KNNエンパワーメントコラム 不都合な真実は、りアルな事実
── 神田敏晶 ──

投稿:  著者:


KNN神田です。

日本でもようやく、元アメリカ副大統領のアル・ゴアのプレゼン映画「不都合な真実」が映画館で公開されている。これは映画というよりも、ゴアの講演会に行くといったつもりで見たほうがいいだろう。全編にわたり、MacBookProとKeynoteの画面で、温暖化による地球の危機に警鐘をならしている。

国連の発表によると、今世紀末には平均気温が最大6.4度上昇し、平均海面水位は最大59センチ上昇するという(IPCC報告書より)。また、今年は極度の暖冬でもあり、何十年ぶりという異常気象を誰もが感じている。誰もが地球の異変に何かしらの関心を抱きつつあるこんな時期に、この映画の公開は、なんともタイムリーだったのかもしれない。


すでに米国ではDVDも発売されており、amazonで日本からも購入できる。ボクはDVDを映画よりも先に購入し、何度も繰返して見ることができた。またDVDには、特典ビデオも付属しているというメリットもある。最新バージョンの追加が補足されている。もしかすると、映画公開前に正式版DVDが入手できるというのも、不都合な真実のひとつだったのかもしれない。

2月3日(土)には、日本テレビの「世界一受けたい授業」にも、アル・ゴアが登場している。お茶の間の、普通の人にも理解しやすいようとてもうまくまとまった形で放送されたように思う。この番組の構成作家は、いつも字幕をうまく活用し、教養番組とバラエティ番組の双方の良さを取り入れている。

ゴア自身も今回の映画で、アカデミー賞ドキュメンタリー部門でオスカー候補となり、ノーベル平和賞の候補に選出されるなどで話題となっている。さらに、次期大統領選のABCニュースの世論調査でも、ゴア自身は出馬を否定しているにもかかわらず10%もの支持率があるという。

今後、アカデミー賞やノーベル賞らが授与されるとなると、おのずから米国大統領の道が開けるのかもしれない。少なくとも、ヒラリーの応援につくだけでも、民主党支持派にとっては強い力になることだろう。むしろ、アメリカ大統領になって、イラクから撤兵し、京都議定書にサインすることのほうが、一番地球には優しい選択なのかもしれない。

ゴア自身も、グーグルのシニアアドバイザーやアップルコンピュータの取締役を兼ねているところから、今後は、政治活動よりも、実際にGoogle Earthで地球環境をリアルタイムに測定できるような仕組みの提供や、ウィジットで世界の温暖化やCO2排出量などを測ることができるようなデバイスを登場させるなどの動きを起こしても不思議ではない。むしろ、そんなテクノロジー利用に期待したい。

この映画が、ある程度の収益を確保できたならば、この映画をクリエイティブコモンズ映画として、DVDを購入するとフリーライセンスで公開できたり、キーノートのデータを自由にダウンロードでき、さらに活用できるなどの展開を期待したい。すると、もっとたくさんの人に、さらなる温暖化に対するアクションをうながす動きになるのかもしれない。

また、今回の「不都合な真実」のポスターにもなっている、煙突の煙が竜巻になるアイコンを、企業の温暖化対策としても、ライセンスするべきだろう。過剰なパッケージ包装に対しての免罪符にはなるだろう。

特に、ビデオテープのシュリンクパッケージほど、無駄なものはない。カップラーメンのシュリンクパックも不要だ。それらの製品に「不都合な真実」ステッカーを貼ることにより、過剰包装をやめたというキャンペーンに参加することができるようにすべきではないだろうか。コンビニエンスの箸も、新幹線のお手拭もいらない。ポストのDMや、新聞のチラシもいらない。いろんな物からCO2の排出を少しでも減らすための運動があってもいいだろう。

エッフェル塔の光もたったの5分ではあるが、環境保護団体のよびかけによって消された。日本科学未来館でも、「65億人のサバイバル — 先端科学と、生きていく」が開催され、電球ひとつ点灯させるだけで、風船ひとつ分のCO2が排出されるデモなどが展示されていた。

CO2の排出量が国レベルで制限が割り当てられるようになったけれども、そのうち、企業や個人レベルまで割り当てになりかねない。お金さえ払えば、何でも使える資源ではなく、人口一人あたりで制限して使用する資源であれば、多くの雇用を生み出し、ひいては、少子化対策の打開策になるのかもしれない。

オイルショックや電気の高騰化をふせぐためだけでなく、自分たちの世界観を地球レベルで考えるいい機会であると思う。

50万年続いた地球の環境をこの30年の間にこれだけ変化させたのは、まぎれもなく、今この地球上に存在しているすべての人間の責任だ。地球環境に、国境も人種も宗教も存在しない。すべての人間と生物にとって共通に考えられるテーマがここにある。

孫やひ孫、そしてその後の人類も住める地球のことを少しだけでも考える日があってもいいのかもしれないと感じた。

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