[1729] 会社を騙す

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,000文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1729    2005/04/12.Tue.14:00発行
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        <言い続けた者にチャンスが与えられる>        

■電網悠語:Ridual開発記編(90)
 会社を騙す
 三井英樹

■買い物の王子さま(80)
 ネットで再会
 石原 強

■デジタルサウンズ研究室 
 春の嵐吹く
 モモヨ(リザード)



■電網悠語:Ridual開発記編(90)
会社を騙す

三井英樹
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●好んで使われる「騙す」という表現

RIA(Rich Internet Application)系のプロジェクトについての話を開発者か
ら聞く機会が増えた。セミナーや小さな会合や、場は様々。何に苦労して、何
をやりたかったのか。ご本人の口から語られる言葉には、やはり重みがある。

成功事例には、幾つかの共通点がある気がしている。発注するクライアント内
に熱意のある方が居る。その熱意が、単なる「担当者」という域を超えている。
そのプロジェクトを自分の子供のように思っているフシがある。寝ても覚めて
も、そのことを考えていることが、言葉の端々から伝わってくる。

そして、大抵同じ台詞を口にする、「会社(上司)を騙して(たきつけて)、
このプロジェクトを進めました」。

もちろん、横領とかそういった類の話ではない。それでも多くの人が「騙す」
という言葉を好んで使う。ここに、会社内の様子が垣間見える。会社としては、
そのプロジェクトで利益を得るという確たる予測などなさそうだ。「コイツ
(担当者)がそこまで言うのなら賭けてみよう」、そんな会議がイメージでき
る。

数字で経営を進めるというのは基本の基本だろう。費用対効果という概念が大
切にされるのも道理である。何をやるのに幾らかかったか、グラフで示し、類
似のものと比較し検討する。そうやって物事がすべて決められるなら、ある意
味ハッピーかもしれない。

でも、費用に換算できにくいものも存在する。例えば、コミュニケーションや
個人的ネットワーク。誰と誰が会話を交わすことの金銭的価値をどう評価する
のか。たわいない与太話が、ビジネスを生み出したなら有効で、単なる与太話
に終わったら無意味なものなのか。

そもそも、Webはコミュニケーションだ。会話や対話を金銭換算することは難
しい。そうしたことを分かりつつ、それでもここに投資をした方が良いと進言
する場合、「騙す」という表現に落ち着くのかもしれない。

●「馬鹿」と呼ばれようと

そして、騙すのにも資格が要る。「振り込め詐欺」のように「オレオレ」と言
っただけで話が通るケースは少ない。「コイツがそこまで言うのなら」と思わ
せるにはそれなりの歴史が必要だと思う。

人よりも法や制度を重視してきた人が、エンドユーザとの対話に目覚めました、
と対話活性提案をしても回りの人も困る。「コイツがそこまで..」と思わせる
には、「コイツはいつもそんなことを言っている」という前提がある。

システム設計の会議の度に、エンドユーザの気持ちを考えましょうと言う。デ
ータベースの話をしているのに、やはりここでエンドユーザはこういった操作
をしたくなるので、ここにこのフィールドを追加しましょうと言う。表形式に
なりさえすれば良いと大半のメンバが思っているのに、1ピクセルにこだわっ
て見映えを調整する。

「また始まった」とか「やれやれ」とか、多くの人に思われる歴史。当人にと
っても、その人を抱えるチームにとっても、ハッピーとは言い切れない長い時
間。「エンドユーザのことよりも、チームのことを考えろよ」等という、設計
者として本末転倒な会話もなされたかもしれない。

システム系の会社なら「Web馬鹿」とか「デザイン馬鹿」、デザイン系会社な
ら「システム馬鹿」や「カタブツ」。「木を見て森を見ないどうしようもない
奴」、そんな陰口をたたかれた時代もあったかもしれない。勝手に敗者復活戦
のようなドラマを組み立てるが、まんざら外れていないと思う。

そして石の上にも三年。言い続けた者にチャンスが与えられる。体制やチーム
媚びることなく、エンドユーザの代弁者としてWeb開発に関わった重みが発言
力を持つ時が来る。

そんな熱い想いを聴いていると、こんな人と仕事がしたいとと思わされる。こ
こまで来るのに苦労しましたとか、照れ笑いの後ろに、揺るぎない信念がある。

一見会社に抵抗して趣味に走っているように見えても、実際は「会社がどう見
られているか」を最重視しているからこそ、寄らば大樹の陰な動きができない
のだ。今までとは違う愛社精神を感じる。「馬鹿」と呼ばれようと、会社を守
るという意思。エリートだけが会社を支えている訳ではない。

●硬直性の壁を破るために

今や、Web(ネット)は常識的な位置付けがなされつつある。同時に、奇抜さ
よりも、誰にでも分かる情報提供・情報共有の場として成熟の途についた。会
社概要や製品紹介のページ構成にパターン性が見えてきて、どのサイトも同じ
ように見えつつも、情報を探すアタリが付けやすくなってきている。

そんな流れの中で、新たな付加価値のための模索も活性化されつつある。皆と
同じものであるならば、制作費が叩かれるだけである。信じがたいページ単価
でWebサイトが構築される。でもそれを続けては、情報の共有スキルが会社も
ユーザも向上しない。

硬直的な情報提供方式に抗して育ってきたWebが、自らの硬直性の壁にぶち当
たっている。「今のままで良いじゃないか、昔よりは便利になったんだから」、
「更に投資する意味が見えない」、そんな声に戦いを挑む人達が、声を発する
ようになってきた。そこに「騙す」人と「騙される(騙されても良しとする)」
会社が存在する。

そして、そうした会社が新しい流れを創りつつあるように見える。Webがもっ
と一般的になってきたとき、この「騙す」とい言葉は別の言葉になっているか
もしれない。

注)「馬鹿」は言葉としては不適切かもしれませんが、親しみを込めたこの表
  現が最適と考え、用いました。悪意はありません。

【みつい・ひでき】h-mitsui@nri.co.jp / ridual@nri.co.jp
あと10回でこのコラムのPhase2も終了です。何かお題のリクエストがあれば。

・販売窓口(ベクター)
<http://shop.vector.co.jp/service/catalogue/sr042976/>
・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
<http://www.ridual.jp/>
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
<http://homepage3.nifty.com/mitmix/MilkAge/>

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■買い物の王子さま(80) 
ネットで再会

石原 強
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一人暮らしをしていた頃、おいしいお茶が飲みたい時には、新宿伊勢丹の地下
にある紅茶専門店「ウィッタード」で、茶葉を買っていました。ダージリンや
セイロンといった定番とともに気に入っていたのが「ガンパウダー」というお
茶です。

「火薬」という物騒な名前ですが、スモーキーな香りと爽やかなコクのある味
わいが、和洋中どんな食事にも合い、食後にぴったり。その時々で好みのお茶
は変わっても、このお茶だけはいつも欠かさずに買っていました。けれど売り
場がリニューアルされたときに姿を消してしまいました。

他のお店でガンパウダーのことを聞いてみたけれど、「うちでは扱っていませ
ん」と言われるのはまだいい方。「は?」と聞き返されることも度々で、いつ
のまにか諦めてしまいました。

そんな話を家人にしたら「飲んでみたい」と言うので、あらためてネットで探
してみることにしました。「ガンパウダー 紅茶」で検索してみると、いくつ
もサイトが見つかりました。紅茶の世界では、意外にポピュラーなお茶だった
ようです。

正確には紅茶ではなく、中国の緑茶。丸まった茶葉の形状が、火薬に似ている
ことから「ガンパウダー」という名前で広まったらしい。モロッコではミント
ティーとしても愛飲されているようです。中国茶専門店のサイトでは「平水珠
茶」という名前で紹介されています。

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「ガンパウダー」(火薬)という名で外国にも知られる緑茶
茶葉は深い緑色で、黄色がかった水色。さわやかなグリーンの香りと、きりっ
とした渋みが特徴のお茶。ミントやミルクを入れて飲むとまた違った味わいが
楽しめる。
---

目当てのお茶はこれに間違いなさそうです。このお茶以外にも「白茶」「黄茶」
「青茶」「黒茶」と分類されて品揃えは豊富です。すべてのお茶の紹介には
「産地」と、「どんな時」飲むか、「お茶請」のオススメが説明されていてわ
かりやすい。

価格は50gで800円。もう少し安いお店もありましたが、送料無料、郵便振込な
ら手数料無料で後払いとのこと。追加料金がないので、納得できる価格です。
そのかわり、配送日時の指定はできません。

白茶のコーナーで「白牡丹」を見つけました。以前に香港で飲んでから好きに
なったお茶です。「熱を取り去る効果があるので、暑い日におすすめ」とあり
ます。これからの季節にぴったりだと思い、一緒に注文しました。

注文から3日ほどで、郵便受けに投函されていました。箱を開けると、銀色の
包みがふたつ。それにおまけで「毛蟹」というお茶が一回分ついていました。
久しぶりの出会いに、期待して封を開けます。急須で淹れると、きれいな薄い
グリーンで、以前に飲んだものよりもすっきりした味。家人も気に入った様子
で、このお茶がうちの定番になりそうです。

中国茶を買ったお店「熊猫彩館」
<http://www.station-tea.com/china/>

【いしはら・つよし】info@webanalyst.jp
ウェブプロデューサー、ウェブアナリスト
昔からお茶が好き。ポットに沢山つくっても、すぐに飲み干してしまいます。
そのかわりコーヒーは苦手。味が嫌いなのではなく、飲んだ後、お腹が痛くな
ることが多いのです。
・ウェブマスターの情報源「ウェブアナ」
<http://www.webanalyst.jp/mt/>

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■デジタルサウンズ研究室 
春の嵐吹く

モモヨ(リザード)
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去年、新潟で地震が起きる前あたりから、やたらと蛍光灯が切れるようになっ
た。チカチカし始めてから普通は、しばらくそのままでいるのだが、チカチカ
したと思ったらあっという間に切れる。そんなことが続いた。管を交換すると、
しばらくしてグロウ管が切れる。

なんだか、わからないが、南北方向に腹を見せ、かつ横になっているものが、
全部同じようにしてだめになった。不思議なことに縦に設置してある管は無事
だ。そんなことから私は個人的に電磁気の異常を疑っている。

そんな馬鹿なというが、蛍光灯は電磁波の影響を受けるのだ。埼玉の戸田ボー
トレース場隣には、AM局の送信アンテナがあって、レース場脇の土手の上にあ
がって、剥き出しの何もつないでいない蛍光灯をかざすと、ほんのりと点灯す
るポイントが見つかる。気のせいではない。本当に光るのだ。運がよければ本
が読めるくらいの光量で点灯する、というのは、古きよき時代のハム(アマチ
ュア無線)をかじった方なら皆さんご存知のはず。

それが、やっと一段楽したと思ったら、先週の木曜日、突然、ネットワークに
使っているPCの液晶ディスプレーが、例の不審なチカチカを見せて、フツッと
消えた。あれこれ手をつくしたが、どうにもならない。この液晶のバックライ
トに使われているEL板も蛍光灯類似の回路なので嫌な予感がしていたところに
今朝の地震である。ディスプレーの寿命かもしれないが、磁気に異常があるよ
うな気がする。

メインで使っているPCをやられると仕事ができないので、余っていたモニター
をつけて応急手当をしたものの、ちょうど下の息子の入学式とそれに続く悪夢
の『名前つけ』というお決まりの儀式に突入したことに重なり、生活は、とん
でもない乱調ぶりを示している。

この『名前つけ』は、体験した方でないとわからないだろうが、かなりなハー
ドワークである。そもそも、算数セットなどの断片、足し算カードの一枚一枚
に名前をつけるなど、一般の人間には思いもよらないことだ。それが教育の現
場では常識になっている。

しかし、春爛漫、幾年かぶりに東京は春らしい春を迎えたというのに、なぜか
面倒なことばかり、起きる。個人的にいっぱいいっぱいなところへ、中国での
反日本運動ときた。

民主党の党首は、例によって政権政党の問題点指摘に忙しいようだが、そんな
ことで国内でもめていないで、むしろ海外、いや当時者である中国に対してき
ちんとアクションしていただきたいものだ。政府の行動が問題の引き金だとす
れば、ことを収められるのは、国内第二政党によるしかない。それをただ政権
交代を視野に入れてコメントするくらいでは時局を誤る。

本当に、何とかしてもらいたい。そう思う。短期の騒動であるにしても、この
ままでは北京のオリンピックだって危ぶまれるではないか。モスクワ五輪の時
代を知っている人間としては、スポーツ選手が政争に翻弄されることだけは阻
止したい、そう願う。

分断して統治するというのは、西洋であれ東洋であれ、支配術の常であるとい
うが、今のようなアジアの現状では、まさに、誰かに統治してくださいと言っ
ているようなものだ。最近、心の底から呆れかえることばかりだが、今回の騒
動は、そう言っていいものではあるまい。

いずれにしても、私たちは、同じ種にして同じく東洋に生をうけた黄色人種で
はないか。心によってつながらることは不可能ではなかろう。いまは、西方の
大陸に向かい祈りを捧げるしかできないが……。

モモヨ(リザード) 管原保雄
<http://www.babylonic.com/>


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■編集後記(4/12)
・昨日の朝、大きな揺れを感じた。ちょうどトイレに座っていたときで、ちょ
っと焦った。なんだかずいぶん長いこと揺れていたような気がする。地震が来
るといつも「あ、これで日本はオシマイなのかな」と思う。関東南部、あるい
は東海が壊滅するときは、東海村や浜岡の原発だって無事ではあるまい。ライ
フラインの切断よりももっと怖いものがあることを、見て見ぬふりをしている
のが我々である。個人的な備蓄なんかしたって無駄、どうせ死んじゃうんだか
らなんにもしなくていいという境地になりたいが、なりきれないのは子孫がい
るからだ。だから、2リットルの水(ペットボトル)や卓上ガスコンロのガス
が安いときはせっせと買う。保存食もできるだけ貯めこもうとしている。地震
の後、エントランスのポストに新聞を取りに行ったら、防火シャッターが半開
きになっていた。多分、地震に反応して自動的に閉まったのを、新聞を取りに
来た人か、自販機を利用する人が開けたのであろう。それを元通りにセットし
ていたら、小学校低学年らしい男の子が「どうしたのですか」と尋ねてきた。
「多分、地震があったから自動的に閉まったのだと思うよ」と答えると、「そ
うですか。さっきはこわかったですね」と言う。なんてハキハキとしゃべるお
りこうさんなんだろうと感動して「本当にこわかったですね」応じた。こども
相手に、こども語を使わずにしゃべると気持ちいい。通路ですれ違う学童に
「おはようございます」と挨拶すると、ちゃんと同じ言葉が返ってくる。きち
んとていねいに話すことってやっぱり大事なのだ。最近はしゃべり言葉をずい
ぶんおろそかにしていたなあと反省したのであった。       (柴田)

・このホテルでは携帯は圏外になる。連絡を待つ必要があったので困ってしま
う。パソコンを立ち上げてLANケーブルでネット接続しようとしたら、どこか
のYahoo!BBの無線LANが届いていた。これが携帯の電波だったら良かったのに。
夕方まで仕事をし、友人の叔母さんがやっているというパン屋「こんがりパン
や」に連れて行ってもらう。渋谷の喧噪から離れ、要町へ。このあたりは「池
袋モンパルナス」と呼ばれる地域。戦前に若い芸術家達が住んでいたらしい。
「こんがりパンや」は、特撮の造形で有名な高山良策氏のアトリエがあったそ
うな。静かな民家の一角にあり、細い坂道をあがると、大きなモクレンの木が
立っている。絵本の中のようなお店だ。時間の流れ方が渋谷と違いゆっくりし
ていて落ち着く。主婦がはじめた店で、友人に配っていたことから発展したも
のだが、子育てが大変だからと週二回しか開店していなかったそうだ。売れる
とわかったら開店日を増やそうとして失敗するケースはあるけれど、家庭との
両立を考えて無理のないペースでやっていらしたから続いたんだろうなぁ。お
茶をよばれながらお客さんが入ってくるのを見る。みんなゆったりした、幸せ
な空気をまとってくるのが不思議だった。        (hammer.mule)
http://www11.ocn.ne.jp/%7Ekongari/  こんがりパンや
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2005/02/post_5.html  高山良策

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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