[1345] キーと音程

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,300文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1345    2003/07/08.Tue発行
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      <自分よりも二回り近く年下の娘の一言が相手>

■デジタルサウンズ研究室
 キーと音程
 モモヨ(リザード)

■電網悠語:Ridual開発記編(46)
 うざい
 三井英樹

■展覧会案内
 日比野克彦『「明後日新聞社」文化事業部主催展覧会「記して」』
 『「一昨日テレビ」PR事業部主催放送番組「記して」』



■デジタルサウンズ研究室
キーと音程

モモヨ(リザード)
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ここのところDTMに直接関わる話題を書いてきているため、関係する話題で皆
さんから直接メールが届くようになっている。そうしたメールで目立つのは、
音階、平均律その他のことについて、改めて考えさせられた、そういう内容の
ものだった。

音階については、ちょっと調べていただければわかると思うが、なにしろ、現
在は、巷にカラオケが氾濫している。カラオケの増殖は悪いことではないが、
ボタン一つで転調ができてしまうため、こうしたキーと音階については感度が
鈍くなりがちなのだろう。

ちなみに、カラオケの転調は、全てのパート、或はカラオケ全体を平行で移調
(周波数を直接変化)させる方式が主流である。音符上での転調ではない。当
然、平均律上のそれでもない。先のテキストでも書いたように、楽器は本来、
こういう転調ができない仕組みになっている。楽器には、それぞれ、基準とな
るキーを持っているからだ。

ブラスバンドを経験している方ならB(あるいはB♭)が、多くの管楽器の基
本であることを知っていよう。

身近なところでギターはAを基準にしたクロマティックなシステムを採用して
いる例もある。

ギターのクロマティックなシステムがAを中心にしたものであることは、基本
チューニングを考えるとわかりやすい。最近はチューニングメーターを使って
ザックリとすませる人も多いため、次に、改めてその方法を考えてみることに
する。

そのむかし、ギター愛好家は、エレキであろうとアコースティックであろう
と、皆、A=440Hzの音叉を手元に持っていた。チューニングをする場合、この
音叉を叩いてボディに共鳴させ、A弦のハーモニクスをその音程にあわせてや
る。こうしてあわせたA弦のハーモニクス二種(基本音と5度のもの)を使っ
て上下の弦を合わせていく。高いほうのEは、最低音のE弦と同じにし、B弦は、
それに準じる。言葉にすると、かなりややこしくなるが、ざっくり語ってしま
えば、全ての弦、チューニングを音叉のハーモニクスに準じさせているわけで
ある。

ちなみに、ギターのようなフレット付弦楽器は、弦長と音程の関係が視認でき
るので、音階を考えるには、とても参考になる。例えば、オクターブ上の音を
出すには弦長全体の真中あたりを押さえればいいが、このことからも、弦長が
2分の1になれば、音程が1オクターブアップする、という原理は直感的に把握
できる。ちなみに、弦長が2分の1になるということは、周波数は二倍になって
いる、ということである。

と、ここまではきわめて簡明な理屈であるが、ここからが問題なのだ。こうし
たフレットを眺めていると、音階など極めて簡明な理屈でできているように思
われるが、実際には、AとかB、つまりキーによって、オクターブの間の音程差
が変わってくるから、面倒くさい。

例えば、先の音叉のような440ヘルツを基準に考えてみると、こうだ。1オク
ターブ上がるということは、その周波数は、二倍になる。つまり、440の音叉
に対して880ヘルツ(かなりやばい数値だけどあえてこのまま使う)がオクタ
ーブ上の音になる。もし、基準の音叉が300なら、オクターブ上は600ヘルツ
になる。と、ここまでは問題ないだろう。しかし、だ。この両者の音程差を周
波数に直すと、困ったことになる。片方は、300Hzであるし、片方は440Hz、こ
れがオクターブの周波数変化値なのである。クロマティックでは、現在、これ
を12分割しているが、だとすれば、半音の変化さえもがキーによって異なるも
のとなる、はずである。

音階のこと、音程のことを考え始めると、音を楽しむどころではなくなる。こ
とは人間の聴覚や心理学、あるいは音波認識そのものに関わる問題だけに、こ
のような事情は、音律、音階の専門書にあたっていただくしかない。実際、い
まだ解決されていない問題である。

これらについては、ほんの少しでいいから頭のすみにおいておく、それくらい
がいいと思う。もちろん、まったく無関心でいるのは、感心しない。あなたが、
こうしたものを知っているかどうかは、結果出てくるサウンドにあらわれる。

前回、邦楽について、考えた時にも音階音程の問題に触れている。そこで、音
程を多少ベンドアップ、ダウンしてやることで、ある音源が別の楽器として響
いてくる、そんなことを書いた。これもまた音程に関する認識なしにこなせる
技ではない。

モモヨ(リザード)・管原保雄
http://www.babylonic.com/

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■電網悠語:Ridual開発記編(46)
うざい

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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Ridual開発陣の中に、「うざい」という言葉を使うメンバがいた。私は彼女の
その言葉をかなり信頼していた。

・うざい
(主に若者語で)面倒だ。うっとうしい。「うぜえ」とも。
〔「うざったい」の略からか〕
  三省堂「デイリー 新語辞典」より

・うざった・い
(形)俗に、ごちゃごちゃしていて煩わしいさまをいう。うざっこい。
  三省堂「大辞林 第二版」より

自分が気に入ったサイトやおかしいと思ったサイト、あとは開発中のRidualの
インターフェース...、様々なモノを見てもらって、評してもらう。彼女が良
いと思った時はそれなりに言葉が重ねられるが、駄目だと思ったモノには「う
ざい」と一言だけで返される。どんなにお金をかけたものであろうと、知名度
があろうが、容赦ない。一刀両断。

最初にその判断に触れたとき、何故彼女がそう感じるのか、何が彼女にそう感
じさせるのかを知ろうとし、言葉にしようとした。でも、直接彼女に質問して
も「だって、うざいじゃないですか~」の一言で深彫りすることすら出来なか
った。そのうちに、私が何かを見せる、彼女が「うざい」か「うざくない」か
の二択の判断をする、私が対策や対応を考えるというワークフローが出来上が
っていった。彼女に質問しても理由は分からない。でもその直感的な判断は身
近の誰にもない特性だった。得難い逸材だ。

Ridualは今でこそ、ページ間のリンクやリソース関係のみを扱っているが、当
初はページ内のデザインパーツにも踏み込んでいた。最近はCSSで書かれるこ
とも多くはなっているが、ページ内のレイアウトは基本的にはTableタグで書
かれるのが主流だ。そのレイアウトのパターンから配置するリソース、更には
そのリンクやformタグ等、様々なHTMLの機能要素をよく使われる単位でまとめ
て「ユニット」に再編成して、サイト構造を記述できるようにした。

まぁそこそこの記述は可能で、それなりの形にはなったと思っていた。サイト
を開発する際、ソースを見るまえに、tableがどうのような形に配置されてい
るのか等を一目瞭然の姿にした。どんな絵が使われていようと小さなアイコン
で、そこに絵があることだけを表示したので、純粋に構造だけを把握できた。
更にその構造自体をコピーペーストできたので、複製ベースのサイト構成は
まぁまぁ楽だったと今でも思っている。但し、これはまだDreamweaver等でも
template機能がまだ整備されていない時代の話。

ところが、こうのようなHTML機能をブロックのように扱うには致命的な問題が
あった。一つは新規に作成する場合はまだ良いが、既存のサイトをこの世界に
持ち込むことの困難さ。HTMLコードをこのユニットに翻訳してやる必要があっ
た。もう一つは、1ページを作成するのに必要なユニットの数が半端なもので
はなかったこと。

後者は、その「彼女」に一言で切り捨てられる。うざい。時間もコストもかけ
ている。ない知恵絞って泣きながら実装してきたものである。数分使って、こ
の一言。チクショウと思って聞きなおしても、「だって、うざいじゃないです
か」、と理由を考えるのも"うざそう"に笑う。

当時のRidualは1ページに数十のユニットが乗るようにしてサイトを作って行
く。操作する人間の限界から考えると50ページが上限だったかもしれない。ど
のリソースがどのページにリンクしているか等、分かりやすくはあったが、こ
んな感じでサイトは作りたくない...そんな直感がうざいと言わせた、と理解
した。

悔しかったし、なんとか見返してやりたくて色々と考えた。上司からの課題と
いった種類のものではない。自分よりも二回り近く年下の娘の一言が相手であ
る。真剣だった。何故こうした構造で作ろうとしているかとか山ほどの言葉を
並べる自信はあった。でも、彼女が使いたいと思わなければ、多分世に出して
も無理だと直感的に感じとった。彼女の「うざい」という言葉が、これからの
WebサイトやWebアプリケーションの大きな評価軸になると予感した。うざいサ
イトは敬遠される、うざいアプリは使われず朽ちていく。

で、捨てた。ページ内に関わる「ユニット」を事実上全てボツにした。残され
たのは、ページ関係を示すページ、ゾーン、Url、コメント、そしてリンク。
それまで私がやってきたことは、イメージユニット、フォームユニットやレイ
アウトユニットといった画面内の機能のユニット化であった。理論的にきれい
に作ったと思っていた24個のユニット。その多くがが一言で「(意味のある)
無駄」になった。

決断時は脱力感があった。今までの苦労が報われない気が少しした。でも今は、
英断だったんだと感じている。自分がどう考えたかに固執せず、ユーザが使い
たいと思うかに焦点を移した。なんだ、Webサイトと同じじゃないか。その結
果、Ridualは「解析ツール」としての力を手に入れることになる。

設計図を描く段から、解析までひとつのツールで見渡せる。それこそがやりた
かったことだ。そしてその後ダウンローダも実装され、今やURLを入力すれば
他人のサイトがそのままコピーできて、自動でサイトマップまで作れるように
なっている。Flashを含むサイトを解析して、そのサイト自身が提供するサイ
トマップとほぼ同じものをRidualが表示したとき、背筋にゾクっと来た。
Ridualは、削ったが故に広がった。なんだか逆説的で面白い。

Ridual開発記が及びもしない深みがある言葉を。ニューヨーク大学リハビリセ
ンターの壁に刻まれている作者不詳の詩;

  大きな事を成し遂げようと力を求めたのに、慎み深く従順である
  ようにと弱さを与えられた。

  偉大なことができるようにと健康を求めたのに、良い事をするよ
  うにと病を与えられた。

  幸せになろうとして富を求めたのに、賢明であるようにと貧しさ
  を与えられた。

  人からの賞賛を得ようと権力を求めたのに、神の前にひざまずく
  ようにと無力を与えられた。

  人生を楽しもうとあらゆるものを求めたのに、何事をも喜ぶよう
  にとひとつの命を与えられた。

  求めたものはなに一つとして与えられなかったが、願いはすべて
  聞き届けられた。私はあらゆる人の中でもっとも豊かに祝福され
  たのだ。

ps.
その彼女は今は産休中。ある意味この世で一番「うざい」仕事、子育て中:-)
子育てほど、求めるものと得られるもののギャップが大きなものもないかもし
れない。我家では言うことはさっぱり聞かなくなったが、それでも家族と共に
いると喜びがある。さて彼女は?

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / ridual@nri.co.jp
Ver.1をお使いの方、rlmとかキチンと組み込めているでしょうか。Ver.0.1か
らお使いの方、上手くアップグレードできたでしょうか。心配してます。振り
回していることを申し訳ないと思いつつ、次回更に環境が変わります。J2SEが
1.4.2出てしまったので、こちらをベースにします。話によると高速化もされ
ている。こちらの体感速度も微妙に速いです。
で、MacOSXを公式動作環境から外します。こだわったんですが、イベントハン
ドリングのようなところでどうしても不可解な動きをするので。でも基本機能
は動きます。ドキュメントはしないけれどLinuxでも動いてます(現versionは
多少難アリ、次期版では解消予定)。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/

・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://member.nifty.ne.jp/mit/MilkAge/

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■展覧会案内
日比野克彦『「明後日新聞社」文化事業部主催展覧会「記して」』
『「一昨日テレビ」PR事業部主催放送番組「記して」』
http://www.canon-sales.co.jp/s-tower/floor/1f/
───────────────────────────────────
会期:7月3日(木)~8月30日(土)10:00~17:30 日祝休
会場:キヤノンサロンS (東京都港区港南2-16-6 キヤノン販売 CANON S
TOWER 1F TEL.03-6719-9111)
内容:「記す」ことをテーマに、日比野氏が海外で「記して」来た新作ペイン
ティング約50点を素材とした作品展で、作品群は平面作品と映像作品に分け、
平面作品を「明後日新聞社」映像作品を「一昨日テレビ」という、日比野氏プ
ロデュースのメディアとして展示する。

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■編集後記(7/8)
・間取りを集めた本がヒットしている、と先日の朝日「ひと」欄に出ていた。
佐藤和歌子さんという23歳の大学生が書いた「間取りの手帖」(リトル・モア)
が発行2か月で10万部に達したという。実際にある奇妙な物件99点を掲載して
いるそうだ。友人の引っ越し話で住宅情報誌を見たのがきっかけで、以来おも
しろい間取りをコレクションして、4年間で400件は集めたという。本人は引っ
越しの経験もなく、建築専攻でもない。う~ん、やられた。わたしもかなり近
いことを考えていた。わたしは間取りに興味はないが、妻がなぜか異常な間取
りチェッカーで、新聞のチラシや住宅のカタログなどを見ては、なんて使いに
くい間抜けな設計だ、と常々罵倒しているので、そんならそういうおばかな間
取りを集めて小気味いいコメント付きで本を作ろうと妻に提案したことがある。
本人は建築専攻ではない。ピアノ専攻である。なぜか設計に興味を持ち、友人
の住宅など何軒か設計してやったこともある。もちろん、いま住んでいる我が
家も妻の自慢の設計である。だが、子供らが出ていってしまうと二人の住む家
としてはあまりに大きすぎて、かえって使い勝手が悪くなってきた。ぼちぼち、
こじんまりしたところに引っ越そうかと本気で考えている。    (柴田)

・ガタカは明日でした。すみません。/銀行に行った。通帳の磁気が弱ってい
たらしく読みとれない。その日のうちに入金できないと引き落としできない。
はじめて直通電話をかける。二度チェックしてもらい、やっと入金できた。/
時間とられたと思いつつ駅に行く。プラットホームに人がいっぱい。なかなか
電車が来ない。乗車するとアナウンス。「○○駅で人身事故が~。」/終着駅
で降りる。アナウンスがうるさい。ダイヤはマヒ。この線では人身事故はほと
んどない。あっても折り返し運転をするのだが、今回の事故は一番大きな終着
駅の手前で発生。全部の電車に影響。/仕事を済ませて戻る。まだダイヤはマ
ヒ。いつもの倍以上の時間をかけて帰宅。/ベッドに入る。目が痛くなってく
る。ゴミが入ったのかと目を洗うが痛いまま。さらに洗い、目薬を多めに点眼。
ちょっと落ち着いたので寝る。/変わった一日。      (hammer.mule)
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20059771,00.htm
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