グラフィック薄氷大魔王[95]似た意見
── 吉井 宏 ──

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たぶん、人には二種類あって、「大勢と同じ意見であることで安心するタイプ」と「大勢と同じ意見だとイヤなタイプ」。僕は基本は後者だろうけど、あえてマイノリティになること自体がアイデンティティになってるような人や集団のイヤラシサを感じる場合、「だったらマジョリティのほうがマシだ」と思うへそ曲がりでもある。まあ、マジョリティに反発した人がマイノリティの集団に属して安心するのも、おかしな構図だが。

意見といえば、ブログにはけっこう長い文章を書きまくってきた。僕は「制作記」を除くプライベートに近い「日記」はブログに書かない主義だけど、時事ネタからソフトのマニアック話まで、見返してみるとどれだけ時間を費やしたのか! と思うくらいの数を書いている。「これ書こっ!!」と思った瞬間に書いてきたからなあ。


しかし最近は、制作記以外の長文をブログに書くことが少なくなっている。この連載を始めたことで、まとまった量の文章を書く「出力先」ができてブログに長文を書く意欲が減ったのも理由のひとつだが、一番大きな理由は、おそらくGoogle検索だ。

ブログなどパソコンで書き物をするとき、一応は「思い込みで書いて失敗するのを防ぐ」や「裏を取る」ために逐一いろいろ検索するのが習慣になっている。「こういうユニークな考えや感想を書くヤツは他にいないだろう」が書く動機になることが多いのだが、そのテーマや事象や製品について検索すると、けっこう似た意見がヒットするのだ。

「なんだ、すでに書かれちゃってる。僕独自の見方だと思ったのに。」とげんなりする。似た意見ならまだしも、もっと深くて意外で斬新な意見を見つけようものなら、もうそこで書く気が完全に失せてしまう。専門家誰かがすでに書いてるなら自分が書く必要はないし、あえて書いてパクりと思われるのもイヤだし。そんな思いをしてブログが滞る人は多いんじゃないかなと。

mixiの映画レビューなど、ものすごい。何百人何千人が同じ映画の感想を書いている。感想文はタイプ別に分類できそうだ。ひとつひとつは個人が思ったままを書いてるはずなのに、どんなユニークな感想を書いても、いずれかのタイプに分類できてしまうって、なんかいやだなあ。

インターネットによって誰でも表現・発表できるようになり、個人の意見や表現を直接読むことが可能になった。今まで存在しないに等しかった無数の意見を読めてしまう。人と違ったことをやりたい・違う意見を言いたい指向が強い人には、インターネットが表現のハードルを高くしてしまうかもしれない。まあ、プラス思考的には「ハードルが上がったから表現の質も進化する」とも言えるのだろうけど。むずかしい。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com
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ちなみに、今回はまったく検索せずに書いてみました。たぶん同じようなことを書いてる人がいるんだろうなあ。

オリンパスのショートアニメ、現在2本目が追加されて公開中。3本目は7月後半に更新だそうです。
●オリンパスわくわくタウン
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by G-Tools , 2007/06/27