[2089] 楽してズルして生きていけるか?

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<真剣にコスする人たちは放っているオーラが違う>

■映画と夜と音楽と…[311]
 楽してズルして生きていけるか?
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![39]
 気高く咲いて美しく散る:バラ園でコス撮影
 GrowHair

■マガジンガイド
 コマーシャル・フォト 2006年12月号


■映画と夜と音楽と…[311]
楽してズルして生きていけるか?

十河 進
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●外国力士ばかりになった国技館

去年、生まれて初めて相撲をライブで見た。両国国技館の枡席で見るという体験はまさに「百聞は一見に如かず」で感慨深いものがある。しかし、久しぶりに見たら外国籍の力士が多いので驚いた。「出身地ウランバートル」というアナウンスがしきりと響く。

僕が子供の頃、メンコ(僕らの地方ではパッチンと呼んだ)に印刷されていた人気力士は若乃花だった。当時のテレビ放送の目玉は大相撲で、「若乃花物語」という映画が封切られるくらい人気があった。戦後十年目の設定だった「泥の河」という映画でも主人公と友だちのふたりが食堂の窓からテレビの若乃花戦を覗き見るシーンがあった。

僕が小学生の頃、「少年マガジン」と「少年サンデー」が創刊になったのだが、その表紙には人気力士の朝潮がなぜかよく登場したような気がする。長嶋選手もよく登場したが、ふたりの共通項は胸毛だった。あの頃は胸毛が人気があったのだろうか。

その後の人気力士と言えば大鵬である。大鵬の連勝と読売巨人軍の連覇が並び称せられた頃だ。大鵬の全盛時代、僕はあまり相撲を見ていない。大学を卒業した頃は、阿佐ヶ谷近辺の相撲部屋に人気力士が集中していて、当時、阿佐ヶ谷に住んでいた僕はよく相撲取りとすれ違った。

僕が住んでいたのは花籠部屋の近くだった。部屋にも風呂はあるのだろうが、僕がいつもいっていた銭湯には花籠部屋の力士もやってきた。「黄金の左」と言われた横綱の輪島、がぶり寄りの荒瀬、輪島と同じ日大相撲部出身の魁傑など人気力士はこなかったが、兄弟子と新入りという組み合わせでよく風呂に入っていた。

いくら銭湯の湯船だといっても力士がふたりも入っていると威圧感はある。僕はその横で小さくなっていた。力士が揃って湯船から出ると一気に湯が減った。兄弟子は洗い場で座っているだけだ。新弟子らしき若者がセッセと背中を流し、髪を洗う。鬢付け油の匂いが強く漂ってきた。

青梅街道を渡れば二子山部屋があり、人気大関の貴乃花がいた。小兵ながら大きな力士に勝つ切なげな表情が女性ファンを増やしたと言われたものである。一度、僕は貴乃花が自転車に乗って走っているのを見かけたことがある。三十数年前、何度も優勝パレードが青梅街道を通った。

その貴乃花の長男と次男が成長し、横綱や大関として人気が出て若貴時代と言われた頃、「シコふんじゃった。」という映画が公開されヒットした。1992年1月のことである。少年隊を解散し、ひとりで俳優として活躍し始めた本木雅弘がまわし姿になるのも話題になったが、「シコふんじゃった。」というタイトルの軽さもヒットした要因だっただろう。

周防正行監督がやはり本木雅弘を主演にして作った「ファンシイダンス」が多いに気に入っていた僕は、「シコふんじゃった。」というタイトルを付ける感性に期待し、「絶対、おもしろい映画に違いない」と確信した。

●坊さん映画の次はお相撲さん映画だった

「ファンシイダンス」は岡野玲子のマンガを原作にしたお坊さん物語である。ロックバンドのボーカルだった主人公は実家の寺を継ぐために恋人(鈴木保奈美)と別れ、頭を丸刈りにして戒律の厳しい山寺で修行することになる。おそらくモデルは永平寺ではないかと思う。

修行とはいっても現代の若者たちである。お寺ライフの中にも様々なエピソードがあり、笑いが起こるシーンばかりが続く。同期の修行僧を演じた太めの田口浩正は、甘いものを禁じられているためトイレに隠れて羊羹の一本食いという荒技を見せてくれる。田口クンは、これで周防映画に欠かせないキャラクターになった。

先輩の修行僧を演じた竹中直人もいつものような怪演で、オーバーアクションで笑わせてくれるし、一種の仇役を楽しそうに演じていた。竹中直人も「シコふんじゃった。」「Shall We ダンス?」と続く周防作品には欠かせない俳優である。それにしても、竹中直人は自分の監督作品では抑えた演技をするのに、他の出演作ではなぜあんなに濃いキャラクターなのだろう。

さて、「シコふんじゃった。」は、周防監督の母校・立教大学の名前を逆にした教立大学相撲部を舞台にストーリーが展開する。立教大学には長島茂雄ことミスターに関する伝説が数多く残っているらしく、映画の中でもそれらがいくつか使われるが、監督の解説によるとすべて実話だという。

「シコふんじゃった。」はフランスの詩人ジャン・コクトーが日本にきたときに堀口大學の案内で観戦した相撲について書いている文章を柄本明の教授が暗唱するシーンから始まる。その相撲を描写したコクトーの文章を見付けたときに、周防監督は「できた」と感じたそうだ。映画の芯が通ったということなのだろう。

ジャンル分けなどどうでもいいようなものだが、あえて言うと「シコふんじゃった。」は青春スポーツコメディと呼ばれる映画である。スポーツものによくある根性ドラマではないし、脳天気な青春ドラマでもない。全編がユーモラスに描かれているのは、監督の視点が客観的だからだろう。客観視しながら、暖かい視線を感じるのは周防作品の魅力のひとつだ。

シリアスな現実認識を持った上で良質なエンタテイメントを作ろうとする周防監督のスタイルは、周防監督がオマージュを捧げ続ける小津安二郎より、フランク・キャプラとの共通性を僕は強く感じる。ハートウォーミングという本来の意味をわからせてくれるフランク・キャプラ監督作品から感じるものを、僕は数少ない周防作品からも受け取るのだ。

よほど取材したのだろう、脚本はよく練られている。相撲をまったく知らない観客にも登場人物たちのセリフで様々なことが簡潔に説明される。特に清水美砂が演じたヒロインは、相撲についての知識、監督である柄本明の意図や心境、相撲部員ひとりひとりの内面までを伝える役割を担っている。

だから、心境を吐露せず黙々と稽古に励んできた主人公が、最後にせっかく決まっていた一流企業への就職を断り留年までして相撲部を存続させようとする決意を述べる「もう楽してズルするのはやめだ」というセリフが効いてくる。

楽してズルして世の中を渡っていこうとしていた主人公が相撲に懸命になることで、そうではない人間に生まれ変わる実にオーソドックスな成長物語をベースにしているが故に、「シコふんじゃった。」は感動的であり、多くの人に愛されたのである。

●自尊心を取り戻すために努力する

山本秋平は大学四年生。要領がよい遊び人だ。同級生が羨む一流企業への就職もコネで決まっている。後は単位を取って卒業するだけだ。入っているサークルもいいかげんなもので、夏はスキューバ、冬はスキーといった遊びを中心とした集まりである。

だが、ある日、指導教授に呼ばれて研究室にいくと「きみは出席率は100%だが、きみと会うのは今日が初めてだ。いい友だちを持っているかもしれないが、きみには単位はあげられない」と言われ、「相撲部員として一日、大会に出てもらえれば単位をあげる」と交換条件を持ちかけられ断れない。

柄本明演じる教授は相撲部の監督で元学生横綱だったのだ。秋平が嫌々、相撲部の部室にいくと八年留年して相撲部を守っているたったひとりの部員である青木(竹中直人)がいる。ふたりは不器用で気の弱い田中クン(田口浩正)をスカウトする。また、教授の助手の清水美砂が美少年をスカウトしてくると、それは秋平の弟の春雄である。

そんな四人がいきなり学生大会に出ても勝てるわけがなく、惨敗する。その夜、応援にきていたOBたちが開いた慰労会で、ひとりのOBが「俺は情けない。おまえらなんか死んじまえ」と怒鳴る。清水美砂が「今どきの男の子は女の子にどうやったらモテるかしか考えていないのよ」と反論し、さらにOBに侮辱された青木が泣き始める。それを見た秋平はいきなり立ち上がり「わかったよ、勝ってやろうじゃないか」と見得を切る。

だが、一時の激情で口走ったものの秋平は後悔している。勝てっこないと思っている。ラグビーの選手だったイギリスからの留学生スマイリーを加え夏の合宿に教授の実家へ出かけた彼らは、子ども相撲の子たちと勝負して全員が負けたことでプライドがさらに傷つく。しかし、監督の適切なアドバイスを受けて子どもたちに勝ち、相撲の奥深さを知る。やがて、秋の大会がやってくる。

スポーツは実力の勝負だと言われる。どんなスポーツもルールに則り、同じ条件の中で競い合い、勝者と敗者が生まれる。勝者になるためには努力するしかない。もちろん資質の問題がある。持って生まれた才能の要素が大きい。しかし、努力がそこをカバーする。

監督から適切で有効な指導を受け、教立大学のにわか仕立ての個性的なキャラクターばかりである相撲部員たちは成長する。勝つために、勝ちたいために努力する。それは自尊心を取り戻したいためだ。見返したいのである。OBから受けた屈辱、強豪の相撲部から受けた辱め、侮蔑、そして何より自分を肯定できるようになるために彼らは相撲をとる。

最初、登場したときの秋平は典型的な「いまどきの大学生」である。友人に代返を頼んで授業をさぼり、スキーだマリンスポーツだと女の子と遊び、就職前の猶予期間である大学生活をエンジョイしている。就職だって有力なコネがあれば使えばいいと思っている。早々と就職を決め、卒業までは楽しく過ごしたいと考えている。

だが、そんな青年が実力しか通用しない世界で磨かれ、「楽してズルするのはやめた」と悟るのだ。彼は生き方を学んだのだ。「楽してズルして」うまくいくこともある。だが、本当に生き抜くためには、自分の人間としてのスキルを鍛え積み重ねるしかないのだと、彼は身に沁みたのである。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com
自分の生まれ月だからかもしれませんが、11月は好きな月です。ベランダから見ると街路樹が色づいて落ち葉が舞っています。長年、壊れたソファを騙し騙し使っていたのですが、誕生日にカミサンと息子が安楽椅子を贈ってくれました。また、椅子で居眠りしそうです。

僕の勤め先が11月28日〜29日開催のフォトショップワールドを共催しています。
割引チケット販売
< http://www.genkosha.com/psw2006/ >

デジクリ掲載の旧作が毎週金曜日に更新されています
< http://www.118mitakai.com/2iiwa/2sam007.html >

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■Otaku ワールドへようこそ![39]
気高く咲いて美しく散る:バラ園でコス撮影

GrowHair
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先日、東京近郊にあるバラ園で、「ベルサイユのばら」のコスプレ写真を撮ってきた。
< http://growhair2.web.infoseek.co.jp/Rose061028/Rose061028.html >

前々からこういう場所でこういう写真を撮ってみたくて、夏ごろから具体的に話を進めていたのが、ようやく秋バラのいい時期になって実現に至り、感慨ひとしおである。

●お薦めしたいような、教えたくないような

カメコって、とってもいい趣味なんじゃないかと思うのだが、履歴書の趣味欄に「コスプレ写真撮影」とは書きづらいことを考えると、まだまだ世の中に認知されたとは言いがたい。

これは楽しいよ、と人々にお薦めしたくもあるが、反面、教えたくない気持ちもある。せっかく誰かが苦労して撮影場所を開拓しても、「あの場所はコス撮影OK」といううわさが広まると、後に続く者が続出し、そうこうするうちに、一般の来場者に迷惑をかけたりするトラブルが起き、以降、コス撮影禁止になってしまうということが実際に起きているからだ。

しかし、よくよく考えてみると、それは生半可な知識しかないのに見よう見まねで実行したのがいけないのであって、注意すべき点をあらかじめ知って臨めば、トラブルは事前に回避できたのではないか、とも言える。

……てな葛藤を経て、今回は、バラ園コス撮影のレポートも兼ねて、個撮(個人撮影)のノウハウを気前よく大公開! やるからには細心の注意をもってトラブルを避け、楽しい撮影会にしましょう、との願いをこめて。

●声をかけなきゃ、はじまらない

まず、撮らせていただけるレイヤー(コスプレイヤー)さんを見つけないことには、はじまらない。どこかの会に入会登録して会費を払うと毎月何人か紹介してくれるサービスがあると便利だけど、おそらくないだろう。似て非なるものならありそうだけど。やはり、レイヤーさんと知り合うためには、コスプレイベント以外にない。あ、声優コンサートもあるか。

私は、カメコの列に並んで、誰が撮っても大差ないような記録写真みたいなのを撮るのはあまり楽しめないほうなので、大混雑する屋内系のイベントはなるべく避け、広々とした遊園地系のイベントを主体に参加する。この基準からすると、夏と冬に3日間ずつ開催されるコミケは1日15万人もの来場者でごった返し、撮影環境としては最悪なのだが、しかし、このイベントだけは別である。

コミケのコスプレ広場は、コスプレの見本市のようで、ピンからキリまで出揃うが、ピンのほうは、コスプレに道(萌えの?)を求めるレイヤーが全国から集まる。実際、今回撮らせてもらったレイヤーさんたちとは夏のコミケで知り合っているが、うち一人は広島から来ている。真剣にコスする人たちは、放っているオーラが違うので、そういう人を選んで声をかける。

個撮を申し入れるためには、こっちも撮ることに関して真剣なんだと理解してもらわなくてはならない。聞くところでは、個撮にかこつけたナンパ目的で声をかけてくるカメコもいるそうで。レイヤーも、そういう「うざい」のを相手にしたくないので、撮る心構えと実力をしっかり見ようとしてくる。

写真家やデザイナーなどが自分の作品をまとめたものを「ポートフォリオ」というが、私は、名刺がその役を果たしている。バラ園で撮ったバラのベストショットを全面にカラーで刷り込み、トップに "GrowHair Photo" とタイトルを入れ、隅のほうに連絡先を入れている。受け取った人はたいてい「きれい!」と感心してくれる。これで、撮る腕がアピールできる。

それと、一眼レフは、ほぼ必須。レイヤーはコスチューム制作にすごい費用を投入しているのだから、カメコだって撮影機材はそれなりのものを揃えなくては釣り合いがとれない。それに、コンパクトタイプのデジカメや、レンズ付きフィルム(使いきりカメラ)では、像のサイズとレンズの性能が全然違うので、ファッション雑誌のグラビアページのような写真は撮れないということは、レイヤーたちの間でもよく知られていることである。

感性という基準では、作品世界にどっぷりと浸りこんでいるレイヤーたちに、カメコはとうてい勝ち目がない。もちろん、カメコだって、レイヤーの嗜好に合わせた作品を見て、どういう世界を表現したいのか、理解に努めるべきなのだが、思い入れの強さではかなわない。勝負になるのは、光の読み方、構図の取り方など、写真撮影のテクニックである。

写真につきものの、絵が平面的に潰れる効果をよく考慮して、背景にモデルを貫く横線(目刺し)、縦線(串刺し)を入れないようにするとか。主題が真ん中にあるだけという、いわゆる「日の丸構図」ばっかりのような単調に陥らないよう工夫するとか。まず花の写真などをたくさん撮って練習したり、私は参加したことがないけど、プロの写真家が指導してくれるモデルポートレート撮影会などに参加してみるのもいいかもしれない。レイヤーさんを個撮にお誘いするのは、それからでも遅くはない。

●ロケハンは面倒な手続きに忍耐

撮影のコンセプトが決まったら、ロケハン(撮影場所探し)である。今回は秋バラの咲き誇るバラ園と決まっていたので、探しやすかった。ネットを検索して、広さやバラの種類や本数を参考にしながら、候補地を絞っておく。コス撮影を許可しているかどうかは、電話で問い合わせる。

それから、実地を見に行く。職員に話を聞いたりしていると、一日に回れるのは2〜3か所がせいぜいである。今回のロケハンには、10月18日(水)に一日会社を休んで行った。ぐずぐずしていると、バラは待ってくれないので。

最初に行ったところは、ほとんど春咲きのバラばかりで、秋はショボかった。二か所目は、広い庭園いっぱいに色とりどりのバラが咲き誇り、ここで撮れるならぜひ撮りたい、と力が入ってきた。ロケハンのときに考慮しておくべきことがもうひとつあって、それは、着替え場所の確保である。実はこれでいつも苦労する。

以前、日本庭園で撮ったときは、職員さんのご厚意で、閉鎖中の入場ゲートのチケット売り場を特別に開けてくれた。が、こういうのは当てにしてはいけない。今回は、周辺が公園で、身障者用トイレがあり、割と広くて、ちゃんと掃除もしてある。ここでいいや。

バラ園としては撮影OKだが、手続き上、人物撮影には市役所の許可をとる必要があるという。まず撮影日を決めておく必要がある。本来は平日がよい。開園していれば、月曜が人が少なくて狙い目である。しかし、都合が合わず、10月28日(土)になった。

10月23日(月)の朝、市役所へ。これで仕事が半日潰れる。撮影許可申請書なるぎょうぎょうしい用紙に記入して提出すると、許可は下りるけど、2日後に許可証を受け取りにもう一回来てくれ、と。「お、お代官さま〜、かんべんしとくんなまし〜」と内心では思いつつも、長いもんには巻かれておくに限る。10月25日(水)の朝、再び市役所へ。いかめしく「市長印」まで入った撮影許可証を恭しく拝受する。「はは〜っ、おありがとうございまする〜」。

●体調を万全に整えて臨む

いやいや、最悪だった。木曜の夜あたりから腹の調子がすこぶる悪く、今にも腹が割れてエイリアンがウキキと飛び出してきそうである。おまけに何だか熱っぽい。が、計ったら最後、急に病人みたくなってしまいそうで、あえて計らない。

金曜の朝、職場が地の果てのように遠く感じられ、休むことに。このところ、どれだけ仕事をないがしろにしてんだ、俺。しかし、広島からレイヤーさんが来てくれる撮影会と駄目サラリーマンのぐうたら仕事とでは重みが全然が違う。趣味でカメコやってるはずなんだけど、時として、責任感のような感覚が伴うことがある。

プロのカメラマンだったら、体調は最悪でも、撮影の仕事に穴を開けるわけにはいかず、這ってでも現場に到着し、不出来ながらも最低限の水準は満たす写真を撮らなくてはならなかったという経験が一度や二度はあるのではないか。個撮ならそれほどのものではないので、最後の最後には、謝って中止するという選択肢が残されている。プロじゃなくて、よかった。金曜日、丸一日寝て過ごしたおかげで、幸い、土曜の朝にはけっこう元気になっていた。助かったー。

●気分よく撮影

公園・庭園などは、時間が遅くなればなるほど来場者が増えてくる。撮るのは午前中が勝負だ。9:00amの入場開始前に準備しておけるよう、8:30amに集合。レイヤーさんたちが持ってきた荷物の量がものすごい。ドレスのスカートをふくらませるために下に穿くパニエには、円形の芯が3段通せるように作ってあり、半円状にして持ってきた芯を通してつなげていくと、鳥かごのようなものが出来上がっていく。

バラ園の職員の方が出てきて、トイレで着替えるのではあんまりだから、こちらをどうぞ、と場所を提供してくれた。展示ルームのついたての陰で、いつもは職員の昼食に利用している場所だそうである。この日は、終日空けてくれた。わ、ありがとうございますー。そこまでしていただいて本当に恐縮ですー。

天気は上々。晴れときどき曇り。バラの開花状況は70%程度だが、秋はこれがピークである。来場者も、まだまばら。絶好の撮影環境である。

いくら許可が取ってあるといったって、一般の来場者が優先という原則には変わりはなく、撮る側と撮られる側とでお互いの後ろに注意して、通る人がいれば、よけて道を空ける。一般の来場者から苦情が出たら、即撮影は中止となり、次回はなくなるので、神経を遣う。眺めてる人からは、不審の念をいだかれないよう、聞かれなくても説明してみたり。

しかし、この日の来場者はみんな協力的な方ばかりで、救われる思いだった。まるで天国の下見に来たかのような温厚なお年寄りが多かった。思わぬ光景の出現にびっくりしつつも大変喜んでくれて、遊園地のアトラクションのような状態になっていた。「何の撮影ですか?」とずいぶん聞かれたが、「個人的な趣味の撮影です」という答えにみんな意外そうだった。雑誌か何かの撮影だと思ったのだろう。「冥土の土産に」と言って写真を撮っていったおじいさんがいた。いつの日か、写真を片手に、安らかに旅立って行かれることでしょう。実に楽しく撮影でき、写真の仕上がりも上々だったが、反省点も多々ある。

まずは、写真を失敗しては申し訳が立たないので、オーソドックスな記念写真のようなのを主体に撮ったのだが、それだけではちょっと物足りなかったか。もっと芝居っ気たっぷりにシーンを作ってみたり、光を効果的に使ってみたりと、演出をきかせても面白かったかもしれない。例によって二重露光を駆使してみたが、ちょっと効果がかかりすぎて、わざとらしくなってしまったか。背景側にピントを合わせたショットは露出を1.5段ばかり絞ったほうがいいのだが、そこまで余裕がなかった。いやいや、次回はデジカメで撮って、フォトショップでの合成に挑戦してみるべきか。春には蔓バラが咲くので、その時期にまたやりましょうという話になっている。今から楽しみである。

ところで、帰ってシャワーを浴びていると、額のあたりがひりひりする。日焼けだ。金曜に会社休んでるのに、月曜に日焼けして出社って……。まずいなぁ。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
カメコ。乗り物のアナウンスを英語でもやってくれるのはいいんだけど。ゆりかもめ、子音が続くところに余計な母音が入っているのが、聞いててつらい。山手線、個々の母音子音の発音は完璧なんだけど、文全体のイントネーションのつけ方がたどたどしい。単語単語で語尾を上げたりせず、強勢のあるなしをもっと極端につけて、リズミカルにやってほしい。臨海線、逆に、日本語部分をつっかえずにやっと言えた感じがほほえましい。羽田空港リムジンバス、非常に美しいクィーンズイングリッシュでよいのだけれど、バスのアナウンスが英国女王のように格調高いのが、もうおかしくておかしくて。東海道新幹線も英国調だけど、自然な調子がよい。東京メトロは流暢なアメリカ調で、なかなかよい。英語なんてどこ吹く風と一切やらない私鉄がいちばん落ち着く。
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■マガジンガイド
コマーシャル・フォト 2006年12月号
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【別冊付録】2007 POWER PAGE
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【特集】一流写真家が競演 8人のバカラ
青木健二・高井哲朗・辻佐織・土井浩一郎・仲佐猛・藤井保・藤代冥砂・宮原夢画/8名の写真家にクリスタルグラスの有名ブランド「バカラ」の撮影を依頼。「誌上セッション」で、写真の魅力、写真家の個性が発見できる。
【特集】AD OF THE YEAR/広告写真2006
Part1:AD of the YEAR2006 クリエイターが選ぶ広告ベストテン
Part2:クリエイターが選ぶ広告写真2006
Part3:Topics of 2006 今年のグラフィック広告を振り返る
【フォトグラファー特集】Satoshi Saikusa

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■編集後記(11/17)

・毎朝、よほど天候が悪くない限り、朝食後にテラスのロッキングチェアで新聞を読む。その時間に、妻が家の中の掃除をする。わたしは新聞を読み終えた後テラスの掃除をする。そういうルールなので、たまたま早めに読み終わったときなど、広くもない家の中でバッティングするので妻が怒る。新聞休刊日なんかどうしたらいいんだ。今ごろは日が低いので、壁に反射した光が紙面を明るくしてくれてなかなか快適だ。しかし、新聞の内容は読みたくないような悲惨な事件や、公務員の犯罪だらけで、まったくうんざりさせられる。加えて、高年齢対象の介護や病気の記事が充実しているのだから、ますます意気が上がらない。朝一番の家の中の掃除は絶対に必要である。夜間は玄関か仕事部屋に犬を寝かせているからだ。季節によってはすごく毛が抜けている。たまに「今日の成果」と見せられる掃除機の透明ゴミ容器には、目には見えなかったがこんなに、というくらい毛や埃などがいっぱい。これを見ると、部屋の中でペットを飼うなんてことは恐ろしくてできない。新聞をいちおうざっと読み通せるこの時間は貴重である。今日(テラス寒かった!)の記事では、「団塊の世代」特集で堺屋太一氏が、60歳を超えて目指すべきは「ある一つの分野で、長老だ」と言われることだ、と書いていた。なるほどねえ。わたしの場合はどうなんだ。じつはすでにそう言われている分野がある。「CG美少女」(笑)そろそろ引退しようと思っていたのだが……。(柴田)

・Fさん、メールありがとう! 今日も弱気な文面でごめんなさい。/風邪が
気管支炎に発展してたわ。ぜーひゅー混じってきたさ。気管支を拡張する貼り薬とぜんそくの薬が追加されたよ。先生も呑気に「長引くなぁ、うーん。レントゲン撮りますか?」って。撮ったら「喫煙しますか?」って言われたよ。濡れ衣だ。職場や付き合いで喫煙者と一緒にいることはあったが、最近はそういう機会は減っているので問題ないと思っていたのだが。子どもの時から喉、気管支、肺が弱く(母親は結核になったことがあるし、祖母からの遺伝らしい)、ちょっとした刺激に弱い。体質的に喫煙者と同居するのは無理なのだ。だいぶ慣れたとはいえ、数日の旅行が限界。旅行相手らも気を遣って窓を開けてくれたりするが、かえって迷惑かもなぁ。自転車に乗る時にはマスクをした方がいいかもなぁ。うーん、掃除の仕方も変えるか。疲れて抵抗力が落ちると一気に襲いかかってくるから困りもんだ。加えると、まったく自覚していないが虚弱気味らしく、貧血でよく倒れたし、すぐに熱が出るし、いまだに乗り物酔いをする。多少強くなったとはいえまだまだ。バレエのピルエットで酔うのは体質だっ(と努力が足りないことをすり替える……)。以前にも書いたけれど、すぐに体が反応するのはいいことなんだって。大きな病気になりにくいらしい。しばらく風邪にかかってないなぁという人は、人間ドックに行って検査を受けた方がいいって。センサーが弱く、溜め込む体質らしいよ。特に男性は過労でばたっと倒れてしまったりするらしい。気をつけて!(hammer.mule)
< http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec04/ch041/ch041a.html >  気管支炎
< http://tabemono.info/report/report_1.html >  掃除機は汚染源?
< http://eco.goo.ne.jp/life/eco/clean/gs_03.html >  体にいい掃除機選び
< http://www.h2.dion.ne.jp/%7Eloveyou/affiliate/030806.htm >  文章上手い!
< http://allabout.co.jp/family/electronics/closeup/CU20050408A/ > 体験談
 どっちだよ