音喰らう脳髄[20]繰り返すから悪夢なのさ
── モモヨ(リザード) ──

投稿:  著者:


日本全国において納豆の爆発的消費現象を演出したアノ番組が捏造であったことが発覚したり、不二家の期限切れ原材料使用が世を騒がせたり、死体損傷、遺棄事件が日本各地で頻発したりして、悪夢のような日常が続いているが、そんな中で国際情勢もまたとんでもない状況へと突き進みつつある。

国際的な課題は山積みだが、中でも気になるのは、ここにきて急速に緊縛の度合いを深めているイランとアメリカ、その両国関係だ。緊張関係打開について軍事力の行使もやむをえない、そう考えているアメリカ人が相当数いる。そんなニュース番組を先日たてつづけに見てしまったせいである。

私がそれを目にしたのが偶然なのか、あるいは、実際に問題が抜き差しならぬところに来てしまっているゆえ、繰り返しニュースとしてとりあげられているものか、そこの判断を留保し予兆と考えてすら好ましいものとは言えない。


ニューヨークがテロの犠牲になってから、アフガニスタン、イラクと数年のうちに立て続けに軍事力を行使してきたアメリカである。あるいは他国に対する侵略に対して国民の自覚、さらに罪悪感がひどく鈍感になってしまっているものか、それはわからないが、これにイランが加われば、それこそ西アジア、中東の半分に対して軍事的な打撃を与えることになる。そうなれば、もう後戻りはできなくなる、このことが判らないのだろうか?

テロ団体のメンバーと目した人物を収容する施設にしても、わざわざ自国の法律が届かぬ土地を選んで建設したアメリカ。戦争捕虜に対する人道的扱いをも収容所の虜囚に対しては適応除外にすると宣言したアメリカ。ここ数年来のアメリカは、すでに常軌を逸した観がある。そこでは収容者を戦争捕虜ではなくある種の犯罪者と見なすというのである。ここには、誰しもが基本的人権を持っていると謳い上げるアメリカの姿が微塵もない。

アラブの人々からすれば、アウシュビッツにすら見えてしまってもおかしくない施設がすでに稼動している現状だ。そこに対イランで戦端が開かれればどうなるか、そんなことは東洋の島国に住んでいる私たちにすら明らかに見てとることができる。それが見えていないはずはない。が、現実は暗い。いったいどうなっているのか、皆目、見当もつかない。

いずれにしても、まだ国際的な安定化を模索する道は残されているものの、あと少しで一線を越えてしまう地点に私たちは差し掛かっている。あと一歩進めば、この世界はかつてない程の陰惨な状況へと急速に堕するだけだ。そんな馬鹿げた状況をどう打開するか、私たちにだって何かできることがあるはずだ。ささいなことかもしれないが、あるべきかたちを捜していれば、いつか道も開ける、そう思いたい。

……って、なんでパンクがこんなこと言わなくちゃならないんだ?

世を憂いつつ、ふと我にかえる、そんな悪夢じみたリフレインを繰り返している今日この頃である。

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

photo
ロックンロール・ウォーリアーズ Live’80
リザード
ビデオメーカー 2007-01-27

by G-Tools , 2007/01/23