[1769] 「プルートウ」を読む

投稿:  著者:  読了時間:25分(本文:約12,100文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1769    2005/06/15.Wed.14:00発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 18122部
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  <カフェでお絵かきなどという優雅で恥ずかしいことしてられない>  

■MKチャット対談 
 「プルートウ」を読む
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王(11) 
 理想のタブレットPC
 吉井 宏



■MKチャット対談 
「プルートウ」を読む

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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かさい: まいどー、笠居です。春がなかったかのように梅雨に突入したかと思
    ったら、もう「梅雨の中休み」だそうで(笑)このままのペースだと、
    8月くらいには初雪が降るんじゃないかぃ?(笑)
まきお: んなアホな(笑)蒸し暑くて日が暮れてからしか仕事したくないまつ
    むらですー
かさい: オレは暑くても寒くても日が暮れてからしか仕事しません~
まきお: わははは(笑)健康的な生活せんと長生きせんよぉ(笑)
かさい: 昼間時間がないというわけじゃないんだけどねぇ、集中できないとい
    うか、なんかダラダラ、本やマンガ読んだりしてしまいますね
まきお: マンガといえば、随分昔にオススメした、浦沢直樹さんの「プルー
    トウ」は読んだかね
かさい: 読んだ~。まだ2巻までしか出てないのね。早く続きが読みたいです
まきお: 丁度先日、手塚文化賞とったところなので、今日はこれの話題でも
<http://www.asahi.com/tezuka/>
かさい: 手塚賞、できすぎ(笑)まぁ、賞とってもおかしくない出来ではある
    と思うけど
まきお: 一応説明しとくと、手塚治虫原作の鉄腕アトムの中のひとつのエピソ
    ード「地上最大のロボット」を、YAWARA!やMONSTERの浦沢直樹さんが
    リメイク連載中、という作品ね
かさい: 原作ファンにはお馴染みでしょうが、プルートウというのはアトムほ
    か、世界で一番強いと言われている7体のロボットを倒してナンバー1
    になるために作られたロボットの名前です
まきお: いやー、昔読んだきりですっかり忘れてましたよ、おいら
かさい: オレもかなり記憶が薄れてきてるんですが(^^;) 原作では、やっぱア
    トムの活躍がメインで、ほかの6体は、わりとあっさりやられちゃう
    んだったと思う、たしか
まきお: えーと原作180ページの作品中、6人目がやられるのは140ページくら
    いだね。浦沢版第一巻では、スイスのロボット「モンブラン」と、ス
    コットランドのロボット「ノース2号」がやられちゃうところまでな
    んだけど、これが原作だと24ページ目くらい(^_^;)
かさい: かなり膨らませてますよね(笑)
まきお: そうそう。浦沢版で主人公のロボット刑事「ゲジヒト」も原作だと7
    ページしか出てこない
かさい: ゲジヒトって名前、リアルっぽいけど、かっこよくはないもんなあ。
    手塚さんとしてはそんなに入れ込んだキャラクターじゃなかったので
    は…(ちなみにゲジヒトはドイツ語で「顔」の意味)
まきお: ここまで膨らませていると、全然別ものなわけで、それがオモシロい
    んよね
かさい: ただ別物といいつつも、やっぱ原作アトムから生まれた感は、ちゃん
    とあるのが嬉しいね
まきお: たとえばどういうところ?
かさい: 犬型パトカーのデザインが公募で決まったことになってるでしょー。
    これは笑った(笑)
まきお: あれはよかったよねぇ(笑)あと、ノースのエピソードでブラックジ
    ャックが「足だけ」出てくるよね(笑)
かさい: そそ、あれはBJだよねえ。あとね、アトムがメモリチップ挿入すると
    こが、胸についてるの。ゲジヒトは耳の裏なのに、アトムはお腹なん
    だ、やっぱり(笑)
まきお: ああ(笑)とすると、エネルギー補給は....
かさい: お尻ですかね(^^;)やっぱ(笑)
まきお: あの絵でそれはちょっと問題ありそうな....(^_^;) で、その絵とい
    うかキャラ造形なんだけど、元の手塚キャラを意識しつつ、しすぎず
    このバランスがいいなぁと
かさい: 2巻の巻末に、手塚 眞氏が「最初は手塚アトムに似せてあった、私が
    浦沢キャラで、と注文した」的なことが書いてあったんだけど、オレ
    はちょと眉唾だと思ってます
まきお: その理由は?
かさい: 最初手塚キャラに似せてあったのはホントっぽいけど、GOが出たら、
    現状くらいまでは自分のキャラにするつもりだったんじゃないかなー
    と。エピゴーネンキャラで描ける器用な人じゃないような(失礼)
まきお: うーん、でも手塚キャラっていうのは記号的に組み上がっているから
    それを明示的に入れるのは可能だと思うんだよね。ヘルメットのよう
    な頭とか、ブーツとか
かさい: そうだね。ノース2号は、けっこう原作の造形に忠実だと感じたんだ
    けど
まきお: そこよぉ、いや、メカはさぁ、もっとなんとかなるんじゃないか、と
    ほら、幻魔大戦ってあったでしょう?
かさい: うん、石森章太郎+平井和正
まきお: それをアニメ化したときに、キャラデザインが大友克洋さんだったの
    よね
かさい: あ、そうだったね
まきお: で、キャラもメカであるベガも全然違うデザインになっててね
かさい: あー、これね↓
<http://images-jp.amazon.com/images/P/B0007NOMPO.09.LZZZZZZZ.jpg>
まきお: その前例を考えると、ロボットのデザインはもっと違ったモノになっ
    てもいいんじゃないかと。
かさい: なるほど。いまのとこ出てきてるメカメカしいロボットの造形は、原
    作に似てる? えと、モンブランとブランドとヘラクレス、かな
まきお: ブランドとゲジヒトはかなり違う、ヘラクレスは見た目完全に人間に
    なってるがな(^_^;)モンブランとノースはかなりマンマだね
かさい: ブランドとヘラクレスは、パンクラチオン・スーツのほうよ。ヘラク
    レスもアタマの形が似てるけど…ちょと違うね。原作は盾と槍持って
    るな
まきお: うん、でもけっこう意識してるね
かさい: してるー
まきお: とまぁ、似てる似てないで話している時点で作者の手の内にまんまと
    はまっているわけですが(^_^;)
かさい: だね(笑)ただまあ、アトムからメカっぽさをほとんど除去しちゃっ
    たというのは、これから先のストーリー展開に関係ありそうだ
まきお: まぁゲジヒトがあの姿って時点で予想されたことではあるのだけど..
    ほら、今のところ、ロボット同士の戦いのシーン、特に手塚マンガの
    特徴である空中戦は一切描かれていないでしょう。ひょっとすると最
    後まで戦闘シーンはないのかもしれんな、このマンガ(^_^;)
かさい: あのアトムが空中戦って、ちょっと考えづらいわなあ(笑)でもぜん
    ぜんないってのも寂しいねぇ
まきお: やっぱ100万馬力のスーツ着たりするのかな? ガンダムみたいになる
    んかしら(^_^;)
かさい: あー、その可能性はあるなあ。でも、ブランドと同じように、首と心
    臓(メインCPUと データストレージかな)だけ別のボディに換装、だ
    となんかコワイね(^^;)
まきお: まぁ、まだまだ続くんで、そのあたりも愉しみなんですが....で、内
    容からはちょっと離れるんだけど、これ、今の進捗状況から見ると、
    おそらく10巻以上のものになるよね?
かさい: そうだねぇ、そのくらいになるかな
まきお: いわばまだはじまったばかり、で大賞をとっちゃった
かさい: あー、それは思った。まだどう転ぶかわからんのに、大賞というのは
    …ってことで冒頭の発言になったところもあり
まきお: 手塚さんの作品がモトネタだから、ってのは全然関係ないと思うんだ
    けどね、故人だし。で、これがねぇ、おもしろいなぁと。実際あちこ
    ちでそういう話はでてて。マンガ賞ってまぁ、出版社の数だけ(笑)
    あるわけだけど連載中の作品が大賞をとるのは珍しい話ではないよね
かさい: そうなのか<連載中受賞
まきお: というか、連載中に受賞の方が普通だと思う
かさい: マンガの賞については、そんなに詳しくないんですが、そういえば同
    じ浦沢さんの「20世紀少年」も連載中だけど受賞してるね
まきお: たとえば講談社漫画賞。「バガボンド」も「20世紀少年」も全部連載
    中ですがな
    
講談社漫画賞 <http://www.e-hon.ne.jp/bec/SC/PrizeInform?SHOUCD=505>
小学館漫画賞 <http://www.e-hon.ne.jp/bec/SC/PrizeInform?SHOUCD=493>
日本漫画家協会賞 <http://www.e-hon.ne.jp/bec/SC/PrizeInform?SHOUCD=517>

かさい: すんません、17年度の受賞作、ぜんぜん知らんわ(^^;)
まきお: ケロロ軍曹は知ってます(笑)
かさい: アニメをチラッと見たことある<ケロロ 人気漫画やったんか…
まきお: で、まぁ小学館と講談社については、自分とこの作家がメイン、とい
    うのがお約束としてあるわけで、おのずとその時に一番旬な作品が大
    賞になるんだけど、やっぱ以前から終わっていない作品に賞をやるの
    はどうよ、というのは繰り返し言われていてねぇ
かさい: そうだろうなあ。いわば「書きかけ」だもんな。ゴルゴ13とかだと、
    いつ終るかわからんのでタイミング難しいけど(笑)
まきお: こち亀なんか、いつまでたっても賞もらえないわけよ(笑)だから最
    近はね、いや、これでいいんじゃないかと思うようになったのよ。ゴ
    ルゴやこち亀の場合は読み切り連載なわけで、これはまぁ、まだわか
    りやすいんだけど、プルートウやジパングみたいな大長編でも、途中
    で全然いいんじゃないかと
かさい: 連載マンガって、人気の有るなしで、ダラダラ続いたり、バッサリ切
    られたり、ってあるから、作者の想定した結末にならない場合もある
    だろうしね
まきお: というかですね、長編漫画っていうのは終わってから評価するもので
    はないのではないかと(くどい言い回しだ(笑))
かさい: ほほう、何を持って評価の基準とするのかな?
まきお: 普通、映画とか小説ってのはまぁ、最後まで読んではじめて評価され
    るわけなんだけど、つまりですね、文脈というか、読む体験ですよね
かさい: 小説における文体、みたいなもの?
まきお: うん。すごく乱暴な言い方をすれば、お話の結果はどうでもよくて、
    その過程が楽しめるかどうか、ではないのかと
かさい: ふーん、起承転、で上手く引っぱれるマンガが優秀、とか、かな…?
まきお: いや、それは色々あるんだけど、「結果がでなくても評価の対象とな
    る」っていうのが日本の漫画の特徴なんだよ。たとえばね、同じくら
    い面白い漫画があったとする
かさい: ふんふん
まきお: 片方は完結、片方は連載中。どっちが興味を引くかっていうとね、こ
    れはもう、圧倒的に後者なわけ
かさい: まぁ、そりゃそうだな
まきお: 小説なんかだと、ちょっと違うよね。やはり読み終わらないとなんと
    も言えないところがあるじゃない?
かさい: 連載中の小説と、完結した小説か… うーん、難しいな
まきお: 何十巻もつづく、って例が少ないってこともあるんだけど。じゃあ逆
    に、なんで漫画は終わらないのか。終わった時点で面白い、と評価さ
    れるのであれば、適当な長さで終わった方がいいよね
かさい: だから、人気があれば、編集部が無理やりにでも引っぱって、連載が
    続くからでしょ?
まきお: うん。つまりですね、長編漫画ってのは終わらないのが理想なわけで
    すよ。継続していることが大事なわけよ
かさい: ははぁ、売る側としては確かにそうなるなぁ、なるほど
まきお: もちろん、編集側作者側としては人気があるからひっぱって、という
    のはあるんだけど、それとはちょっと別の話でね
かさい: 読む側もそうか。
まきお: 読み手としても、読み続けられること、がいい漫画であるんんじゃな
    いかと。それは時代の感覚を敏感に反映させていく、ということもあ
    るし。どちらかといえば「連載というイベント」として評価すべきな
    んじゃないかな、と。だから、終わっていないものが評価されるのは
    ごく当然、とね。漫画の場合。このプルートウも、まだ2巻だけど、
    読んでいることがおもしろいわけで、全体の話はいわばわかってるわ
    けで
かさい: 確かに結末はわかってるよね。アトムを下敷きにしてるわけだから
まきお: うん。だから、映画みたいにリメイクして終わり、ということではな
    くて、これは連載が継続している、ということが意味が大きいんじゃ
    ないかと
かさい: どちらかといえば、原作の行間(コマ間?)みたいなところを、どう
    膨らませて見せてくれるかが楽しいわけで、膨らませれば膨らませる
    ほど、読者も喜ぶというわけだね
まきお: だから、おのずとね、短編漫画と長編漫画ってのは評価の仕方が異な
    ると思うのよ
かさい: なるほどね。結末がわからなくても(あるいはわかってても)過程の
    ほうが評価対象として重要になるわけか、長編の場合
まきお: うん。短編~ 1巻くらいで完結作品は逆に読後感ってのが重要でしょ
    う?
かさい: これは小説や映画と同じだね
まきお: うん。だから、漫画賞に問題があるとすれば、未完の作品に賞をあげ
    ることではなく、長編と短編を同じ土俵で評価しちゃうことだよ。手
    塚文化賞でも短編賞ってのはあるけど、こちらは4コマとかが対象っ
    ぽいんだよな
かさい: 小学館や講談社に直訴しよう(笑)
まきお: (笑)あとねぇ、このプルートウで面白いなぁと思ったのが、これま
    た内容ではないのだが、プロデューサーの名前が出ていること
かさい: 手塚眞氏のこと?
まきお: いや、長崎尚志さん。眞さんは監修ね
かさい: あ、そうか。長崎さんってのは、小学館のひとだっけ?
まきお: 手塚文化賞のところに説明があるけど、この人はもともと、浦沢さん
    の担当編集者さん。今はフリーランスね
<http://www.asahi.com/tezuka/05a.html>
かさい: 小学館で浦沢氏を育てた人物、ってとこか?
まきお: 基本的にはそうみたいね。まぁいろいろ、ほんとかどうかわからんウ
    ワサもあるのだけど、そのあたりは置いておいて、こういう形で編集
    者の名前がどどーん、と出るってのは今までなかったよなぁ、と
かさい: そうだねえ、この人がいなければ、このマンガは成り立たなかった、
    ってことを明記してるわけだよね
まきお: というか、ほとんど原作者に近いというか、アドバイザーというかね
    今の商業漫画って、作者が全部一人で考えて作るってことは少なくて
かさい: 編集さんがネーム作るとか、普通にあるんでしょ
まきお: 作る、ならいいけど、勝手に変える、とかね
かさい: あー
まきお: パソコン雑誌の記事なんかでも時々あって、揉めますが(^_^;)
かさい: わははははは、ありましたね(笑)
まきお: あ、ちなみにデジクリはもう、全部そのまま垂れ流しです(笑)
かさい: この二人は、いいコンビとしてやっていけてるみたいですね
まきお: そこですね。今後ね、こういう形も多くなってくるのかな、と。出版
    社の編集者ではなく、外部のプロデューサー
かさい: こういう受賞なんかで、徐々にプロデューサーとして名前が出るよう
    になって、そういうブレーンとしての立場や価値が認められると、じ
    ゅうぶんアリな職業になってきますね
まきお: 以前、どこで読んだのか忘れたけど、日本の漫画ってのは天才に頼り
    すぎてるって話をだれかが書いていて
かさい: ああ、アメコミとかは完全にグループワークらしいね。ストーリーと
    かキャラデザとか分業で、映画の製作システムに似てるなーと思った
    ことがあるけど、そういう話ではない?
まきお: そうそう。絵が描けて、お話がつくれて、映像的、編集的なセンスが
    必要で、ってそりゃ天才なわけでね。全部うまい人間がそうそう居る
    わけではないし。それでは産業として根付かない、てな話だったと思
    う。アメコミだと、下絵描く人とペン入れる人も別なんだよ~
かさい: なるほどね。アメコミに比べると、日本のマンガは小説書くほうに似
    ている。似てるけど要求されるスキルはもっと多方面にわたるわけだ
    よねえ
まきお: もちろん、漫画から小説家や映画監督に転身して成功する例もあるん
    んだけどね。そういう意味でプロデューサーという仕事が漫画の世界
    にも入ってくるのかもしれんな、と。じっさい私らの仕事でも、編集
    さん、プロデューサーさんがしっかりしてると、めちゃくちゃやりや
    すいというか、いい仕事できるよね
かさい: そそ。ちゃんと周辺のことを段取りしてくれるからやりやすい。やり
    やすいからイイ仕事が出来る。仕事に集中できるからね
まきお: 段取り以外でも、相談役って重要だと思うのよ。客観的な立場で相談
    できる相手がいると、やりやすい
かさい: あー、それは確かにそうかも。ただ、だとすると、あくまで外部の人
    間として居てくれる方がいいね。近すぎると判断が狂っちゃいそうだ
まきお: 個人的な好みを押しつけてくるのは最悪だけど、客観的にいいところ
    悪いところをちゃんと指摘してくれるとありがたいのよね。ちゃんと
    客観的な判断ができる、って前提ですね
かさい: 悪いところ指摘されると(本当なら余計に)腹立ちますけどね(笑)
まきお: そこよね、それをうまく言える才能ってのはあるのよね(笑)めっち
    ゃ腹たつけど、あいつの言うことは正しい、と思わせる(笑)そのあ
    たりが信頼関係っていうか....なにかいても無反応ってのも嫌なもん
    でね
かさい: やっぱ、信頼関係だねー。腹立っても、それを取り入れて作品に生か
    す、ってのもある意味才能ね。
まきお: 作家側はそうですね。さて、デジクリとまつかさは....というのはあ
    えて深く考えないようにしましょうかね(笑)
かさい: わははは(笑) つか、考えたことありませんでした(^^;) ある意味
    失礼ですね(^^;)

【笠居 トシヒロ/WEBコンテンツクリエイター・デザイナー】
制作環境のパワーアップ&静音化をモクロミ中。報告はいずれ近いうちに~
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
俺の噺を聞け!というわけでドラマ「タイガー&ドラゴン」がおもしれーっ!
すでに佳境だけど。
http://www.tbs.co.jp/TandD/
<http://www.makion.net/>

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■グラフィック薄氷大魔王(11) 
理想のタブレットPC

吉井 宏
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鳴り物入りで登場したのに、ちっとも普及している様子がないタブレットPC。
理想のお絵かきマシンってことで以前から非常に期待していた。「グラフィッ
クデザイナー&イラストレーターの必携マシン」になるかもしれないと思った
のだ。

僕が夢見ていた「デザインやイラストの仕事にタブレットPCを最高に活かした
状態」というのは次のようなもの。
・仕事のメールのやりとり、スケジュールや連絡先の管理、事務仕事
・打ち合わせ中のメモやプレゼンテーション、その場でスケッチ
・ネットを使った資料収集・イラストのフィニッシュ作業・・・などなど。

これらを自宅・外出や旅行先を問わず連続しておこなうことができる。ごく普
通にモバイルノート一台で仕事しているビジネスマンのように、タブレットPC
はイラストレーターの仕事場そのものになるわけだ。仕事だけでなく単にお手
軽なお絵かきマシンとしても、カフェで絵を描いたり、ちょっとした空き時間
にラクガキしたりとか、楽しいにちがいない、と。

2002年11月の解禁と同時に富士通のSTYLISTIC TB80を購入。10インチ液晶、キ
ーボードなしのスレート型(ピュアタブレット型)だ。ドックに取り付けれ
ばデスクトップ的にも使える。

ノートパソコンに液晶タブレットがついたコンバーチブル型のほうが実用的な
のは間違いない。とりあえずノートPCとしては不足はないんだから。なのに、
なぜスレート型を選んだかというと、タブレットPCの持つ可能性とふさわしい
使い方を探りたかったのと、手書き文字認識に無理矢理にでも慣れてしまおう
ってことだった。コンバーチブル型より軽いし。

購入したTB80は比較的軽く取り回しも楽だった。ペンの視差の調整に手こずっ
たが、一応絵も描けるし、外出先でメールに返事を書くくらいの文字入力もこ
なせた。文字認識機能は大したものだった。ホントの事言えば、液晶の質は悪
かったし外観デザインが無骨など不満も多かったのだが、それは機種固有の問
題。今はそのあたりをクリアした優れたマシンがいろいろ出ているし、タブレ
ットPCという「立ったままで使えるペン入力モバイルPC」という仕組み自体に
大きな問題はないと思う(ただし、手で支えて使うには、現在の1kg程度では
重すぎ。400~500gくらいでないと長時間使えない)。

TB80は昨年のうちに手放してしまった。「ぜったいにタブレットPCを体の一部
にしてやる」って覚悟で1年半の間使い倒してみたものの、今の僕の仕事&生
活スタイルにイマイチ合わなかったのだ。だいいち、「外出先で絵を描く機会
などほとんどない!」のだ。まして、カフェでお絵かきなどという優雅で恥ず
かしいことしてられない。

外出先でちょっとの待ち時間を惜しんでイラストのフィニッシュ作業を続けな
きゃいけないような事態は、パソコンで描いてきた13年間一度もなかったし、
これからもないだろう。ラクガキやラフスケッチなら、紙とボールペンのほう
が描きやすくて効率もいい。バッテリーも気にしなくていい。

また、僕はWACOMの液晶タブレット(17&15インチ)を日常的に使っているの
で、仕事部屋ではタブレットPCの出番はなかった。そもそも15インチでも小さ
いのに10インチでは気持ちよく絵を描くのは無理だ。それと、グラフィックソ
フトを使うのにショートカット用のキーボードは必須。なんだかんだとガチャ
ガチャ荷物が多くなる。(その点、コンバーチブル型に分がありそうだが、手
前にキーボード、向こう側の(固定されていない不安定な)画面で描くのはむ
ずかしい。かといって、ショートカット用にもう一台キーボードを持ち歩くっ
てのもねえ)

で、わかったのは、冒頭で書いたようなグラフィック仕事に理想的な使い方を
するには、モバイルパソコンのくくりでは無理があるということ。パワーのあ
るマシンを仕事場と外出先で境目なく使えなければ意味がないのだ。

すると、こんな大型タブレットマシンが浮かぶ。画面はSXGAの17インチ以上、
バッテリーは最低限でいいから5~6kg以内の重量、上部に持ち運び用のハンド
ル、電源ケーブル巻き取り機構など。外観はちょうど、「現在のiMacの画面が
タブレットで、画面向きに応じて上下反転脱着可能なキーボードをはめ込んだ
一体型PC」が理想ってことになる。一台でグラフィックのすべてをこなせるマ
シン。ほしいなあ。

結局、何を求めてるかというと、据え置きマシンと部屋に縛られず、自由に動
けるようになりたいのである。

ところで、最近の数少ないタブレットPCの新製品。ThinkPad X41 Tabletはビ
ジネス用のしっかりした製品というイメージだが、12インチは僕の目的には合
わない。”ファミリー向け”という低価格のDynaBook R10は14インチ液晶で光
学ドライブも内蔵しており、ちょっと興味をそそられる。

あと、噂されているタブレットMac。今までの情報ではタッチパネル式のPDA的
モバイルマシン(Pentium M搭載の8.4インチとか)の線が強いようで、グラフ
ィック用途には期待できそうにないが、もしリリースされるなら、そりゃ~も
ちろん、ほしい。

※当たり前だけど、液晶タブレットにこだわらなければ「理想のグラフィック
用持ち出し可マシン」は今でももちろん可能です。要するに、パワーのあるノ
ートパソコンをメインマシンにしてタブレットといっしょに持ち歩けばいいだ
けなんだから。あと、WACOM液晶タブレットの裏にMac miniを貼り付ければけ
っこう理想に近いマシンができちゃう。あと、現在液晶タブレットを持ってな
い人だったら、タブレットPCを試してみる価値は十分あります。

※タブレットPC情報ページというのを勝手に作っていたんだけど、現在休止中
でアーカイブ扱い。僕のサイトのArchiveのコーナーで読めます。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com
マイケル・ジャクソン全面無罪。よかったー。なんか、MJが好きなことが後ろ
めたい気がしてた。そりゃ、究極の変人には違いないけど、作品と人は別。フ
ィル・スペクターもそうだけど、重罪容疑者のファンでいるのはちょっとやだ
もん。スターには怪しい人が近づいてくるもんなのだろう。MJならやりかねな
いってイメージをテコに、少しでも金を取れる可能性があれば、悪徳弁護士も
あの手この手で有罪に持って行こうと。やだねえ。
<http://www.yoshii.com>
<http://graphic.pastel.co.jp/yoshii/>
<http://www.zbrush.jp>


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(6/15)
・いつも書いていることながら。自分の作品をきちんと説明できない作家が多
い。姉妹誌「写真を楽しむ生活」を編集していて、いつも感じる。いらいらし
てくる。怒りさえこみあげてくる。つまり、写真展(個展)のプレゼンテーシ
ョンが著しくヘタな作家が多い。情報はおもにギャラリーのサイトから得るが、
そこに書かれた作家のコメントがいまいちなのだ。本気で自分の個展に来て欲
しいのか疑いたくなるような、なげやりというか無気力というか、あるいはま
ったくなにも言ってないのと同じくらい中味のないことが書かれている場合が
少なくない。たまに長めのテキストがあったりすると、なんやら自己満足な散
文的文章である。ブンガクするのも、日記ならよろしい。でも、個展とは多く
の人に見に来てもらうのが目的の晴れの舞台だ。それなりの書き方をしなけれ
ばだめでしょう。それは、自分のことばで、だれにもわかりやすく書かれた
「具体的に写真展をイメージできる文章」である。気どったタイトルをつけて
も、きちんとした説明がなければ、内容不明の個展にだれがわざわざ足を運ぶ
ものか。自分の作品を語れないということは、語るに値するなにもないという
ことではないのか。個展を開くまでにエネルギーを使い果たし、大切な広報を
怠る作家が多いのかもしれない。デジクリでは、この夏休みに大阪で作家が自
分の作品をきちんと説明するアート展の開催を企画している。   (柴田)

・クラブ「DAWN」がいつの間にか「NOON」になっていた。じゃあ次は……。/
ハンディワイパー「アレルケアウェーブ」を買ってきた。オススメ。もっと早
く買えば良かった。データの処理待ち時間なんかに、手の届く範囲をなでてホ
コリをとっている。はたきをかけるとホコリが舞うし、落としたホコリを掃除
機で吸えているのかわからない。ぞうきんで拭くためには、まず濡らしてから。
ウェーブは手にとってすぐに掃除できるし、ホコリはウェーブにくっつくから
舞い上がることもない。少し前の類似品だと、ホコリはブラシにつくといいな
がらも、残ってたりしたんだよなぁ。いやー楽ちん楽ちん。 (hammer.mule)
http://www.cyberjapan.tv/contents/osakaclubguide/noon.html  NOON
http://www.unicharm.co.jp/wave/  ウェーブ

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
アシスト    鴨田麻衣子

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