クリエイターとLLPと……[8]バビル6LLP設立(2)/深川正英

投稿:  著者:  読了時間:4分(本文:約1,800文字)


「LLPってご存知ですか?」か「LLPって知ってます?」か、今となってはどんな言い回しだったかはハッキリ覚えていませんが、とにかく「LLP」という言葉が出てきたことに驚きました。

というのは、バビル6プロジェクトを一緒に進めていたパートナーから、LLPという事業形態が海外にはあるということを聞いていて、これはまさに私たちにピッタリだというような話をしていたからです。しかし、こんな面白い事業形態が日本で実現することはないだろうと思っていました。

ところが、そのLLPが数か月後には日本で設立出来るようになり、そのために経済産業省が会社法の改正に合わせて法律の整備を急ピッチで進めているとのことで、当時はまだマル秘扱いの最新の資料を見せてもらったところ、期待を裏切らない内容にテンションは一気に上がりました。


瀕死のバビル6プロジェクトを救うであろう、突然訪れたチャンスがを逃したくない……。私の心はすでに決まっていました。

さらに、その時会っていた彼は産創館のLLP担当だったこともあり、すぐさまバビル6プロジェクトがLLPに適していると判断したのでしょう。今まで無縁だった聞き慣れない言葉と格闘しながらも話はトントン拍子に進み、その日のうちに「LLP立ち上げに向けて動きましょうよ」という話がまとまりました。

後日、一緒にLLPを立ち上げることになるプロジェクトのパートナーにも同席してもらい、LLP立ち上げに向けて本格的に動き出す事になりました。

大阪でLLP立ち上げの事例をたくさん作っていきたいという産創館の思惑があったとはいえ、バビル6プロジェクトがLLPに適していると判断されたことは確かで、立ち上げ時の全面サポートはもちろん、運営面での協力もしますと言われ、右も左も分からない状況の中ではとても心強い約束でした。

ただし、産創館から一つだけ条件を提示されました。それは「日本で一番乗りを目指して下さい」でした。この言葉にはちょっと戸惑いました。そういう競争は無意味だと思っていましたし、そのために準備不足になることを恐れていたからです。

ただ、ここで以前から悩んでいたことを一つ思い出しました。バビル6プロジェクトを「どう見せるか?」という問題でした。それに対して「日本で一番乗り」という響きはとてつもなく大きい問題解決策だと感じたのです。

しかも、任意団体ではない、LLPという法律で決められた事業形態への転換。つまり、LLPという「器」を用意し、それを「日本一」というキャッチーな言葉で見せることで、私たちが何をしたいのかということへの注目度は格段に上がる……そう確信しました。

とにかく結果がどうであれ、一番乗りへの努力はしよう。そう決心してからの産創館の対応はとても早かったです。毎週一回、定期ミーティングを行なうようにし、まずは中小企業診断士も同席してバビル6の業務の見直しを行ないました。

企画書や図を見せながら、現在進めていることや主旨の説明をすることで問題が見えてきました。どの規模でLLPを設立するのか? クライアントやクリエイターから見たLLPのメリットをどう説明するのか? 仕事やお金の流れをあらゆるケースを想定して問題点を抽出し、それぞれの対応をどうするのか?

本当に基本的なことなのですが、いちいち「確かにそうだ」と納得することばかりで、でも客観的に言われないとなかなか気づかないことも多く、いかに何も考えずに突っ走ってきたかを思い知らされました。

そして、司法書士の先生による、必要な書類や申請の手続きなどの相談も同時に進んでいきました。

とはいえ、当然前例がなく、経済産業省からも欲しい情報がなかなか得られないため、お互いの資料や情報をつきあわせながら、こういうことじゃないですか? それは経済産業省に確認が必要ですね、という具合に少しずつ必要であろう書類を絞り込んでいきました。

私もなんとかついてこうと思いましたが、分からない単語のオンパレードで、すでに蚊帳の外状態。でも、「楽しみにしてます」なんてことまで言われるとやるしかないよなぁ、なんてことを思いながらも、LLPの法律が施行される日はいつかいつかと待ち望んでいました。

そうなのです。この時点では、まだLLPの法律がいつスタートするか分からなかったのです。
(続く)

【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/ >