[2004] はじまるグーグル銀行・序章

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<「広告屋」と「決済屋」を兼ねているからこそできるサービス>   

■KNNエンパワーメントコラム 
 はじまるグーグル銀行・序章
 神田敏晶

■クリエイター手抜きプロジェクト [94]
 Photoshop CS/CS2編 JavaScriptでフィルタを作る
 古籏一浩

■展覧会案内
 2006 ADC展


■KNNエンパワーメントコラム 
はじまるグーグル銀行・序章

神田敏晶
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KNN神田です。

Googleは米国時間6月29日に、オンライン決済システム「Google Checkout」を開始した。

EC(電子商取引)サイトと呼ばれるサイトは、ネットでの買い物を一気に普及させた。しかし、買い物の度にクレジットナンバーや住所を打ち込むことが手間となり、新規のECサイトからの購入がおっくうとなり、既に登録しているサイトからの購入に固定化される傾向があった。

Google Checkoutは、Googleにメールアカウントを持ち、クレジットカードを持っていさえすれば、ひとつのGoogleアカウントで、送付先住所などと連動し、ECサイトにおける決済サービスから住所などの情報を提供することができる。

利用方法は簡単で、まずGoogle Checkoutでクレジットカードの登録と、住所を入力する(残念ながら、現段階でのサービスは米国のみである)。これだけで、Google Checkoutを支払いで採用しているECサイトからは、ワンクリックで商品を購入できるようになる。

利用者のベネフィットは以下の4点である。

【1】利用者は、ECサイト運営者にクレジットナンバーを教えなくてすむ。
【2】利用者は、ECサイト運営者に住所を教えなくてすむ。
【3】利用者は、使用履歴などをGoogleCheckoutで確認することができる。
【4】利用者はGoogle Checkoutを利用して、ECサイト運営者にもなれる。

【1】【2】に関しては、Googleが仲介するため、クレジットナンバーや住所などの個人情報をECサイト側に提供する必要がなくなり、SPAMなどを防止できる。一方、ECサイト運営者にとっては顧客の顔が見えにくくなるという側面も登場してくることだろう。

【3】は、Googleが最も得意とするところであり、購入履歴管理だけではなく、購入履歴に基づいて、推薦商品や広告なども表示してくることだろう。

【4】Google Checkoutの最大の特徴は、いままでECサイト運営者でない人までもが、Google Checkoutを利用して、ECサイトを運営できるようになっている点だ。
 
今まで、個人商店でクレジットカードを扱おうとすると面倒な手続きや費用、信用面などが問題であったが、Googleがそれらを肩代わりすることにより、小さな店舗であってもECサイトの運営が容易になるだろう。

手数料は、決済処理1件につき20セントと取引金額の2%と非常に安価だ。さらにGoogle AdWordsを利用して広告宣伝している場合、AdWordsの広告金額の10倍までは、手数料は無料となるという。つまり、商品が売れた場合は10倍の広告費分が還元されるという新しい仕組みだ。

これはGoogleが「広告屋」と「決済屋」を兼ねているからこそできるサービスだ。Google Checkoutを利用してECサイトを運営する人は、手数料がなくなるのであれば、広告も出そうというシナジー効果が働くわけだ。

Googleによるネット世界制覇のための、「実サービス」がようやく開始されたと感じる。ここからが重要だ。

さらに想像力を働かせてみよう。Google自身が、Google Calendarと連動させることによって、商品購入ユーザーが在宅している時間帯に商品を宅配させるということも可能になるだろう。

すると宅配配送業者へ、ユーザーの在宅時間情報を与えることによっての再配達コストの数%の利益を得るというような新しいビジネスも考えられる。

今まで、関連しなかったサービスが連動してくることによって、新たな業界へ波紋が投げかけられる。当然、法整備や国ごとの慣習、業界の制度的問題、それらとGoogleのネット上のでの空気抵抗のないカルチャーが激突する時代がはじまるのだ。

Googleの挑戦を、既存のビジネス慣習や法的な判断だけで考えるのでは、ますます遅れを取るばかりだ。

Googleのビジネスを取り囲む環境から、何が起きるのかは容易に想像がつくはずだ。傍観者としてではなく、主体的にそれらのサービスから何が起きるのを察知していただきたい。

【参考リンク】
「いよいよスタートした「Google Checkout」サービスを実際に試してみる」(MYCOMジャーナル)
< http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/06/30/checkout/
>

「Googleが決済サービスGoogle Checkout、日本での開始時期は未定」(日経BP ITpro)
< http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060629/242175/
>

「決済システム「Google Checkout」を計画か--ブログ界で憶測呼ぶ」(CNET Japan)
< http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20127667,00.htm
>

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神田敏晶著『Web2.0でビジネスが変わる』¥735(税込)新書発売中です。
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■クリエイター手抜きプロジェクト[94]Photoshop CS/CS2編
JavaScriptでフィルタを作る

古籏一浩
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以前にも書いたことがありますが、JavaScriptでPhotoshopのフィルタを作ることができます。スクリプトなので低速です。実行後にPhotoshopをバックグラウンドにまわしておくと、多少は速くなります。

以下のサンプルは、ランダムにピクセル値を読み出して緑色の輝度だけ2倍にするというエフェクトです。

function getPixel(x,y)
{
var R = G= B= 0,data;
var docObj = activeDocument;
var selReg = [[x,y],[x+1,y],[x+1,y+1],[x,y+1],[x,y]];
docObj.selection.select(selReg);
var data = docObj.channels[0].histogram;
for (var i=0; i<data.length; i++) if (data[i] > 0) { R = i; b
reak; }
data = docObj.channels[1].histogram;
for (i=0; i<data.length; i++) if (data[i] > 0) { G = i; break
; }
data = docObj.channels[2].histogram;
for (i=0; i<data.length; i++) if (data[i] > 0) { B = i; break
; }
docObj.selection.deselect();
return [R,G,B];
}// ランダムピクセルエフェクトpreferences.rulerUnits = Units.PIXELS;
docObj = activeDocument;
w = docObj.width.value;
h = docObj.height.value;
RGBColor = new SolidColor();
for (i=0; i<20; i++) // 20が描く点の総数
{
x = Math.floor(Math.random() * w);
y = Math.floor(Math.random() * h);
rgb = getPixel(x,y); // 緑の輝度を2倍に増やして描画 n = rg
b[1] * 2;
if (n > 255) n = 255;
RGBColor.red = rgb[0];
RGBColor.green = n;
RGBColor.blue = rgb[2];
selReg = [[x,y],[x+1,y],[x+1,y+1],[x,y+1],[x,y]];
docObj.selection.select(selReg);
docObj.selection.fill(RGBColor, ColorBlendMode.NORMAL, 100, fa
lse);}

実際には速度だけでなく、いくつか制限があります。

まず、アルファチャンネルを利用してヒストグラムから輝度を読み出しているため、実際に表示されている状態でのピクセル値が読み出されてしまいます。つまり特定のレイヤーのピクセル値に対して処理を行ないたい場合は、他のレイヤーおよび背景(できれば背景画像はない方がよい)は非表示にしておく必要があります。

また、透明のサポートはできないため、透明部分に対しては処理しない、などという選択も大変困難です。(というか現実的ではありません)

16ビットモードでも不可能ではありませんが、速度的に実用的ではないでしょう。それ以前に8ビットモードでも実用的ではない速度です。

しかし、該当するフィルタが存在しない場合に、ちょっとしたピクセル処理をPhotoshopで行ないたい、というときには、役立つのではないかと思います。

【古籏一浩】openspc@po.shiojiri.ne.jp < http://www.openspc2.org/
>
次バージョンでピクセル値を読み出す命令がPhotoshopに用意されれば、数倍は速くなるはずなんですが。あと、1999号の怪しげな古籏伝説は話半分ということで…。とりあえずハイビジョンのフリー素材を大量に追加しました。
< http://www.openspc2.org/HDTV/free/index.html
>

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■展覧会案内
2006 ADC展 
< http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/
>
< http://www.recruit.co.jp/GG/
>
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2005年5月から2006年4月までの一年間に発表されたポスター、新聞広告、雑誌広告、エディトリアル、CI、マーク&ロゴ、テレビCMなど多様な分野からの約10,000点を超える応募作品の中から、グラフィック、広告作品の最高峰ともいえるADC賞が選ばれた。この審査会で選出された受賞作品、優秀作品を11月末の「ADC年鑑」刊行に先駆け、ggg(会員作品)、G8(一般(非会員)作品)の二つの会場で紹介する。

●ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)[会員作品]
会期:7月3日(月)~29日(土)11:00~19:00 土18:00まで 日祝休
東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル TEL.03-3571-5206
●クリエイションギャラリーG8(G8)[一般作品]
会期:7月3日(月)~28日(金)11:00~19:00 水20:30まで 土日祝休
東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F TEL.03-3575-6918

●大阪巡回
2006 ADC展
会期:8月4日(金)~8月31日(木)10:00~18:00 土日祝休
会場:dddギャラリー大阪市北区堂島浜2-2-28 堂島アクシスビル1F TEL. 06-6347-8780

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■編集後記(7/3)
・名古屋デザイナー学院のギャラリーで開催された「Virtual Beauty EXPO 2006 NAGOYA」が昨日、終了した。ちょうど1週間前の今日、悪夢のようなできごとを思い出す。17時ごろ、ギャラリー担当さんから「まだ荷物が届きません」との電話があった。わたしの送った段ボール箱には新しい作品や、展示の設計図、タイトルなどが入っていて、これが届かないことには全体の展示ができないのだ。ネットで調べたら、すでに26日(月)の朝4時ごろには名古屋に入っている。なぜ配達しないのだ。あわてて問い合わせセンターに電話してから、伝票を見てびっくり、25日(日)夕方に近所のヤマト流通支部に持ち込んで、「明日の午前中にお願いね」と口頭で依頼し、カウンターの女性が分かりましたと応じて書き込んでくれた日付が間違っていた。なんと、受付日が26日、お届け予定日が27日になっていたのだ。それから約1時間ちかく後、ヤマトから伝票が間違っていたのでいまからすぐ届けるという連絡が来た。6時過ぎに届きましたとギャラリーから電話。昼から待機していたお手伝いの学生さんたちはすでに帰したので、担当さんら2人でこれから展示を始めるという。嗚呼。結局、すべてが終わったのが翌日・オープン日の昼だったようだ。まったくとんでもない目にあわせてしまった。申し訳ない。で、この不始末の責任はどうとるんだとヤマトに電話すると、担当の男性はいちおう謝罪したあと、時間には遅れたがとにかく配達した、荷物が破損した場合などは補償するが今回は違う、不満なら運賃を返す、というようなことをふにゃふにゃ声で言う。ちょっと無礼で誠意が感じられないので、損害賠償してくれとためしに言ってみたら、こんなケースは前例がないのでそれには応じられないと言う。それはわかる。ミスに乗じたトンデモな賠償を請求されて、いちいち応じていたら大変なことになる。わたしがもっと悪人だったら、怒鳴り込んで「社長を出せ」になったと思うが、わたしは上品だからそんなことはしない。返金も不要だ。しかし、カウンターの記載ミスが、お客から知らされるまで発見されずに社内を通過していたとは、どういうチェック体制をとっているのだ。もうヤマトは使わない、とは言わない。圧迫される民業は応援しなければならない。伝票は自分の目でしっかり確かめよう。あ、わたしってけっこういい人かも。(柴田)

・Iさんから「きょうの猫村さん」の第一巻をもらった。ネット上で毎日更新する連載漫画で、単行本になったもの。猫村さんこと猫村ねこはその名の通り猫。子猫の時に坊やに拾われ、その坊やの役に立ちたい一心でお手伝いさんの真似をする。坊やとは離ればなれになってしまい、会いに行くために家政婦になって働く。後ろ足で立って、エプロンをし、家事をしているところはとてもプリティ。たてむすびラブ。猫村さんの一途さ、頑張りや素直なところ、周りの人たちの人情味あふれる会話がいい。帰りの電車の中で読み始めて、うるうるきたり、ほっこりしたり。こういう気持ち忘れたくないな。余分なものですぐに頭がこってりしてしまう。私も「空っぽの日」を作ろう。仲居探偵シリーズが見てみたい~!(hammer.mule)
< http://www.nekomura.jp/
>  ここでも読めます ↓お試し版
< http://banner1.bcdc.home.ne.jp/common/exteriors/cpromotion/jcom200510/nekoneko/neko01.html
>