[1514] 電子出版社は可能か(5)

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1514    2004/04/22.Thu発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 18976部
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          <"Oldies but Goodies">

■Powerbook Publishing Project 82
 電子出版社は可能か(5)
 8月サンタ

■笑わない魚 110
 当たり障りのある話題
 永吉克之

■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 
 「アースデイ2004」に行きました
 茂田カツノリ
 


■Powerbook Publishing Project 82
電子出版社は可能か(5)

8月サンタ
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誰でも一瞬ならクリエイターになれる。しかしそれが一日、三日、一か月、一
年、十年、三十年、続ける・食べていくと言うことを考えると、それは全く別
の話になる。電子出版社は可能か、というのは、長期的な視点で商売として成
り立つか、ということへの問いである。

先週は「物流システム」にクリエイターとその創作物、つまりコンテンツが飲
まれていく現実、という話だった。これはパワーバランスの問題である。物流
システム、ディストリビュータというのは陰の権力である。書籍取次、映画配
給会社、音楽会社、いうまでもなく市場を牛耳る独占企業体である。

しかしコンテンツ・物流・決済の三つが輪になって、回転してはじめてコンテ
ンツ・ビジネスだが、コンテンツがデジタル化することでクリエイターの価値
が揺らぎ、相対的に収入基盤が確かな、物流システムの側が、以前よりいっそ
う主導権を取るようになった。

皆さんもよくご存じのデジタル・データの特質は、創作物から「希少性」を奪
ってしまった。コンテンツから希少性を取ったら何が残るというのだろう。完
全な複製物が発表の瞬間から世界中に拡散していくとするならば、そこに認め
られる、かけがえのないものとは何だろう。

あえていうなら「時間」だろうか。誰よりも早くそれを手に入れたいという人
に、いち早く届けて貴重な時間を私有してもらうことで、辛うじて価値は生ま
れるかもしれない。まあ残されるものはそれくらいである。事態は深刻極まり
なく、デジタルデバイドが解消されていくというほどに、著作権の危機、価値
のエントロピーは加速度的に進行していく。

●息長く続けるこつを先人に学ぶ

クリエイターと自負する人で、流通問題からかたくなに目をそらす人がいるが、
「創りたい」だけでは当然だめで、「届けたい」そして「稼ぎたい」を考えな
いで、いったい何がしたいというのだろう。

「どう届けるか」を考えるのは商売人の仕事、と他人ごと、表舞台に名前が出
る人以外を、一段下に、見下ろすような一部クリエイターの態度というのは、
クリエイターを使ってビジネスをする物流、ディストリビュータ側の人間たち
が、職域の壁を巧妙に作って聖域を仕立ててきたからとしかいいようがない。

未来は過去にある、全ての答えは自分が通ってきた道を探せば必ず落ちている、
というのが私の持論だが、今回は記憶の底から拾ってきたエピソードから、少
しばかり未来を探りたい。

思えば20年前…1985年、高校二年生の頃、夜はNHKのFM音楽番組を聴き、欲し
い曲がかかると即座にとっておきのメタル・テープに録音して寝るのが習慣だ
った(今も昔も夜更かしが苦手で、夜10時台のその番組が私には限界だったの
で、深夜放送の世界は私は全く知らない子である)。

その番組とは「サウンドストリート」。名前を見るだけで、魂が震えるような
気持ちになる人も多いと思う。約1時間の帯番組だが、佐野元春、坂本龍一、
渋谷陽一といった贅沢極まりないパーソナリティ陣が魅力だった。

その番組中、音楽のセールス活動について、とりわけ持論を熱心に力説してい
たミュージシャンがいた。「コンサートで地方をしっかりと回り、レコード店
を訪ね、きっちりと営業してまわれば、必ず、売れるんです」。

高校生の私は、良い曲、みんなが喜ぶ曲が、発表と同時に世の中に自然に受け
入れられて、大ヒットしてるんだと思っていたので、そんな演歌歌手のドサ回
りみたいな貧乏くさい話をされてもなあ、というのがそのときの感想だった。

そのミュージシャンとはもちろん、サウンドストリート木曜のパーソナリティ、
川´3`)こと山下達郎さんである。私もご多分にもれず、この番組を聴きだし
たきっかけはYMOとスネークマン・ショウと坂本教授をチェックするためだっ
たが、気がついたら木曜の曲ばかりが、テープに残ることになっていった。

●新しくもなければ古くもない

山下達郎という人が、日本の音楽界で、どのくらい息の長い活動をしているか
は皆さんもご存じだと思う。とにかくこの人の特徴はいろんな意味で「レンジ
が長い」ことである。代表曲「クリスマス・イブ」は発表後7年がかりで、オ
リコン1位になった。この記録は未だにぶっちぎりの第一位であり、発表20周
年を迎える今でも、季節になると売れ続ける驚異の作品である。

1995年に出た、本人責任監修のベスト・アルバム"TREASURES"を聴いていただ
きたい。1983年から95年当時の最新曲まで、12年分の曲が詰まっているのだが、
最初から最後まで、TV・ラジオを賑わしたヒット曲が並ぶにも関わらず、いつ
作ったのかさっぱりわからない。時代性が希薄なのである。

どの曲を聴いても、新しくもなければ古くもない印象を受ける。今聴いても、
全く同じ。偉大なるマンネリ。もちろん、これは「職人」と渾名される氏が厳
しくコントロールして出来上がった、意図的なものである。

氏が現在、パーソナリティをつとめる東京FM系列・日曜日のラジオ番組「サン
デーソングブック」で、繰り返し伝えられる番組のテーマとは、"Oldies but
Goodies"。”古いけれど、変わらず素晴らしいもの”。山下達郎という人は、
音楽というフィールドで、自らの楽曲も含め、「変わらない価値とは何か」と
いうことを一貫して追求し、また実践し続けている人である。

その結果、全ての曲が商品として、長期的に価値が変わらない作り込みが成さ
れている。基本的に戦略にぶれがなく、それを徹底的に商品に反映させる人で、
これは目先のヒットだけを考えて可能な技ではない。

音楽職人としての力も非常に高く評価されなくてはならない人だが、それだけ
ではないのが恐ろしいところなのだ。この人は物流に対しても、徹底的にこだ
わった人だった。高校時代に聴いたラジオの台詞は、伊達ではなかった。良い
ものを作っていれば勝手に売れる、などというのは、おためごかしだと思って
いるに違いない。

●気がついたら業界側を動かしていた

「音楽業界」というと如何にも楽器を抱えたミュージシャン、豪華設備のスタ
ジオといったショウ・ビジネス的な華やかなイメージを思い浮かべるが、それ
はコンテンツ部分。実際にはレコード店という、物流と決済の現場を含めて、
「音楽業界」である。

そしてレコード店の棚を実際に構築し、店頭でプロモーション曲を流し、直接
にお客に接して、楽曲を売ってお金を受け取るのは、レコード屋の店員である。

音楽業界のサービスのフロントエンド、レコード店とそのスタッフををこそ、
大切にしなくては、商業ミュージシャンとしての将来はない、と山下達郎氏は
20年以上前から考えていたし、目先のセールスと関係なく、地方を回り、1985
年に私がラジオで聴いたような、地道な営業活動を自ら実践していた。

だから山下達郎という人は決して「時代の売れっ子」であったことはなかった
けれど、「レコード販売の現場で支持されているミュージシャン」であった。
例えば1983年と84年(だったと思う)、盤面に雪の結晶が描かれた美しいピク
チャーレコード(A面クリスマス・イブ、B面ホワイト・クリスマス!)が限定
1000枚で発売されたときも、全国のレコード店の店員が自分で買ってしまった
ため、ほとんど店頭に出回らなかったという逸話がある。

その後も現場を見据えた営業に対する姿勢は、現在に至るまで一貫して変わる
ことがなく、なんと業界全体の姿勢にまで影響を与えるようになった。現在業
界では、新譜が発売される直前には、全国の販売店関係者を集め、ミュージシ
ャン自らが楽曲を聴かせ、その内容と方針などを伝えるという「発表会」が当
たり前のように行われているが、そもそもこの慣習をつくったのが山下達郎と
いう、いちアーティストなのである。

デジタル以前もデジタル以後も、音楽業界が安定していたことなどなかった。
レコードからCDへとメディアが激変したのもそれほど昔のことではないし、今
はさらに大きな変革の時期を迎えている。そんな中で、音楽業界のクリエイタ
ーは、ディストリビュータ側の勝手な都合に、作品も収入も振り回されている
のが現実だ。

しかし自分の客をひとりひとり、自分の手でしっかりと掴んできた氏は、もっ
と長いレンジで構えているように見える。目先の大ヒットより、長期的な仕事
として、クリエイターはどうあるべきか。その答えとして、氏はアーティスト
側が物流システムをしっかりと見据え、ある程度コントロールするということ
をやってきたのだと思われる。その結果が、年を経るごとに価値を増す氏の業
界での地位、安定感につながっているのは間違いがない。

一読しておわかりの通り、業界の構造自体は、紙の出版、映画館、音楽業界、
なんら変わることがない。実際に現金につながる収益を生み出すフロントエン
ドが街中の販売店にあるのも変わりがない。クリエイターがその物流と決済シ
ステムにいち商品として使い捨てられないための、ひとつの回答を山下達郎と
いう人は持っているし、今目の前で体現している貴重なケースではないかと思
う。(正直、その活動のほんの一面しか書けないのがくやしい。まあ私には無
理ですけど)

・山下達郎 オフィシャルサイト
http://www.smile-co.co.jp/tats/
・伝説のラジオ番組「サウンドストリート」ファンのページ
http://www.chokai.ne.jp/mimori/radio2.html

【8月サンタ】santa8@mac.com
LondonとLyallとLeCarreを愛する35歳元書店員。某超大手取次社員の経験アリ。
今週は「客かユーザーか」の話が書けなかった。まだまだ真剣な話は続きます。

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■笑わない魚 110
当たり障りのある話題

永吉克之
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私は基本的に争いごとを好まない。だから人を殺傷するのはもちろん、論難す
るのも嫌いである。デジクリのコラムで人を批判することもあるが、具体的に
名指しはしない。名指しをしたのはヒトラーのように、いっくらボロクソに言
っても反論される心配のない人たちばかりである。これからもバビロニア王国
のネブカデネザル王や、アミン大統領などを舌鋒鋭く批判する所存である。

                 ■

自身のサイトでも高らかに謳っているが、私の生活の指針は「人間関係に波風
を立てないこと」で、理想は「ぬるま湯のような世界で生きること」である。
したがって世間話をする場合でも、波風を立てるような話題は持ち出さないよ
うに細心の注意をはらっている。

私はさすらいの酒飲みなので、今までに馴染みの飲み屋というのが何軒もあり、
通っているうちに親しくなった常連客もたくさんいた。その中には、男も女も
若者も年寄りもいて、職業も、泣虫の銀行マン、クリスチャンの風俗店経営者、
陰湿な空手家、好色な自衛隊員、夜明けのトランペット吹きなど様々だった。

彼らはみんな、ぽっかりできた心の空洞をアルコールで満たしに来ていたのだ。
私たちは毎晩、前後不覚になるまで飲んでは、岡林信康の『友よ』を、ひどい
不協和音で合唱したものだった。

そんなことはどうでもいいのだが、私は相手の境遇や考え方、性格などに配慮
して対応するフレキシブルな人間だから、銀行マンと話をするときは、ATM機
で金を引き出すときの手数料で銀行が暴利をむさぼっているといったような話
はしなかった。自衛隊員とは憲法九条に関する議論はしなかった。アメリカ人
とは捕鯨の話はしなかった。巨人軍のファンとは野球の話はしなかった。

相手が女性の場合、男女差に関わる話題も取り扱い注意だから、さらに気をつ
かう。じっと見つめるだけでセクハラと認定されるようになって以来、排卵日
はいつですか、閉経はまだですか、なんて日常的なことでも聞きづらい雰囲気
ができてしまった。かつては初対面の女性でも、挨拶代わりに「今までにいっ
たい何人くらいの男と寝たんだ、え?」なんて気軽に聞いたものだが、それす
らも今ではセクハラにされてしまうのである。窮屈な世の中になったものだ。

そんな状況下で、「夫婦別姓、是か非か」「大相撲の土俵に女性が上がれない
のは女性差別か」「修験道の根本道場である奈良の大峰山の女人禁制は違法か」
なんて問題を話題にするのは狂気の沙汰である。

                 ■

ただ、こちらが気をつけていても、相手がそんな話題に言及することがある。
たとえばアジアの一部の国々から毎年批判されている、〒102-8246東京都千代
田区九段北3-1-1にある神社への参拝に関して一家言をもつ人はたくさんいる。
しかも、酒の席になると、こういう話を喜々としてやりたがる人がいる。

たがいに同意見ならともかく「首相は公人として8月15日に参拝し護国の英霊
の御霊に拝礼をすべきである」という意見と、それに真っ向から対立する「ア
ジア諸国を蹂躙した戦犯を祀ってある神社に、一国を代表する人間が参拝に訪
れるなど、被害国の国民感情を逆なでするような行動は言語道断」という意見
を出しあったら、感情的対立に発展するのは間違いない。これもかなり取り扱
い注意の話題なので、ハレ物にさわるような態度でのぞまねばならない。

しかし、いくら私が論争を好まないといっても一応プライドはあるので、納得
できない意見に対して「いやあ、ごもっとも。実ぁ、アタシもね、前からそう
思ってたところなんでございますよ、旦那」なんて、タイコもちのようなこと
を言うわけにはいかないから、そういう場合は「ああ、そうですか」と無表情
で返答して、お手向かいはいたしませんが納得したわけじゃありませんよ、と
いう意志を暗に示すことにしている。

それでもアルコールが入っていたりすると、相手はその話題に陶酔しているか
ら、お前はどうなんだとばかりに意見を求めてくる場合がある。そういうとき
はヤレヤレと頭を抱えて「まーそうですねえ、いろんな見方ができますからね。
これは確かに難しいというか何というか、その、一口にはどうも…」とフェイ
ドアウトするのが賢者というものである。

つまり、あんたもしつこいねえ、ずいぶんいい気持ちでしゃべってるけど、私
はこういう話は苦手なんだよ。そりゃね、私にだって意見はあるよ。でも楽し
い酒の席で論争なんかして、雰囲気壊すのはゴメンだよ。それに、この店は高
いし割勘なんだから、調子にのってあんまり注文しないでよね、という気持ち
を暗に示すわけである。

しかし中には、そんな空気の読めない人類がいて、自分の意見を言ったあとに
必ず「な、そう思うだろ」と当然のように同意を求めてくる。こちらが懸命に
波風を立てないように気をつかっているというのに、全く愚鈍な連中である。

そうなったらしかたがない。大鉄槌を下して、自分の愚かさに気づかせてやら
なければならない。「へへ、わてアホやから、ようわかりまへんねん」と毅然
たる態度で言い放つことが肝要である。

【ながよしかつゆき/アーティスト】katz@mvc.biglobe.ne.jp
以前、「購読」に代わる適当な用語はないのか、と苛立ちをあらわにしたら、
読者のpbg3さんから「受読」という表現を使ったメールをいただいた。一瞬、
「愛読」の間違いかと思ったが、手書きならともかくタイピングでこんなミス
はありえないので、さりげなく提案して下さったのであろう。謝謝!
http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Ework

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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト 20 
「アースデイ2004」に行きました

茂田カツノリ
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まず最初に今日の本題とは別に、先週水曜日の笠居氏の記事について触れさせ
ていただく。

僕としては特にコメントするつもりなかったのだが、多数のメールをいただい
たこともあり、僕としての考えを表明させていただく必要があると考えたのだ。

世の中にはいろんな意見があるのは当たり前だし、反論も批判も立腹すること
も自由だ。むしろ批判をしていただけるのは嬉しいことですらある。

しかし僕の文面を引用し、まるで揚げ足を取るかような手法については、はっ
きりと不愉快であったと言わせていただく。いくら冒頭でエクスキューズを入
れていても、である。どうしてもこの手法を使われるのであれば、事前にメー
ルの一本でもお送りいただくのが筋というものだ、と僕は思う。

また、デジクリのような「公の場」で僕の発言を俎上に上げて批判するという
ことは、わずかではあるけれど僕の尊厳に傷がつく行為だ。傷がつくのはいっ
こうに構わないのだが、それには相応の理由が必要なはずだ。

僕も名前を出してものを書いている以上、批判されることは覚悟している。発
言により誰かの人格・尊厳を傷つけたのなら、糾弾されて当然であろう。

しかし今回は「糾弾される」に値するような悪いことを、僕が行なったとはど
うしても思えない。デジクリは嫁さんや家族や取引先の社長も読んでるわけだ
が、その面前であのような手法で批判されるに値する理由が、いまひとつ見え
てこないのだ。

ひとつ思いつくとしたら「笠居氏と意見が違うから」ということなのだが、ま
さかそれは、ないでしょ。う~ん。

でもね、こうした発言や手法も含めて、世の中にはいろんな人がいていろんな
意見があるってことだと思うし、それを商業誌ではありえないくらいの自由さ
で発表できるデジクリって素晴らしい、と思うのであった。

たとえば僕がここで「ブッシュよ、おまえこそが悪の枢軸だ」と書いても、編
集でカットされることはない。もちろん「はなくそバビ~ン」とか書いても同
様だ。

子供の躾についても、父親が嫌われることについても、あるいは僕があのコラ
ムで語りたかった主旨である「安全対策と唯物論」にしても、書きたいことは
たくさんある。でもそれについては、誰かに反論する形ではなく、あくまで僕
の意見として徐々に書かせていただければと思っている。

だから今後ともよろしくなのです。

●「アースデイ2004」は楽しかった

話は変わって、4月17日~18日に代々木公園で開催された「アースデイ2004」
のイベントに行ってきた。初日の土曜日に近所の友人から誘われて一家で行っ
たのだが、これが実に楽しかったので、翌日曜日は朝イチからの出動となった。

広場では、直径25mの熱気球をふくらませていた。風船を広げる作業を見学者
みんなで手伝い、バーナーの熱気に圧倒されたりしつつ立ち上げた気球には、
衛星写真を元にした地球の絵が描かれていた。さすがアースデイである。

熱気球で使うのは普通のプロパンガスボンベで、一般家庭なら1カ月使える20k
gタイプのものでも30分しかもたないのだそうだ。これって地球にやさしいの
だろうか……? ま、いいか。ちなみにヘリウムガスを使うと1フライトで100
万円単位のお金がかかるが、熱気球なら数千円と、財布にはやさしい。

子供たちは木の端材でできた積み木を工夫して積み上げ、それをブチ倒しては
歓声を上げていた。そう、積み木って別に形が整ってなくてもいいんだね。

さまざまな料理の屋台があって、僕らは昼食にアフリカ系を選択。食器は専用
ブースで100円のデポジットで借り受け、食べ終わったらボロ布でふき取って
返却。これをスタッフが熱湯消毒して再利用する。

息子は豆ごはんを腹一杯食べて木陰で豪快に昼寝。僕もビール飲みまくって一
緒に昼寝。天気も良く、ここちよい週末を過ごせた。

“エコロジー”的な話というのは昔から関心はあったのだが、本当に真剣に考
えるようになったのは、僕の場合、子供を持ってからだった。子供が食べるも
のに親として気を配ったり、将来のこと、子供のまたその子供のためにも地球
を大切にせねばという思いが生まれてきたのは、子供のおかげだ。

そうやって思いをめぐらすうちに、これからの日本が直面する超少子高齢化社
会についても考えてしまった。果たしてこの国は、子供たちが生きるのによい
場所なんだろうか? 若年層の負担が多すぎて、経済面での自由を奪うことに
なるんじゃないか?

もちろん生まれ育った場所というのは大事にしてほしいけれど、その時々生活
する場所というのは、なるべく自由に選んでもらいたい。だから2~3歳のいま
のうちから、しっかり英語教育しておこうかなあ、というところまで考えは飛
躍するのであった。

そんなことまで考えつつ楽しく過ごせた、「アースデイ2004」の代々木公園イ
ベントは実に有意義で楽しかったのであった。

そして以前、富士の裾野で開催されたテクノイベント「Rainbow2000」に参加
したときのことも思い出してしまった。あのイベントは大規模でありながら実
に穏和な空気が流れていて、とても良かったなあ。あんないいイベントは、も
うできないのかなあ。

で、イベント情報っていうのは開催前に伝えてこそ価値があるものだから、僕
としてのお勧めをちょっと拾ってみた。

・体験!アイオーAVeL(アベル)フェア
http://www.iodata.jp/avel/
アベルとは“Audio Visual for e-Life”のことで、周辺機器メーカーのアイ
・オー・データの製品コンセプトのこと。パソコンと家電の境界がいよいよ曖
昧になってきたいまこそ、とっても価値あるイベントだ。開催は4/24(土)10
~18時、25(日)10~17時。会場は有楽町の国際フォーラム。余談だが僕は以
前、国際フォーラムと国際展示場を勘違いして有明まで行ったことがある……。
みなさん、会場は有楽町ですよ! お気を付けて。

・アフリカンフェスタ2004
http://www.bp84.com/%7Eafrica04/
5/15(土)、16(日)に日比谷公園で開催。プロデューサはなんと白井貴子姉
さんだ。アフリカの音楽や食事を堪能しよう。

【しげた・かつのり】shigeta@amonita.com
Webプロデューサー/テクニカルライター、あるいはファイルメーカーPro7の
執筆を多数抱えて気が遠くなっているただの凡人。子育てSOHO生活を、心の底
から思いっきり楽しんでる。

[訂正]前回などのファイルメーカーProの記事で、製品名をカタカナで書い
てたが、バージョン7からは日本でも「FileMaker 7」と英字表記になり、報道
資料でも「ファイルメーカーPro 6」「FileMaker Pro7」と書き分けられてい
る。僕の間違いなので、訂正させていただきたい。そして同業者のみなさん、
僕の文をコピペするとこのように痛い目にあうから、気を付けましょう。

[有限会社アモニータ]http://www.amonita.com/

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■編集後記(4/22)
・いつの間にか目の前の荒川土手は枯れ草色から緑色に一変、黄や白、紫など
の花も咲き競っている。背丈の半分くらいまでのびている植物もある。獰猛な、
というくらいの生命力を感じる。でも、名前がわかるのはタンポポくらいか。
かつてはそこいらの花や木なら、ほとんど名前を知っていたが、いつのまにか
忘れてしまった。家族(とくに幼児)の尊敬を得るためには、もう一度勉強し
なおさなければならない。さいわいネットには植物図鑑をつくって公開してい
る趣味な人はたくさんいる。覚えたのに忘れたというのは、もともと名前や生
態を知りたいというほどは好きなジャンルではないからなのだろう。植物、鳥、
魚、爬虫類、あまり興味がない。でも、そういう人物が高校の時は生物部なん
てのに属し、あまつさえ部長までやっていたんだからおかしな話だ。3年生の
時に「荒川流域生物総合調査」なるプロジェクトをでっちあげ、予算をぶんど
り、調査機器も買った。さいわい(?)成績は悪いし、一年留年して調査に邁
進しようかと思った時期もあるのだからおめでたい(あの恐縮ナシモトがダブ
リの同級生)。なんて思い出すと、「スタンド・バイ・ミー」みたいに当時の
バカどもの今を知りたくなり、矢も楯もたまらなくなった。だが、ネットで連
絡できるのはわずかな数だ。こっちはもう電話はいやだっていうのに。(柴田)

・昨日からスタートした連載の執筆者は、なんと古籏さんなのである。デジク
リに関わるようになってから、この「なんと」が多い。古籏さんと言えばJava
Script。/数年前、納品した試算スクリプトが動かないと真夜中に電話がかか
ってきて、ベッドから飛び起きたことがある。いろんな環境でテストしたのに
何故いまになって? 眠い目をこすりながら原因を探す。原因さえわかれば解
決は早い。が、まったくわからない。作る時にもお世話になった古籏さんのサ
イトに行く(のちにポケットリファレンスにもお世話になった)。そこには原
因が書かれてあった。「(あるマイナーバージョンの)ブラウザのバグ」だと。
安堵と落胆。もし古籏さんのサイトにバグ情報がなかったらどうなっていたこ
とやら。天に向かい、まったく面識のない古籏さんにお礼を言っていたくらい
なのだ。                        (hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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