今度はフランスのアートフェアに出陣
── 筒井海砂 ──

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みなさん、こんにちは。これまでニューヨークとロサンゼルスでの展示会活動について何度かお話させて頂いた筒井でございます。実はほんとにもうすぐなのですが、8月29日から4日間行われるフランスのアートフェアに参加します。初フランスです。初ヨーロッパです。き........緊張しまくっております。

『次はフランスへ』そう考え始めたきっかけは、昨年7月のニューヨーク。生まれて初めての海外個展で多くの人に同じコメントをもらいました。「君はパリへ行ってみるといい」。

半信半疑ではありましたが、お調子者の私がそれを真に受けるのに時間はかかりません。すぐさまネットで情報を収集を開始し、4か月後には具体的な話が進み始めていました。


ねこまた妖怪伝情報が増えるに従って、パリとニューヨークの違いが分かってきます。ニューヨークで個展を開く事は実はそう難しくありません。それは日本と同様に貸しギャラリーが沢山あるからで、若い無名の作家であっても資金と行動力さえあれば「ニューヨークで個展」というのは極めて近い距離にある夢と言えるでしょう。でも、パリは基本的に貸しギャラリーがありません。フランスで活動するにはそれなりのコネや知恵者の手助けが必要です。

私がギャラリーのサイトを探すよりも前に、まずコーディネーターを探したのは単に「言葉の壁」があったからなのですが、結果的にそれは正攻法でした。また、一番最初にコンタクトを取ったコーディネーターIさんが、パリのアート業界に精通しており、なおかつ幅広いコネと知識を持つ人だったことは、我ながら本当にラッキーだったと思います。相変わらず私の「出会い運」は強大です(笑)。

コーディネーターIさんとの最初の顔合わせで「筒井さんはどういう方向で活動したいの?」と聞かれました。当初なら「パリで個展」と即答したでしょうが、実際の私の答えは「アートイベントに出てみたいです」でした。私の興味を個展からイベントへ向かわせたのは昨年11月に参加したロサンゼルスのJapanExpoです。このイベントの詳細は以前のデジクリ記事をご覧下さい。
< https://bn.dgcr.com/archives/20070327140200.html
>

ギャラリーで行なう個展やグループ展は、作家がギャラリーにいる必要がないため、レセプション以外で絵を見た人のリアクションを知ることは出来ません。一方、ブースに居たいだけ居られるイベントは、見た人の感想や表情をダイレクトに受け取ることが出来ます。私にとって、それがどれだけエキサイティングなことだったか、言葉で説明するのは難しいくらいです。また作品の販売実績も良く、予想していなかったビジネスチャンスがあらゆる方向からやって来ました。

ギャラリーにはギャラリーの、イベントにはイベントの良さがありますが、私の性格と作品はイベント向きなのではないか、それをフランスでも試してみたいと思ったのです。

アートイベントで最もポピュラーなのは、バーゼル、FIAC、ARCO、アーモリーなど歴史も権威も知名度も高いアートフェアです。でも、これらのアートフェアは運営側に参加を認められたギャラリーだけが自分のお抱えのアーティストを選んで展示出来るので、何の知名度もない作家が個人で参加出来るものではありません。

ギャラリーも高額な参加費を支払って出展するので、自分達が本当に自信を持って推薦出来る作家だけを集めます。それだけに世界のアート業界の指向やアーティストのランク、絵の価値まで左右してしまう巨大なマーケットで、私にとってはまさに「論外」なイベントです(笑)。

では、コーディネーターIさんが私に向いていると判断した「GRAND MARCHE D'ART CONTEMPORAIN(以下GMAC)」とはどんなものかといいますと、簡単に言えばアーティストの青空市場。広場に設けられた特設テント内にブースが作られ、審査を通過したアーティストはブース料を支払って参加します。審査はありますが、アーティストの知名度や画風には殆ど制限はないようです。なにせGMACはコンテンポラリーアートのイベントなのに、私の作品が審査に通るんですから(笑)。

GMACはフランスでこのようなイベントを年に数回、バスチーユ、ベルシービレッジ、シャトー、バルボンヌの4か所で行なっています。
詳細:< http://www.joel-garcia-organisation.fr/
>

私が参加するGMACが行なわれるバルボンヌは、コートダジュールのニースとカンヌの中間にある小さな町で、日本では殆ど知られていませんが、欧州の人にとっては夏のバカンスを過ごす高級リゾート地として有名だそうです。

日本人に知られていないということは、ネットでも情報が見つからないということ。私自身もいまだにどんな町で、イベントはどんな規模なのか、殆ど分からないまま出陣することになります(笑)。

フランス語の習得は、はなから諦めました。フランス語のポートフォリオは何を書いているか自分でも分かりません。皆から「フランス向き」と言われても、フランス人がどんな絵を好むのか知りません。傾向と対策など考えられるはずもなく、出発直前となった今でも本業に追われて時間が過ぎて行く毎日です。

一体どんなハプニングがあるのか、どんな新しいことに出会えるのか、不安を語り始めれば何時間でも喋れそうな状態ですが、それと同じくらいワクワクもあります。

このワクワクがたまらないから海外活動は止められないのです(笑)。

【つついみさ】< http://www.seasand.net/
>
2005年でフリー10周年を迎えてしまったイラストレーター。実は10月にはバスチーユ(パリ)のGMACにも参加する予定。仏語でMISAは「ミザ」と発音されるため、MISSAと表記するらしい。ミッサーの現地生レポートはblogで!