[1971] リュックで行こう!

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1971    2006/05/17.Wed.14:00発行
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            <オタクぜんぜんOKです>           

■グラフィック薄氷大魔王[52]  
 リュック
 吉井 宏

■デジクリトーク
 現在のフィギュア作り
 鈴置勝信

■Webサイト案内
 展覧会レビュー:ホルスト・ヤンセン展 ~北斎へのまなざし~



■グラフィック薄氷大魔王[52]
リュック

吉井 宏
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リュック=アキバオタク系だそうだ。薄々気づいてはいたけど、やっぱりそう
認識されてるらしい。ちょっとショック。数年前にリュックの快適さに気がつ
いて以来、ノートパソコンを持ち歩くときは必ずリュックだったから。

まあ僕の場合、アキバ系じゃないことはハッキリしてるものの、「パソコン大
好きで3DCGやっててフィギュア制作中で昔日本SF大会の運営スタッフだったこ
とがある」と来れば、明らかに世間の言う「オタク系」なんだけど。っていう
か、オタクぜんぜんOKです。

街で見渡してみると、確かにリュックの人が異様に減っている。「リュック=
オタク」の図式が知られてきてリュックをやめた人が多いのだろうか。Webで
調べると、秋葉原ソフマップ店頭での調査で2004年に85%だったリュック率が
2006年には22%にまで減ったそうだ。

僕はなで肩で、ショルダーバッグがまるでダメ。ずり落ちる。落ちないように
するには肩を上げ気味に傾けて歩く必要があって非常に疲れる。袈裟がけなら
少しはマシだが、不安定。トートバッグなどの片手で持つタイプはもっとダメ。
重いもん。

その点、しっかりしたリュックなら背中で身体と一体化するので重量を意識し
ないで済む。地下鉄の車内などで降ろして手でぶら下げると、突然重く感じて
びっくりする。

PowerBook12インチの重さ(2kg)に耐えかねて購入したbooqというメーカーの
小さめのリュック。荷物(ポートフォリオや筆記具等)とPowerBookを入れて
背負ってみると(総重量4.5kg)、全く重く感じない。あのクソ重さが消えた。
タブレットや電源アダプタまで持ち歩く完全装備状態でもぜんぜん大丈夫。
SHARPのMURAMASA(1kg)では無駄に軽すぎるほどだった。1gでも軽いモバイル
ノートを、ってことで迷い悩んで購入したのがバカみたい、と、MURAMASAはす
ぐ処分してしまった(動作がやたら重かったって理由もあるけど)。

こんなに快適なのに、オタクに見られるからとリュックをやめるのは、ぜった
い馬鹿げてると思う。特に、秋葉原に買い物や遊びに行くのなら、両手が自由
なリュックはどんなバッグより機能的でラクなのは彼らも知ってるはずなのに。
秋葉原に居ながら、リュックを背負ってないことで非オタクを装うのは、いか
がなものか。嫌がられるほどのいわゆる「キモヲタ」だったら、リュックでな
くても見りゃわかる。

堂々とリュックを使おう。ただし、薄汚れたリュックをだらんと腰までぶら下
げるのはカッコワルイ。どうしてもリュックがイヤなら、無駄な荷物を減らせ
ばいい。僕は使うぞ。今は持ち歩き用はiBook12インチ(2.2kg)だが、こいつ
を使い続ける限り、リュックは手放せない。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com

iBookの後継機種、白と黒のMacBookが出た。なかなか良さそう。有無を言わさ
ずIntelMac化が進行中だなあ。残るはタワー型のみってことに。新型VAIO
type Uもいいなあ。キーボード付きだし。さらにHDD無しのフラッシュメモリ
モデルも出るらしい。パソコンが500gを切るぞ。Origamiも形無し。そうなり
ゃリュックどころかポケットにパソコン入れて出かけられそう。
フィギュア制作は、なんとか4体の原型が完成し、本番用の型取り作業中。次
の課題は塗装作業の効率化。

●音楽イベント「第6回 ポッドメン!」を開催します。5月24日(水)20~23
時。ロック、テクノ、ポップス等ジャンルを問わず、Garagebandなどで制作し
たオリジナルもOK。お気に入りの曲をiPodに入れ、イベント時間内をミキサー
使って次の人へとノンストップで曲を繋いでいく、iPodを使った参加型イベン
トです。入場料なし。iPodがあれば誰でも参加できますし、なくてもぜんぜん
OK! 詳しくはリンク先をご覧ください。
<http://homepage.mac.com/hiron_x/podman/>
実は、音楽は集まるきっかけというかお約束にすぎず、月に一度のおしゃべり
大会っていうか定期的な飲み会・交流会・情報交換会って感じにもなってきて
ます。楽しいです。

HP <http://www.yoshii.com>
Blog <http://graphic.pastel.co.jp/yoshii/>

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■デジクリトーク
現在のフィギュア作り

鈴置勝信
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最近感心したのは、ある僧侶から言われた一言。
「前を見て行きなさい。左右の人ばかり見て順番を気にするから僻みや驕りが
生まれる。すべての人を尊重し、自分を見失なわず大切にすれば万事平穏」

日本は、世界競争力年鑑によると昨年より四つ順番が上がって17位だそうだ。
生存競争は自然の摂理だが、人の英知で無用な争いの少ない世界を築けないも
のだろうか。

さて、ものづくり系の仕事場には心を和ませる意味で、なにかしらの模型を置
いてある場合が多いように思う。

実際の大きさを小さく縮めて作られた模型。その中で人や動物をしたものを日
本ではフィギュアと呼ぶ。フィギュアとは元々は形容・図形・容姿などを指す
言葉で、人の形を模したものという意味らしい。英語圏ではスタチューという
言い方が一般的なのだそうだ。

このフィギュア、従来は非常に高価なものであった。なぜならば、職人の手作
業により少量しか作ることの出来ないものであったからである。フィギュアと
は美術工芸品の一種だったのだ。

これに革命的な変化が到来する。「グリコのおまけ」などからはじまる食品玩
具の分野での変革である。この食品玩具(略して食玩)は、十年ほど前までは
まだまだ幼児の玩具くらいにしか思われないものであった。実際にその美術工
芸品としての価値は低く、幼児が夢をふくらませる対象としてしか見られてい
なかったように思う。

しかし、このおまけに従来とは次元の違う完成精度をもたらした出来事がおこ
る。チョコエッグの登場である。チョコエッグとは卵の形をした中が空洞にな
ったチョコレート菓子のことで、その空洞の中に食玩がひとつ入っているのだ。
たしか価格は100円くらいではなかっただろうか。大阪の老舗菓子メーカーと
模型メーカーのコラボレーションによって誕生したこの商品は、その後意外な
方向へと発展してゆく。

本来はチョコレート菓子を食べる子供のためのおまけなのだが、飛びついたの
は大人たちであった。中のおまけがとてもよく出来た模型だったのである。造
形・塗装の要素が高次元で完成された、それはまさに小さな実物であった。従
来の食玩の精度からはかけはなれた美術品の域のものなのだ。

大げさに言っているのではない。実際に博物館や水族館などのミュージアムシ
ョップに足を運んでもらえば、チョコエッグが置いてある所もある。この模型
メーカーはミュージアムショップの商品も手がけているメーカーなのだ。

これに飛びついた大人たちは、いわゆる「大人買い」で箱ごと商品を買ってい
った。どのチョコレートに何のモデルが入っているかは開けてからのお楽しみ。
コレクター心に火がついた。子供の頃は「お小遣いがなくなったから」という
理由で歯止めが効いたが、大人の財力を持ってすれば子供のお菓子など敵では
ない。まさに「圧倒的ではないか我が軍は…」の心境である。

かく言う私の机上にも、いくつかの食玩が飾ってある。選ぶ基準は造形バラン
スと着彩の精度。人物モデルならば視線を感じるような作りのものが最良だと
思っている。以前に知人から「こっちを見られているようでコワイ」と指摘さ
れたが、仕事中はもちろんモニタを見つめているわけで、そんなことは微塵も
気にならない。

たまに気を抜いたときに、ふと見るとそこにあこがれの自動車や、夢多きロマ
ンの世界にいざなうヒーローたち、優美な曲線を描くヒロインがいればそれで
良いのだ。そしてまた新たな発想が生まれるのである。

さて話を食玩の歴史にもどそう。初期の頃の食玩は動物や昆虫などの子供の図
鑑に出てくる題材が模型化されていたのだが、そこはコンテンツ大国日本。無
尽蔵ともいえるマンガ・アニメのキャラクターたちを各社が競って食玩化しは
じめた。あこがれのヒーロー、美しく力強いヒロイン、それらを立体化して冒
頭のフィギュアが誕生するのである。

この菓子業界の動きに、元祖である玩具業界も追撃を開始する。硬貨を入れて
ガチャガチャとハンドルを回すと、カプセルが出てくるおもちゃの自動販売機。
玩具業界最大手メーカーがこの自動販売機の中にいれるコンテンツとして小さ
なフィギュア=食玩に目をつけたのだった。

これら大量のフィギュア需要は、従来おもちゃ生産を支えてきた町工場やパー
トタイマーには到底無理なオーダーとなってくる。そこでメーカーたちが目を
向けたのは無限のマンパワーを保有する隣国、中国である。

現在のフィギュア作りは従来の職人・工芸といったイメージとはかけはなれた
システマチックなものになっている。車の生産工場のようにベルトコンベアに
乗ってフィギュアのパーツが流れてくる。ベルトの両側には片手に3~4本の筆
を持った工員たち。流れて来たパーツに対し、ほんの一部に同じように色をの
せてゆく。フィギュアの瞳の白い点を打つだけの工員、前髪のハイライトをサ
ッと引くだけの工員。すべてが非常に細かく分業されている。

新人が塗るために要する研修時間はほんの30分ほど。どんな人でも製造ライン
に入れるよう、非常に簡素化された工程である。このようなシステムで百数十
工程を経ると、立派な塗装を施された10センチ程度の小さなフィギュアが完成
するのだ。要する人の数は数十人。所要時間は数十分。マンパワーのなせる業
である。職人の技を物量でシミュレートする訳だ。これをどう思うかはさてお
いて、仕組みを考えた企業に脱帽である。

このおかげで、安価で高精度なフィギュアをデスクの隅に飾ることが出来るの
だ。大人がちょっとした投資で得ることの出来る小さな夢の結晶。日本人が好
む庭園(庭園は大自然を縮小し敷地内におさめたもの)や、さらにミニマムに
進化した箱庭、盆栽などにも通ずる楽しみがあると思う。西洋で言うとさしず
めドールハウス的な楽しみ方であろうか。

おっと来週は新作の発売日か……こんどはどれを何箱買おうかな。

【すずおき・かつのぶ】suz@sutv.zaq.ne.jp
マルチメディア系講師・Lightwave3Dインストラクター

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■Webサイト案内
展覧会レビュー:ホルスト・ヤンセン展 ~北斎へのまなざし~
<http://japan.swamp-publication.com/?eid=352814>
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展覧会やアートイベント等を楽しく分かり易く紹介することによって芸術をも
っと広めたい、という画家の武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)さんと、阪神
タイガース信者兼画家の山根康弘(やまね やすひろ)さんによる展覧会レビ
ュー。

「最近ようやく美術に関心を寄せる人たちが増えて来ましたが、アートとアー
ティストを安易に高尚にもっていってしまってたり、美術の提示のされ方に多
少の疑問も感じていました。もっとアートは分かり易いし、楽しいものだし、
生活にリンクするものなんだと僕は思い、そのように伝えたいと思いました」
と武さん。

内容としては武さんと山根さんが実際に展覧会を観に行き、チャットで感想や
批評を「喋り言葉」で伝えて行く。基本的にはかなりくだけてふざけた感じだ
が、ポイントはついていて、アーティストの魅力、作品の見方、美術館の在り
方(批判)などを含めて話されている。メジャーな展覧会から、一般的にはそ
んなに知られていない芸術家の展覧会、現代美術まで幅広くみていく予定だと
いう。

第一弾として、埼玉県立近代美術館で行われている「ホルスト・ヤンセン展」
のレビューが掲載された。今回のポイントは以下のようになる。
・さほどメジャーではないドイツ人画家「ヤンセン」を紹介する。
・「素描」の魅力を伝える。
・性とアーティスト、アーティストの素顔はどんなだったのか。
・北斎はセルフプロデュースしていてかなり戦略的だったという説を支持。
・展覧会のコンセプトが見えにくいという美術館批判。
次回は、藤田嗣治展レビューになる予定だという。

<応募受付中のプレゼント>
「すぐにわかる! 使える!! カラーマネージメントの本
~仕事で役立つ色あわせの理論と実践マニュアル」 本誌1969号(5/23締切)


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■編集後記(5/17)
・わがマンションはペット可なので、犬や猫や鳥がいる。ほかにもなにかいる
かもしれない。目立つのは犬である。一階の専用庭で犬を遊ばせているのは、
うちともう一軒。ほかは、上階なので室内犬である。いったい何匹いるのかは
不明だが、最大サイズなのはうちのハニー号(柴雑)であることは間違いない。
ペットはエレベーター内や屋内通路は抱いて運ぶのがルールだ。さいわい、う
ちは出口まで3メートルなので走って行く。重いから、抱いて移動できるのは
テラスから玄関までだ。ほかの犬はほとんどが洋犬のチビだ。抱かれているの
もいれば、歩かされているのもいる。ときどき、エレベーター前に水たまりが
あったりする。朝の散歩では、よくよその犬と遭遇するが、決まって吠えかか
ってくるのが洋チビである。犬嫌いのハニー号はさっさと避けるが、やかまし
く追ってくるのが洋チビだ。そんなとき、毅然とした飼い主はほとんどいない。
犬のいいなり、なすがままで、声を出して叱ることもあまりない。また、前方
をたらたら散歩している洋チビと飼い主は、こっちが迫っていてもいそがせる
でもなく、犬の気分次第である。さっさと行けよ! と声に出さず言ってみる。
向こうから洋チビの散歩が来るとウンザリする。ああいう洋チビは絶対自分が
一番えらいと思っている。常に猫なで声や幼児語でチヤホヤされてりゃああな
るわな。でも、わがマンションの犬で服を着せられているのはいないようだ。
それだけは救われる。昨日の新聞に出ていたサラリーマン川柳「散髪代 俺は
千円 犬一万」は笑えた。俺はタダ、だけど。          (柴田)

・男性もネイル。艶のないマットなトップコートがあるよ。爪強化ベースコー
トの上にそのトップコートを塗れば、弱い爪に悩む貴方も大丈夫! 曇りガラ
スのような爪になるので目立たない。艶を咎められない職場の女性向けには、
そのマットなトップコートの上に、艶のあるトップコートを塗れば、元から綺
麗な爪なのかしらと思えるようなナチュラル爪のできあがり。/とは書いてい
るもののマニキュアの成分にはご注意を。体に悪いものを極力含まないのを選
んでね。                        (hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
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