空飛ぶ写真工房…[2]水槽観察日記/上原ゼンジ

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,300文字)


ミジンコの採取に出かけることにした。というか干上がった田んぼにミジンコの卵を採りに行くのだ。ついでに川に行って、川の水と川の生物も採ってくることにした。魚を獲る網はこの夏に購入済みだ。子供と川遊びをするために買ったものだ。ただ、その網では目が粗すぎるので100円ショップで洗濯ネットを買ってきて、タコ糸で縛り付け手製のプランクトンネットを作った。

川で生物がいる場所というのは、だいたい分かる。川岸で草が生い茂っているような場所に隠れているので、そのあたりに網を持って行ってガサゴソやると、運が良ければ魚が入ることもある。

魚を手づかみにする方法というのもあって、それはカヌーイストの野田知佑さんに教えて貰った。川岸の魚が獲れるような場所に行って、そおっと両手を差し伸べ、魚に手が触れたらそのまま捕まえてしまうのだ。ウソのような話だが野田さんはそれを簡単にやってしまう。私はもちろん成功したことがないが、そうやって魚に手が触れたことがある。まあ、何の自慢にもならないが、魚はいるところにはいるという話だな。


野田さんが凄いと思ったのは、一緒に琵琶湖にキャンプに行った時のことだ。怪しい探検隊のキャンプで、カヌー犬のガクが、初めてカヌーに乗った時のことでもある。我々が晩飯の支度をしている時に野田さんは黒いウエットスーツを着て、手には銛を持ち湖の中へと入っていった。

沖の方に泳いで行き、水の中に消えたり、顔だけ出していたりという姿が見えていたのだが、しばらくすると銛を片手にしながら岸の方へと上がってきた。近づいて来る野田さんの腰には、腰蓑(こしみの)のようになった魚がブラ下がっていた。

かなり大きなブラックバスが6匹ばかり、針金で口のあたりを貫かれ、ベルトのようにして腰に巻かれていた。要するに湖の中で銛を使ってブラックバスを突き、針金に通して腰に留めるという作業を繰り返していたということである。

我々は驚嘆と共に野田さんを迎えた。野田さんは、こんなことは何でもないという風を装っていたが、みんなを驚かせて満足そうだった。そしてそれらのブラックバスはすべて我々の腹の中に収まったが、なかなかの美味だった。野田さんの教えはキャッチ&リリースではなく、キャッチ&イートだ。

●ドロドロ水の中の生物

私は水中の微生物を採るために、洗濯ネット付きの網を川の中でグルグルさせていた。しかし、網の中には何も入ってはこなかった。ちょっとお日柄や場所が悪かったのかもしれない。まあ、今回のメインの目的は田んぼの土の採取なので、川の微生物は特に必要ではない。一番最後に網にかかったトンボのヤゴのような生物、川の水草、川の水を採取して私は引き上げた。

家に帰るとそれらを小さな水槽にあけ、そして田んぼから採ってきた土を入れてグルグルとかき混ぜた。当然水槽の中は泥で完全に濁りきった状態になってしまった。しかしこれが落ち着いてくれば、その中にミジンコが生まれてくるということらしい。

二日目。あらかた泥は下に沈む。しかし、水はまだかなり濁っている。よーく見ると水面のフチのあたりには小さく蠢くものが見える。ただミジンコではなさそうだ。なんとなく生物の気配はあるようだ。

三日目。水の濁りが減り、水草が見えるようになってきた。川で水を採ってきた際に唯一網にかかったのがヤゴのような生き物だったが、それが水面に姿を現した。ネットで調べてみた結果、ヤンマのヤゴらしいということが分かった。トンボの羽化が見られたら面白いな。しかし、ヤゴというのはミジンコを食べたり、メダカを食べたりするらしい。これはちょっと問題。

四日目。日々濁りは治まってくるのだが、水面に消えないあぶくがあり、なんか淀んだ水、という感じになってきてしまった。ブクブクで空気を入れたり、濾過装置を入れたりしたほうがいいのだろうか? しかし、水がきれいになるのはいいが、ミジンコまで一緒に濾過されてしまうと困る。

五日目。二日目あたりには生物の気配があったのだが、なんか死んだ水のようになってきてしまった。このまま私は腐り水の観察を続けるのだろうか? まあ、顕微鏡で覗いてみれば、微生物はいろいろ発見できると思うのだが……。

六日目。腐り水への不安が募り、水を三分の一ぐらい換えてみる。いちおう、外で日にさらし、カルキ抜きはしておいた。水面に浮かぶ汚れっぽいものも一応掬ってきれいにする。そして、ミジンコのエサになるというイースト菌を買ってきて、ほんの少量水の中に入れてみた。

それにしてもミジンコらしきものの気配はない。最初ネットで調べた時には三、四日で生まれてくるという情報に、簡単なものだと思いこんでいたのだが、水温だとか、他の要素も関係しているのかもしれない。しかし、ヒーターまでは買いたくないよなあ。といっても春まで待つほどの閑人でもない。

作戦を変更してメダカとかヌマエビでも買ってくるか……。しかし、メダカなんか顕微鏡で観察するような大きさではない。私はいったい何をやろうとしているのだ? ただメダカが飼いたいの?

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