デジアナ逆十字固め…[33]塩ビフィルターとケラレマスク/上原ゼンジ

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,100文字)


今回もコンパクトデジタルカメラにフィルターを付ける実験の続き。透明な塩ビをレンズ前に付けると描写が変わってしまうということは、前回試してみた。では、その透明なものの材質を変えるとどうなるのか? 硬い塩ビ、柔らかいビニール袋、ラップ等々を二重に重ねたり、皺を寄せたりしてレンズに付ける実験をしてみる。

まず、薄くて透明度が高い場合にはあまり変化がない。ところがそれが厚くなったり、透明度が悪くなったりすると、光が拡散してソフトな感じになったり、虹色が現れたりということが起きてくる。まあ、普通はわざわざ描写が悪くなったりするようなことはしないが、その描写の変わり具合を楽しもうというわけだ。

ただ、この材質による変化というのはけっこう微妙。見るからに曇ったようなものであれば、拡散効果がつきすぎてわざとらしい。しかし、その変化の度合いが少なければ、あまりやる意味がない。とりあえず今回のテストでは一番厚い塩ビフィルターが気に入ったのだが、被写体や条件を変えてもう少しテストをしてみてもよさそうだ。


それと画面の周囲を暗くするテストも同時にやった。これはちょっと長めのフードを付けてやればいいはずだ。黒い紙を切ってレンズに巻いてみる。ところが何の変化も起きない。レンズが小さいので、フードもかなり小さくなければダメなようだ。

そこでフードではなく、マスクをつけてみることにする。ただ黒い紙に穴を開けてレンズの前に貼り付けてやるのだ。今回テストに使ったIXY DIGITAL L4の場合、ズームレンズのワイド端で直径14mm、テレ端で3mm程度の穴を開ければ、ちょこっと周囲がケラレるような感じになることが分かった。イメージよりもかなり小さなマスクとなった。

これらのマスクやフィルターは「粘着ピン・リピタック」(PLUS)を使ってレンズに付けた。これは画鋲やテープの代わりにメモを壁などに貼り付けたりするための透明シートだ。粘着力があるのだが、何度も貼ったり剥がしたりすることができる。今までは両面テープを使っていたので、一度剥がすと使えなくなってしまったが、これはけっこう便利。

文具売り場で発見したのだが、似たような商品は防災用品売り場にもあった。家具が転倒するのを防ぐために使う製品で、エストラマー樹脂製のものだ。こちらのほうはリピタックに比べるとちょっと厚手なのだが、粘着力が強いということで、また別の工作に使えるかもしれない。

●色のコントロールはPhotoshopで

で、撮影してみた結果はどうだったのか? ちゃんと変な感じに写った。IXYの設計者が見たら、悲しくなってしまうだろう。何もかも嫌になってしまうかもしれない。以前はフニャフニャシフトレンズをD200にくっつけてニコンの設計者に悲しい思いをさせてしまったが、今度はキヤノンだ。すまないね。

でも、ケラレというのはいいかもしれない。四隅がちょっと暗くなると、それだけでレトロな雰囲気が漂ってくる。最初に作ったのは黒い紙のマスクだったが、白い紙にしたり、透明塩ビにマジックでマスクを描いたりといろんなパターンを試してみた。マジックの色を変えたり、ツートンカラーにしたり、わざとムラをつけてみたりで、写真の雰囲気も変化する。

Photoshopを使えばこんなマスクも簡単にできるが、それだとどうしても自分のイメージだけで制御することになる。失敗しちゃったけど何か面白いからいいや、という部分が欲しいのだ。それに塩ビ製のフィルターをかましたために、光学的に描写がおかしくなってしまった、というような感じはPhotoshopにもできない。

ただ、色のコントロールはPhotoshopの得意分野だ。たとえば、トイカメラで撮影している人達に人気のクロスプロセスという現像法があるが、こんなのはPhotoshopでかなり近いことができる。クロスプロセスというのは、ポジフィルムをネガ現像してしまう方法で、彩度とコントラストが高くなり、色のバランスが狂ってくる。

まあ、失敗と言っていいような現像法だが、ひじょうに強いイメージで、トイカメラの描写と合わせると面白い表現になる。しかし現像代が高いのが難点。だからこういった色の制御はPhotoshopでやるのが吉だ。

クロスプロセスでフィルム現像をして、紙焼きに関しても自分で色を制御するのなら、それは面白いと思う。ただ、一番最後のフィニッシュワークをお店プリントにしちゃったりするともったいないんじゃない? と思ってしまう。

面白いイメージを捕まえてくるために、偶然の要素を取り込むというのはありだと思う。でも最終的なイメージを作り上げるためには、自分できっちりと色やトーンのコントロールを行なう、というのが私の考え方だ。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇キッチュレンズ工房
フィルターを使った写真を増量
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/ >

photo
すぐにわかる!使える!!カラーマネージメントの本―仕事で役立つ色あわせの理論と実践マニュアル
上原 ゼンジ
毎日コミュニケーションズ 2006-04
おすすめ平均 star
star理論と実践の程良いバランス

RGB & CMYK レタッチ大全 カラーマネジメントガイド―カラーチャートとサンプル画像でスグできる!! カラーマネジメント―理論と実践 色彩学貴重書図説―ニュートン・ゲーテ・シュヴルール・マンセルを中心に 色彩工学

by G-Tools , 2007/02/01