[2086] The Endを奏でるのは生者である

投稿:  著者:  読了時間:15分(本文:約7,300文字)


<すでにパンドラの箱は空いてしまったのだ>

■音喰らう脳髄[13]
 The Endを奏でるのは生者である
 モモヨ(リザード)

■クリエイターとLLPと……[10]
 バビル6LLP設立(4)
 深川正英

■Skypeの味わい方[13]
 Skype for Windows 3.0ベータ公開
 rゆ

■展覧会案内
 京都国際マンガミュージアム「世界のマンガ展」と開館記念フォーラム


■音喰らう脳髄[13]
The Endを奏でるのは生者である

モモヨ(リザード)
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ここのところイジメ事件について考えている。

少年少女の自殺事件がどうにも止まらない。大変な状況である。イジメによる自殺が相次ぐ中で、必修科目もれを起こした校長、イジメ事件のあった学校の校長、そうした方々までが自らの命をはかなくする。これはどうかんがえても異常事態であろう。一大事である。

役所に送られた自殺予告の手紙も大問題だ。11日に学校で自殺すると記してあったために、消印の押された場所と目される豊島区では、この週末、厳戒態勢で望んだようだ。豊島区では起きなかったが、結局のところ、国内各所で、二人の少年少女がそして一人の校長が思いを完遂してしまった。

私は、この問題を考えていて、命の問題、死と生の問題につきあたった。いま、考えている最中である。結果はでない。が、考え中だからといって、思考停止状態に陥ることは避けたい。メディアなどではこの問題を語ったり報道したりすることが新たな犠牲者を生む、という矛盾に悩む意見が出始めている。しかし、それでは、単に新たなタブーを生むことでしかない。思考停止である。

いま、社会が戦後期を脱するにあたり、従来、ホンネとタテマエとして、語ることをタブーとし、法を逸脱してもそれが摘発されないできたことが次々と破られ、法にのっとって処理をすすめるべく、世の中は動いている。汚職の問題、裏金の問題、今回の教育の問題など、あらゆる現場で起きていることは、基本的に、こうしたタブーの排除といっていい。

今回のイジメ問題も受験の実状と必修科目のずれの問題も、昔から存したものである。それに光線があたったのは昨今であるにしても、戦後社会の矛盾点として、皆が本気で語ってこなかった。そうしたタブーのひとつである。

タブーが破られ、すでにパンドラの箱は空いてしまったのだ。もはや後戻りは出来ない。それを直視しなくなれば、世の中がここ数年流してきた血は全て無駄になる。新たなタブー、新たな闇を生み出すのは避けたい。

この文章のはぎれの悪さを許していただきたい。なにしろ私はロッカーなのだ。

そこで、私は自分にできることを考えた。くしくも、この19日、日曜日にかの手紙が投函された豊島区の中心地、池袋でライブを敢行する。そのライブで、私が参加する新ユニットGiga'N'Teches(ギガンテックス)は名曲The Endを演奏する。その中で自死を選んだ魂についてギターで祈りと我が思いを描いてみたい。その曲の中で自殺予告の手紙をきちんと捉えなおしてみたい。そう思っている。この名曲の放つ光の中に例の予告を置いてみたいのだ。

The End(死)は、タイトルに反して生者によって歌われ、生者によって受け止められる。

死を思うことは、自殺を願望することでは決してない。このことはヨーロッパ中世の舞踏病からもあきらかだ。少年少女達には生きてこの名曲を歌いついでもらいたい。いや『王国』(私の作品)でもいいぞ。誰か歌い継いでくれよ。

池袋のイベントについて詳細は下記。
< http://www.babylonic.com/oshirase.htm >

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/ >

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■クリエイターとLLPと……[10]
バビル6LLP設立(4)

深川正英
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書類の用意を急ピッチで進めていた司法書士の先生が提案した、一番乗りを狙うための秘策。

それは「オンライン申請」でした。

オンライン申請はその名の通り、行政機関の窓口に出向くことなく、インターネットによる申請・届出や公文書(許可書等)の取得が可能なシステムなのです。

そんなシステムがあることすら知らなかったですし、事前の登録が必要であったり、やはり登記に必要な書類に関する専門的な知識が必要でしたので、どちらにしてもお任せには変わりないのですが、オンライン申請を使うと一番乗りの確率がぐんと上がるということでした。

どういうことかといいますと……

法務局は17時で業務を終了し、窓口だけでなくオンライン申請の受付も終了しますので、17時以降のオンライン申請に関しては翌日に持ち越されます。つまり、17時1秒に申請すれば、次の日の一番に受理したことになるのではないか、ということでした。

申請の受付さえ完了すれば、必要な書類は後から提出すればいいので、徹夜で並ばなくてもいいとのこと。

今から考えれば、どこぞの株の時間外取引に似た後ろめたさがありますが、オンライン申請の存在を知るまでは徹夜覚悟で並ぶという確実性の低い力技しかなかったので、委託という形にはなるものの、これに賭けてみようということになりました。

本音は徹夜で並ばなくていいというところが一番の魅力でしたが、後日LLPが集まるイベントでは、徹夜で並んだ人達から非難されたことは言うまでもありません。

とにもかくにも「オンライン登記で一番乗り作戦」に決まり、申請までにこちらですることといえば「出資金の払い込み」ぐらいでした。

LLPの場合、出資金は申請をするまでに銀行口座に全額払い込まないといけないのですが、最低額が2円となっています。会社法が変わった今となっては特別なことではなくなりましたが、当時としては画期的でした。

なぜ1円ではなく2円なのかといいますと、LLPは組合の一種で2人以上でないと設立できない決まりになっています。さらに組合員になるためには出資しなければいけない決まりになっていますので、一人あたり1円とすれば、設立出来る最低限の2人の場合は合わせて2円ということで、出資金の最低額は2円となっています。

バビル6LLPの場合、組合員は(個人事業+法人という組み合わせですが)最低限の2名で、必要な場所や機材などの一切が既に揃っており、LLP設立に際して特に追加で必要なものがありませんでしたので、制度の特徴を最大限に活かすという意味も込めて、出資金は2円でいいんじゃないかという話をしていました。

ただ、銀行口座への払い込みなどを考えると、2円は恥ずかしいしふざけていると思われるのも良くないし、ということで一応2万円を出資金として払い込むことにしました。

しかし、これも後から考えると、登記の際にいろいろお金がかかるので、全然足りなかったのですが……。

法律が施行される2005年8月1日は月曜日だったので、月曜日の朝一番に受理されるためには(土日は休みなので)金曜日の17時過ぎにオンライン申請を行なう必要があり、良く分からないながらも銀行への払い込みを済ませたのは、オンライン申請を行なう当日の2005年7月29日金曜日の午前中でした。

準備期間が2日間も縮まるというのは通常であればかなりの痛手ですが、すでに申請用の書類が出来ているとのことで、午後からは書類の最終チェックとオンライン申請のために産創館へ。

オンライン申請で一番乗りを目指すという方法が珍しいということもあり、テレビの取材が入ることは事前に聞いていましたので、敢えて普段通りのきたない(怪しい?)格好で出向きました。

まずは司法書士の先生にお任せだった書類のチェック……といって、も何の書類なのかという説明を聞き、ハンコを押すだけでした。その後オンライン申請についての最終確認をしましたが、準備は全てお任せで、私はマウスのボタンをクリックするだけという段取りでした。

そして、テレビ取材班の到着。取材された内容は、関西地区限定ながらも月曜日の夕方のニュースで流れるということを聞き、ついにテレビ初出演かと胸を躍らせながらも少しづつ緊張が高まっていきました。

準備は滞りなく進み、17時10分前には1回クリックするだけという状態になり、ようやく余裕が出て和やかなムードになりました。出来るだけのことはしたはず。あとは、パソコンの画面上にあるこのボタンを1回クリックし、結果を祈るだけ。

テレビカメラがビックリするくらい近くで私を捉えている中、なぜか周りからカウントダウンの合唱が始まりました。
5、4、3、2、1……
(続く……)

【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/ >

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■Skypeの味わい方[13]
Skype for Windows 3.0ベータ公開

rゆ
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rゆです。

前回、「もうネタ切れ?」と思っていたところにギリギリSkype for Macの正式リリースで救われたが、今回もちょうどタイミング良くWindows 3.0ベータが公開された。助かった。2.0から2.5へのあまり嬉しくないアップデートとは違い、3.0ではパブリックチャット・SkypeCastタブなど嬉しいアップデート・機能追加が満載だ。

・Skype for Windows 3.0ベータ公開
< http://share.skype.com/sites/ja/2006/11/08/skype_win_30.html >

オープンチャットといっても、「何それ?」と言われてしまうに違いない。Skypeに昔からあるグループチャットに対して、ブラウザからWebページに埋め込まれたリンクをクリックすることで参加出来るようになった。

この「参加」というキーワードが重要。というのも、Skypeのグループチャットは招待制なのだ。つまり、参加している人に招待してもらわないと参加できなかった。それが、自分からURLをクリックすることで参加できる、という大きな違いがある。

人気のBlogを眺めていると、そのコメント欄がチャット化していることも多々あると思う。Blogの記事を書いた人にちょっと何か尋ねたかったり…という局面もあるはずだ。そんな読者がいることを想定して、自分のBlogにオープンチャット参加用のURLを貼り付けておけばとっても便利に使ってもらえそうだ…。

と、とっても便利なこのオープンチャット。個人的にはちょびっと疑念がないわけじゃない。というのも、今年の3月に自分のBlogにエントリを書いていてそのための仕組みも作っていた。

・BlogにSkypeチャットルームを付けませんか?
< http://nyanyan.to/205.html >

日本のSkypeの中の人はもとより、海の向こうのSkypeの中の人ともちょっぴりお話したんだけど、今回のオープンチャット機能実装ということに関して何の言及もない。アレ?

ま、SkypeさんもeBayさんの傘下に入って色々お仕事されてらっしゃるし仕方ないことなんでしょうねぇ。というあたりからコアな支持者を失なっていくあたり、何となく世の流れを感じてしまう。忙しくってろくすっぽバグ報告とかForumのサポートとかできてないから大きな口はきけないんだけど、このベータでは日本語の文節変換時の変な動きが直ってるはず。こっちはCでコード書いて渡したりまでしたんだけど。

季節も秋。諸行無常の響きありと言うことで。

それはともかく、前述のSkypeCastタブやムードメッセージにURLを書くと自動的にリンクになったり等々、色々と便利になってるので3.0ベータ、ぜひ試してみてください。

【rゆ】ryu.at.nyanyan.to < http://nyanyan.to/ >
Japanese Skype Developers Forum Moderator
本業は普通の会社員、PMやってます。最近、AIX嫌い…。
こういう、ネットならではの社会参加も面白いんじゃないかと?
Skype公式ユーザForum(J): < http://forum.skype.com/index.php?showforum=35 >
Skype公式開発者Forum(J): < http://forum.skype.com/index.php?showforum=29 >

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■展覧会案内
京都国際マンガミュージアム「世界のマンガ展」と開館記念フォーラム
< http://www.kyoto-seika.ac.jp/kyotomm/ja/new/20061028.html >
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会期:11月25日(土)〜1月14日(日)10:00〜20:00 水休 12/27〜1/3休
会場:京都国際マンガミュージアム(京都市中京区両替町通御池上る金吹町452 元京都市立龍池小学校敷地内)
入場料:大人500円、中高生300円、小学生100円
・開館記念フォーラム
日時:11月24日(金)14:30〜16:30
会場:金剛能楽堂(京都市上京区烏丸通一条下る)
内容:京都国際マンガミュージアム開館に当たって(開館の辞)
パネルディスカッション「現代マンガ・アニメのルーツとマンガの未来」
パネリスト:高畑勲(アニメーション映画監督)竹宮惠子(マンガ家、京都精華大学教授)寺脇研(元文化庁文化部長、日本漫画家協会参与)夏目房之介(マンガコラムニスト)
コーディネーター:茂山千三郎(大蔵流狂言師)
定員:400名
申し込み方法:FAX.075-241-3006 もしくはE-mail(kyotomm@kyoto-seika.ac.jp)にて、11月17日(金)(必着)までにお申し込みください。詳細はサイト。
< http://www.kyoto-seika.ac.jp/kyotomm/ja/new/20061025.html#new01 >

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■編集後記(11/14)

・「活字のない印刷屋」(中西和彦、印刷学会出版部)を読んでいる。著者は京都の有名な印刷屋の、有名な若旦那である。140年も続いた老舗の印刷会社が活字を断念してからどうなったのか、ありのままの実像が描かれていて興味深い。月刊の「印刷雑誌」のコラムを、「中小企業」「IT」という視点からも読めるように再構成したものだという。読んでいて微妙な違和感を覚えたり、なに古いことを言ってるんだと思う記述は、文末の初出年を見て納得できる。ここ10数年のあいだ、印刷業界のコンピュータ化・IT化で起こったことが、自らの悪戦苦闘ぶりを交えて具体的に書かれているから貴重な記録にもなる。なにしろ、DTPが日本に上陸してから今日までの、ちゃんとした歴史がどこにも残っていない(ような気がする)。フォントに限って言えば、その歴史をふくんだ総覧的な書籍をつくるプロジェクトが始動している。わたしもちょっぴり参加しているのだが、一時期DTPのジャーナルに携わっていた身としてはなかなか感慨深いものがある。「活字のない印刷屋」は、文章が軽妙でよみやすくおもしろい。とくに、最後のオチに芸を見せる。この数行が書けたときの筆者の満足ぶりが想像できる。そりゃーちょっと違うのではないか? という記述もあるが、最前線で戦う人が言ってるんだからいちおう尊重すべきであろう。「DTP時代の組版原則」というコラムでは、「すべてを数値と数式であらわし、その関係性を論理的に把握するといった組版教育が必要だろう」と述べて、感覚教育を排除せよと主張するがチョットナ〜という気がする。このコラムで、活版の職人は体裁の悪い組版を見ると「気持ちが悪い」と言ったという話が出てくる。じつは「活字のない印刷屋」の組版は、わたしにはとても気持ち悪い縦組みなのだ。字間のツメがあいまいなのと、漢数字の表記が基本的に間違っている。専門家の文章で、専門の出版社の本としては困ったもんだ。(柴田)

・ねぇ。「いじめ」って単語だと罪が軽くなるような気がしない? 女児への「いたずら」とかさ。言葉の印象が軽すぎるよね。「いじめ」や「いたずら」ってカツオがする程度のものじゃないの? 学生同士だと「いじめ」に片付けられてしまうけれど可愛げはないし、報道される内容だと、もう犯罪だよね?おどしたり、人の物を盗ったり、中傷して人の物を壊したり、服を脱がしたり、落書きしたり。一般社会でやったら警察行きだよね。ちょっと気にくわないからいじめる、という範疇じゃないよね。いじめられる子は、いじめる子を変えることなんてできないから、抗議するなり、自分が強くなるなり、逃げるなり、何らかの方法で乗り切って欲しい。親や先生が無理なら、いじめの内容によっては警察に相談に行けるよ。ネットなら地域を越えて相談できるよ。乗り切った人たち、本当に痛みのわかる人たちが相談にのってくれるよ。/The End。聞きたい。(hammer.mule)
< http://www.youtube.com/results?search_query=doors+end >

photo
活字のない印刷屋―デジタルとITと
中西 秀彦
印刷学会出版部 2006-09

by G-Tools , 2006/11/14