クリエイターとLLPと……[12]LLPとメディア
── 深川正英 ──

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LLPの申請が終わった2005年8月1日の夕方、生まれて初めてテレビに映る自分を見ました。

かなりアップでマウスをクリックするシーンと、モソモソとインタビューに答えるシーンはちょっと恥ずかしかったです。

美人司法書士先生のインタビューは思ったより短かったですが、LLPを的確に捉えたコメントはさすがだなと感心しました。


この番組自体は全国ネットのニュース番組なのですが、私が出たコーナーはローカル版の5分程度の特集の枠で、その日はLLPを取り上げていました。

大阪で一番乗りを目指した人たちのインタビューと「LLPとは何か?」を大雑把に紹介する内容でしたが、その報道の内容で非常に気になることがありました。

それは、LLPは「勝ち逃げ」ならぬ「負け逃げ」が出来る、という取り上げられ方でした。

確かに設立が容易で、そのための費用は今までの法人に比べるとかなり安いことは確かです。そのために悪用を考える事も出来ると思いますが、日本としては画期的な制度であり前例のないこの時期に、あえてネガティブな取り上げ方をすることに非常に疑問を感じました。

悪用についてはもちろん事前に予防線が張られていますので、簡単に「負け逃げ」と報道されたことに対しては今でも不快に思っています。

その他の局の報道は肯定的な内容で、しっかりと時間を割いて非常に丁寧に説明していた番組もありましたが、私が想像していたほどの盛り上がりはなく、一般的にはこんなものなのかと少しがっかりしました。

しかし、取材の依頼を振り返ると、起業やベンチャーの分野、税金の分野、クリエイティブの分野に関しては関心の高さを実感しました。

ベンチャー支援のサイトの取材を受けた時は、事業計画や売り上げ目標などについて突っ込まれましたが、綿密な事業計画書を作らなくていいという点がLLPの特長で、実際「走りながら考える」という発言をした記憶があり、かなり「ゆるい」印象を持たれたようで、サイトのテイストに合うのか心配でしたが、良いお手本とは決していえないですが、ちゃんと記事になったあたりはさすがだなと思いました。

読者は税理士などが中心になっていると思われるかなりマニアックな(?)冊子の取材では、やはり税金面を取り上げられました。

取材を受けた時期はまだスタートしたばかりでしたので、税金関係については答えられることが少なかったのですが……。LLP自体には税金がかからず、組合員に分配されてから課税される「パススルー(構成員課税)」と呼ばれる制度が税金面ではLLPの目玉となっており、税理士や会計士のサイトでもよく取り上げられています。

ただ、この仕組みが混乱を招いているようで、今でもLLPの会計に尻込みする専門家が多いと聞きます。

プロ向けの映像系の雑誌では、もともと映像業界には「製作委員会」制度という似た前例が多くあるためか、クリエイター目線の新しい組織のあり方まで、6ページにわたり結構突っ込んだ内容になりました。

ここでも「ゆるさ」を発揮してしまいましたが、この「ゆるさ」が逆に受けたようで、記事内に「ゆるーい」が積極的に使われていました。

こうやって取材を多数受けると、LLP自体もしくはバビル6LLPについて頭の中でどんどん整理が出来ていきました。

そして、その度に外部からどのように見られているのかも分かり、取材を受けるということも自分たちの活動に活かしていけるんだと実感できました。

このように様々な側面で新しさを持つLLP…… 今まで組織というものに興味を持てなかったクリエイターにとって、挑戦しがいのある「カタチ」だと思います。

【ふかがわまさひで】
バビル6 LLP(有限責任事業組合)組合員
※バビル6 LLPは日本第一号のLLP(有限責任事業組合)です
< http://www.b6p.jp/
>

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