[1828] 挿絵と想像力

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,000文字)


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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1828    2005/09/21.Wed.14:00発行
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           <お~い。ダメなんだよ~。>          

■MKチャット対談 
 挿絵と想像力
 笠居トシヒロ

■グラフィック薄氷大魔王(23)
 無断転載は楽だけどヤバイです
 吉井 宏



■MKチャット対談 
挿絵と想像力

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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まいど、笠居です。そろそろ朝夕は涼しい風が吹くようになって、過ごしやす
くなってきましたね。

今回は、先週腰痛でお休みした罰により、笠居がピンでお届けします。とは言
うものの、腰痛はまだ治ってません。長時間、椅子に座り続けていると、腰痛
をかばった姿勢をとっているせいでしょう、腰周りの筋肉が重苦しくなってき
て、大変辛いので、今日もこの原稿を書き終えたら病院に行ってリハビリをす
る予定です。とほほ。

●中学受験

という出だしとはまったく関係ありませんが、いま笠居家では、ちょっとした
受験ブームです(ブームかよ)。上の子が中学受験をするというので、去年の
暮れから塾通いを始めたからなんですね。

なんでまた、これまでずーっと遊びほうけていた(いや、親のほうもそれにつ
いてはたいした注意もせず、ほったらかしてたわけなんですが)長男が、中学
を受験する気になったか、については、彼にとっても少々恥ずかしい理由なの
で、ここではあえて書きませんけど(笑)、ともかくオレもヨメさんも、受験
についてのにわか勉強をする羽目になったわけです。

オレは、田舎育ちなので、中学受験なんて考えてもいませんでしたが、自分の
子どもが、そう云う状況になってからいろいろと仕入れた情報によると、大都
市圏ではそんなに珍しいことでもないんですねぇ、中学受験って。

それよりも少なからずビックリしたのは、公立の小学校というところでの、子
供達の学力が、明らかに昔と比べて低くなっているということです。ウチの子
は、恥ずかしながら、ぜーんぜん勉強していなかったので、当然のことながら
成績も最低でしたから、全体の学力がどうの、ってのもよくわかんなかったわ
けです。

ところが、塾に行きだして暫くのあと、年末にもらってきた成績表を見ると、
なんとかなり評価が上がっているではありませんか。が、塾のほうで毎週実施
している学力テストの結果(Webでチェックできるようになってるので、いつ
でも見れるんですな)は、たいして上がってない、というかハッキリ言って、
あいかわらずケツのほうのグループなわけです。

つまり、普通に公立の小学校に通って、そこで勉強しているだけの子どもは
(学校での成績がそこそこいい子どもでも)、塾通いしている子供達の中に入
ると、ほとんどが下位グループに甘んじてしまうということなんですね。かる
くヤバいです。

かといって、塾でそんなに特別な勉強をしているかというとそうでもなさそう
です。塾で使っているテキストや、小テストの問題に目を通してみると、自分
が小学校のころに、普通に勉強した内容と大差はありません(もちろん、受験
用に効率のよい解き方などは教えているのかもしれませんが)。

逆に、小学校の教科書や、テスト問題をあらためて見てみると(今まで見てな
かったんかい)、こんな幼稚なもんで大丈夫なんか? と思うような内容もあ
ったりします。さらに、子供達との話の端々からの判断でしかありませんが、
どうも「習ってないことはやらなくてよい(やってはいけない?)」というよ
うな不文律まであるような感じです。

まぁ、今回は公立小学校のカリキュラムについての話をするつもりじゃないん
で、あまり掘り下げるのはやめておきますけど、これは明らかに例の「ゆとり
教育」の悪影響でしょうね。

さて、塾に行きだした長男は、できないながらもがんばっている様子なのです
が、成績の伸びほうは芳しくありません(ってアタリマエですが)。ヨメさん
も心配になってきたようですが、このヨメがハクション大魔王(数字にゃ泣け
てくる)タイプなので、家ではオレが勉強を見てやることになってしまいます。

わからないことがあると、ムスコが問題のプリントなどをもって、仕事部屋に
顔を出すわけですが、解からない問題の幅が広すぎる(笑)で、問題の趣旨を
説明してやって、どう考えればいいのかを示してやると、わりとあっさり解け
たりするんですね。

ここでようやく気付きましたが、問題がわかんないんじゃなくて、どうやら文
章題(花子さんが100円でリンゴを3個買いました、的なヤツ)の内容を理解す
る能力、ようするに読解力が劣っているのだということが判明したんですな。
そらぁ、わからん問題の幅も広くなるわ orz。

●漫画風の挿絵

ムスコは本をあまり読みません。同世代のほかの子どもがどうなのかはわかり
ませんが、これは面白いに違いない、と思われる本を与えても、なかなか読も
うとしません。オレはこれまで、勉強しろとはあまり言いませんでしたが、本
は読むようにと言ってきたし、いろいろと買い与えてもきました。

また、自分が小学生や中学生のころに読んで感動した本の何冊かは、ずっと手
元においていたので、それも子供達に与えていました。が、彼が好んで読む本
は、一世代幼い子どもが読むような、活字が大きくて、絵本に毛が生えたよう
なものばかりです。

そして、それらの本に共通しているのは、挿絵が漫画風だということです。こ
れは最近の児童書の多くに共通する傾向かもしれません。漫画はオレも好きだ
し、漫画的なイラストがいけないという気もありませんが、これらの漫画風挿
絵には、どうも読者の想像力をスポイルしてしまうような危うさを覚えてしま
うのです。

むかし、自分が本を読んだときに、長新太さんや、真鍋博さん、床ヌブリさん
らの挿絵によって、想像力をかきたてられた(あるいはその手助けをしてもら
った)経験からすると、物語の一場面を、そのまんま漫画的なイラストで表し
た、現在の児童書のイラストには疑問を持ってしまうわけです。

それって、たんなる挿絵画家の読書感想画でしかないではないか。いや、感想
すら入ってない、ただの状景描写であって、なにもそこからの問題提起がない
ではないか、と。

学校のデザイン論の講義で、図版(イラストや写真、図など)の役割について
話をするとき、オレはよく「人間はイメージしないと理解できないんだ」と言
います。

文字や文章をそのまま知識として蓄える、というのは、普通の人間には無理
(というか苦痛)です。では、普通の人はどうやって文字情報を知識にするか
というと、それらの文章(文字)を読んで、絵や音に変換して、それを記憶に
とどめる、という方法を取っていると思うのです。

あ、これは何らかの科学的な裏づけがあって言ってることじゃなくて、オレの
経験則からの理論なんで、「そりゃ間違ってる、実はこうなんだ」っていうの
がありましたら、是非後学のために教えてください。

このようなイメージング作業のためには、ある程度の経験が必要です。何も経
験がなければ、想像するにしても素材がありませんからね。

で、本を例にとって見ると、まず幼児期に読む絵本。ほとんど実際の経験がな
い幼児には、それに代わるくらい「完成品に近い」素材が必要です。したがっ
て、紙面の半分以上が挿絵で占められている絵本が適しているということにな
ります。

以降、徐々に経験を重ねていくことによって、少量の素材でも、自らの経験と
想像力によって物語の状景を想像できるようになっていきます。大人が読む小
説には、ほとんどの場合挿絵など入っていませんよね。

挿絵の役割というのは、その物語のテイストやカラーを、作者の意図に沿って
読者に伝えるために使われるべきだと、オレは思うわけです。なので、前述し
た漫画風のイラスト挿絵が、はたしてこれらの役割をちゃんと果たしているの
か? というのは、はなはだ疑問です。

このような挿絵が増えてきている原因としては、作り手側(童話作家や挿絵画
家、編集者など)そのものが漫画で育った世代になってきて、このような絵に
違和感を覚えなくなっている、というのもあるでしょうし、読者である子供達
のほうも、漫画やアニメに囲まれて育ってきているわけですから、そのような
絵柄を好む傾向にある、ということもあるでしょう。

ただ、それが子供達の想像力をスポイルしてしまっているというのでは困りま
す。画風が漫画タッチであったとしても、もっと想像のための上質な素材であ
ることを、オレは望みます。

でも本当に不安なのは、読み手である子供達のほうが、ルールに融通のきかな
い決まりきった遊びや、前述したゆとり教育の悪影響などから、想像力という
ものをどんどん削られていやしないか? そんな想像力の欠如した子ども達に
売るために、挿絵が漫画チックな説明図版になっていやしないか? というこ
とだったりするのですが…。

【笠居トシヒロ/WEBコンテンツクリエイター・デザイナー】
iPod nanoのインパクトに負けて、ついつい4GB黒を買ってしまった。が、やっ
ぱ、ヘッドホンという物体に耳が慣れない。15分もしていると耳のどこかしら
が痛くなってくる。
<http://www.mad-c.com/>

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■グラフィック薄氷大魔王(23)
無断転載は楽だけどヤバイです

吉井 宏
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ブログや個人サイトなどで多く見かける、CDジャケットや本の表紙または商品
などの画像をよそのサイトからいただいてきて勝手に載せるのは、やっちゃい
けない初歩的な厳禁事項なはずなのに、最近は知られてないのかな?「自作の
コンテンツ以外は許可なしに掲載できない」んだよ。

画像を載せれば、簡単にブログを華やかにできてメジャー感が出るし、この商
品はイイ! って書くとき画像があると説得力があるしね。僕も誘惑に負けて
何度かそういう無許可画像を載せたこともあるけど、やっぱマズいかな~と削
除した(ZBrush関係などは全部許可取ってます)。もちろん、買ってきたCDや
商品をスナップ写真として載せるのはぜんぜんいいんだけどね。

よそから勝手にもらった画像でなくても、例えば音楽について書くのに(自分
で複写した)ジャケットを載せられないのはおかしい、とさんざん議論された
末「ダメ」という結論に達するBBSに何度か遭遇したこともある。歌詞の扱い
も最高にきびしかったはずなのに、プレーヤーの歌詞表示機能などでくずれつ
つあるのかも。ジャケット画像をamazon.comから集めてくるソフトってのもあ
るし。

引用としてならどうか? というと、実はなんと! 文章以外の著作物の「引
用」は一切認められてないのだ、今のところ。雑誌の書評の本の表紙写真でさ
え、厳密には(黙認ってことで)グレーゾーンらしい。よそから勝手にもらっ
た画像じゃ二重の違反。まあ、これだけ個人が情報発信できる時代が来るとは
想定してなかっただろうから、このあたり、もう少し融通がきくようになると
いいなあ。

ひょっとすると、メーカーなどは無許可でもどんどん載せてくれたら宣伝にな
るからありがたいと思ってるかもしれないし、パブリシティ用高解像度画像を
サイト上に用意してるメーカーも多い。これだけブログが流行ってるんだから、
お使いくださいって画像をWebにたくさん用意して、どんどんブログに載せて
もらえば効果的だと思う。

しかし、クリエイターの立場ではどんどん載せてくれという訳にはいかない。
勝手に掲載するのが常識になったら僕の画像も使われることになるわけで。い
ろんな作品画像を集めてきて「私が好きなアーティストの作品を集めてギャラ
リーを作りました」ってサイトもありえるし、トップページに使ったり、切り
抜いたり、色を変えたり、コラージュなど改変もやりそう。常識的な範囲なら
いいでしょという意見もあるだろうけど、基本的に100%ダメなんだから、範
囲もへったくれもない。

いや、うるさいことを言いたいわけじゃなく、ホントは僕も商品写真やジャケ
ット画像を許可を取る手間無しでブログに載せたい。楽だし便利だもーん。う
~~~ん、どうなんだろ? と思って詳しい人に聞いてみたら、即答で「もち
ろんダメ」と言われてしまった。やっぱそりゃダメだわ。この文章を読んでる
であろう友人複数名のブログにもそういうのがある。お~い。ダメなんだよ~。
やめたほうがいいよ~。

(サムネイルなら著作権侵害に当たらないという判決がアメリカで出たそうだ
けど、日本でどういう判断をされるかわからない。そもそも、サムネイルが著
作権侵害だとして訴えた人が敗訴したことがニュースになるくらいだから、現
状は推して知るべし、です。つまり、かなりヤベーのだ。)

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com

今年も「東京コンテンツマーケット」にブースを出します。
<http://tcm2005.net/>
前回でアワードをいただいたということもありプレッシャーがズッシリのしか
かってるわけですが、このところ書いてるように3Dアニメ難行苦行中。ようや
く手足二本ずつの人間型キャラクターの仕込みと動作がなんとかなってきたと
思ったのに、犬のキャラクターで七転八倒。キャラクターの動きの要となる
「骨盤」に相当する箇所が、犬には二つあるんだよ~。コントロールしきれね
え~~。残りあと27日だって~~!! どうすんだ?

HP <http://www.yoshii.com>
Blog <http://graphic.pastel.co.jp/yoshii/>
ZBrush <http://www.zbrush.jp>

<応募受付中のプレゼント>
Web Designing 2005年10月号 本誌1826号(9/23締切)


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■編集後記(9/21)
・腰痛その2。「腰いわしてしもたら、あんじょう治さんと、後で堪えまっせ」
と、京都の友人から見舞いをもらった。彼は昨年腰をどこかで打って、直立が
辛い状態になったが、近所の治療院で電気治療機にかかって1週間ほどですっ
かり良くなったそうだ。わたしが時々通っていた接骨院の電気治療とマッサー
ジは、気持ちはいいけど(そのうえリーズナブル)なんだか気休めみたいなか
んじで、劇的によくなったと感じたことはない。数回通って行かなくなるのは、
自然に治っちゃったからだと思う。昨日は、朝は快調だったが、午前中ずうっ
とデスクに向かって椅子に座っていたから、お昼に立ち上がったときはもう直
立は不可能だった。横になれば治るだろうと、昼寝をして、期待を込めて立ち
上がったが腰が完全には伸びない。昼間から老人歩きはできないので、犬の散
歩も妻に任せた。夕方、駅ビルの薬屋にインドメタシン製剤を買いに行った。
自転車は楽々だが、歩きはやや前かがみで小幅。それでも、シャキンとなる瞬
間があった。女子高生たちがたむろしている前は、腰の痛みなど忘れてしっか
り歩けたのだ。夜の犬の散歩では、コースの半分くらいまでは前屈みだったが、
気が付いたら腰はまっすぐ伸びて歩いていた。もっとも、腰や肩のじんわりと
した存在感はあった。いったい、この腰痛は安静がいいのか、動いた方がいい
のかわからない。全然反対のことだものね。今日はとりあえず調子がいい。で
も、午後になったらどうなっているかわからない。困ったもんだ。 (柴田)

・イーバンク銀行が全国銀行ネットに加盟することになり、支店名が変更され
る。従来の数字から単語になるのだが、その支店名が冗談のよう。「ジャズ」
「ロック」「サンバ」「ワルツ」「オペラ」「タンゴ」「サルサ」「ダンス」
「リズム」「ビート」「マーチ」とあり、私はダンス支店である。アレよりは
良かったけど、できればソレが良かったな~などと思っている。/トイレのバ
リアフリー化、第一期工事完了。手すりや壁の塗装はまだなのだが、床に段差
がなくなり、この段差一つを取り除くことだけで快適になると知った。トイレ
のドアを開けるのと同時に便座フタが自動的に上がるのになかなか慣れず、び
くついていた。誰もいないはずのトイレのドアを開けたら、勝手にフタが上が
るのって怖いよ~。夜中なんて特に。人がいなくなると勝手にフタが下りるの
も怖い。SF映画で、自動的に食事が運ばれてきたり、ベッドが仕舞われたりす
るのってこんな感じなのね、と思っていたりする。安全で快適なはずの家での、
ありふれた日常の一コマの異変って感じなのよね。しっかしここまでトイレに
こだわる国ってあんまりないんじゃない? トルネード洗浄、ワンダースピン
洗浄とか、サイホン方式、パワフル脱臭とかさ。      (hammer.mule)
<http://www.ebank.co.jp/kojin/news/important/information_067.html>支店
<http://www.toto.co.jp/products/toilet/t00022/campaign.htm>  募集中
<http://national.jp/sumai/toilet/>  松下電工トイレ
<http://www.toto.co.jp/products/zone/toilet.htm>  TOTOトイレ
<http://www.toto.co.jp/kids/> TOTOきっず

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
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アシスト    鴨田麻衣子

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