[1644] 交会点到達記

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1644    2004/11/24.Wed.14:00発行
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   1998/04/13創刊   前号の発行部数 18181部
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<携帯電話の着メロほど私をいらだたせるものはない>

■デジクリトーク
 交会点到達記
 GrowHair
 
■ショート・ストーリーのKUNI(不定期連載開始) 
 着メロ
 やましたくにこ

■デジクリトーク
 所幸則インタビュー(6)
 「所さん、ファンタジーやってみたらどうですか」
 
■イベント案内
 明治大学シンポジウム「ネット社会と若者文化」
 「エプソン カラーイメージング コンテスト 2004」審査結果発表


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■デジクリトーク
交会点到達記

GrowHair
https://bn.dgcr.com/archives/20041124140500.html

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先日11月24日(日)、日本の陸地では最北端に位置する交会点、北緯45°東経142°の地点を踏んできた。

●交会点って何?

交会点(degree confluence)とは、整数値をとる緯線と経線との交点のことである。その数は360×(180-1)+2=64,442個である。(ややこしい植木算)

世界中の交会点の写真と到達記を募集するプロジェクトが「Degree Confluence Project」である。
http://www.confluence.org/


このサイトへ行って[Worldwide Maps]-[Composite World Map]をつつくと、交会点の写真を敷き詰めた世界地図を見ることができる。これは感動的だ。何でもないところで撮った写真など普通はつまらないとしたものだが、こういう形でかき集められると壮大なロマンを感じる。

私は今までに地平線を見たことがあっただろうか。空の色と土の色と、2色で塗り分けられただけの風景。そんな地点に立ったら、今まで経験したことのなかった心の状態を知ることになりそうである。どうも人間は人間の行くところにしか行きたがらないという習性があると見えて、我々はどこへ行っても人がいるもんだと錯覚しがちである。

こんなふうに地球表面上にほぼ均等に点がばら撒かれると、実は、視界に人工の建造物が見えるような地点は注意深く探さないと見つからないほどしかない。行けども行けども人間に出会わないようなところが地球上のほとんどの部分を覆っている。

だから、よくぞこんなところまで行って写真を撮ってきたもんだ、とひれ伏して拝みたくなるようなのが多い。アラビア半島の砂漠はその雄大な起伏が美しいけれど、もし車がエンコしたらどうするつもりだったのだろう。

それと、人間は(戦争状態でもない限り)自分が生まれ育った環境が「本来の」状態だと思い込みがちである。しかし、電車が走っているのも、電話で通話ができるのも、誰かが発明し、実用化し、運用の仕組みを企画し、物を設計し、製作し、テストし、改良し、維持管理し、運転・操作し、事務処理を遂行しているからこそであって、放っておいても自然にそうなっているわけではない。

そういう当たり前のことをたまには思い出してみるのも新鮮である。最初は全くの天然自然の状態だったところから、人類が文明をここまで築き上げてきた結果、今、こうなっているのである。結果と言ったって今の状態は実は常に経過にすぎず、これからも世の中が絶え間なく変化していくのは間違いない。その方向性を発展と見るか、破滅へ向かってまっしぐらと見るかは見解の分かれるところかもしれないが。なんか、このサムネイル世界地図を眺めていると、とりとめのない方へ空想がすっ飛んでいく。

このプロジェクトには誰でも参加できる。ルールはざっと次のようである。地図と方位磁針とGPS(Global Positioning System:全地球測地システム)を頼りに交会点に到達する。許容誤差は100メートルまで。上空は不可。その地点でGPSの画面の写真を撮り、東西南北それぞれの方向を向いて写真を撮り、さらに少し離れた地点からその交会点自体の写真を撮る。これらの写真と到達記録レポートを提出する。さらに4枚まで自由に写真を追加できる。承認されると上記サイトに掲載してもらえる。

このプロジェクトでは、全交会点を主要交会点と二次交会点とに分けている。主要交会点は、まず陸地および陸地の見える水面上に絞り込まれている。つまり、どちらを向いても水平線ばかりの海上や湖面上は二次に格下げされている。さらに、緯度の高い(北極、南極に近い)ところでは経線の間隔が詰まってくるので、適当に間引かれている。それでも主要交会点は12,646個もある。

そのうち2004年10月30日(土)現在、3,521点が完全到達認定を受けている。不完全到達の場合でも、そのレポートは次に挑む人たちへの貴重な情報を提供することになるので、載せてもらえる。そういうレポートの中にも感動的なのがある。

●日本の交会点は?

日本の陸地に限定すると、候補点は39か所ある。10月初旬の時点で33か所が完全到達されていて、残り6か所しか空いてなかった。残っているのはすごいところばかりである。例えば知床は二度のアプローチが退けられている。夏にアプローチを試みた人は、密な植生に阻まれて全く足を踏み入れられず、あえなく退却。ならばとばかりに雪深い3月にスキーでのアプローチを試みた人がいた。雪上にキャンプを張って一日半歩いたけれども、わずか6.7kmの行程のうち半分も進めず、3.8kmを残して退却。生還できただけでもすごい。残り物には理由(わけ)がある。

私がこのプロジェクトのことを知ったのは一年以上前のことである。購読しているメルマガに、面白いウェブサイトを紹介するという主旨のものがあり、それに載っていたのである。その頃は日本はまだガラ空きだった。が、食指が動かなかった。プロジェクト自体はすごいと思ったのだが、日本の交会点に行ってくるのは何となくありきたりな労働のような気がして、誰かに任せておけばよい、と思ったのである。しかし、残り少なくなり、到達困難なところしか残っていないのを見て、俄然、我がものにしたいという意欲が湧き起こった。硬派の血が騒ぐ。

10月には紋別の44°N 143°Eと新潟の37°N 139°Eの到達宣言が続けざまに掲げられ、残り4か所になった。みんな、狙っているらしい。そういう気配がびんびんと感じられる。来年の夏まで待ったのでは、どこも空いていないかもしれない。

残る4か所のうち3か所は北海道にある。知床冬の陣を張った人は、この3地点を「北海道極悪トリオ(Hokkaido's Evil Three)」と呼んでいる。まず、その知床は論外。私とて命が余っているわけではない。旭川に近い交会点44°N142°Eも地図を一目見ただけで敵意を感じたので、避けよう。天塩(てしお)の45°N 142°Eは比較的行きやすそうに見えた。よし、そこに狙いをつけてみよう。

旭川に住んでいる知り合いの古池氏(以前、青山墓地での花見のときに登場した有能なプログラマ)に、どんなところか知らないか、聞いてみた。すると、すっかり乗り気になってくれて、じゃあ一緒に車で行ってみましょうという話になった。車が入れなくなったところから歩けばよい、と。

と言っても、私は山歩きの心得があるわけでも何でもない、ずぶの素人だ。無理はせず、ただなぜその地点が今まで人類を寄せ付けなかったのか、その理由を確認してくるだけでもよしとしよう。

●「森の熊さん」とピンクレディーの「SOS」と

大きな台風が通過した後で、東京はいい天気だった。10月下旬とはいえ、冬の気配はまったく感じられず、実際この秋になってまだセーターを着たことがないくらいであった。ところが交会点攻めの前日、羽田から旭川行きの飛行機に乗ろうとしていると、アナウンスがあった。現地はみぞれが降っているため、もし降りられなかったら新千歳空港(札幌)に降りる、と。

そのときになって初めて、ひょっとすると現地は冬かいな、という思いがよぎった。飛行機は無事旭川に降りられたものの、霧雨が降り、気温は1 ℃だった。冬じゃん。

翌朝、雨は止んでいたが、道はまだ濡れていた。雲が低く垂れこめていた。9:00amに古池氏が旭川のホテルに迎えに来てくれた。

国道40号線を200km ばかり北上して、問寒別(といかんべつ)の近くで右折した。問寒別川沿いに遡り、続いて、ケナシポロ川沿いに遡る。この名前は日本語っぽくない。「ポロをけなす」のでも「毛のないポロ」でも意味をなさない。ということはきっとアイヌ語から来ているに違いない。その意味するところは「飢えたヒグマ」でなければいいが。

ある地点で右折して、ケナシポロ川を後にした。ここからは舗装されていない、林道である。やがて車がそれ以上進めない地点に来た。脇へ車を寄せて、そこから歩き始めた。1:00pmだった。尾根沿いに小径がついており、多少のアップダウンがあるものの、全体的には登りだった。両側は背丈よりも高い熊笹でびっしりと覆われており、その向こう側がどうなっているかは知りようもない。

もし熊に遭ったら、と思うと怖くなった。熊鈴などの熊除けグッズを持って来なかったので、口笛でごまかした。こういうときは陽気な曲に限るということで、「森の熊さん」。

北へ向かって小径を約3km歩くと、北緯45°の地点に来た。この点は交会点の約100m東である。時刻はだいたい1:30pm。私は古池氏をそこに残して、ひとりで笹薮に分け入った。もし助けが必要になったら口笛で合図を送ることにしよう。そのときの曲はピンクレディーの「SOS」だ。

密集した笹薮の間を通り抜けるのは不可能だ。なぎ倒して踏みつけるしかない。身体が一瞬空中に浮き上がる感じがして、その後バキバキっという大音響とともに、笹は折れた。こんな進み方をしていると 5メートル進むのに5分かかる。このペースでは永久に交会点にたどり着けない。幸いなことに、もう少し進んで陽当たりの悪い木陰に入ると笹薮はややまばらになった。

次のハードルは下りの急斜面だ。足がすくむほどであり、ここでは進んでいいものかどうか、迷った。遥か下には、右手から来た小さな流れと正面から来た小さな流れとがちょうど足の下で合流して、左手に流れているのが見える。流れは細くて、簡単に飛び越せそうである。この地形が、地図を見て思い描いていたのとあまりにもぴったり合っていたため、一瞬「おお、設計図通りにしっかりできてる」と思ってから「それは違うだろ」と自分にツッコミを入れた。

到達できないかもしれないと思っていた交会点は、すぐそこにある。正面の流れを少し遡ったところである。このときは、気持ちがはやった。行きたい。

昨日の雨のせいか、足下の土は耕した畑のごとく柔らかい。ということは、最悪のケースを想定して、重力に屈して滑り落ちたとしても、泥まみれにこそなれ、怪我は負わないだろう、多分。この状況は青信号と判断した。後で考えると、たいていの人はそうは思わないかもしれない。

というわけで、その急斜面を降り始めた。今度は、笹が非常に頼りになる。これにつかまっていないと、滑り落ちるしかない。うっかりと枯れたフキの茎を掴んだら、中空のそれは何の抵抗もなく折れた。引張れば根元からするりと抜けた。ぞっとする。傾斜の途中に木が生えているコースを選び、もしずり落ちてもそこで止まるようにする。そこへ到達したら水平に移動して、また別の木に向かって降りる。

こうして何とか下まで降りきった。無傷だし、チビってもいない。後は比較的楽だった。流れが出会う地点から西に約50m行ったところに緯線経線が出会う地点がある。左側の流れはほぼ真東に向かって流れているので、それを遡ればよい。両側が急斜面のV字谷である。流れを右へ左へ飛び越えて、歩けるところを見つけて進んだ。水際はぐちょぐちょしている。踏むと油気の混じった水がぐちゅっとにじみ出た。

GPSの受信状態はよくなかった。時折「弱受信」の警告が表示され、読みが不安定だった。微調整しようとしばらくがんばったが、どうにもならず、ちょうどの位置を見つけるのはあきらめた。流れの中に大きな丸太が埋もれている。苔で覆われているばかりでなく草まで生えている。その地点が一番近いところだと判断し、写真を撮った。3:00pmだった。

そして引き返した。降りることができた斜面は必ず登ることができる、という法則がある。ただし、滑り落ちた場合は別。実際、登りはコースに目星をつけながら行けるので、比較的楽だった。なるべく下を見ないようにはしたが。

古池氏と再会したのが3:30pm。彼は怒っていた。雨が降りそうな雲行きになってきたのを見て、私を呼び戻そうと大声を張り上げていたのだそうだ。全然聞こえなかった。どうもすみません。彼は声が枯れていた。本当にすみません。

何とか日没前に車に戻ることができた。この日の日没は 4:30pmであった。8:00pmに旭川に帰り着き、イオンの「糸末(いとすえ)」で一緒にラーメンを食べた。格別に美味であった。

●振り返って

ひとつ分からないことが残った。この程度の難易度なら、なぜ今まで誰も行けなかったのだろう。単に遠いから? それともあの斜面を降りようとは誰も考えつかなかったから? 今のところ私がこれではないかと考えている答えは、一年の中でそこへ行ける期間が非常に短いから、である。2日後、雪になった。

兎にも角にも、このような無謀な計画に天罰を下さなかった八百万の神に感謝、感謝である。今度やったら見逃してはくれないかもしれない。自分がやっておいて言うのも何だが、よい子は決してまねしないように。未到達の交会点に挑むなら、くれぐれも準備を怠りなく。

【GrowHair】
これを会社の出張経費で落とした不良サラリーマン。写真は以下に掲載されました。トップページから[Japan]を選び、最北端の交会点をつついて、ご覧になって下さい。実名と顔写真を晒しました。
http://www.confluence.org/


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■ショート・ストーリーのKUNI(不定期連載) 
着メロ

やましたくにこ
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携帯電話の着メロほど私をいらだたせるものはない。

電車の車内で映画館で、それどころか勤務時間中の同僚の机の上で唐突に場違いなメロディが響き渡り、私の神経を逆なでする。最近はメールのやりとりですます人が多くなり、突然大声であたりかまわず話し出す人は激減したが、着メロは健在だ。いきなり何かのテーマ曲やはやりの歌が身近で鳴り始めるやいなや、私は一秒も早くそれが終わることを祈る。

その日私は郊外に向かう電車の中にいた。私が乗って間もなく、向かいのシートの若い女のバッグが鳴り出し、女はバッグに手を入れてしばらくごそごそした後、音を止めた。私は心の中でため息をつき、眠くはなかったが目を閉じた。うんざりしていたから。

それからしばらく、電車はいくつもの駅を通過し、乗客が乗り降りし、車内はだんだんこみあってきた。

突然、いまだかつて聞いたことのない音が耳に飛び込んできた。それは得も言われぬ美しさで私を、いや、車内にいたすべての人々をとりこにした。どういえばいいだろう。なにかきらきらした、天から降り注ぐまばゆい光の群を音にしたらそうなるのかもしれない。私は陶然とすると同時にほとんどあっけにとられたが、なんとそれは着メロなのだった……私が初めて「鳴りやまないでほしい」と願った……。

どのくらいの時間が過ぎたのか、やがてぴたりとメロディが止まり、目を開けると斜め向かいのシートの中程に座っている女が手に携帯を持っているらしいのが見えた。まわりの客にさえぎられ、私の位置から顔はわからない。車内はしんとして誰も一言も発せず、すべての視線がその女に集まっていた。

「はい……私です」女はそう言った、と思う。
「わかりました。いますぐ行きます」

それだけで会話を終えると女は携帯をしまい、席を立った。そして無言の乗客たちの間をすり抜け、走行中なのにドアの前に立った。するとドアが音もなく開き、女の姿がふわり、と消えた。

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
編集関係の仕事(ほとんど雑用係?)に携わりつつ小説やまんがを書いてます。
http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/


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■デジクリトーク
所幸則インタビュー(6)
「所さん、ファンタジーやってみたらどうですか」
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──所さんといえば天使、っていうくらいポピュラーになっている所ワールド、ファンタジーの世界についてお伺いします。ポップでファッション性の強い作風からファンタジーの世界へ移っていくのにどんな経緯があったのでしょう。

●もともと天使や神話にはつよい憧れもありましたし、「指輪物語」や「ゲド戦記」など、ファンタジーな物語も好きでした。純粋にそれを写真にするとは思っていませんしたけど。

──ストーリーとしてファンタジーの世界を楽しむ一方で、ヴィジュアル化された作品には興味はなかったのですか。

●当時は、ファンタジーなんていうものはジャンルとしては写真の中にどこにもなかったし、僕自身みたこともなくて、そもそも写真でやれるなんて思いもしなかったんです。あとでよくよく調べると、絵画の世界ではそういった作品があるとわかったけれど、その時点では神様や天使が出てくるのは宗教画であって、それ以外でファンタジーってなんだって考えても「幻想的な」っていうレベルでしか認識していなかった気がします。

──それでは、なにかご自身が手掛けようとされるようになるきっかけがあったのですか。

●ある時いただいたビルの広告のお仕事で、担当のアートディレクターが、天にのぼるようなこの世のものとは思えないようなきれいな服やリアルでない世界を表現できないかなって、言ってきたんです。実際、ファッションビルとか一般の広告でもそういったものを狙った広告を僕もいくつか見たことがあったけど、たいていは安っぽく見えちゃうです。なかにたまにそうでないものもあったりするけれど、それはライティングとか衣装自体の高級感で多少幻想的にはみえるというレベルでしか見ることができなくて、結局現実の写真でしかなかった気がします。

本当のファンタジーは現実には目に見えないから、絵画の世界、やっぱり画家が空想でかいたものがほとんどで、見てもそういう絵なんだなって納得しちゃうものがあるんだけど。そこに写真の技術を入れて、見ている側に現実かどうかわかんなくなるような世界をつくれないかなって。僕がやるんだったらそんなのがいいなと思いました。

──実際、撮影されてみてどうでしたか。

●僕の場合も、打ち合わせしてスタイリストにイメージをつたえて作ってもらうんだけど、そのままだとどうも学芸会、いまだとコスプレっていうことばがあるけど、どうしてもわざとらしく安っぽくみえちゃって……

──だいぶ試行錯誤されたんですか。

●そうですね。それでふと、ファッションをテーマに撮ってた学生時代からやってきたことを振り返ってみたんです。僕は、もともと安っぽいプラスチックや針金の組み合わせのポップなものを普通に撮っても、エアブラシをつかって違和感なく見せるのが得意じゃないか、って。同じ方法で写真のもつリアリティーからはなれた曖昧なイメージが表現できるんじゃない思って。なんだかこれはファンタジーの作品として完成されることができそうだな、それなら、やってみるかって感じで。

──そのお仕事のあとも、意識的にそういう方向でつくられるようになったのですか。

●その時のアートディレクター(小昏真理さん)は後に僕のマネージャーになるのですが、彼女が「所さん、ファンタジーやってみたらどうですか」って僕にいろんなアイディアをもってきてくれました。そのうち彼女が描く絵コンテを僕が写真で表現するっていうスタイルができあがってきました。新しい作品に対するまわりの評判が意外なほどよくて、僕もびっくりしましたけど。それは戦略的な作風の変化というより、単純に楽しくて無意識に作っていくうちにどんどん深みにはまっていったという感じでしたね。

──なるほど。水を得た魚という感じですか。では、次回はそんな天使や妖精について、さらに深く聞いてみたいと思います。(つづく)

名称:所幸則 作品集 天使に至る系譜 CHIAROSCURO
判型:A4正寸、オールカラー 280p
< http://www.tokoroyukinori.com/books/chiaroscuro.html
>
(作品集の一部とお問い合わせ先が載っています)

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■イベント案内
明治大学シンポジウム「ネット社会と若者文化」
< http://www.cyber-literacy.com/ja/sympo/04/annai.html
>
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日時:12月10日(金)18:00~20:00
会場:明治大学リバティタワー地下1階1001号教室
http://www.meiji.ac.jp/campus/suruga.html


明治大学シンポジウムの第4弾。主催は明治大学法学部。パネリストの1人、荷宮和子さんは『声に出して読めないネット掲示板』(中公新書ラクレ)で2ちゃんねるの書き込みを丹念にフォローしつつ、若者たちの殺伐とした心象風景とその裏にある現代日本の(大人の)姿を描き出した興味深い本の著者です。「女子供文化評論家」を自称し、最近は『バリバリのハト派』(晶文社)という本も出しています。ペク・ソンスさんには韓国のネット事情について話していただきます。若槻絵美さんは「クリエイティブ・コモンズ」運動に深くかかわっている若手弁護士です。入場無料。

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■イベント案内
応募総点数が過去最高の105,033点、世界最大のフォト&グラフィックコンテスト「エプソン カラーイメージング コンテスト 2004」審査結果発表
< http://www.epson.co.jp/osirase/2004/041119.htm
>
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受賞作品の詳細は、「エプソン カラーイメージング コンテスト」サイトで公開中。( http://www.epson.co.jp/contest/

コンテストの表彰式は、12月3日(金)15時30分より、東京・南青山のスパイラルホールで開催、また、受賞作品展は12月2日(木)から6日(月)までスパイラルガーデンにて、主な受賞作品を展示公開する。さらには、「ネイチャー&ヒューマンライフフォトアワード」については、福岡(1/21~23)、大阪(1/28~30)、東京・有楽町(2/11~13)、札幌(2/25~27)でも受賞作品の巡回展を開催する予定である。

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<応募受付中のプレゼント>
Web Designing 2004年12月号 本誌1641号(11/25締切)
 
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■編集後記(11/24)
・まったくよく来ますわ。クズメール。ほとんどが出会い系であろう。このごろは、件名にやたら親しい表現で来るから、つい友達かと思ってしまう。あなたも知っていますか、Re.あの...、Re.違うと思います、近くの人、真夜中に失礼~、どこで何が起こるかわからない、先日の件で、風邪ひいてない?、新着サイトのご案内、いろんな言い方を考えてくるわ。そして、とうとう、わたしのメールアドレスから、わたしあてににメールが来た。件名は「突然申し訳ありません」。で、なにごとかと開くと、熟女と交際しませんかというお知らせ(実際はもっと露骨な誘い)だった。わたしは誰にもそんなお誘いはしたことはない。しかし、こういうのがばらまかれると、わたしがそういうビジネスを始めたと思われやしないかと、いや~な気分になった。ネットはどういう仕組みでこういうことをするのであろうか。真夜中に失礼~、っておバカな件名だ、捨てようとしたら差出人はケータイから送ってくる友人だった。(柴田)

・体調も落ち着いてきたし、伸びてほったらかしにしている髪の毛を切ろうと思い立つ。さっぱりしたいなぁ、軽くしたいなぁと思ったのだ。特に思いつかないのでファッションサイトをまわってみる。いま出ているOggiの表紙、小泉里子さんのヘアスタイルが可愛いな~と、真似て切ろうとしたのだが、こういう時に限ってお店は休みだったり祝日だったり。あーもう。こうなるともうどうでもいいやと投げやりに。知人との電話中、流れからそういう話になったら大反対されてしまった。JJ表紙の土屋アンナやLEE表紙の今井美樹のが似合うんじゃないかと。ブレンダや松嶋菜々子みたいに少しウェーブつけたり、熊沢千絵さんみたいな感じにしたら、少しは色気が出るのではないかと。いや違うんだ、短くしたいだけなんだ。色気は元からないんだよ……。/雑誌表紙の影響力は大きいよ~。(hammer.mule)
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 Oggi
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 ファッション雑誌ヘッドライン

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