[2234] 鎮魂と恐怖の夏

投稿:  著者:  読了時間:14分(本文:約6,900文字)


<地獄の忙しさと魔界の暇を行ったり来たり>

■音喰らう脳髄[31]
 鎮魂と恐怖の夏
 モモヨ

■デジクリトーク
 わたしのオンとオフ
 叶 雅生

■デジクリトーク
 デジタルクリエイター的お仕事ください
 八戸 宏

■展覧会案内
 「亀倉雄策没後十年記念展IN銀座」〜知られざる亀倉雄策の晩年の素顔


■音喰らう脳髄[31]
鎮魂と恐怖の夏

モモヨ
< http://bn.dgcr.com/archives/20070703140400.html >
───────────────────────────────────
このところ、個人全集の編纂にかかっていて、それがひとつの山を迎えつつある。そのうえ、生活の煩雑さは従来のままなので、とんでもなく忙しい……気がしている。

気がしていると書いたのは、忙しさというのは、実に人間の情報処理能力だったり、時間管理能力に依存すると私が思っているからだ。スケジュールをきちんと管理していれば実は一つ一つ事案に向かい、対処していけばいいだけだ。

問題は、忙しさにかまけて時間管理から少し手を抜いたあたりから起きる。ある程度のトラブルであれば正常な状態に復することは可能だが、これが一線を越えると大問題。とりかえしがつかない事態を出来する。この事態が始まれば、あとは螺旋を描きつつ落ちて行くだけだ。

個人のスケジュール管理も世の中の大きな動きも似たようなもので、例えば、エコロジーの問題も膝下のこととして考えなければ似たような混乱に陥る。螺旋を描きつつ落下を開始した今、それをもとに戻すのは、そうとうに難しい。異常気象があらわになった今、そのうえに、とんでもない問題が頻出して、今の日本は、すでに螺旋のその最後の一周を落ちていく、そんな段階に来ていると思われる。

政府与党はわざわざ国会の会期を延長して、幾つかの法案を通そうとして参議院選挙の日程をずらしたものの、心急いたものか、結局、せっせと与党の単独採決を連発。こうなると、スケジュール管理を復旧しようとして混乱をさらに酷くする、私の状態に酷く似たものに見える。

「民主主義のルールにのっとってですね、適正に議論をつくしていただいて……」

強行採決のあとで決まって、そんな首相の様子がブラウン管の向こうに眺められる。毎度お決まりのセリフを、いつもの上品さで繰り返しているだけだ。その、いかにも品が良さそうな彼の様子が私には最近そうとうに恐いもの見えている。かつて日本の戦時においてもそんな上品な指導者がこの国を奈落の底に沈めた、そのことをつい思い出してしまうからだ。重要法案を彼のいつもの品のよさで単独採決する、そのこわさを思っているのは、私だけじゃないはずだ。

なにかがおかしい。

国民総背番号制だとか、住基ネットの問題にさまざまな意見が飛び交っていたのは、つい数年前のことである。慎重論が大勢を占めていたはずだ。それが今回の、どうしようもない年金の騒動を機に、どういうわけか待望論が囁かれつつある。こわい。

夏と言えば鎮魂と怪談、恐怖の季節と相場が決まっているが、今年の夏は少し違う、ようである。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/ >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク
わたしのオンとオフ

叶 雅生
< http://bn.dgcr.com/archives/20070703140300.html >
───────────────────────────────────

●オンの日の標準的なわたし

目覚めと同時に仕事に入れるタイプで、「明日の自分のために『少しでも....』作業を進めて一日を終える」が基本スタイルです。

この「少しでも....」が結構お気に入りで、データ名を付けただけの白紙の書類でも作成し、明日の自分の為に「続き」の状態にしておきます。

自分でしかけた罠なのに、「さっやろ〜か〜」の重い腰を感じる事なく仕事の「続き」に入れます。ホント毎回よくだまされる....。

また、「続き」にしておく事で作業をしていない時間に、どうしようかな〜が考え易く、良い感じでお仕事モードを持続できます。

そのように日々の仕事がスタートし、一日中「カチカチ」マウスをクリッククリックが続きます。(夜、妻と子は「まだカチカチするの〜」と聞いてきます....トホホ。)

●オフの日の標準的なわたし

「続き」がないよう朝から満喫! 午前中勝負! といった感じで動きます。日曜大工も庭いじりも、子供とお出かけも、気合い十分。力漲るお父さんって感じ。

そう! 先日は独りツーリングしました。もう10年以上の付き合いの64年製Austin Mini 1275cooper sで西湖を抜け、青木ヶ原を抜け、本栖湖を通り白糸までほぼ4時間。

朝4時出発の為か、ホント気持ち良い景色と空気と時間がそこにあり、お疲れの方にはぜひ! と言った感じでした。カメラのシャッターをタイマーにして、照れながらも記念写真を撮ると一層充実した休日間違いなしです。

こんなオンとオフいかがでしょうか。

【かのう まさお】kano@eurus.dti.ne.p
1967年生まれ。大阪芸術大学卒・泉茂氏(故人)に師事。
1991年よりフリー。主な仕事は、広告・雑誌・小説の挿絵など。
東京都西多摩郡日の出町に住む。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク
デジタルクリエイター的お仕事ください

八戸 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20070703140200.html >
───────────────────────────────────
デジタルクリエイターといっても、大きく分けて二種類あります。まず一つ目は大手プロダクションや制作会社でデジタルクリエイターしてる人。もう一つはいわゆる、まあ、フリーランス。

社員として働いている方は、それなりに大変なこともありますが、とりあえず会社がつぶれるまでは収入は安定しています。かくいう私も今のようにフリーで活躍(?)するまでは、某中小零細写真スタジオでチラシの写真などを撮っていました。

当時を振り返ってみたりすると、上司との確執があったり、何でこんなに働いているのに給料コレポッチなんだと、いろいろ不満もありましたが、とりあえず毎月決まったお金も入ってきて、ボーナスなんかも出て、生活設計はしやすかったです。ローンも組めたし。

ところがフリーランス、これがくせ者でして、売れてる人はもう左うちわでガッポガッポですが、私のような零細弱小フリーランス(ぷう)は日々の生活に四苦八苦しているのです。もう仕事ない時なんて余裕で二〜三ヶ月、電話もありません。ローンなんて怖くてとても組めません。

さて、そんな零細弱小フリーランス(ぷう)のところにも数年に一度、大量に仕事が舞い込むことがあります。まあ、もとが零細弱小なので大量ッたってたいしたことぁないんですが。

某プロダクションディレクターA「今年も例の件よろしくね。」

某広告代理店営業B「TVCM決まりましたのでよろしくー。あ、そうそう、今週中にもう一本決まりそうなので、そっちもお願いしまーッス。」

某広告代理店営業C「例の撮影、来週の月曜日でーすッ。」

某テレビ局担当D「イベントで使うキャラクターのデータあったら送って欲しいんですが」

某プロダクション社長E「CG一本作って。」

うっ! こんなに受けちゃって全部出来るかな?

とはいえ、零細弱小の身としては仕事断るなんてもったいないこと、とても出来ません。その上、以前スケジュールが合わず仕事を断ったらそれ以来仕事こなくなったところもあるので出来るだけ断りたくないんです。

さて全部請けちゃったのは良いけどどうしよッ。と、必死に仕事していると、

某プロダクションディレクターF「以前納品していただいたCG、クライアントさんから修正依頼が入っちゃったんですけど出来ます?」

とか、

某広告代理店営業B「TVCMもう一本お願いしたいんですけど〜。」

と電話が。

うわー、勘弁してくださいぃぃぃ。

ディレクターFさんの仕事は納期を遅らせていただいて、何とかなりましたが営業Bさんの依頼はイベントがらみのCMだったのでどうにもならず、罰当たりにも断っちゃいました。営業Bさん、すみません、この場をお借りしてお詫びいたします。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

さて、業務連絡も終わったところで本題に戻りますと、ことほどさようにフリーランスは地獄の忙しさと魔界の暇を行ったり来たりして一年を過ごしているわけです(暇な時の方が多いような気がしますが……)。

忙しい時は忙しい時で、「時間がなくて遊びにいけねー」とほざいているし、暇な時は暇な時で「金がなくて遊びにいけねー」とのたまっているのです。暇な時くらい旅にでも出て、しっかり充電してくればその後の仕事にも身が入るってモンですが、そこは小心者の零細弱小フリーランスですので、近間をチャリでポタリングするくらいでお茶を濁しちゃうんです。

それに、いっぺんにいろんな仕事が入ると頭の中がゴチャゴチャになっちゃいます。基本は一つずつ仕事を片付けていきたいんですが、それぞれの仕事によってかかる時間が違って、あるものは一か月位かかるし、あるものは一日あればだいたい終わります。

長くかかる仕事に取りかかっている時に、ちょっとした急ぎの仕事が入ると、当然そのちょっとした方をカタしちゃわないといけません。そうすると、頭の中を一度リセットしてちょっとした仕事用に再構築、何度かの直しを経て納品すると頭の中はすっかりちょっとしたモード。もう一度長くかかる方のファイルを立ち上げても、何が何だか分からなくなっているんです。

えーと、このAfterEffectsのレイヤー、何で分けたんだっけ、とか、このMaxのオブジェクト何でこっちのオブジェクトにリンクしてんだ、とか。はてはこのファイルどこ変えたんだっけ? 新しい方で良いような気がするけど、たしか何か新しく変えたところ、NG出たんじゃなかったっけ等々、結局ボケた頭の中が以前の状態になるのに丸一日かかったりします。

もうちょっと、こう、おしなべて来ないものですかねー。などと思ってみるのですが、零細弱小ですのでだいたいの仕事は孫請けの孫請けみたいなもの。ギャラが安いんで数こなさないと食べ盛りの息子二人とカアチャン一人、養っていけません。

それに、こんなに忙しいのもたぶんあとわずか。きっとまた、あの有り余る時間と、減っていく預金通帳残高の日々が戻ってくるんです。それなのに、今日も今日とて、茶の間ではお気楽三人組が夏休みの計画を立てています。

息子B「富士急ハイランド行きたいー。」
息子A「ディズニーランド行きたい。」
カアチャン「ニュージーランド行きたいィ。」

行かねーよ!!!

というわけで、こんな弱小零細フリーランスに愛の手を。

【やえ ひろし】h_yae@sa2.so-net.ne.jp
フリーランスのCG屋兼カメラマン
ホームページ < http://www012.upp.so-net.ne.jp/h_yae/ >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■展覧会案内
「亀倉雄策没後十年記念展IN銀座」〜知られざる亀倉雄策の晩年の素顔
< http://gallery.noevir.jp/kamekura/ >
< http://bn.dgcr.com/archives/20070703140100.html >
───────────────────────────────────
会期:6月25日(月)〜7月31日(火)10:00〜18:00 土日祝17時
会場:ノエビア銀座本社ビル1F・2Fギャラリースペース(東京都中央区銀座7-6-15 TEL:0120-401-001)入場無料
内容:代表作は、東京オリンピック、大阪万国博、ヒロシマ・アピールズのポスターや、グッドデザイン、NTTなどのシンボルマークほか。日本国内はもちろん海外でも数々の賞を受賞。
この展覧会では、期間中三回の入れ替えを予定。
6/25〜7/6 ニコンからオリンピックへ
7/7〜7/20 EXPO'70前後
7/21〜7/31 ヒロシマ・アピールズ以後

───────────────────────────────────
■応募受付中のプレゼント
「デジカメでトイカメ!! キッチュレンズ工房 〜ピンホールに蛇腹、魚眼でレトロでアナログなデジタル写真を撮ろう!〜」上原ゼンジ著
7月6日(金)14時締切です。
< http://bn.dgcr.com/archives/20070628140100.html >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(7/3)

・土日の午後、テレビの「陸上日本選手権」を横目でちらちら見ながら原稿整理していたが、女子のアスリートたちがみんなきれいになったなと感じた。いままで気がつかなかっただけか。そもそも、あんまり陸上競技などテレビで見たことがなかったもの。トラックの選手紹介を見ていると、とくに若い子はみんな普通にきれいでスタイルもいい。肌の露出も激しいな。一昔、いや二昔、数昔前は(そんな表現があるか)こんな華やかではなかった。ワコールの湯田友美を見て、アイドルが紛れ込んだのかと思ったくらいだ。あとで検索したら、この娘、美少女アスリート業界(?)では有名な存在だった。きれいな選手はもちろん無条件で応援したくなるが(悪いか。それが男だ)、美人ではないけど突出して異色のキャラクターをもった選手もいて楽しい。福士加代子である。いつも大口開けてわらっているオバサンみたいな人だ。そして強い。無類の強さだ。先日の5000メートルでは、スタートで転んで最下位から走り出したのにもかかわらず、後半あっけなくトップに立つやぶっちぎりの快走である。しかも、必死の表情は見せたことがなく、いつも笑っている。笑って抜き去る。加えて、インタビューの受け応えがいつも明るくおもしろいことを言う。楽しい人だ。ずっと応援していきたい。二昔前のわたしのアイドルは、いまやすっとんきょーなおバカタレントと化した、マラソンの松野明美であった。風に飛ばされそうな小さな体で健気に走る姿を見て、思わず涙ぐみそうになったものだ。それが、いまはアレだからな。妻は、松野がクイズ番組などに現れると露骨にいやがって、チャンネルを変えそうになる。わたしだって、こいつが出てきたらテレビを消す、ってほどきらいなやつがいて、じっさいそうしているんだから(ばかだね)死ぬまで好き嫌いはなおらない。(柴田)

・八戸さんのコラム。自分が書いたものかと思ったわ。特に「忙しい時は忙しい時で」のあたり。そうなのよねぇ。/マクドナルドのホットコーヒーがおかわり自由って知ってた? 時間帯や店舗によって違うらしいんだが。それってミスタードーナツのこと? と弟情報を疑っていた。頼んだことないって言うし。公式サイトにそんな情報はないので彼の意見を却下していたら、情報の裏付けになるサイトをわざわざ検索して提示してきた。しかし彼の無実を知っても謝罪せず、おっ、後記ネタゲーットと喜ぶ姉。読んでいないのはわかっているから、ここに書く。すまん。/姉妹誌「写真を楽しむ生活」で新刊書を紹介しているのだが、洋書だと情報収集に苦労する。本を買わない人でも楽しめるように、できれば中身が一部でも見られるサイトや作家の公式サイトを紹介したいし、経歴や作品、その書籍がだいたいどんなものかわからないと紹介自体ができない。まず自分で紹介文を素読みをして雰囲気を掴んだ後、誤訳がないかを自動翻訳サイトで試してみる。微妙だなぁと思ったら、辞書や別の自動翻訳サイトの助けも借りる。ドイツ語あたりだと自動翻訳サイトだけでは、その自動翻訳自体が正しいどうかすらわからないから、いくつものサイトを渡り歩くことになる。でも紹介文自体はせいぜい三行なんだよな〜。写真集や写真に興味のある方はぜひ読んでみてね。(hammer.mule)
< http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1311097973 >
おかわりできます
< http://bluealcohol.blog23.fc2.com/blog-entry-269.html >  質問ある?
< http://www.dgcr.com/photo/regist.html#on >  登録はこちらから

photo
30日間マクドナルド生活―自分の体で実験してみました
マツモト ケイジ
祥伝社 2006-05
おすすめ平均 star
starオチがない
star問題なのは・・・
starすげえよ、この人。。。
star映画に感化されて
starけっこう夢中で読んじゃいます

おとなの自由研究 ロト6で3億2千万円当てた男の悲劇 ココロミくん コラム息切れ しろねこくん

by G-Tools , 2007/07/03