デジアナ逆十字固め…[45]リコーGX100+B玉/上原ゼンジ

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ビー玉レンズの描写は想像以上に面白いものだった。中心と比べ周縁部はひじょうに柔らかな描写になるのだが、チープレンズのような嫌な感じの収差はなく、ソフトフィルターのような、甘ったるい感じでもない。すごく上品な甘みと言っていいだろう。

こんな描写になったのはなぜか? ひとつは腐ってもガラスだということ。プラスチックレンズがすべてダメだとは言わないが、今まで私が試してきた安物プラスチック製レンズには、色収差を代表とするB級アングラ風味が漂っていた。まあ、今まではわざわざ、そんな安っぽい描写を追い求めてきたわけだけどね……。

もうひとつはカメラにはタムロンのSP AF90mmF/2.8 Diという等倍マクロレンズを着けていたということ。35mm換算で135mm相当の望遠レンズとなり、レンズのキズや気泡をきれいにボカしてくれた。今まで私が見たビー玉レンズというのは、気泡の感じなんかが出た、いかにもビー玉ビー玉した描写だったので、柔らかなボケ味はこのマクロレンズのお陰と言ってもいい。


では逆に、もうちょっとビー玉風味を出したい場合はどうすればいいのか? 一眼レフ+望遠レンズでボケたんだから、コンパクトデジカメ+広角レンズにすればビー玉の素材感が写るだろう。それとビー玉自体があまりクリアなものではなく、気泡がいっぱい入ったようなもののほうが面白そうだ。

ということで、まずリコーのGX100を買った。焦点距離が35mm判カメラ換算で、24〜72mm。広角側で1cmまで寄れるというのがポイント。あとは着脱式液晶ビューファインダーというのが付いていて、それを着けた時の姿にも惚れた。今後ビー玉専用カメラとしての活躍を期待したい。

気泡の入ったビー玉の方はネットオークションで探してみた。といってもただ、「ビー玉」というキーワードで検索してみただけ……。なんか物置から出てきたのをそのまま出品しているだけ、という感じのものから、業者が300個とかいう単位で出品しているものまでいろいろヒットした。しかし私はそんなに沢山はいらないんだよ。

ちょっとレトロな感じのものが何個かあればいいし、あまり模様がいっぱい入っているようなものも使えない。適当な物がなかったので、レトロな気泡入りのビー玉を出品していた人にメッセージを送り、透明なものを中心に1000円分のセットを作って貰えないかと直接交渉してみた。

そして交渉はあっさりと成立し、入金の翌日にはブツが手に届いた。小玉、中玉、大玉、合わせて20個のビー玉が入っていた。完全に透明なものではなく、薄い色が付いていたり、模様が入っていたりするが、まあそれも味として使えそうだ。

ただ、ちょっと驚いたのは、やたらと気泡が入ったものがあったこと。「ビー玉」の語源として、製造する段階での不良品 →「B級の玉」 →「B玉」、という説があるらしいが、「B玉」にもなれなさそうな、「C玉」クラスの気泡の入り具合だ。製造ミスではなくて、模様としてわざと気泡を入れるなんていうこともあったのだろうか?

●気泡入りレトロビー玉の描写は?

で、早速実験。まずは指で挟んでGX100の前にかざして撮影してみる。オートフォーカスで撮影すると気泡にピントが合い、ただの小さなアワアワの写真になってしまう。そうだ思い出した。このピントのコントロールが難しいから、まず一眼レフで試してみたんだったよ。ほんの少し前のことも忘れてしまっているなあ……。

まあこういう時はマニュアルでピントを合わせればいいわけだ。しかし、片手にビー玉、片手にカメラなので、なかなか操作がし辛い。しばらくモタモタと操作していて気がついた。そうだ、こういう時はカメラを三脚に着けりゃーいいんだよ。いつもながら場当たり的な実験で効率が悪い。

三脚をつけて、カメラが固定されたのはいいが、ビー玉を片手でズーッと持っているというのも、だんだん辛くなってきた。ちゃんとアダプターを工作すればいいのだが、つい横着をしてしまう。そこで、知恵を巡らせた結果、自在クリップを使うことにした。自在クリップというのは、両側がクリップになっていて、その間がグニャグニャと曲がるもの。いろんなサイズのものがあるが、撮影用の小道具として各種取りそろえてある。

文房具屋で買った透明な自在クリップでビー玉を挟んでみたらピッタリだった。もう片方の端で三脚の雲台を挟んでやっとビー玉を固定することができた。これで両手が空いたので、ようやく実験にとりかかれる。

結果を先に言えば、気泡は邪魔だな。ちょこっと入っている分には味になるが、いっぱい入っているとビー玉の向こう側を撮るための妨げになる。気泡がたっぷり入ったビー玉はわざわざ買うようなものではなさそうだ。

それにビー玉についたキズも美しくない。このキズは、味にも何にもならない不要なもの。傷つきのビー玉はきれいに磨き上げたほうがいいだろう。ということは、レンズを研磨するということになるだろうか。レンズを黙々と研磨している自分の姿を想像して、ちょっとうっとりする。今度はレンズを研磨する工具など買わないよう気をつけなければ……。

気泡やキズが目立ちやすいという問題はあるものの、コンパクトデジカメで撮影したビー玉レンズ写真というのも悪くはない。あとは、もうちょっと撮影しやすいアダプターを工作して、少しまともな撮影のテストをしてみることにしよう。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇キッチュレンズ工房
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by G-Tools , 2007/05/10