ローマでMANGA[4]「日本の新人賞に殴り込み!」コースを実現させよう/midori

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●さぼったわけじゃないけどさぼっちゃった

デジクリに「ほぼ月一」で再寄稿し始めて三回目にてダウンしてしまって、みなさま、ごめんなさい。

言い訳をしますと、6月は酔狂で始めたグラフィクデザインの学校通い三年目で、最終学年の最終月でありました。三年時は講師が三人になり、それぞれがクラスごとにデザインスタジオであるかのような課題を出してくれました。

一つは「出版」で雑誌レイアウト。クラスで雑誌一冊を作る。個々が雑誌の一アイテムを担当する。もう一つは「広告」で、文化庁がクライアントということで青年層に博物館・美術館に興味を持ってもらうキャンペーン。個々でキャンペーン内容、ロゴ、マークを考えて必要な広告媒体に仕上げて提出。最後の一つは「マルチ・メディア」。学校がクライアント(これは本当)で、各コース三年生の作品集をフラッシュでCD制作。

全部が同時進行で、6月は大詰めでかなりきつかったです。本職の方のご苦労を仮体験しました。

7月6日に無事卒業試験が終わり、ならば、デジクリの原稿を書けるだろう……とおもいきや、学校の課題に時間を取られたためにおろそかにしていた、もろもろの家事、若干の仕事の整備に追われました。おまけに、ダンナが7月末の自分の誕生日に庭での大きなパーティを企画したため、そのための庭の整備に追われました。

そうしたイベントが済んで、やっと夏休みらしくなりました。


●不調な出だし

さてさて、前回までのあらすじ、覚えてますか? 日本の漫画界にイタリア人の漫画家志望者を送り込む壮大な企画を立ててしまい、とりあえずそのとっかかりとして、降ってわいたような講談社「モーニング」の国際新人賞にティーナとシルビアを押したところでした。

5月31日締め切りの新人賞がまず最初のとっかかりと、わくわくしていたけれど、結局ティーナがだめ、そしてシルビアも仕事が入ったので時間がない!とメール送って来た。「仕事でよかったね」と返事をしたけれど、実はとてもがっかりしてしまっていた。

二人とも絵がうまい。ぱっと見て違和感を感じない。キャラが大人っぽくなりすぎることと、表情が今ひとつだけど、基礎があるし、たくさん描くうちにコツをつかむだろうと思っていた。まだヨーロッパ風をそのまま受け入れる準備がない日本の漫画市場に、入れる柔軟性を持った二人だと思っていたから。

でも気をとりなおそう。
「日本の新人賞に殴り込み!」コースを実現させよう。

●企画書を作る

この提案を企画として格を上げようと、よそ行きを着せることにした。つまり、ちゃんとレイアウトした8ページの企画書を二冊作って教務課長と校長に提出したのだった。8ページの企画書といっても、びっしり書き込んだわけではなく、画像をふんだんに入れたビジュアルなものにした。「殴り込み」なんて言わずにおとなしく「MANGA工房」とした。

以下のように項目ごとにわけた。
1.「La situazione interna(国内の事情)」
イタリア国内で日本のアニメ、マンガを見て育った若者が漫画家になりたいという夢を持つ背景。でも、日本の漫画が好きな漫画家志望者は、イタリアにも日本にも受け入れられない孤児。

2.「Gli "ingredienti"(『材料』)」
材料である学校を持ち上げ、私をアピールした。美術学校に勝るとも劣らない教科をそろえて学生の基礎作りをしっかりする学校に、イタリアと日本の事情をよく知る私の組み合わせを生かしましょう。

3.「Lo scopo ovvero la speranza (目的、あるいは希望)」
実際に日本の新人賞にすぱっと通って、デヴューにつながるとは思っていない。でも、イタリア人作家の作品が日本の編集者の目に触れることは間違いない。まずそれが大事。そして一番大事なのは、新人賞に応募することを口実に、彼らの作品が世の中に出現すること。

4.「Altre situazioni - mercato nipponico -il momento buono- (もう一つの事情/日本の市場/時期到来)」
日本の漫画界はもう出尽くした感がある。何か新風を求める下地ができたのではないか。そのせいか、ヨーロッパマンガ(主にフランスのもの)を好む人や、研究会のようなものが生まれているし、翻訳物が少しずつ出ている。モーニングの「国際新人賞」という、マンガ史上初めての賞が出た。日本側でもヨーロッパの作風を受け入れる時期が近づいているのではないか。

5.「Il contenuto del laboratorio(工房の内容)」
10月から翌5月まで、週に一回三時間。「授業」ではなく、作品制作の場。私は講師ではなく「編集者」の立場をとり、サジェスチョンをする。

よそ行きが功を奏したか、教務課長も校長も気に入って、あっけなく採用となった。私も交えた三者会談で、三年生と卒業生を対象にすることと、有料にすることを決定。私への報酬もあるから有料はしかたないか。支払うことで参加者の「義務感」も増すだろう。

変だと思うかもしれないけれど、義務教育機関ではない、好きだから来てるはずのマンガ学校なのに、ちゃんと課題をやらなかったり、さぼろうとする学生がいるのだ。

さらに、校長からフィレンツェ校でも開講しようという提案さえあった。ここまでは大成功ではないか!!

さ、行動を起こすのみだ!

【みどり】midorigo@mac.com
ここでも紹介した「MANDALA」の2号も出ることになって準備中。ここだけの話、2号に間に合うかどうかわからないけど私もショート作品を準備中。MANDALAのことでDMしたまつむらまきおさんが「みどりさんも参加なさるんでしょ?」と書いてくれたことがきっかけ。「はい、外部編集者で…」と答えた後に、そか、私だってマンガを描いていいんだ…と考えがめぐり、その後5月20日にテーマが啓示のごとくおりて来たのでありました。マンガの講師をしてても、自分の作品になるとコマ割りに時間食っちゃって。

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