デジアナ逆十字固め…[56]真夜中のライトセーバー
── 上原ゼンジ ──

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この夏は地味に忙しく、土日もお盆もなく仕事をしていた。いろいろとやりたいことは溜まっているのだが、なかなか時間がとれずにいる。時間が空いたらまずやりたいと思っているのは、透過光による撮影装置の工作。これはこの間試してみたのだが、ちょっと本腰を入れてやってみようかなと思っている。

透過光による撮影というのは、向こうの方から透き通ってくる光を使って何か撮影できないかということだ。たとえば植物とか色のついたガラスとか……。メダカぐらいであれば透過光で撮影できるかもしれない。すごく明るいライトボックスのようなものが作れないものかと考えている。

カラーマネージメントのテスト画像用に彩度の高い写真を撮影したいのだが、透過光だとけっこう鮮やかな写真も撮れるので、そっちの方の仕事にも使えるんじゃないかというもくろみもある。それから万華鏡写真が撮りたいと思っているので、その照明用にも使えそうだ。


あとは歪んだガラスによる撮影。これはコップの底で撮影してみたら、味のある写真が撮れたので、底の部分だけを切り離して、ふだん持ち歩きたいと思ったのだ。そして、ネット通販でボトルカッターなるものを買った。ところが、私が切ろうと思っていたコップは小さく、ボトルカッターではそのコップを切ることができなかった。

というようなことを、この連載で書いたら、親切な方からガラスの切り方を教えていただいた。しかし、余計なものを買ってしまったショックから立ち直れず、コップ方面には最近近づいていない。

しかし、諦めたわけじゃあないんだよ。むしろ歪んだガラスへの思いは募る一方だ。そしてまたいいことを考えついたのだ! っていう話は書いたっけなあ。しばらく工作の話を書いてなかったので忘れてしまった。

そのいい事とはだねえ、火でガラスを焙るんですよ! という話はすでに書いたな。思い出した。しかし、ただ焙るんじゃなくて、粉々に砕いたガラス片をガラス板の上にまぶして焙ったらどうなるだろうか? ガラスが溶けてうねうねになるんじゃない?

ということを考えて、すでにチャッカマンが買ってある。いや、チャッカマンじゃないね。「ウインドガードターボ」という製品だ。341円。最初はバーナーを買おうかと思ったのだが自重した。いちいち思いつきで変な道具ばっかり買っていてはダメだ。安いもので工夫をしなくてはいけない。

しかし、これで本当にガラスは溶けるかなあ。こういうものはあまり長時間、つけっぱなしにしておくと危ないんだよな。と思って注意書きを見てみたら「10秒以上連続で使用しないでください」とある。ううっ……、また余計なものを買ってしまったか。

そうそう、昔友達がライターを長時間つけていて大変なことになったのを思い出したよ。その日、僕たち仲良し三人組は、建築中のビルに深夜侵入したんだ。別に悪いことをしようと思ったわけではなく、ただ探検をしに入ったんだけどね。

中は暗かったので、友人Aは懐中電灯代わりにライターに着火した。そして何分か経った頃、ライターがチュプチュブと変な音をたて始めた。さらに時間が経つとライターは微妙に変型し始めた。そして上の金具の部分がポトリと落ちてしまうと、ライターからは火柱が上がった。というかスターウォーズのライトセーバー状態ですね。

2メートルぐらいは噴出していたかなあ。ライターが火炎放射器のようになることを、この時初めて知った。ライターを持っていた友人はゆっくりと窓に近づくと、外の様子も見ずに放り投げてしまった。無茶をするヤツだ。ライトセーバーはビルの5階からゆっくりと落ちていった。サヨーナラーーーー。

ここでの教訓は、ライターは長時間つけっぱなしにすると危ないよ、という話だ。ウインドガードターボの場合も同様、気をつけることにしよう。

●半球ミラーで世界を写す

本が出てから、「こんなのも面白いんじゃない?」というアイディアもいろいろもらっている。その中のひとつに、凸面鏡を使って撮影するというのがある。身近なところで言えば、バックミラーとか、カーブミラー。それからステンレス製のボールなど。これらに映る世界を撮影すれば、魚眼レンズもどきの写真が撮影できるというわけだ。自分でも街中でカーブミラーを撮影してみたことはある。

クロワッサン 共柄 レードル(大) CRT-01忙しくて試してはいないのだが、この撮影に使えそうな道具はすでに用意してある。「共柄レードル120cc 525円」だ。フランス料理の厨房で使っていそうな「お玉」のことだ。液状のものをよそうと、ちょうど120cc掬うことができるという便利な製品だ。

これを発見した時は、小躍りし(というのは大げさ)、真剣にどのサイズがいいか考えた(小さいものから、大きなものまで各種ある)。そして最適と思える120ccのものをセレクトしたというわけだが、これを片手に撮影するというのは、あまり格好良くはなさそうだよな。というか、メチャクチャかっこ悪いといっても過言ではないだろう。しかし、カッコイイだの、カッコワルイだの、俗なことに囚われてちゃいかん。

凸面鏡を撮影に使うというのは、かなり昔から行われていたようだ。魚眼レンズが現れる以前は雲量の測定にも使われていたらしい。雲量というのは、全天に占める雲の割合のことで、快晴とか曇りとか天気の判定に使っていたようだ。

実際にどんな風に撮影したのか、ネットで調べようとしていたら、そのものずばりはヒットしなかったのだが、KAIDAN社の「360 One VR」という製品が引っかかった。これはミラーを使って一発で360度の世界を写してしまうものだ。さらに専用アプリケーションを使うことによって、パノラマ写真のように見せてくれる。

このKAIDAN社というのは、パノラマ写真用の特殊な雲台なんかを提供しているメーカーだが、この「360 One VR」というのも、不思議な形をしていて、ちょっと購買欲をそそられる。Photowarp 2.5という専用ソフトがついて749.95米ドルだって……。まあオレは、お玉でガマンしとくか。お玉で……。

◇360 One VR Forum
< http://www.kaidan.com/Detail.bok?no=101
>

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジ写真研究所
< http://www.maminka.com/zenlab/top.html
>
「カメラプラス トイカメラ風味の写真が簡単に」(雷鳥社刊)
< http://www.maminka.com/toycamera/plus.html
>





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by G-Tools , 2007/08/30