[1647] オープンソースなドラえもん

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1647    2004/11/29.Mon.14:00発行
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     <Web開発における最大のキーワードは「時間」だ>

■KNNエンパワーメントコラム 
 オープンソースなドラえもん
 神田敏晶

■電網悠語:Ridual開発記編(73)
 迷惑電話
 三井英樹



■KNNエンパワーメントコラム 
オープンソースなドラえもん

神田敏晶
───────────────────────────────────
KNN神田です。

ネットの宇宙の中には、いろんな世界が広がっている。すでに、世界中のすべ
てのWebをかけめぐるには、3か月間かかるといわれている(The Internet
Archive関係者談)。その広大なコンテンツの宇宙の中には、権利関係は、さ
ておき不朽の名作が存在している。

「ドラえもん」の最終回なる話があるらしい。そういえば、藤子不二雄氏の作
品には、「オバQ」も「ジャングル黒べえ」も「ウメ星デンカ」も、すべて家
庭内居候系の物語が非常に多い。その中でも一番、人気なのは、いつものび太
を助けてくれる「ドラえもん」だろう。

「ドラえもん最終回」
テキスト版
http://hisahisa.net/warai/dora1.htm
Flash版
http://seia318.hp.infoseek.co.jp/005_108.htm

実際のドラえもんの最終回はこちら
http://www17.big.or.jp/%7Eyonenet/fujiko2/saisyu/dora1.html
であるが、勝手に創作された本家でないドラえもんのほうがいいストーリーで
ある。

権利関係の問題はさておき、本気でウルウルしてしまった。これは、本当にこ
の創作編での映画を見たいと思った。せち辛く、夢のない時代に、このような
全国民的なアイドルの危機を救う「希望と目標」のおかげでのび太の将来が活
かされるというのは、ありかもしれない。

何かをなし得たい、やり遂げたいとの思いが、自分の未来を切り開いていくと
いう純粋なストーリーは、今の子供たちに一番必要なことなのかもしれない。

「今のままの状態ではデータは消えないこと、ドラえもんの設計者は、設計者
の意向で明かされていない(超重要極秘事項)ので連絡して助けてもらうこと
は不可能であるという、これはとっても不思議で特異な規約でありました。た
だ修理及び改造は自由であることもこの規約に記されていました」。

ドラえもんは、オープンソース的に開発されたという流れのようだ。オープン
ソースだから、のび太が、ドラえもんが蘇えらせることができたというのもい
いストーリー展開だと思う。

誰かが独占したから科学が進化したのではなく、誰かの努力の上に、誰かがイ
ノベーションを起こし、経済社会と結びつき、科学は常に進化を遂げてきた。
権利関係を主張するだけでなく、権利を守り、より発展できた上でのライセン
ス共有がありかと思う。この創作は、このようなオープンソース社会をも示唆
しているような気がする。

ダークサイドに埋もれている才能をも引き出せるのもインターネットの世界だ。
昨日まで普通の人が、ネットで急遽、有名人になるチャンスを秘めている。あ
る意味、「完全なるメディア」である。自己表現の場としての意味もある。

現在は、テレビやラジオ、新聞、雑誌がメディアとして、考えられているが、
近い将来、再現性の乏しいメディアよりも、検索して抽出できるメディアとし
てのインターネットのほうが、利用頻度が増えていくことだろう。広告にして
も検索で新たな価値を見出すことになるだろう。

現在も指数関数的に増殖するネットの世界から、幾多ものすばらしいコンテン
ツが生み出されている。才能を自社の利権のために潰してしまうのではなく、
良いものは取り入れて新しい価値を生み出す努力が必要ではないだろうか?

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■電網悠語:Ridual開発記編(73) 
迷惑電話

三井英樹
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自席の電話が鳴る。独特の間合いがあって、少し馴れ馴れしく、そして直通番
号ではないと想定した話し方。部署名と私の名を告げて、お願いします、と言
う。私ですと答えると、失礼しましたと言いつつ低姿勢の声に変わる。初めて
お電話させて頂きます、とワザとイラつかせているかのような勿体回った言い
回し。要件はお決まりの税金対策として都内のマンションを買いませんか、と
いう話。ウンザリ。

「紹介させて頂きたくてお電話しました」という台詞を聞いた途端に、「興味
ありませんので」と切る事にしている。受話器を耳から離して、ガチャという
までの一秒強の間に、相手が何かを言っている声が聞こえることもあるが、気
にしないことに決めている。

後々の面倒を考えて、余り無下に扱うな、と上司から指示されたこともある。
大変丁重にお断りする同僚もまわりにいないこともない。先方に切って良いで
すね、と何度も確認し、低姿勢そのもので五分間を消費する先輩も見たことが
ある。でも、付き合いきれないと判断した。何故道理が通らないことに誠意を
示さなければならないのか。

もちろん、私の行動パターンは怒りを買う。「おまえ、そりゃねーだろう!」
としつこく嫌がらせ電話をかけてきた輩も居た。電話に対する礼儀を講釈し始
めた本末転倒君も居た。「今日、そっちに行くからな!」と啖呵を切る輩も居
た。受話器をたたき付けたくなるような怒りがこみ上げる。時間がたっても社
名と名前を言える程腹立たしい。もちろん誠意を示す気にはならない。そんな
商売やめなさいよ、先ず。迷惑以外の何ものでもない。

●時間を浪費させるものは「悪」

私の電話番号と私の名前をセットで持っていて、それが何かしらの営業活動に
使われているのなら、それは誰かがその情報を売買したと考えるのが筋だろう。

それは名刺交換をした人かもしれないし、ネット上で何かに登録したものかも
しれない。しかし、私に電話がかかって来て、無下に切ると、近くの電話が鳴
る確率が高い。そして、同様の数秒の待ち時間があり、興味ありませんので、
という声がする。大抵の場合、会社と部署ごとにソートされている名簿が先方
の手元にあるのが見える。売ることを前提に収集された情報が組織的に集積さ
れている。

そうした名簿がどれほどの値段で売買されるのか知らないが、個人情報ネット
流失のときに話題になった金額では、数十万人で数万円というレベルだとも聞
いた。個人としての情報提供者の懐に入るのは数千円を越えるとは思えない。
そんなアブク銭を、そんなやり方で手にして嬉しいのか。

名簿を売って数千円を手にして、その結果、腐るほどの腐った電話が誰かを苦
しめ、無下に扱うことで実際に殴りに来る輩もいるかもしれない、刺されても
おかしくない時代なのかもしれない。命に関わるケースは身近では知らないが、
少なくとも、しつこいふざけた電話のおかげで、消えてしまったアイデアは一
つや二つではない。

Ridualの開発が進まないことの理由にできるほどではないが、迷惑電話は決
まって大切な思索の時や何かを急いで作っている最中にかかってくる。電話の
主は、こちらが何をしているのか知っていてワザと心を乱す方式で迫ってくる。

Ridualのような孤軍奮闘型プロジェクトでは、常にもやもやとしたイメージを
追いかけるような毎日だ。アイデアが自分の心の何処かにあるのが分かってい
ながら、その尻尾さえ掴めないもどかしい毎日。そのアイデアがふざけた迷惑
電話で、心の奥底に再び姿を消す。

私はWeb開発における最大のキーワードは「時間」だと思っている。何であれ、
時間を浪費させるものを「悪」だと決めて、それに対して勧善懲悪的に進むに
はどうすれば良いか、と考えるように努めている。長時間ミーティングも、お
バカなUIのおかげでイライラさせられるデータ入力も、誰かに聞かないと訳が
分からないシステムも、読まれないと分かっているドキュメント作成も、全部
可能な限り排除すべきだとして、排除しきれない部分で悶々とした毎日を送っ
ている。Ridualも大元は、間接的業務の多さと煩雑さが、直接的業務(Web開
発)の時間を圧迫しているという観点からスタートしている。

それが、まったくの第三者が更に時間を奪おうとするのだ。「モモ」の時間泥
棒とは次元が違う。もっと悪意がある。他人を自分の都合で扱って何が悪いと
言う開き直りに近い嫌らしさが付きまとう。

●キチンと種を蒔け

そして、この迷惑電話に対する嫌悪感で許せない事がもう一つある。Web案件
に似ているところだ。

Webプロジェクトは最早黎明期の夢を追うようなモノではなく、ビジネスとし
てキチンと成立させるべきものに育っているように私の目には映っている。そ
れは、投資があり収穫があるという世界だ。そしてそうした現実をWeb屋の現
場はひしひしと感じているにもかかわらず、少ない投資で甘い汁を夢見る層は
減っていない。そうしたプロジェクトに関わると少し気分が悪くなる。キチン
と投資すべきところで投資しないで、何が刈り取れるのか。

迷惑電話が売ろうとしているものは、どんな物件か知らないが、不動産である。
売買するには、それなりに役所が絡むような書類が必要だろうし、動く金額も
小さくはない。れっきとした真っ当なビジネスだ。なのに、広告費をケチって
いる。

既存メディアに広告を打つ訳でもない、Webや口コミの流れを作る努力もしな
い。尋ねても答えられない経由で名簿を入手して、会社の自席に居るという状
況を逆手にとって、電話をかけて勧誘する。誇れる素材なら正々堂々と広告し
て、そうしたものが売れる土壌を作れば良いじゃないか。

Web開発の何処に何を投資すれば良いのかを伝えているにもかかわらず、Web屋
の良心と変な「なぁなぁ態度」で仕様が膨らんでいく状況に似ている。断りに
くい状況を理解しつつ逆手にとっている。収穫を得たいなら、不正な道や安易
な道に進まずに、キチンと種を蒔けば良いのに。

迷惑電話に腹が立つのは、実は安直な道で安直に刈取ろうとする者への怒りな
のかもしれない。こうした方法が通用しないということが早く常識になって欲
しい。

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / ridual@nri.co.jp
昔、相手の言葉の中のキーワードをうまく用いて延々と対話するコンピュータ
があったそうだ。対話をとぎれないように延々と引き伸ばす、というのはそれ
程難しくないのかもしれない。そうした機器が今欲しい。会社に導入してもら
いたい。迷惑電話がかかってきたら、そこに飛ばす。延々と話を聞いてあげる。
そうですか、へぇー、ふーん、延々と話を引き伸ばす。電話代はかかるが、収
穫はない。マンションを買うとも会おうとも言わないから。ノレンに腕押し応
答機。どう誰か開発しません?

ps.
mixi関係でセミナーをやりました。約30名。RIAについてでしたが、終わって
からのコメントは、RIAというよりWebでしたね。反省しつつも、そう言えば、
私の中では余り境界線がない。結局使い易いサイトを目指しているんだもの。

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://homepage3.nifty.com/mitmix/MilkAge/

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■編集後記(11/29)
・高橋睦郎著「百人一首」(中公新書)を買う。昨年12月に初版、今年1月に
再版になったもので、ぴかぴかの新本だ。それがブックオフの105円棚にある
のはなにか悲しい。もちろん速攻で買ったのだけど。やはり著者がすばらしい。
現代詩の第一人者が海外の詩歌にも目配りしながら、百首を豊かに読み解いて
くれるからだ。たとえば、柿本人麻呂の歌はサッポーの詩と、源実朝の歌はラ
ンボーの詩と同一レベルに置いて読むことで、これまで見えてこなかった魅力
が見えてくるのではないかという。現代語訳の数行がすがすがしく、解釈・解
説もおもしろい。中国をふくむ海外の歴史や作家まで動員する百人一首の本な
んて初めてだ。巻末の水原紫苑との対談「王朝を葬送する」も絶品。百人一首
は高校生のころ全部を覚えたが、もはや忘れた。「むすめふさほせ」のうち5
首しか思い浮かばない。ちょっと昔の戦争文学で、一兵士が自分の正気を保つ
ために百人一首を必死で思い出す、という話を読んだような記憶がある。たし
かに、読む物も書く物もなんにもないままで長時間過ごさなければならない極
限状況に陥ったら、この手は使える。新幹線で大阪往復するだけなのに、必要
以上に本を持って行くのは、万が一止まって動かないときに読む物がないとい
うのは恐怖だからである。それは極限状況なのである。また、百首をマスター
しようと決意。申し訳ないが、この本はトイレに置かせてもらう。(柴田)

・数か月前、いままで使っていたサーバ会社だと欲しい機能がないのでサーバ
移転をした。ふたつに絞ったものの、ひとつ目のサーバ会社さんは別の機能が
未対応。なので残りの気になっていたサーバ会社さんにした。レスポンスが良
く、技術も高そうだったし、なんといっても作り手使い手の気持ちがわかって
くれそうな感じなのだ。融通のきかないサーバにしない、バージョンアップは
頻繁に、ウィルスチェックはデフォルトで、などなど。これ欲しいのにな~な
機能はすべて入っているし、セキュリティもしっかりしてそう。稼働している
クライアントサイトにアクセスしたら表示が早かったのでここにした。満足。
やはり技術力が高いし、移転設定時にいろいろと無理をきいてもらえたの。/
仕事絡みでphpやMySQLを使うことになった。クライアントの借りているレンタ
ルサーバは、対応がとても親切なのだが最終的にニーズに合わなくなった。な
ので、デジクリで借りているサーバ会社さんにする? と話していたら、植木
さんが、その対応してくれていたサーバ会社管理者さんは「XOOPSモジュール
で有名な作家さん」だと教えてくれた。うっそぉーん。  (hammer.mule)
http://www.peak.ne.jp/  ピークさん
http://www.peak.ne.jp/support/XOOPS2nd/xoops2nd.html  作成のすすめ

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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