[2196] 有名人と呼ばれて

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,000文字)


<ああ早くちやほやされたい>

■笑わない魚[223]
 有名人と呼ばれて
 永吉克之

■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[148]
 mixiはこのままでは困る
 茂田カツノリ

■デジアナ逆十字固め…[45]
 リコーGX100+B玉
 上原ゼンジ

■ブックガイド&プレゼント
 『基礎から始める、プロのためのポートレイトライティング』


■笑わない魚[223]
有名人と呼ばれて

永吉克之
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最近、芸術家から、すっかり芸人にシフトした観のある私だが、どちらの分野にしろ、最終的には「有名」にならなければ成功したことにはならないのだ。世間の熱狂的な称賛を浴び、その成功にあやかるために誼(よしみ)を通じようと目論む人びとに取りまかれ、誰だか知らないけど有名人らしいと聞くと、とにかく一目見ようと集まってくる軽佻浮薄な輩に囲まれて、始めて成功したと言えるのである。人知れず成功してどうするのだ。カカアとガキの前で自慢話ができるのが関の山ではないか。

そんなわけで私は、成功して有名になって、さまざまな分野業界の人びとと交流を持ち、時の人になってちやほやされるのだ、という野望を胸に生きてきた。その手段として芸術家を選んだのは、たまたま私が絵を描いていたからというだけのことで、成功する可能性があると思ったら、政治家でも、ボクサーでもバレリーナでも、何にだって手を出しただろう。

私には時間がないのだ。うちの家系の男はみな早死にで、平均寿命に至る前に亡くなっている。早く成功して有名にならなければ、私はちやほやされることのないまま寿命が尽きてしまうかもしれない。そんなことは断じて許されるべきではない。もしそうなったら私は成仏できず浮遊霊となり、さまざまな霊障を引き起こすであろう。魂魄この世にとどまりて、怨み晴らさでおくべきか。

いや成功なんか、もうどうでもいい。とりあえず有名になりさえすれば、きっと何かで成功した人なのだろうと思ってもらえるからだ。あの叶姉妹のように「何をやってる人なのか分らないがとにかく有名」というのでいい。いつまでも無名でいるのは御免だ。ああ早くちやほやされたい。両方は無理だというのなら「ちや」か「ほや」のどちらかひとつでもいい。

私はてっきり、40歳くらいまでには有名になっているだろうと思っていたので、そうなったときに手記を依頼されたら、こう書こうとアイデアを練っていたのだが、生きているうちには発表できないかもしれない。そこで今のうちに書いてしまうことにした。

《特別手記》「有名人と呼ばれて」永吉克之

私は、いわゆる有名人と呼ばれる立場にいるわけだが、実はその自覚がないのである。無名だったころは、漠然と「有名人の生活って、とても素晴らしくて、すごく素敵で非常に良いだろう」と思っていたが、実際になってみると、こんなものかという感触しかない。

「有名人」という地位はあくまで、成功した結果、得られるものである。私は、他人が眠っているときに眠らず、喰っているときに喰わず、働いているときに働かずに努力して成功を収め、それが人びとの知るところとなり、その副産物として「有名人」と呼ばれるようになっただけのことで、私としては、自分がこの道で成功をしたという事実だけで充分満足である。

多くの若い人たちが「有名になりたい」という動機から、短絡的にタレントや歌手などの、いわゆるエンターテイナーを目指そうとする。有名人とは、その一挙一動がマスコミの話題になり、街を歩けば通行人が振り向き、見ず知らずの人からサインや写真をねだられたりして、ちやほやされる人間のことを言うのであれば、私は有名人などとは呼ばれたくない。

正直なところ、私は最近、有名人として扱われることに少し疲れてきた。贅沢な悩みと言われるかもしれないが、無名だったころが懐かしい。貧しくても、世間の評価を気にすることなく、成功を目指してひた向きに生きていた。

カネがなくて飲めないときは、いきつけのパブでタップを踏んで、客からの「おひねり」で飲んだ。歌えと言われれば歌ったわ。酔客に、五千円やるから長襦袢一枚で逆立ちをしろと言われたこともあったのよ。辛かったけど、そんな時代もあったねと、いつか笑って話せるわ、まわるまわるよ時代はまわる、喜び悲しみ繰り返しと思って頑張ったわ。

                 ●

無名人がいるから有名人も存在しうるのだ。名も無き人びとのおかげで有名人を張っていられるのだということを、われわれ有名人は忘れがちだ。なかにはセレブなどと呼ばれて自分たちが特権階級であるかのように錯覚する者もいる。世界中の人間がみな有名人になってしまったら、有名人はいったいどうやって有名人でいられるというのか。

無名人の方々から「おい、誰のおかげで有名人やってられると思ってんだよ」と言われてもしかたがないのである。言わば有名人とは、どこにでもいるような取るに足らない大衆の皆さまからの投げ銭で暮らしている大道芸人だ。名もない瓦礫のような大衆の皆さま、塵芥のような大衆の皆さまのおかげで生かせていただいているのだという自覚を、有名人は決して忘れてはならない。

【ながよしかつゆき/ばい菌】katz@mvc.biglobe.ne.jp
勝った負けたで一喜一憂するのにウンザリしていたので、今年は野球を見るのをやめようと年頭に決心したものの、また去年のようにタイガースが絶好調だと見てしまうのではないかという懸念もあったが、幸か不幸か今年は絶不調で、なんと7連敗という大盤振る舞いまで見せてくれた。もう優勝はムリだ。これで安心して野球から離れられる。

・ちょ〜絵文字< http://emoz.jp > au&Yahoo!ケータイ公式サイト
・無名芸人< http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz >
・EPIGONE < http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Ework >

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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[148]
mixiはこのままでは困る

茂田カツノリ
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もはやインフラストラクチャとゆっても過言ではない、大きな存在となったmixi。僕自身も気がつけば2004年から3年にわたってほぼ毎日利用している。

日常のどってことないことの積み重ねを知ることで、その人がどういう中身を持っているかがよくわかるし、何があったかもしっかり知ることができ、実に素晴らしいサービスだ。

しかし、機能面での不満はたくさんある。たとえばマイミク人数1000人の制限では、神田敏晶さんのような有名人は困っているし、ほかにも根本的な考えにおいて「おいおい」と思える点は多い。

これだけ大きく、なおかつ寡占的な存在になっているのだから、もうちょっと社会的役割というものを考えて欲しいと思うのだった。

●Web2.0的にAPI公開は必須

Web2.0とよばれる概念の中で重視されるものに、API公開というものがある。これは簡単に言うと、ブラウザによるインターフェースとは別の、いわば「裏口」を用意しておく、という考えだ。

GoogleやAmazonといった、典型的なWeb2.0企業は必ずこの「裏口」を用意していて、僕のような個人レベルの開発者であっても、彼ら大企業のサービスを組み合わせて別のサービスを作り出すということが可能になっている。

これって、実に民主的といえる。度胸と技術がないとできないことだろう。一方mixiは、あくまで与えたものを使わせる以上のことは認めない。mixiのWebサイト上で操作する以上のことはまったくできず、与えられたものだけを使いなさい、というわけだ。こっちはファシズムかな。

もちろん、いち企業が行なうサービスをどういう形にするかについて、とやかく言えるものではない。それはmixiが決めることで、いやなら使わなきゃいいじゃないか、という考えにも一理ある。

しかしmixiというものが、SNSというジャンルにとどまることなく、インターネット上で行われるサービスの代表格というレベルまで大きな存在になってくると、日本の文化レベルに影響を与えてしまうのだという自覚を持って欲しい、と思うのだ。

mixiというものがこれだけの存在になっている中、仮にAPIが公開されるなどでmixiの付帯サービスが別会社によりビジネスとして成立するようになれば、日本でWeb2.0というものの概念を広める役に立つというものだ。

逆にmixiがあくまで現状どおりWeb1.0の世界を貫くなら、ヘタに存在が大きいだけに他の新興企業にとって邪魔な存在となる。

たとえばトヨタのような強い存在が、エコロジーであるとかクルマの安全性であるとかを追求することは、社会的に大きな意義がある(ついででいいから、トヨタもクルマのデザインについても考えて欲しいなあ、とは思う。だって醜すぎるよ、トヨタ車って)。

●国外在住者を排斥するとはけしからん

mixiが行った最近の大きなルール変更は、新規登録時に携帯のメールアドレスを登録することが必須になったこと。

PCメールアドレスはいくつでも作れるから、多くの人が複数アカウントを作って、別人格を演じている。僕のマイミクでも、結構露骨に複数アカウント持っている人がいる。ルールは守らなきゃというのを基本としている僕としては、あんまし気分良くない。

しかし、複数アカウントを排除するために携帯アドレスを必須とするというのは、いささか乱暴だ。たとえば携帯がX01HTだと登録が通らないし、海外在住者は排斥されてしまう。

自分たちのルールを保つためには、一部の正しい利用者が排斥されてもかまわないという考えには、どうしても賛同できない。もうちょっと別のやりかたがあるだろうに。

●セカンドライフの類似品よろしく

ということでmixiへの文句はいろいろあるけれど、SNSとしてトップの地位は、もう揺るがないだろう。だって日本では、いまだにGoogleよりYahoo!での検索のほうがずっと多いことでわかるとおり、右にならえ社会だから。

だから、こうしたサービスは普及する前が勝負。ということでもうじき広まるであろうセカンドライフも、類似品作るなら今しかない。セカンドライフ自体はインターフェース設計などの切れがイマイチだとは思うので、スキはあると思う。

真似っ子サービスが得意の某社さん、急いでねっ。

【しげた・かつのり】
職業は、一応起業家。でも一度も成功したことがない。一応子供三人育てて生活はできてるけど、もうじき42歳だしイッパツ当てたいなあ。

【新刊情報】
『FileMaker関数・スクリプト+α事典』
—米国の著名な開発者集団による詳細解説 Ver.8.5(Mac&Win)対応
723ページ/ラトルズ/ISBN978-4899771760/3,360円
< http://www.rutles.net/books/176.html >
アメリカのすごく有名な開発集団による著作の翻訳本で、僕が8.5および日本語版の追補と、全体監修をしている。ヘルプだけではわからない関数・スクリプトの実践的な知識のほか、各種カスタム関数・FileMaker Serverコマンド・キーボードショートカットなどを解説。ぜひ手元に置いてほしい一冊だ。

【イベント情報】
- FileMaker Fun Night! -第23回「ポータルについて考えよう」
5月26日(土)16:30〜18:00/AppleStore Ginza 3F
情報を整理して表示するためには欠かせない機能である「ポータル」は、便利だけれど使いこなしにちょっとした知識を要する部分もあります。そんなポータルの基本・留意点・応用事例などをまとめてご紹介します。ぜひ身につけてほしい「ポータルフィルタリング」などのテクニックもご紹介します。なおこの日は、引き続き19時からまつばらあつしさんのイベントもあり、デジクリがAppleStoreを乗っ取る記念日なのです。
【※開始時間が変更されています。ご注意ください】

・有限会社レクレアル
< http://www.recrear.jp/ >

・子育てSOHOオヤジ - The Blog!
< http://amonita.jugem.jp/?eid=34 >

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■デジアナ逆十字固め…[45]
リコーGX100+B玉

上原ゼンジ
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ビー玉レンズの描写は想像以上に面白いものだった。中心と比べ周縁部はひじょうに柔らかな描写になるのだが、チープレンズのような嫌な感じの収差はなく、ソフトフィルターのような、甘ったるい感じでもない。すごく上品な甘みと言っていいだろう。

こんな描写になったのはなぜか? ひとつは腐ってもガラスだということ。プラスチックレンズがすべてダメだとは言わないが、今まで私が試してきた安物プラスチック製レンズには、色収差を代表とするB級アングラ風味が漂っていた。まあ、今まではわざわざ、そんな安っぽい描写を追い求めてきたわけだけどね……。

もうひとつはカメラにはタムロンのSP AF90mmF/2.8 Diという等倍マクロレンズを着けていたということ。35mm換算で135mm相当の望遠レンズとなり、レンズのキズや気泡をきれいにボカしてくれた。今まで私が見たビー玉レンズというのは、気泡の感じなんかが出た、いかにもビー玉ビー玉した描写だったので、柔らかなボケ味はこのマクロレンズのお陰と言ってもいい。

では逆に、もうちょっとビー玉風味を出したい場合はどうすればいいのか? 一眼レフ+望遠レンズでボケたんだから、コンパクトデジカメ+広角レンズにすればビー玉の素材感が写るだろう。それとビー玉自体があまりクリアなものではなく、気泡がいっぱい入ったようなもののほうが面白そうだ。

ということで、まずリコーのGX100を買った。焦点距離が35mm判カメラ換算で、24〜72mm。広角側で1cmまで寄れるというのがポイント。あとは着脱式液晶ビューファインダーというのが付いていて、それを着けた時の姿にも惚れた。今後ビー玉専用カメラとしての活躍を期待したい。

気泡の入ったビー玉の方はネットオークションで探してみた。といってもただ、「ビー玉」というキーワードで検索してみただけ……。なんか物置から出てきたのをそのまま出品しているだけ、という感じのものから、業者が300個とかいう単位で出品しているものまでいろいろヒットした。しかし私はそんなに沢山はいらないんだよ。

ちょっとレトロな感じのものが何個かあればいいし、あまり模様がいっぱい入っているようなものも使えない。適当な物がなかったので、レトロな気泡入りのビー玉を出品していた人にメッセージを送り、透明なものを中心に1000円分のセットを作って貰えないかと直接交渉してみた。

そして交渉はあっさりと成立し、入金の翌日にはブツが手に届いた。小玉、中玉、大玉、合わせて20個のビー玉が入っていた。完全に透明なものではなく、薄い色が付いていたり、模様が入っていたりするが、まあそれも味として使えそうだ。

ただ、ちょっと驚いたのは、やたらと気泡が入ったものがあったこと。「ビー玉」の語源として、製造する段階での不良品 →「B級の玉」 →「B玉」、という説があるらしいが、「B玉」にもなれなさそうな、「C玉」クラスの気泡の入り具合だ。製造ミスではなくて、模様としてわざと気泡を入れるなんていうこともあったのだろうか?

●気泡入りレトロビー玉の描写は?

で、早速実験。まずは指で挟んでGX100の前にかざして撮影してみる。オートフォーカスで撮影すると気泡にピントが合い、ただの小さなアワアワの写真になってしまう。そうだ思い出した。このピントのコントロールが難しいから、まず一眼レフで試してみたんだったよ。ほんの少し前のことも忘れてしまっているなあ……。

まあこういう時はマニュアルでピントを合わせればいいわけだ。しかし、片手にビー玉、片手にカメラなので、なかなか操作がし辛い。しばらくモタモタと操作していて気がついた。そうだ、こういう時はカメラを三脚に着けりゃーいいんだよ。いつもながら場当たり的な実験で効率が悪い。

三脚をつけて、カメラが固定されたのはいいが、ビー玉を片手でズーッと持っているというのも、だんだん辛くなってきた。ちゃんとアダプターを工作すればいいのだが、つい横着をしてしまう。そこで、知恵を巡らせた結果、自在クリップを使うことにした。自在クリップというのは、両側がクリップになっていて、その間がグニャグニャと曲がるもの。いろんなサイズのものがあるが、撮影用の小道具として各種取りそろえてある。

文房具屋で買った透明な自在クリップでビー玉を挟んでみたらピッタリだった。もう片方の端で三脚の雲台を挟んでやっとビー玉を固定することができた。これで両手が空いたので、ようやく実験にとりかかれる。

結果を先に言えば、気泡は邪魔だな。ちょこっと入っている分には味になるが、いっぱい入っているとビー玉の向こう側を撮るための妨げになる。気泡がたっぷり入ったビー玉はわざわざ買うようなものではなさそうだ。

それにビー玉についたキズも美しくない。このキズは、味にも何にもならない不要なもの。傷つきのビー玉はきれいに磨き上げたほうがいいだろう。ということは、レンズを研磨するということになるだろうか。レンズを黙々と研磨している自分の姿を想像して、ちょっとうっとりする。今度はレンズを研磨する工具など買わないよう気をつけなければ……。

気泡やキズが目立ちやすいという問題はあるものの、コンパクトデジカメで撮影したビー玉レンズ写真というのも悪くはない。あとは、もうちょっと撮影しやすいアダプターを工作して、少しまともな撮影のテストをしてみることにしよう。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇キッチュレンズ工房
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/ >

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< http://www.genkosha.com/sp/2007/04/post_2.html >
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応募フォームをつかってください。締切は5月19日(土)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に5月下旬頃掲載予定です。
< http://www.dgcr.com/present/list.html >

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■編集後記(5/10)

逃避行・篠田節子「逃避行」を読む(光文社、2003.さいきん文庫版が出た)。この人の作品はリアルで緊張感あふれていて、先が心配で一気読みすることが多い。五十歳の主婦と九歳のゴールデンレトリバーが逃げる。嫁いで二十八年、自分のことは二に次にして夫に尽くし、二人の娘を育て上げたあげくの絶望から逃げる。犬(ポポ)が隣家の小学生をかみ殺した。飼い方に過失はなく、刑事責任はない。犬の処分を強制する法律もない。しかし家族は処分してすませようとする。心を通じた大切なもの(かつては妻である彼女もそうだったはずだ)を平然と切り捨てる夫、つきあっている男とのことしか頭にない次女、仕事が忙しいと寄りつかない長女。彼女にとって誰よりも優しく頼りになる、唯一の家族・ポポと一緒に東京都下の家を出る。持ち出したのは通帳と印鑑、犬の食料。全国に報道されて大目立ちのうえ、車もないのにどうやって逃げるのか。ここからは、スリル満点の「逃亡者」となるが、お約束どおり(笑)長距離トラックの運転手たちの助けを得て、兵庫までたどりつく。結局、田舎の棄てられたに等しい別荘を借りてポポと暮らし始める。家族と過ごした現実を断ち切って、ようやく別の人生を歩き始めたものの、犬は老化の速度を早めている。大切なパートナーは自分より先に死んでしまうだろう。彼女は犬と人との間の必然的な逆縁に愕然とする。老犬の残る命を全うさせるため、自分はそれまでの人生を棄てた。しかし、犬との生活は宝石のように貴重だと感じる。潜伏生活でもさまざまな困難がふりかかる。更年期を迎えた女性の心理が随所でリアルに語られて、ちょっとつらい。「人は犬を裏切るが、犬は人を裏切らない。かけた分の恩は必ず返してくれる」ようだが、いぎたなくのびきったわが犬を見ると、それもどうかなあと思うのであった(苦笑)。(柴田)

・月曜日の神田さんの記事に感化され、twitterしてみた。といってもデジクリのRSSフィードをtwitterfeedで飛ばしているだけ。メールで飛んでくるメルマガ記事にそのようなニーズがあるのかわかんないけど。改行されないため読みづらかったり、30分間に最大5つまでしか更新されないとかで、6つ以上の記事のある時は漏れてしまうのだが、デジクリのblog更新状況を知りたいという人がいたら使ってみてください。バッジはいるかなぁ。/今をメモする「Timelog」というのもあった。和製で、ToDoがあったり、携帯から利用できたりするらしい。タグがつけられる。同じく和製の「もごもご」というものもあった。とか書いているうちに記事をちらほら見かけるように。さっさと後記に書けばよかった〜。/時間管理に良さそうな「SlimTimer」というのもあった。少し触ったところでは日本語は通るようだ。ブックマークしろと言われる「Open Timer」と呼ばれる小窓があって、そこにタスクやタグを追加する。タスク名をクリックするとタイマーが動き、再度クリックすると止まる。仕事の種類ごとにタスクやタグを作れば、何にどれだけ時間を使ったのか一目瞭然。レポートページで項目や方法を選択すると、一覧や集計が出てくる。これはcsvでダウンロードできる。ユーザに「All」とあって、グループで使えるみたい。APIもあるよん。(hammer.mule)
< http://twitter.com/dgcr >  デジクリの
< http://twitter.com/dgcr/with_friends >  神田さんしかいない……
< http://twitterfeed.com/ >  blogをtwitterに
< http://timelog.jp/ >  今をメモする
< http://timelog.jp/?dgcrs >  デジクリの。まだ
< http://timelog.wiki.zoho.com/ >  TimelogのWiki
< http://mogo2.jp/ >  もごもご
< http://www.slimtimer.com/ >  SlimTimer


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逃避行
篠田 節子
光文社 2007-04-12
おすすめ平均 star
star女三界に家なし

静かな黄昏の国 コンタクト・ゾーン〈下〉 コンタクト・ゾーン〈上〉 天窓のある家 幻夜

by G-Tools , 2007/05/10