
習慣化している。最初は、ニュースを見る際にオマケのようにしてボンヤリな
がめていたが、今では、『まんてん』の15分を楽しみにしている。ニュースは、
そのオマケである。

で、普段は垂れ流し状態の朝のNHKであるが、年が改まったある朝、インター
ネット上の新しいトラブルを特集する、そんなアナウンサーの言葉が耳に飛び
込んできた。

インターネットの最新情報という触れ込みである。つい耳目を集中させてしま
ったが、これは、ある種の「トンデモ情報」であった。現在、続発している新
問題とは、ダイヤルアップ接続のユーザーに対して、接続したサイトが勝手に
PCの設定を変更、海外の番号へ改めて電話をかけさせるというものである。無
論、国際電話である。で、知らないうちに接続設定が書き換えられる。ユーザ
ーは、契約したプロバイダーではなく、海外のアクセスポイントを経由してイ
ンターネットにアクセスすることになる。これは、そのユーザーが発見して訂
正するまで続くから、通話料は、大変な値段になる。

どういう了見で、こういう企画を提案するのか、わからない。記者に対して最
新情報の取材件数ノルマがあるのだろうか? ユーザーの注意を喚起するのは
悪いことではないが、最新のトラブルとして紹介するのは、いかがなものか?

遺憾である……、思わず、そんな政治家風な言葉を吐きたくなるのは、私一人
ではない。

だいたい、この事件、数年前から、幾度か社会問題になっており、NHKのニュ
ースでもその話題を扱っていたのを覚えている。記憶しているのは、国際電話
など使っているはずがないのに、ある日、突然、国名も知らないような国との
通話料請求がきたというのである。月額十万円をこえる金額だという。そこで、
調べてみると、PCの接続設定が変更されており、その海外のアクセスポイント
経由でネットにアクセスし続けていた、というのである。

そこで、被害を受けた側(請求された側)としては、当然、裁判に持ち込む。
しかし、民法で言うなら、請求書を発行する日本の電話会社は、この事件の当
事者ではないため、民事訴訟は成立しない。詐欺行為として刑事告発しように
も、金銭がどのように流れているかが明白でなく、悪意を持った行為者=加害
者が特定できない。いずれ、どこかで、何らかのリベートなり、手数料が支払
われているのだろうが、それがわからない。泣き寝入りするしかないという。

ダイヤルQ2の話で言えば、こんなケースが身近にあった。

寄宿舎制の某私立中学に通っている甥の話である。彼が、東京に帰ってきた時
に、実家のPCを使うわけだが、彼が使った直後は、必ずインターネット接続が
変更されている。私のところは、LAN接続なのに、それがダイヤルアップ接続
に変更され、ブラウザーを起動する度に覚えのない番号(Q2)に接続しようと
するのだ。

原因は彼の学友が提案したゲームだった。普段、北海道の寄宿舎で集団生活を
している彼らは、休みの間、日本中の実家に知って過ごす。で、休みの間、ネ
ット上の対戦ゲームでクラス全員で遊ぼう、そういう提案だったという。提案
した彼は仲間にCD-Rをばら撒いた。フリーの通信対戦ゲームで、なんでもその
学友の父親が開発したもの、そういう触れ込みだったらしい。何らインスツー
ルを必要としないし、ダウンロードもしない。だから、大丈夫だと友人は言っ
たらしい。

プログラムを起動する、それがどういうことか、彼には、どうしても納得でき
ないのだ。

プログラムは、ゲームに入る前に環境を変更する。そこでおきて破りのアクシ
ョンを起こしているが、ユーザーは、それを意識しないようにできている。プ
ログラムの挙動不振なアクションに気がつきユーザーがキャンセルや×をクリ
ックしても、プログラムは、停止命令を受け付けたり、終了処理をしているフ
リをしている裏で、ネットワーク接続を勝手に変更してしまう。起動すると、
それだけでダイヤルQ2にアクセスするプロバイダーがあるが、あんな感じだ。
一度、このプログラムを起動すると、環境が全面的に改められる。

何度失敗しても、甥と悪友仲間一味は懲りないようで、もっと深刻な問題もあ
った。

いわゆるファイル共有システムをインスツールし、PCの中身全てをネット上の
不特定多数に晒したことである。

幸い、私のところは、子供が使うPCと仕事用のものは切り離してあったから問
題なかった。が、甥が自分の家で使っているPCのことを考えると、ほんとうに
怖い。甥の両親、つまり、私の妹夫婦に私の危惧を伝えたのだが、どうも反応
に手ごたえがない。義理の弟にしても、妹にしても、その逼迫度がわからない
というか、危機感が通じない。これには困った。

私の警告をまともに聞かないのは、甥である中学生も同じで、幾度注意を喚起
しても、自分達の悪友仲間とその世界における仁義を守っている(?)ようで
ある。ネット上の問題は目に見えない。残念ながら、この手の危機は、実際に
請求書が送付されてくるなど、眼前に具現しないと、それと意識できないのか
もしれない。

くだんの悪友仲間でつくったシステムとのことだが、互いにルートを共有する
のだから、通信型対戦ゲームも何もない。擬態である。単なる対戦ゲームなの
だ。PCの中身を互いに晒してみせれば、そりゃ通信型対戦ゲームだってできる
というものだ。着想は悪くないが致命的なシステムの脆弱性(?)がある。

少年少女がこういう悪戯をして大きくなっていくのは私にもわかる。が、そう
した悪戯の対価として十万円とか百万円の請求書が送付されてくる。ほんのち
ょっとした悪戯の結果である。それが抜き差しならない事態を引き起こす。

どこかの大国の大統領がボタンを押すことで核ミサイルが発射される。それに
似て、一度、Enterキーを押せば、あるいはダブルクリックすれば、あとには
戻れない。少し、寂しいような気もするが……。物事が簡単になれば不幸も簡
単に出来する、そういうことらしい。

管原保雄 モモヨ(リザード)
http://www.babylonic.com/

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■電網悠語:Ridual開発記編(24)
圧倒的な品質

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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今まで幾つかのサイト開発に携わってきた。それぞれで、初期構想を詰める段
階でその後の「ある流れ」が決まってしまっていた気がする。

単一の部隊で開発を進めるならば、アイデアだしの仕事は分散しないし、複数
人で取り掛かっても気心が知れている分だけ、アイデアの収束が早い。しかし、
複数部隊(部署や企業)が絡むと、余り容易な道ではなくなる。突き詰めれば、
誰がどのようなリーディングをしていくか、誰が皆を引っ張っていくかが、そ
のプロジェクトの成否の鍵となった気がする。

会社というところでは、そのサイズが大きくなるほど、上の位に就いている人
は、取りまとめや意見の交通整理が得意な方が多くなってくる。名采配の名声
を持つ人も少なくはないだろう。しかし、私の経験では、その能力は余り重要
な評価基準ではない。溢れるほどのアイデアがあって、それを実装する技術力
も有り余っているという状況は余りなかったからである。先導する者は、多数
の意見をまとめ上げるというよりは、自分でアイデアを出し、向かうべき場所
を定め、皆を奮い立たせる者であるべきだ。そうでなければ、サイトは余り上
手く育たない。

しかし、実際の権限者は肩書きが上の者に予め決まっているのが通例だし、そ
の座を奪い取るのは並大抵の壁ではない。肩書き上位者の面子がかかっている
からである。けれども、名目はともかくとして、実質的なリーダシップを取る
方法はある。

今までの経験では、それは最初の打合せのときに、もうそこまで出来ているの
かと誰にも言わせるだけの試作を提示することである。動くものに勝るものは
ない。もちろん幾つかの部分は、改良されるだろうが、大筋を設計する部分を
勝ち取ってしまえることがある。自分に割り振られた仕事の領域を超えて作る。
インターフェースの担当のはずなのに、データベースのフィールド設計までし
てしまう。分業体制など、そのプロトの後に作れば良いと割り切る。必然と担
当領域は、当初の予定と異なる。とりあえずヒアリングを、等と悠長な考えで
臨んで来るメンバーに、圧倒的な品質のプロトを見せ付ける。

過去何度かそのようなことが出来たことがある。それは大変な仕事である。そ
もそも時間がない、忙しいという大前提の中で、驚くようなプロトを作るので
ある。しかし、それが出来て、評価された後、仕事の流れは、そうでなかった
場合と比べると進みが圧倒的に良い。

このようなプレゼンが出来たとき、幾つか思うことがある。1)デザイナの端
くれであって良かった。 2)日頃の鍛錬と日頃の嗜好。 3)このサイトがか
わいい。

1)デザイナの端くれであって良かった:
分業体制を敷く場合、幾つかの方法があるだろう。私は、幸か不幸か、何を扱
うかという即物的な分け方の部隊にしか所属したことがない。DBを扱うグルー
プ、Webアプリケーションを扱うグループ、インターフェースを扱うグループ。
大まかに言って、この3種類に分かれることが殆どだった。その場合、このサ
イトのエンドユーザの使い方も含めた全体像を分かり易く示せるのは、どう考
えてもインターフェース係である。残り2つのチームはそれをやろうと思って
も、それぞれの最終目的とするモノの特性から、根本的に難しい。

これは幾つかの問題点を示してもいる。インターフェースからDB構成までの知
識。扱うモノを基準としたチーム分けの限界。使われる場面に対する具体的な
イメージとそれへの対応。セクショナリズムによる、ユーザのユースケース途
中の壁や対立。

2)日頃の鍛錬と日頃の嗜好:
うまく行ったプレゼンの背景には、その作ろうとするサイトの方向性が、日頃
の自分の嗜好とあっている場合が多い。その分野が好きだからウォッチしてい
る頻度も高いし、色々と言葉にしないまでもアイデアが頭の引き出しに既にあ
る。こうすればもっと良くなるのに、あーすれば使い易くなるのに。但し、同
時に溜まっているアイデアを目に見える形にするだけの技術が必要になる。こ
れは、日頃の鍛錬としか言えない。自分なりのアイデアの溜め方に工夫を凝ら
し、その出し方もグルグルと頭の中を常に回っている。

逆に自分の興味のないモノを扱うサイトには鼻が利かない。でもそれに得意な
同僚がいればよい。チーム内の嗜好性の広さが、そのチームのフィールドの幅
や深さになる。

3)このサイトがかわいい:
愛着。「千と千尋の神隠し」のインタヴューの中で、宮崎駿監督が言っていた、
「千尋が中々かわいくなってくれなくて心配だったが、あるときから千尋がか
わいいと思えてきた。それでこの映画はいけると思った」と。自分が手塩をか
けて育てたプロトが、実際の技術によって「本物」に実装されていく。なんと
も言えないワクワク感がある。そんなとき、その実装版プロトのアクセスログ
には、私のPCのIPアドレスが上位を占める。よくそんなに見るな、と言われな
がら、飽きもせずに見つめている。

もちろん、ぼーっと見ている訳ではない。別の仕事をしながら、画面上にはそ
のサイトを表示するブラウザが必ずいて、ことある毎にクリックする。そこま
で惚れ込んだら、余り失敗することはない。何度も見ているうちに、更にアイ
デアも湧くし、見ている分だけ、自分でテスタになっていて、バグ出しにも貢
献している。しかも、画面単位のテスタではない。どう使われるかというユー
スケースを考えた連結テストをやっている。ついでに、そのサイトが出来上が
る頃には、Phase2のアイデアが溜まっていることすらある。

圧倒的な品質で勝負するのは、何もWebの世界だけではない。スポーツの世界
でも良く見られることだ。格下が格上に、キチンと勝利するには、圧倒しなけ
ればならないことが多々ある。少し上くらいで勝とうなどと思っても、格上に
は、それなりに有力者がついている。公正な判定を望むことは諦めよう。引き
分けではチャンピオンベルトは移動しない。誰の目にも明らかな形で勝負がつ
いたなら、誰にも文句は言われない。そうやって這い上がっていくしかないモ
ノが沢山ある。Webもそうなのかと思う。

社内コンペであるなら、話はそれほど切実ではない。誰が取り仕切ろうと、経
済的には、それほど大きな問題ではない。しかし、社外コンペではそうは行か
ない。自分達の収入に直結して来る。

そうした厳しい競争の中で、全戦全勝に近い仕事をする会社やグループもある。
何が違うのか。アウトプットの出し方の方法論が確立しているのだと思う。
HTMLのコーディング技術やFlashの作り方等の個々の技術ではない。提案や試
作といった総合的なアウトプットを、短時間で形にするノウハウが、組織とし
て蓄積されている。そしてその細やかさが品質に直結している。提案書一つに
しても、フォーマットから押さえられている。何かをするときに、何を提出す
れば効果的か等は、アイデア出しの人間は考える必要がない。決まっているの
だ。ただアイデアの品質に集中でき、集中すべき状況に置かれている。

こうした環境に慣れない者には、窮屈に感じられるかもしれないが、たぶん逆
である。情報は、コンテンツ(中身)とフォーマット(見栄え)に分離するこ
とで、より高い汎用性を得られる。提案もアイデアと形式とに分離することで、
より高い品質を生み出す循環型の環境を作り出せる。

2003年、一部の技術を除いて、Webサイトの構築はかなりコナレて来ていると
言えるだろう。そんな中で勝ち残っていくためには、システマティックなワー
クフローの確立が急務だと思う。Ridualはその駒として生き残れるだろうか。

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / info@ridual.jp
・Flash勉強中。RidualはMXをまだ解析できない。ジレンマ。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/

・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://member.nifty.ne.jp/mit/MilkAge/

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■編集後記(1/21)
・げげげのきたろ~! エクス・ツールスが経営破綻だって。Shadeはシリー
ズをふやして順調だと思っていたのだが。純国産の優秀なソフトとしてファン
も多いのに残念なことだ。イーフロンティアに移って開発、販売、サポートは
継続されるようで、それはそれでよかった。思えば170万円時代に、加藤直之
さんがあの「沈黙の美女」を作ったときにたしょうわたしも関与したものだ。
あの作品がなかったら、Shadeのその後は変わっていただろうし、テライユキ
も飛飛も生まれなかったかもしれない。それが1986年という昔だ。(柴田)

・就職活動ネタを書いたのは、最近そういう相談を受けたり、メールが届くこ
とが多いから。私のようにフラフラてきとーな活動はしないでね。チャンスを
活かしてね。いま花形の企業が30年先も花形とは限らないので気をつけてね。
雇う側の気持ちにもなって活動してみてね。どんな仕事がしたいのか考えてみ
てね。不景気で難しいとは思うけど、ファイトです!    (hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント>
 DTPフォント完全理解! 1225号。
 できるクリエイター Photoshop 7.0 独習ナビ 1227号。
 Web Designing 2003年2月号 1231号。

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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