グラフィック薄氷大魔王[98]iTunes、CD変換の歴史
── 吉井 宏 ──

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2月の「ハードディスク昇天三連発」でiTunes用のHDDが飛んでしまい、現在、全CDをiTunesでまたAAC変換している最中。実は、これで6回目。持ってるCDの数は、よくわからない。1096枚入るCD棚からはみ出した分はボックスセットやケース無しで箱に入っていたりファイルケースに入れてあるなど散在。たぶん計1500枚程度だろう(「数千枚」と書いてたときもあったけど大げさでした)。


<1回目>
1999年、話題になっていたMP3をやってみたくてThinkPadを購入。MacでMP3はまだ一般的じゃなかったのだ。使ったのはMP3 Jet-Audioというソフトと初代Rio。わざわざWindowsマシンを買ったのに、MacでもMacMP3というソフトが出てきて、とりあえず最低限の環境は整い、さっそくCDをMP3変換しはじめた。当時はCDDBみたいなものがなかったので(あったかもしれないけど知らなかった)、アーティストや曲名などを全部自分で打ち込まなくちゃならなかった。これは大変な作業。百数十枚で放り出した。こんなに面倒なら、CDで聴くほうがマシだ。

<2回目>
2001年にiTunesが登場。iPodも発売日に購入。CDDBから曲名を取得できるようになったこともあり、変換に再挑戦。ところが、ちょっとマイナーなCDはCDDBにデータがない頃だったので、やはり自分で打ち込まなくてはならず(CDDBに多少は貢献したわけだが)、全体の数分の一で挫折。

<3回目>
2003年、この頃になるとたいていのCDがCDDBに登録されていて、自主制作CDやノベルティCDなども自分で打ち込まなくてよくなった。登録されてないのは200枚に1枚程度。作業は飛び飛びに数ヶ月かかった。どこまで変換したかわからなくなるのを防ぐため、ケースに赤丸のシールを貼り付けてチェック。デスクトップG4は変換がむちゃくちゃ速かった。たぶんCPUスピードよりCDドライブの回転数が影響するのではないかと。35倍速〜40倍速で変換。次に変換するCDをケースから取り出して用意してる間に終わってしまうほど。この時は、タイトルがなじみのない英語になってしまうクラシックのCD以外はほとんど変換を終了した。

この頃まで変換品質はデフォルトの128kbpsだった。音質は多少落ちるが、CD一枚が40〜50MBなのでHDDにたくさん入る。同じ容量でもmp3とAACでは明らかにAACのほうが音質がいいのはわかった。ただし、賑やか大音量系の音楽ではハイハットの音が歪んで派手に浮いてしまうので、そうなりそうなCDだけは160kbpsにした。

<4回目>
2005年。高級ヘッドホン・イヤホンがブームになりはじめた頃。高級じゃないけどSONYの定番モニターヘッドホンでよく聴いてみると、192kbpsで変換したものは確かに音がいい。僕の耳ではCDとほとんど区別つかない。また、iPodの液晶がカラーになり、ジャケット画像をつけたくなったこともあり、また全変換に取りかかった。MacとPC取り混ぜて4台のマシンをフル回転で変換。入れては出しを絶え間なく繰り返す、ダビング工場もかくやという目まぐるしさ。この作業をやってるとトランス状態になる。すごい気持ちイイ。済んだCDには青丸シール。

変換そのものは時間はかからなかったが、ジャケット画像の取り込みが大変。A4スキャナではCDジャケットがいっぺんに2枚しかスキャンできないのだ。そしてPhotoshopで切り抜き調整、アーティスト名などをファイル名にして保存。iTunesでアルバムを探して画像をペースト。もちろん、ジャケット画像を探してくれるソフトを使ったりしたが、見つからないもののほうが多い。

そうやって、前回同様にクラシック以外は全部変換し、ジャケット画像を貼り付けるのも半分くらいまでやったところで、大問題発覚。曲の一部にブチッというノイズが入ってるものをいくつか発見。元のCDを確認してもノイズはもちろんない。おそらく詳細設定の「エラー訂正」をオフにしていたからだろう。オンにしたら同じCDでもノイズは入らないようだ。また、性能の悪いドライブが混じっていたかもしれない。ごく一部のCDだとしても、どこかにノイズ入りというのは気持ち悪い。

<5回目>
2006年。ノイズ入り問題のため、せっかく全変換したものがキズモノっぽく思えてしまい、大切なライブラリーという気がしない。HDDのバックアップを取ってなかったのもそのためだ。しょうがないので、あせらずいこうと一枚ずつまた変換し、数十枚単位でジャケット画像を処理しはじめた。二枚目の赤丸シールを貼って確認。そうやって半年くらいかけて数百枚を処理したところで、例のHDDクラッシュで全部パー・・・というわけです。

<現在進行中の6回目>
今度こそは最後の変換にしたい! ってことでいろいろ工夫中。新しく緑丸の変換済みシールを用意。iTunes7ではジャケット画像は必ず入れたい。9枚のジャケットを正方形に並べ、変換した順で一枚ずつデジカメで撮り、iPhotoに読み込む。iPhotoの編集機能を使って補正と切り抜きをしておく。で、iTunesにドラッグして画像を貼り付け。

この方法だと、iTunesで「追加順」、iPhotoで「撮影順」にソートしておけば、流れ作業でジャケット画像を処理できる。なので、CDを変換済み順に棚に並べている。こうしておけば、後で探す手間なくジャケット作業もマイペースで可能(iTunesにもジャケット画像を取得してくれる機能があるけど、ないものが多い)。

あと、iTunesやiPhotoで、Option+起動でライブラリ選択できることを知ったのは大きい。というのも、通常使用でいろんなものがゴチャゴチャに混在するiTunesライブラリに1000枚以上の取り込み作業をおこなうと、もうホントにわけわからなくなる。今は3つの2.5インチ外付HDDを用意し、ポッドキャスト用・MP3.com保存用・CD変換&ダウンロード購入を別々のライブラリにしている。

それと、今まではCDDBの曲情報やジャンルなどが間違っていたり不満な場合、その都度自分のファイルだけは書き換えていた。ファイル名やフォルダ構成も同様。それがファイルが混乱する原因になることがあるので。今回は全部を変換し終わってから書き換えることにするつもり。もちろん、ちゃんと別HDDに差分バックアップしてます。

ところで、プラスチックケースを捨てて不織布にディスクとジャケットを入れる作業も同時進行中。今度こそ、変換が終わったらCDは箱に詰めて封印しちゃうつもり。買い取りは安すぎるので売らない。そのうちまた再変換するだろうし。困るのは規格外サイズ。エコの紙ジャケ、紙ジャケ+トレイのタイプのものは厚みもたいしたことないので、まあいい。規格外の大きめの紙ジャケや紙箱にゴチャゴチャおまけが入ってるピチカート・ファイブの後期のアルバムが一番の困りもの。そもそもCD棚に収まりもしなかった。分離して保存するかあっさり捨てるか。前にも書いたけど、CDでも年賀状でも、規格サイズを無視するのはカッコよくて目立つかもしれないけど、規格サイズのものが集合体として存在することを無意味にする破壊的行為だと思う。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com
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最後に買ったCDって何だっけ? 日本でiTunesストアが始まって以来、CDはたぶん一枚も買ってない。CDをずっと買っていたあるレーベルがダウンロード販売可になって以降、それまでに買ったCDがモノとして宙に浮いた気分。音は新旧ともにiTunesライブラリに入ってるから、CDの樹脂と紙が「捨てられないやっかいな余分モノ」って感じがしてしまう。僕のCD時代は完全に終わりました。オリンパスのショートアニメ、現在2本目が追加されて公開中。3本目は7月後半に更新だそうです。
●オリンパスわくわくタウン
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by G-Tools , 2007/07/18