いきなり「感じた」 〜グレゴリー・コルベール作品展「ashes and snow」を見て
── アライ・マサト ──

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Lalitamba 2: An Uplifting Literary Experienceウィーン少年合唱団公演の入口で配られていた一枚のリーフレットから、偶然の幸運が始まりました。なげなく見た、白いターバンの女性と彼女めがけて飛んでいる大ワシのビジュアルは、クラシックのコンサートかオペラの公演をイメージさせるものでした。裏面に水中を泳いでる象と逆さまに泳いでる人の写真。単純にシルク・ドゥ・ソレイユのようなパーフォーマンスかと!?

A4二つ折りの見開きには、祈っているような少年とひざまづく巨大な象がセピア調の草原で向き合っいる写真。そこにはもうオペラやサーカスとははっきり違う何かが感じられ、ほとんど縁のないお台場へ行くことになりました。

観覧車のすぐ前、ニューヨークのピア54からサンタモニカのピアを経てお台場にやって来た、巨大な船体のようなノマディック美術館がありました。格子状に積み重ねられたコンテナと、正面の太い紙管の支柱が印象的。思わずカッコイイ! 写真展というより鉄製貨物コンテナで構築された建造物全体がコンテンポラリーな雰囲気でした。


少々うす暗い空間の中、セピア調の大型写真(約350×250cm)の一枚一枚に対峙すると、まわりの音が少しずつ消え、静寂な異空間が自然に視覚に入ってきました。ゆっくりと移動しながら、象と人をはじめ、動物と人間の交流が写し出された世界に心地よく同化し、包み込まれていくような感覚を覚えました。歩いていく先にオランウータンとの静かなひとときのショートフィルム(9分)そして、ゆっくりと中央に位置する広いスペースの大きなスクリーンへと続きます。

紙管で造られた円柱の椅子に座り、詩的に流れる動物と交流する究極の光景を60分鑑賞。特に、アーティストであるコルベール本人がアジアゾウやマッコウクジラと、ダンスを踊るかのような海中での映像は圧巻でした。

あのリーフレットにあったイヌワシとダンサーの映像も登場。美しく神秘的な映像で観る者を引き込んで、広場全体がひとつになったような感じでした。映像と交響したサウンドトラックが静かに体と頭を連打しながら。

会場の写真や映像には、タイトル・説明などが一切ありませんでした。ashes and snow(美と再生を示唆する)の言葉の意味もわからないまま、いきなり「感じた」だけでした。

あまりに私的な作品展レポートでは、伝わらないでしょうから、写真・映画・建築・美術・小説が一体となったプロジェクトの確かな情報とコルベールの言葉のひとつを記しておきます。

「すべての動物が共有している言葉と詩的な感覚を探る過程を通じて、私は、人間が動物と調和しながら生きていた時には存在したはずの共通の基礎を再発見したいと考えています。作品のイメージは、始まりも終わりもなければ、こちらとあちらや、過去と現在の区別もない世界を表しています。作品展全体から、驚きと静けさ、深い思考と希望を体験していただけたらと思います。」
(ashes and snow サイトより)< http://www.ashesandsnow.org/
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Ashes and Snow, #2 (Ashes and Snow)チーターが美しかったなあ〜 人間と動物のピュアなハーモニーか…僕の右脳は言葉にならない創造の波動をたっぷり含んで、お台場の乾いた空気に戻りました。出口のショップでカタログでも、とサンプルのいくつかを手に取りため息が。ちょっと高くない!? 迷ったあげく小さな革製カバーの写真集を買いました。「ゾウは大空を飛ぶ」……。

Line Drawing ~右脳くんのドローイング[線をペンで描く・Photoshopで彩る]~【アライ・マサト/イラストレーター】arai-p@pictoration.com
5月の空気は気持ちいいですね〜自転車もゆっくりドローイングもゆっくり。
Line Drawing 右脳くんのドローイング[線をペンで描く・Photoshopで彩る]
毎日コミュニケーションズ刊
< http://www.pictoration.com/drawing/top-d.html
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●「Ashes and Snow」ノマディック美術館・お台場
グレゴリー・コルベール氏が手がけた50以上の大型写真芸術作品や60分間の映画、2本の9分間の映像のエキシビション。ノマディック美術館は建築家の坂茂氏が設計し、写真作品は専用の手漉きの和紙に印刷され、カメラマンの中村宏治氏がゾウやクジラの姿を水中から撮影している。すべての作品は一切のデジタル加工等が施されていない。
会期:3月11日(日)〜6月24日(日)11:00〜19:00 金〜日10:00〜22:00
会場:ノマディック美術館お台場(東京テレポート駅正面のお台場特設イベント会場)
入場料:一般1,900円、高大生1,600円、小中生1,300円
< http://www.ashesandsnow.org/jp/index.php
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< https://bn.dgcr.com/archives/20070320140600.html
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Line Drawing ~右脳くんのドローイング[線をペンで描く・Photoshopで彩る]~
アライ・マサト
毎日コミュニケーションズ 2007-04-25
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Ashes and Snow, #2 (Ashes and Snow)
Gregory Colbert
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Lalitamba 2: An Uplifting Literary Experience Ashes And Snow: March 5-June 6, 2005, The Nomadic Museum, Pier 54, New York City On This Earth: Photographs From East Africa The Photography Book Katlick School



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Ashes And Snow: March 5-June 6, 2005, The Nomadic Museum, Pier 54, New York City
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Ashes and Snow, #2 (Ashes and Snow) Lalitamba 2: An Uplifting Literary Experience On This Earth: Photographs From East Africa Satellites: Photographs from the Fringes of the Former Soviet Union Lachapelle Heaven to Hell (Photo Books)

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