音喰らう脳髄[15]参院選なんか糞喰らえ、だ。
── モモヨ(リザード) ──

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最近の世の中の騒動をみていると、バブル崩壊期の日本を思い出す。社会的な価値観の転換が行われた結果、昨日まで社会の暗部で黙認されていたことがことごとく摘発される。知事のあいつぐ逮捕に対してマスメディアはさまざまな論評を加え、分析して原因らしきものを列挙しているが、私には、単純に社会の規範がシフトしただけのように見えるのだ。

例えば談合事件だ。報道では、その原因を小泉改革の結果とする論評も多々ある一方で、談合が、古くから当然のようにあったことを認めている。小泉改革がどうしたということもわかるが、古くから当然のように行われてきた、このことが重要だ。行われてきたが摘発されなかった、ということである。それが摘発され知事までが逮捕されてしまうようになったのだ。変化は、むしろこのことにある。


以前にも書いたことだが、いま、価値観のシフトが行われている。いや、不文律からの離脱と言った方が近いかもしれない。これまで違法行為であっても超法規的に許可されてきた行動がある。伝統的な脱法的世界がある。それが今崩れていこうとしているようだ。

かつて、グローバリズムという問題がネットで論じられたものだが、いまリアルな世界で、それに似たものが進行している。海外から来た人々が私たちとともに暮らしている。いまやそれが当然の世の中になっている。彼らと日本人が同じ街にフラットに暮らしていくのであれば、暗黙の社会慣習上の脱法行為などは存在しない方がいい。住民全てが同じ規範によって生活することができなければ、街の平和など期待すべくもない。それは当然である。

最近、自民離党組の復活劇で、情の道をとるのも政治家、という発言をした古参政治家がいたが、そうした古きヴィジョンと法を中心にモラルを再形成しようという新たな勢力が、党派によるディベートの向こう側で、いませめぎあっているような気がする。情といえば美しいが、それはいわゆる暗黙の了解、暗黒のルールが存在すること、その許容を意味するものである。であるとすれば、私は、老人の情を採択しない。旧弊に執着すればそれは老害である。

いずれにしても、数字ばかり列挙して好景気などと喧伝するための資料を捻出するためにグラフを書かせたり、集計を出したりすることに無駄な税金を使うのは、いただけない。いくら政府が好景気と喧伝しても、その裏で悲劇が量産されているのだ。もし王道を行く為政者がいるとすれば、彼はその事実を認めたところから歩みを始めるだろう。

王覇のわきまえを知る試金石がこれだと思う。

庶民にすれば参院選など糞喰らえである。子供の頃の私は、政治家など決して信用していなかったが、そんな子供の直感が正しかったのかもしれない。そう考えると寂しくなるが……。

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/
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ロックンロール・ウォーリアーズ Live’80
リザード
ビデオメーカー 2007-01-27

by G-Tools , 2006/12/12