[1635] iMacはコンシューマ用なのよっ!

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1635    2004/11/10.Wed.14:00発行
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   1998/04/13創刊   前号の発行部数 18294部
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<回るとすごいって話>

■MKチャット対談 
 iMacはコンシューマ用なのよっ!
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■デジクリトーク
 ある学習参考書-2
 GrowHair


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■MKチャット対談 
iMacはコンシューマ用なのよっ!

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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かさい: まいど、笠居ですー。2週間のご無沙汰でした~。いやー、すっかりもう秋深しやねぇ、夜冷えるわ
まきお: どもども、ごぶさたでしたー。北海道はもう雪らしいね。しらんまに11月なってもーたし。おいらの10月はどこいった~(;_;)
かさい: まだFPSの余波が残ってましたか?<10月
まきお: FPSなんかもう数年前のコトのようじゃ~。 めちゃくちゃ忙しいのだ
かさい: オレも忙しいんだけどさ(^^;) あ、FPSといえば、ちょっとだけですが収支で黒が出たんで、その分、新潟の地震被災者の義援金に寄付させていただきました
まきお: そうそう、地震、大変~。びっくりしたよ。特に寒い地方でこれから大変な時期だから、少しでもお役にたてれば~
かさい: 台風23号の被災者のかたにもお送りしたかったんですが、ちょびっとだったので・・・すんませんm(__)m
まきお: できる範囲ということで。 さて、3週間ぶりのマツカサですが、いろいろグチりたいことがあるんだって?(笑)
かさい: へい、今日はあれですね、iMacG5レビューと称してこき下ろし(笑)
まきお: えー、うそー、ひどーい、笠居さん、女性ファンなくすよ(笑)
かさい: なんで女性ファンやねん(笑) いやー先日もO出さんが「iMacかWinノートかどっちにしようか迷ってる」って言ってたんで、「ぜったいWinノート」ってアドバイスしておきました(笑)
まきお: ひっでー(笑)
かさい: でもホンマやもん(^^;)
まきお: じゃあその理由を聞きましょうか。
かさい: そーね、まず何から行こうか?いっぱいあるねん(笑)
まきお: そもそも君、なんで買ったんや(^_^;)そこまで不満やったら最初からわかりそうなものを(笑)っていきなりまとめですが(笑)
かさい: わははは(笑)とにかく、それまで使ってたG4(MirrorDoor)がうるさくて熱くてたまらんかったというのが買い替えの動機ね
まきお: ふんふん、じゃあ、静かにならんかったんか
かさい: そこが微妙なとこでね。ま、アップルのサイトに書かれてるように、平常時は静かなんよ。しかーし、ひとたび負荷のかかる作業を始めると、うるさいうるさい(笑)
まきお: webみたり、メールしたりする程度じゃうるさくないんでしょう?
かさい: 最初はねえ、メモリが256MBしかなかったんで、そんな「たいしたことない」作業でも、ファンが回りだすことあったよ
まきお: 256じゃねぇ。あれはコンシューマ機としても少ないね
かさい: いまは、1GBプラスしたから、さすがにそんなことはないんだけどね
まきお: ならいいじゃない?
かさい: いやいや、これはですね、「省エネルギー設定」でプロセッサのパフォーマンスを「低」にしてるおかげでもあるの
まきお: ほうほう。フルパフォーマンスにすると、ブラウズ程度でもうるさくなるの?
かさい: ちょっとやってみましょうか
まきお: なんだ、静かじゃない。なにも聞こえないよー
かさい: テキストチャットやからアタリマエじゃ(^^;) えっとですね、「高」にすると、ファンが常時回転するようになります(笑)
まきお: そ、それはツライかも(^_^;)
かさい: まぁ、常時つっても低速回転なので、ものすごくうるさいわけじゃないんですが、なんせ目の前にありますのでねぇ
まきお: 目の前ですねぇ。逃げられないですねぇ(笑)
かさい: デフォルトでは「自動」ってのになってるんですが、これだと予期しないときに突然ファンが回りだしたりして、心臓によくない(^^;)
まきお: うははは(笑)本来は自動で使うべきなのね。それでブラウジング程度でファンが回るの?
かさい: イヤ、そんなことはないと思うよ。でもホントに予期しないときに回りだすし、一度フル回転しだすと、作業やめてもなかなか止まってくれん
まきお: その予期しないってのは、きっとiMac側としても予期してない負荷がかかってるんだろうねぇ(笑)
かさい: そうかもなあ(^^;) で、普段は「低」で使ってるわけだが、これだとG4のほうがよっぽど速いわけ(笑)
まきお: うははは(笑)G4を「低」で使うと静かになるのでは?(^_^;)
かさい: G4にプロセッササイクリングの機能なんかないでしょー
まきお: あ、デスクトップなのに省エネ設定あるのか>iMac
かさい: でもまあ、つけっぱなしでも、ファンさえ回ってなければうるさくないんで、精神衛生上はいいか、ってとこですね
まきお: ふんふん、たしかに、メール程度ならそれでいいわけですね。でも、メールは笠居さん、Winだよね
かさい: イヤ、Macでも受けてますよ<メール
まきお: あ、そうなんや
かさい: Macでゴミ掃除してから、必要なのだけWinで受けるってのが理想的なコンビネーションです(笑)
まきお: ウィルス対策ですね(笑)
かさい: それとスパム対策ね。ブラウズも、よーわからん怪しげなとこを見なきゃいけないときは、Macのほうが安心ですしね
まきお: わたしはMacしか使ってないからいつも安心♪
かさい: ま、とにかくですね、「スピード」と「静音性」はやっぱ両立できなかったってことで、これがまず一つね<不満
まきお: そりゃ、それが両立できるなら、おいら買ってます(笑)
かさい: 次は、液晶ね。これ17inchのほうはアカンわ。20inchのと比べるとかなり質おちる
まきお: あー、そうなんや。20はいいのかな。アームiMacの20インチは液晶いいって評判だったよね
かさい: 17は、とにかく視野角が狭いの。まともな色で見えるのは90度くらいかな
まきお: ノートPCみたいな感じかね
かさい: ノートよりもっとひどいね。斜めから見ると、色が全体的に黄ばんでしまう
まきお: そんなひどかったかなぁ? ショップでみたときは気がつかなかったけど。。。横斜め?
かさい: そそ。ヨドバシで17と20並んでるから、見比べてみて。はっきり違いがわかるよ
まきお: なるほどー、今度みてみよう
かさい: ま、これも正面からだけ見ることにして、それ以外の角度はなかったことにしてるんだけどね(笑)
まきお: まぁ、普通は正面からしか見ませんわな(笑)上下視野角は? 上下の方が日常的に影響あるでそ
かさい: ありますね。これ、バックライトが下側にしかないみたいなんだわ。なんで、上と下で輝度が違うんよ
まきお: 上下で色が変わると、デザインワークには向きませんね
かさい: 下から見上げると、横と同じく黄ばんで暗く見えるし、上からだと、青白く飛んじゃうです。
まきお: しかし、それ、あーた、確認せずに買ったんか(^_^;)
かさい: まぁ、まっ正面から見れば大丈夫ですから(笑)でもこれで、上下の角度変えるのが大変な構造だったら、すぐ売りとばしてるね(笑)
まきお: うははは(笑)
かさい: 機能的に大きな不満があるのは、この2つかねえ
まきお: 前者はまぁ、自分の環境で使ってみてはじめて出てくる問題かもしれんが、後者は笠居さんともあろうお方が、店頭でチェックしなかったなんて(笑)いつも液晶にはうるさいのに(笑)
かさい: イヤ、チェックしなかったわけじゃないんですが、20inchだとサイズ的に無理だったんです。机に乗らない(^^;) 17のほうが液晶の質悪いって情報は、買う前に見てたんだけどねぇ(^^;) まぁええかと。いざとなったら外部モニタで使うしーと思ってました
まきお: じゃあ問題ないやん(笑)
かさい: そじゃなくて、スピードと騒音の問題で、制作作業に使う気が失せてしまったんで、もうこのまま行きますよ、えぇ。問題は、今後DTPの仕事が来たとき、どうするかなあ、ってことですね。フォント環境整ったMacこれしかないし(^^;)
まきお: 外部モニタつないで、机の下に入れるのでは?(^_^;) まぁ、おいらもトーシバのDVD/HDレコーダの騒音には頭をかかえているので同情はしときましょ(笑)
かさい: あ、そうそう、忘れるとこだった。えと、10.3.5からですかね? 古いMacから設定だのファイルだのを転送できるようになったでしょう?
まきお: なんかそうらしいっすね。今のマシンには環境移行ツールがついてるのね
かさい: 最初に環境設定するウィザードが起動するじゃないですか。その行程の中で、古いMacとFireWireでつないで、環境を丸ごと転送できるんですよね
まきお: ほうほう、そりゃ便利。OS Xだとあちこち関連ファイルがばらけてるからねぇ
かさい: 古いほうの MacがFireWireディスクモードで起動できることが最低条件になりますが、とりあえず、MirrorDoorはできたんで、これで転送かけたんですわ
まきお: ふんふん、いいじゃないですかー
かさい: ただこれも痛し痒しと言うか、帯に短し襷に長しというか…(笑)
まきお: といいますと?
かさい: ほんとに丸ごと環境転送されるんだよね。デスクトップピクチャの設定まで来るんで、まるっきり新鮮味ゼロ(笑)
まきお: ありがたいじゃないかー(^_^;)
かさい: で、若干ユーティリティなんかの格納場所が変わってるものがあるらしくて、ウチでは最初アップルメニューから「ソフトウェア・アップデート」が起動しなかった
まきお: ほうほう
かさい: ほら、以前のシステムでも「上書きインストール」だと、不具合もそのまま引き継がれちゃう、ってことがあったでしょう、あんなかんじ
まきお: G4も最新の10.3.5だったんでしょ?
かさい: んだけど、ちょびちょびアップデートしての10.3.5だしね。iMacにしかインストールされてないものもあるみたいだし、コマゴマと違うとこもあるでしょう
まきお: まぁ、しゃーないやろうねぇ。かといって、まっさらのユーザで構築ってのも、やりたくないよね(^_^;)
かさい: 僕としては、これから新しくMacを購入して、この転送機能を使われる方には、ファイルの転送だけにとどめて、設定は新しくすることをお奨めするです。ファイルが丸ごと転送できるだけでも、かなり助かるっすよ
まきお: .MacユーザーならBACKUP使って、メールだけとか持ってこれるかな?アプリの初期設定とか
かさい: そうかもね。僕は.Mac使ってないんでわかりませんけど(^^;)
まきお: ユーザー登録とかも来るの?
かさい: ユーザー登録は新規にするよ、さすがに
まきお: だろうな(^_^;) そこが一番めんどっちいんだが(^_^;)
かさい: しないと、メーカーにも登録されないじゃん(^^;) あ、も一つ転送について注意点~。FireWireディスクモードで認識されるのは、プライマリに接続したディスクだけですからねー。HDD増設してる方は注意してねー、そっちのは転送できないからねー
まきお: あ、うち、セカンダリや(^_^;)すげかえなきゃ(笑)
かさい: ウチ、バックアップのほうから転送しようとしてできなかったんで、あとで挿げ替えて再度転送したんすよ(^^;)
まきお: あー、RAID組んでたんだっけ?
かさい: ちゃうちゃう。自動バックアップツールで、データ移動させてただけまきお: そか(^_^;)、しかし、今度はHDひとつしか内蔵できないから、バックアップは面倒なのね
かさい: そーなのよー。だからUSB接続の外付けHDDつないでるのよー、こいつがまたうるさいんだわ。10000回転のディスク入ってるから(^^;)
まきお: うはははは(^_^;)なにやってんだか(^_^;)
かさい: ま、普段は勝手に止まってるし、回転数が安定すると気にならないくらいの音になるんでいいんだけどね、動き出すときうるさくてビックリする(笑)
まきお: そんなんばっかやね(^_^;)
かさい: やねぇ(^^;) でもまあ、それもこれも納得した上で使っていきますわワタクシは。他人にはお奨めしませんけど(笑)
まきお: えらいねぇ(笑)おいらは買うならPMG5だから~。PMは静かかなぁ?
かさい: さぁねえ(笑)
まきお: まぁ、iMacよりは無理のない静音設計になってるとは思うが...
かさい: N嶋女史は「静かだ」といっていた。が、Y根木は「回りだしたら死ぬほどうるさい」といっていた
まきお: 回るとすごいって話は聞いてます(^_^;)
かさい: ま、自分の作業がどの程度か、ってことだよねえ(笑)使ってみなきゃわからないねえ
まきお: しかも自分の部屋でねぇ。1泊でいいから、だれか貸してくれ(^_^;)
かさい: だれか貸してやって~ それで買ったら、チャットのネタが一つ増えるし(笑)
まきお: でもまぁ、iMacなんだもんね。あくまでもコンシューマ機。G5ってCPUに目がくらんだらいかん、という教訓ですな(笑)
かさい: ですねえ(笑)

【笠居 トシヒロ/WEBコンテンツクリエイター・デザイナー】
ヨメのカメラ(15年くらい使ってた)が壊れちゃったので、Panaの新製品 FX7を買い与えたら、これオレのC1よりずーっときれいじゃん(^^;)
ちょうど素材用にブツ撮りしなきゃいけない仕事があったんで、しばらくの間拝借することに(笑)
< http://www.mad-c.com/
> < kasai@mad-c.com >

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
フランスのまんが家メビウスの代表作「アルザック」がメビウス自ら監督でア
ニメ化されとった!
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002XVTX2/

qid%3D1099372488/249-6358090-5017139>
< http://www.makion.net/
> < makio@makion.net >

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■デジクリトーク
ある学習参考書-2

GrowHair
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●誤りや貧弱な表現がてんこ盛り

「萌える英単語、もえたん」。コンセプトはよかったのに、中身がな~。ざっと見ただけでも20か所ほど誤訳が見つかる。例えば……

─無駄な知識こそオタクの誇りだ。
 Maniacs are proud of the knowledge in vain.
 "in vain"は「~したが、うまくいかなかった」ことを表すちょっと特殊な副詞。"be proud of"が動作を表す動詞ではなく、状態を表す動詞なので、呼応関係がすごく変。無理やり訳すと「オタクはその知識を誇っているが、その誇りは無駄に終わる」となり、元の和文の意味にならない。どうしてこういうときこそ「トリビア」が出てこないかね?
 Maniacs are proud of their trivial knowledge.

─敵が3機で同時に攻撃してきたので、そのうち1機を踏み台にして応戦した。
 Three enemy robots attacked me at the same time. I stood on the one, and then replied to the rest of them.
 "the one"の"the"は不要。"replied to"は「メールに返信する」というようなときに使う動詞で、この場合は"fought"などがよい。

─その美少女ゲームの主題歌には中毒性がある。
 The theme song of the rosebud game is toxic.
 「中毒性」には「機能障害を引き起こす毒性」と「癖になって止められなくなる常用性」の二つの意味がある。前者の意味なら"toxic"でよいが、後者なら"addictive"を使うべき。「有害」と言いたいなら"poisonous"。

─ファンタジー系のゲームにリアルな設定を加えると大失敗するらしい。
 Added to the real background, they say that fantasy games lead to a great failure.
 これじゃ「ゲームをリアルな設定に加えると」になってしまい、「加える」の主客関係が逆ではないか。
When reality is added, ...

─人気の度合いから言って、続編が作られる可能性は高い。
 According to the popularity of the game, it is likely that the sequel of the game will come out.
 "According to"はしっくりしない。例えば分詞構文で The game being so polular, it is likely that the sequel of it will come out.

─大気圏に突入します。各員、衝撃に備えて下さい。
 こういうときの「衝撃」には"impulse"よりも"impact"がよい。

─ドラゴンの召喚には厳密な手続きが必要なの。
 The strict procedure is required to recall the dragon.
 "recall"の主な意味は「思い出す」である。「召喚」の意味もあるが、「赴任地から帰任させる」という意味でしか使わない。
 Strict procedures are required to conjure up the dragon.

他にも見た瞬間に「うぇっ」となりそうな誤りや貧弱な表現がてんこ盛りである。日本人がどんな誤りを冒しやすいかという実例集としては面白いが、指導する立場の人の書いた英文がこんなふうではあまりにも情けない。ちなみに平均的な日本人の英語力はアジア諸国で下から2位である。最下位は北朝鮮。落ちこぼれどうし、仲良くしましょうや。

この本の中で、粗悪な英文は2、3、4、12、13章に集中している。他の章にはけっこうしっかりした訳ができているところもある。この凸凹は何? 編集者が人選をミスったと言うより、これが日本の英語力の悲しい実態だ、と考えるのが妥当なのかもしれない。

●意義=萌えなきゃ

それはそれとして、これはただの一発ギャグみたいな本で終わっちゃうのか、それとも新しい時代の扉を開く画期的な本になるのか、そこに興味がある。時代がアリギリスを志向しているのであれば、この手の本は受験生の期待に則したものになるのではないか。

もちろん、漫画で描かれた学習参考書とかパソコン上で走る学習支援ソフトなんていうのは、ずっと前からごろごろあった。そして、全っ然、流行らなかった。漫画は読んでもつまらないし、パソコンソフトはユーザを拷問にかけてるとしか思えないほど使うのが苦痛。それは、企画が安直すぎたせいである。

今の若い人たちは漫画に慣れ親しんでいるから、同じ勉強するなら文字よりも絵になってた方がとっつきやすいのではないか、というくらいの単純な発想で、何の工夫もなくメディアだけを移行させてみた、としか思えない。各メディアの特性が生かされていない。漫画にユーモアがなく、パソコンソフトにゲーム性がない。味のないガム、鳴かないうぐいす。これじゃ、裏切られた期待の分だけ、元より悪い。普通に印刷された教科書や参考書で勉強する方がまだしも苦痛が少ない。それらに決定的に欠けていたのは「萌え」の要素である。

これからの勉強は、2次元美少女にナビゲートしてもらうのだ。学校や塾で熱血先生が教鞭を振るう、あるいはゾンビのように生気のない先生がお経を唱えて生徒たちをまどろみに陥れる、そんな時代は終わった。萌えなきゃ。

真っ白なうさぎがチョッキのポケットから時計を取り出して「大変だ~、遅れちゃう」と独り言を言いながら走っていく。それを見た美少女が好奇心にかられて後を追いかけていく。それを見たあなたは何だかよく分からないが、とにかく美少女を追ってみる。うさぎ、美少女に続いてあなたも穴に飛び込むと、そこには不思議な世界が。美少女について回りながら、たっぷりとアドベンチャーを楽しんで元の世界に帰ってきてみれば、あなたの学力はぐんとアップしている。一面クリアー。そんなふうに勉強ができたら理想的ではないか。不思議の国のアリギリス。

●展望=妄想ついでに今後のトレンド予測

「萌え」の要素をふんだんに盛り込んだ学習参考書や学習支援ソフトのブームに火がついて、雨後の筍のごとく次から次へと市場に登場する。中には18禁(18歳未満閲覧禁止)指定のものまで。浪人生限定かいっ? 玉石混交で、ブームに便乗した粗悪製品もあるが、中にはしっかりと企画された優良製品もあり、そういうのが定評を確立していく。

特に、パソコンソフト。「ファイナルファンタジー」や「サクラ大戦」や「遥かなる時空(とき)の中で」のような優良ゲームソフトに匹敵するくらいしっかりした作りのものがファンを掴んでいく。

学習支援ソフトといえども、バーチャルな世界の設定がこと細かになされており、臨場感がある。また、登場するキャラも容姿、性格、誕生日、家族構成、交友関係、しゃべり口などが細部に至るまで破綻なく描写され、出来のよい小説を読むようである。そしてストーリー性があり、先に進むにつれて、話が展開したり、新しい世界が開けてきたりする。

だから、まるでドストエフスキーの小説のように、先の展開が知りたくて止められない。しかし、進むのはそんなに簡単ではなく、あるまとまった知識を習得しない限りは次へ行けないようになっている。だからひとつの場面をクリアーすると爽快な達成感が得られ、しかも実際に実力がついている。ゲームの途中でつっかえて先に進めなくなった人が、ヒントを得るための攻略本やら解説書やらが出回ったりして、それが要するに学習参考書である。

みんな面白くてハマってしまい、学校や塾なんか行かなくなる。で、一番学校に来ていないやつが一番勉強ができる、という変な逆転現象が起きる。どの学校へ行ったかなんてどうでもよくなり、どのソフトをクリアーしたかが輝かしいステータスとなる。

この市場が活況を帯びてくると、制作側の景気が俄然良くなり、やがては花形産業へと発展していく。そうなると、制作スタッフとしての実力を持った者たちが引っ張りだこである。面白いストーリを考えられる人、キャラクタをデザインできる人、萌え萌えな絵が描ける人、声優として演技ができる人。そういう人たちは、今のところは「オタク」などというレッテルを貼られ、社会の日陰者として不遇の身をかこつ。漫画を描いたり小説を書いたりして、コミケなどの同人誌即売会で販売したりしている。中には相当のレベルの者もいるが、何しろ市場が閉じているので、ごく一部の大手サークルを除いては、それで食っていけるほどのビジネスとして成立することはまれである。

しかし、萌え萌え学習市場が発展すれば、そういうクリエイティブな人たちが実力を認められて、制作側にスカウトされていく。今度は一般市場を相手にすることになるので、市場規模が違う。時代の寵児となりえよう。

さて、こういうソフトで勉強したアリギリスたちは、まあまあそこそこのレベルの大学に入る。その世代がやがては大学を卒業し、まあまあそこそこの会社に就職していく。で、各職場に新人クンとして迎え入れられる。

将来の出世だけを夢見てストイックに勉強してきた世代と、萌え萌えなノリで今を楽しみつつ勉強もしてきた世代とではおのずと世界観が違ってくる。上司がぶっきらぼうに命令したって、まず、仕事しませんね。将来の保証が何もないのに、ただひたすら辛抱辛抱で宮仕えなんかしてられますかいな。

仕事だって萌えなきゃ~。というわけで、上司は自分の机に置かれたパソコンから「コピー用紙を発注して下さい。」のように打ち込むと、ネットを介して部下のパソコンに送られるが、そのまま表示されるわけではない。そこには猫耳の美少女がポンと現れ、「ねーお兄ちゃん、お願いがあるの。コピー用紙、買ってくれないかなー。え? いい? 嬉し~。(はぁと)お兄ちゃん、だ~い好き」。日本は変わる。

こういう市場が海外にも確立され、日本発のソフトが売れるようになれば、経済の軸足をそっちへ移すことができ、新たな意味の脱工業化社会が到来するかもしれない。

そう言えば、もえたんの例文にもある。「もはや美少女ゲームは日本文化ですよ、と首相は述べた」。

【GrowHair】
 世代を踏みはずしたサラリーマン、41歳。
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■編集後記(11/10)
・最近、朝、仕事のデスクに向かう時間がかなり早くなった。その理由はシンプルで、新聞を変えたからである。読売新聞、なんだか読むところが少ない。ニュース以外の記事がまったくおもしろくない。心配だったスポーツ面も、噂のような巨人一色ではなく、スケートもサッカーも載っている。あ、いまシーズンオフだからか(笑)。気がついたのだが、読売には「週刊現代」の広告が載っていない。なんということだ。ポストと現代、文春と新潮が大きな面積で載っていないと世相がわからないでしょうが。その代わり、「Yomiuri Weekly」なる自社広告はでかい顔している。こんな週刊誌、見たこともないぞ。特集もおもしろくなさそう。「週刊朝日」や「アエラ」の広告もないぞ。当然か。絶対買わないけど、「アエラ」の発明する社会現象なんかおもしろいのがあったのに。それから、気のせいか、通販の広告がやたら多い。なんか、全体的に緊張感のない紙面なのだ。早くも朝日新聞が恋しくなってきた。妻はけっこう記事を気に入っているし、サービスもいいので、もう元には戻れない。(柴田)

・自分の周りにはマックユーザが多いので、普段あまり気にしないことなのだが、使ってみたい会計ソフトやビジネスソフトはウィンドウズ対応しかなかったり、ネットバンキングでネスケ使えとか、OS9のIEじゃないとだめとか言われると、シェア低いんだなぁと思ってしまう。「Wonder Juke」という定額で音楽聞き放題、解説付きというサービスがあるんだけど、マックに対応してないの。ENDSの新譜が発売前に聞けるから入ってみたかったのにな。CDを持っていないけど聞きたい懐かしめの洋楽があったりするし、試してみたいしさ。デモをやっていたお姉さんにソニー系だから?と聞いたら「やっぱりマック対応にしたほうがいいですよね!」と大声で言われた。きっとたくさんの人に、マック対応じゃないの? と聞かれたに違いない。対応できない理由はWindows Media Playerのバージョンのせいだとか。iTunesのミュージックストアも早くオープンして欲しいなぁ。このWonder Jukeも気に入ったものはダウンロードできればいいのにね。持ち運びたいもん。(hammer.mule)
http://www.wonderjuke.jp/
 体験版でENDSが聞けるって
http://www.wonderjuke.jp/guest/wj/whats/
 説明

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発行   デジタルクリエイターズ < http://www.dgcr.com/
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編集長     柴田忠男 < shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 < zacke@days-i.com >
アソシエーツ  神田敏晶 < kanda@knn.com >
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アシスト    鴨田麻衣子< mairry@mac.com >

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