[2058] アジアを想う気持

投稿:  著者:  読了時間:14分(本文:約6,600文字)


<生きているパンクロッカーを体験したい方は……>

■音喰らう脳髄[8]
 アジアを想う気持
 モモヨ(リザード)

■Skypeの味わい方[10]
 VoiceAccessAPIで音声データを取得
 rゆ

■クリエイターとLLPと……[4]
 バビル6LLPへの布石(1)
 深川正英

■展覧会案内
 所幸則写真展「天使に至る系譜」


■音喰らう脳髄[8]
アジアを想う気持

モモヨ(リザード)
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前回は自民党総裁選について書いてみた。その総裁候補の一人、麻生氏は、日本のアニメやマンガ、ゲームを外交に利用するというアイデアを開陳していたが、思い巡らせば、あれは数年前、サッカーのアジアカップで日本チームに対するバッシングが巻き起こった時、このデジクリに私が多少のジョークを交えて書いたことに、ほぼ等しい。前後して小泉首相の靖国問題もあり、アジアと日本の摩擦は頂点に達しようとしていた時だった。

中国の物語であったり、古代伝承であったりを、私達はコミックや小説で読んだりする。ゆえに大陸の信仰や伝承についてかなりの程度、詳しくなっている。この状態を利用して、日本人総体の漠然とした信仰心、日本文化そのものについて正しい理解に導くことはできないものか、たしかそんなことを書いたのだ。

マンガだけでなく、麻生氏は、いわゆるサブカルチャーに注目しているようだ。ネットやデジタルクリエイターに対しても、そこはかとない共感を示す発言を繰り返しておられる。しかし、外務大臣という立場上、こうした傾向を直接、現実世界に投影することは難しいだろう。ちなみに、麻生氏の発言に至る発端は、中国、韓国など、近隣諸国との軋轢にあり、状況打開の方策の一つとして上記の発言をしたわけで、優先すべきはアジアの安寧、つまり東アジア外交にある。そのことは言うまでもない。私のようなパンクロッカーですら不安に想い、かようなコラムを書くほど、アジア諸国との緊張は高まっているのだから。

一方、総裁選で勝利した新総理は着任早々中国と韓国を訪問するという。国内における各党党首との討論を終えて即国の外へ出るのだから、自民党の政治家達の間にも、アジア外交の危機的状況について逼迫した想いがあったのだろう。インターネットの世界では、麻生大臣の発言におけるインターネット、そして2ちゃんねるという用語ばかりがとりざたされているが、大臣とて眼目は外交にあろうし、全てを把握する立場にある以上、危機意識は相当強かったものと想う。そのようなことを思い巡らしたうえで言いたいのだが、麻生大臣には、手段の如何を問わず外交問題に邁進していただきたい、そう思う。

私はインターネット世界の立ち上げを目の前に見ている。そんな立場でありながら、あえて言いたい。インターネットより、まずは世界の安寧、平和の確保、である。世界の安定があればこそ私達はネットを介して世界とつながり、新しい何ものかを生み出すことができるのだ。

9.11の惨劇が起きる以前は、私自身、ネットを介して世界中のミュージシャン、アーティストと直接コンタクトが可能だったし、コラボレーションすら日常的に行なっていた。

そんな状況は、ある意味グローバリズムの結果である。経済のうえでグローバリズムを否定する動きは理解できるのだが、私には、国境なくアーティストが繋がりえた日々を、やはり懐かしく思う。

例のテロの後、アーティスト達の心も互いに反発することが多くなり、果ては、ネットそのものがインターネットといいながら、ドメスティックなものに変容していき、ネット上のコミュニティは崩壊した。

ネットを頼りに音楽活動を展開していた私にとってこれは相当な打撃だった。

私たちの世界の調和を取り戻すこと、東アジアの緊張をときほぐす方策を思い巡らすこと、麻生大臣には、このことを強く願いたい。基本中の基本である。私もまた基本に戻ろうと思う。ステージの上から思いを伝えていこうと思うのだ。

10月20日の夜、新宿ロフトに来ていただければ、私のアジアに対する思いは伝わるはずだ。生きているパンクロッカーを体験したい方は、ぜひ足を運んで欲しい。

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/ >

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■Skypeの味わい方[10]
VoiceAccessAPIで音声データを取得

rゆ
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rゆです。

6月のeBay Devconでの発表について書いていたのを覚えているだろうか。あの時Matの発表資料の中でQ2、Q3での新機能が発表されていた。9月も終わり。ということは第3四半期=Q3が終わった事になる。果たして発表されていた新機能は実装されたのか。

ところで、今年初めぐらいまでは新機能や開発者向けのアナウンスはSkype岩田さんから日本向けに伝えられていた。その頃は岩田さんの肩書きがDeveloper Relationsだったため開発者向けに手厚かったが、その後肩書きがMarket Development Managerになったことで立場が変わったらしく、岩田さんから伝えられる情報は少なくなった。一般のニュースサイトなどで簡単は紹介されているものを一般向けに語る人がいなくなったのは残念なことだ。

Q3に実装すると言ってたのはVoiceAccessAPIだ。今までもSkypeの音声をキャプチャする事は可能だったが、VAC(Virtual Audio Cable)というシェアウェアの仮想オーディオケーブルをSkypeとPCのデバイスの間に割り込ませて、VACから音声データを横取りするしかなかった。発表のVoiceAccessAPIはVACなしにSkypeの音声を横取りしたり、Skypeに音声を流せるようにするAPIだ。

果たして実装されたかどうかというと、実装された。正式版の2.5ではまだ使えないが2.6のベータでは利用できる。

・2.6ベータのダウンロードはこの辺から
< https://developer.skype.com/WindowsSkype >

音声フォーマットはPCM 1ch 16bit 16KHzのみサポート。海外のデベロッパー間では48KHzもサポートすべきだという声や、ACM(AudioCompressionManager)を使えるようにして欲しいという要望も挙がっているが、今のところ実装されていない。データはWAVファイル又はSocket経由で授受できる。

・2.6で使えるAPIの詳細などDev Notesはこの辺から
< https://developer.skype.com/Docs/DevNotes >

このAPIが実装されて何が嬉しいかといえば、例えば留守番電話を作ったり、音声自動応答装置を作ったり、ボイスチェンジャを作ったりする場合に、VACが不要だということだ。今までも、VACを使えば同等の事が出来ていたがSkypeのみで実現できる。その意義は大きい。

しかし、APIはしょせんAPI。そのAPIを使って何を作るか。何を提供するかということの方が大事だ。出たばかりのこのAPI。なにか面白い物を作ってみてほしい。


【rゆ】ryu.at.nyanyan.to < http://nyanyan.to/ >
Japanese Skype Developers Forum Moderator
本業は普通の会社員、PMやってます。
こういう、ネットならではの社会参加も面白いんじゃないかと?

Skype公式ユーザForum(J):
< http://forum.skype.com/index.php?showforum=35 >
Skype公式開発者Forum(J):
< http://forum.skype.com/index.php?showforum=29 >
※文字化け直りません…

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■クリエイターとLLPと……[4]
バビル6LLPへの布石(1)

深川正英
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バビル6LLPという組織を立ち上げて一年程経ちますが、そもそも、なぜ私がバビル6LLPを立ち上げるに至ったか? という経緯を正確にお伝えするためには、話を5年前までさかのぼる必要があり、折角の機会なので書いてみようと思います。

およそ5年前に、映画や映像が好きな、もしくは自主的に製作をしている人たちの集まりとして「Movin' Picture Project(以後「MPP」)」という任意団体を立ち上げました。

このMPPは非常に自発的な集まりの任意団体なので、特に法律的に定められた団体などというようなものではありません。あくまでも、映画や映像が好きな友達がなんとなく集まって情報交換(実態は飲み会)をする、というような非常にゆる〜い集まりが始まりでした。どちらかというと、そういう人が集まったので、じゃあ団体として名前を付けて何か活動してみようか、という流れだったと記憶しています。

当時は、デジタルビデオの規格が浸透し始めた頃で、インターネットに関してはまだブロードバンドの普及にかなり時間がかかると思われていた頃です。ですので、作品はぼちぼち集まる程度で、ネット配信も視野に入れてはいましたが、まだまだ先の話だとのんびりと構え、映像団体らしい活動といえば年に一回上映会を行なうことくらいでした。「でした」と過去形なのは、今は活動休止状態といってもいいような状態だからです。

では、なぜそのようになってしまったのかというと、例えば上映会をしたとしても、その先に何かメリットのようなものがなかったからだと思っています。確かに同じ志向の人たちが集まったという喜びはあったのですが、参加することで次へのステップを見つけてもらえたかというと、残念ながらなかっただろうと言わざるを得ません。

会員制を設けず、所属するという概念もない非常に緩やかな集まり・・・これが、結果的には徐々に熱を奪う結果になったと考えています。ただ、一部の人の間では仕事に結びついたという動きはありました。

映像はいろんな要素の集まりで、映像を軸にすればいろんなジャンルのクリエイターとのコラボレーションが可能になるということは立ち上げ当初から考えていました。実際、映像制作に携わっている人だけでなく、その周りの音楽や役者や小道具が作れる人、そしてグラフィックデザイナーやWebデザイナー、プログラマーなど、実に様々なジャンルの人と出会うことが出来ました。

そんなMPPの繋がりから、仕事を手伝ってくれないか? ということで、私自身も仕事を依頼したり依頼されたりということがあり、その関係が今でも続いている人は多いです。

MPPはあくまでも楽しさを優先する非営利団体として活動をしようと思っていたので、これは(当時としては)予想外の出来事でしたが、こういうことが自然に起こるのなら、よりビジネスを意識した組織作りが出来るのではないかと考えるようになっていきました。

これが、バビル6LLPの原点であることは間違いないのですが、ここから紆余曲折が始まります。
(続く・・・)

【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/ >

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■展覧会案内
所幸則写真展「天使に至る系譜」高岡市の富山大学 芸術文化学部で
< http://www.takaoka-nc.ac.jp/geibun/index.html >
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会期:10月2日(月)〜10月6日(金)9:00〜18:00 入場無料
会場:国立大学法人 富山大学 芸術文化学部 講堂前ホワイエ(富山県高岡市二上町180)一般入場可 入場無料
主催:富山大学 芸術文化学部
企画協力=デジタルクリエイターズ 出力協力=東京リボン株式会社 スコッチプリント事業室
・展示のようす
< http://bn.dgcr.com/archives/20061003140100.html >

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■編集後記(10/3)
・日曜日に熱海の巨大ホテルにバイキングと温泉を楽しむ旅行に出た。新聞によく広告が出ているあのホテルだ。この旅は隔年で開催している中学校のクラス会「修学旅行」なのだ。毎回企画をたてて運営するのはわたしなのだが、今年は超イージーに往復小田急ロマンスカーで熱海にバイキングを食べに行く、という企画とも言えないなげやりなもの。もちろん、小田原と熱海のあいだはJR東海道線を使う。それでも交通費は格安、宿も格安、豊かな(?)定年退職組の旅行にしてはとにかくチープだ。参加は、男9人、女10人とけっこう大人数だ。とにかく集まってわいわい行くだけで楽しいのだから、贅沢でも粗末でもいっこうにかまわないのだ。この年齢の大人数を引率するコツは、乗り換えの時間などを決してタイトにせず時間をたっぷりとることだった(ずいぶんいらいらさせられたが)。さて、男同士の話はつまらない。今回は大企業の定年退職者が3名いた。かれらは自宅で好きなことをやったり、スポーツクラブに通ったりしている経済的にもお気楽な身分だが、気分はいまだに会社員である。「うちの会社では」という話が多すぎる。もう離れた会社の話(=自分の自慢話)を、したくてしたくて仕方がないようすだ。しかし、もうどうでもいい。終わった話を聞かされても全然おもしろくないのだ。いいかげんにしなさい。その点、自営業の連中(わたしを含む)や女性たちの方が話題は豊富で、いまの年齢をリアルに生きている。大企業から放り出された彼らがリアルになれるのはいつだろうか。せめて、次に会うときは、もっと豊かな内容の話をしてもらいたいと思うのだった。(柴田)

・ケータイ世代。パソコンは触れるけれど、個人所有をしていない人たち。大抵ケータイで何もかも済ませてしまう。フルブラウザがあるとはいえ、デフォルトは日本語の携帯会社提供メニューページ。でもそこって鎖国状態なのね。並ぶ公式サイトは携帯会社が認めたところだけだし、そこから外部に行く事もない。ニュースはTVや公式サイトにあるニュース情報サイトで十分、なんて思ってたらだめだと思うのよ。以前後記に書いたけれど、イラク人質事件の時、読売社説は自己責任、朝日社説は三人を助けるべき、であった(翌日朝日新聞も自己責任に変わっていたけれど。)。大手二紙でさえ違うわけで、これが外国の新聞もチェックすると(英語で発表されたものしか読めないが)、日本の新聞記事にも疑問が出てくる時があるわけなのだ。ネットスケープ1.1世代なので少しは知識が蓄積されている。数年前までは新聞のIT関連記事なんてでたらめもいいとこ(署名記事は間違いが少ない)。ということは、いま私がへぇと思って読んでいる新聞記事だってでたらめなのかもしれない。記事はきっかけであって、興味のあるものは自分で勉強していくのがベターだと思う。せっかくインターネットで世界中から情報を選択できる状態にあるのに、ケータイ世代の人たちがそれに目覚めなかったら情報格差が出てくるんじゃないかなぁと。小さな画面を器用に扱い、情報を積極的に入手する人たちが現れるかもしれないけれど。玉石混淆な情報の中、新聞が信頼できるものであることには違いないんだけどね。新聞的には、靖国参拝や国歌国旗というシンボルよりも、少ない情報で同じ判断をしてしまう世代を作る方がまずいんじゃないのか?(hammer.mule)
< http://bn.dgcr.com/archives/20040414000000.html >  社説なし