うちゅうじん通信[3]秘伝、瞑想と読書と技法とコンセプト作り。
── 高橋里季 ──

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今回は、毎日の瞑想の仕方について、書いてみます。瞑想の準備としての読書の仕方は、前号を読んでね。
< https://bn.dgcr.com/archives/20070629140300.html
>

夜は日常的に読書などしつつ、眠りに落ちるまでの30分くらいを瞑想で過ごします。普通に仰向け状態で。目をつむると、たいがいは真っ暗闇にはならなくて、白い点とか、色のついた点とか見えるでしょう? 音も、ものすごく静かなときでもシ〜ンって音がするでしょう? それで、その見えるモノを見て、聞こえる事を聞く訳です。

毎日やっていると、毎日ちがいます。で、ずっと続けていくと、前に見た事のあるパターンっていうのがわかるようになります。


瞑想のはじめに、身体とか神様(宗教ではなくて、なんとなく神様)に「今日一日ありがとう。」とか思っていると、身体の力が抜けて来ます。「今日一日やれやれでした〜。」とか思う事も。感謝しなくちゃ、とかあんまり思わないで、神様に話しかける感じで、身体の力を抜いていきます。

話しかける相手は、今日はケンカしちゃって瞑想ができない! なんて事のないように「神様」がいいかな。「神とは何か」が気になる人は、何か気にならないモノとか見つけてね。たとえば「DNA」とか「御先祖様」、、、呼び掛けやすいのがいいと思うけど。

この「相手」を決めておかないと、不思議な事が起こった時に、ちょっと恐くなって瞑想中断って事態が何回かあったので、大切かも。と思います。この方法は、自分探しっていう感覚だと、うまく進まないのかも。「見えている闇」と「見ている自分」をはっきり分けておきます。

で、ぼんやり瞼を閉じた闇を見たり、空間の音を感じたりします。これは、デッサンに似ているかな。「この重さは描いた事があって、次に私はどの部分を見るか、勝手に手が動く。」とか。この光の角度だったら、この空気は後で消す事になるけど見ておけばいいとか。光や空間の響きと一緒にいる感じで。デッサンの時は、日常では気がつかないような淡い影の形とか、見えて来るじゃない?

そんなふうに、闇の中に、 ……あ、ハチの巣みたいのが見える。次は、ぐ〜んと高い。なんだろう、ビル? ……っていう感じで光を見ています。そういう時に、「ハチの巣は自然で、人が作る高層ビルは自然じゃないんだろうか?」とか思う。ラスコーの壁画と、現代のCGは、、、 で、眠っちゃってOK!

で、次の日あたりに、ふっと思いつくの。答えを。

瞑想中に、また同じ光のパターンに遭遇すると、二日目には、「あ、破壊だ。破壊行為なんだ。巣も高層ビルも、どっちもたぶん、破壊行為だ。」と言葉が勝手に思い浮かぶ感じ。「自然を破壊しているわけではないんだけど、、、」

その考えが、コンセプトのキーワードに成り得る時の闇に見える光のパターンというのがあって、それは、昼間見たテレビニュースの映像の記憶や、本に書いてあった事や、自分の気分に由来するパターンとは明確に違うわけです。

それにしても、「巣も高層ビルも破壊だ!」って、自分でもなんのことか、さっぱりですわ。最初の読書のテーマだった「ロハス」とか、全然関係ないって感じになってな〜い?

「自らを世界に近づけてはイケナイ。世界を自らに近づけなさい。」by道元
(この言葉が好きなだけで私は座禅の経験なし。でも瞑想は大好き)

そして、もうすぐ私は瞑想によって、気付く事になるわけです。「私が、絵をデフォルメするのは、破壊への欲動の表現かもしれない。」って。

毎日少しづつ、コンセプトのヒントが出て来るので、だんだん楽しみになってきます。忘れないように、「巣も高層ビルも破壊」って、ノートに書いておく。私ったら、何を破壊するのかな〜? まだまだ自分では考えつかないような展開に話が進んで行くのでした。つづく。

【たかはし・りき】riki@tc4.so-net.ne.jp
イラストレーター。
ジュエリーマキ、カメリアダイヤモンドのCMが好き。「愛の大きさ ダイヤの重さ」っていうコピーの。
・高橋里季ホームページ
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▼わたしは「愛をあげる。ロレックスをちょうだい。」というモンデール銀座の広告がきらい。(柴田)