ネタを訪ねて三万歩[32]色々使い倒しているとストレスとパニックの塊になる
── 海津ヨシノリ ──

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●キーボードの位置でパニック

夏休みは、前回お話したMS-Wordの完全原稿をInDesign化する仕事やMicrosoft Expression Design三昧の生活などで、ほとんどWindowsマシンを使っていました。その結果、キーボード・ショートカットがメタメタになってしまいました。ただし私の言うショートカットは、カット&ペーストといった基本的な処理を指します。それ以上コアな処理は覚える気がまったくありません。アプリケーションで完全に共通なものだけを覚えるようにしているからです。ローカルルールを全て覚えるなんて「あり得ない」ですから。

それなりに使い込んでいるソフトでも、暫く使っていないと部分的に処理を忘れてしまいます。頭悪いのでそんなに色々と覚え込めないというわけです。さりとて、ガンガン使っているソフトでもWindowsとMacintoshのように、プラットホームが異なってしまうと、全く違うのがストレスの元。

例えばカット&ペーストはMacintoshなら"command C"、Windowsなら"control C"といった具合。一見覚えやすいものの、実際には、Macintoshの"command"の位置がWindowsでは"windows"。Windowsの"control"は、Macintoshでは"caps lock"というわけで、無意識にムチャクチャなキーを選択してしまい、予想外の処理結果が画面で発生してパニックというわけです。


有事に備えてマウス操作を覚えておいた方がいいかも知れません。もっとも、先方のマシンを使うといった状況で、マウスを操作することはあります。ただし、こみいった処理を行うことはほとんどありません。そのくらいであればマウスでも困りませんが、こみいった処理だと焦ってしまいます。ですから、細かい処理を先方で行う場合は、タブレット持参で出動します。先方のマシン環境ではないと困るという場合が意外とありますので。ただし、ノートパソコンのタッチパネルが私は完全にダメです。あれだけで作業をしなくてはならないとしたら無条件降伏してしまいます。

●タブレット忘却事件

パニックで思い出しましたが、8月に行われたセミナーで、とうとう恐れていた事故発生。なんと、タブレットを忘れてしまったのです。頭の中が真っ白になり、暫くぼう然としてしまいました。近くにショップがあれば買いに走っていたでしょう。こんなことにならないように、普段は初代intuosをバッグに忍ばせているのですが、セミナーや講義用に新しくゲットしたintuos3を色々と使い回していたことがミスでした。いや、注意していれば済むことですが、タブレットはいつもカバンの中にあると、条件反射的に勘違いしてしまったことが原因でした。

まっ、私自身がかなり「そそっかしい」のは確かですが、習慣の悪影響といったことにしておきましょう。結局、マウスをお借りして悪戦苦闘してしまいましたが、私のマウス操作を見るということは、かなりマニアックなシーンかもしれません。そのくせ、大昔の角形純正マウスが未使用で幾つかストックしています。ただし、我が家では既にADB仕様のMacintoshが現役ではないので、なんの為のストックかわからない状況なのが笑えるオチなのですが……。

タブレット事件の後に、大学の講義でタブレット携帯未遂事件を起こしています。駅までいって電車に乗ろうとしたときに気がつき、家族に持ってきてもらいましたが、もうこうなってしまうと再発防止を徹底させなくてはなりません。昔はマイボトルのように大学にFavoを据え置いていましたが、結局カバンにはintuos3を入れっぱなしにし、自宅ではintuosを使うことにしました。実はこの小型のintuosがWindowsのノートマシンに繋がっているのです。というわけで、色々な環境を使い倒していると、ストレスとパニックの塊になるというお話でした。

もっとも、昔のように突然システムがダウンしたり、意味不明の爆弾マーク(最近の学生は爆弾知らないですからね)なんていうことはなくなっているだけ、ストレスは軽減されているのかもしれません。嫌なことは永遠に忘れないくせに、良いことはあっさり忘れてしまうのが人間です。

●タブレットにルーズモード希望

ところで、絶賛しているタブレットですが、無敵な環境というわけではありません。例えば、マウスのようにルーズな処理でないと困るシーンではかなり苦戦します。具体的には、InDesignなどでルーラーからガイド線を持ってくるときのような状況を想像してください。タブレットペンのデリケートな仕様が徒となり、正確に設定することが難しくなってしまいます。ですから、ボタン等に反応を鈍らせる設定が可能だと助かるのですが、これはかなりわがままな要望ですね。でも欲しいです。

●予定が狂ったしわ寄せ

さて、前回もお話したように夏休みの予定が狂ってしまった影響が少しずつ出てきており、かなり焦っている毎日です。レジュメや書類の類を沢山作成しなくてはならないのですが、ほとんど前日の一夜漬け状態の日々が続いています。しかし、私はこれが苦手なのです。余裕を持って整理する時間がないと、パニックに陥ってしまいます。とにかく今年後半はこの状態が続くことになるので、出来るだけ早い段階でリズムを掴まないといけません。来年少しだけ楽をするための布石だと思えば、久しぶりにちょっと無理でもしてみようかと思っている次第です。

でも、少しずつ無理がきかなくなってきています。まっ、率先して無理する必要はないのですが、何かを犠牲にしなくてはならなくなってしまいます。結果として7月以降TVをまったく見ていません。大好きだった風呂に浸かるということもせず、シャワーの日々が延々と続いています。これはこれでストレスの根源かもしれません。でもクッキー作りはこそこそ続けているわけなので、まっ、そのあたりがストレス発散に繋がっているのかもしれません。でも、あまり頻繁に作った写真をBlogにアップしたりしていると、クライアントからお叱りのメールが届いてしまうかも知れません。

●メーカーにとっては「何それ?」

無理と言えば、今月行ったアップルストア銀座のセッション『デザイナーのためのAction Scriptを使わないFlash遊び』ですが、色々な所で最近ネタにしています。聞けばAction Scriptで躊躇しているデザイナーが意外と多いのだとか。私も基本的にプログラミング系の世界は苦手です。でも、そんなことを無視し、基本的な処理だけでも十分ユニークなFlashを作成することが可能だということを、多くの方に知ってもらいたいと感じています。よって、私が言うデザイナーとは、従来の紙媒体を中心に仕事をしてきたDTP系といわれるデザイナーを指しています。しかし、この発想はメーカーにとっては「何それ?」でしょうね。

その前月に行った3Dでも同じことが言えます。3Dというとキャラクターや建築物、乗り物などを作成すると思い込んでいる方が多いようです。もちろん間違いではありませんが、なんだか分らない塊でいいのです。そんな遊び心を多くのクリエイターが持つことで、新しい文化やイメージが形成されてくるのではないでしょうか。もちろん一般的な使い方を否定するわけではありませんが、「使い方は千差万別でもアイデアは無限」という、本来一番大切なことが忘れられているような気がしてなりません。イメージを固定する情報ばかりが氾濫していますが、イメージは固定しないでください。

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今月のお気に入りミュージック
"Hotel California" by The Eagles in 1976
"If I Needed Someone" by The Beatles in 1965
"涙のキッス" by サザンオールスターズ in 1992
"真夏の果実" by サザンオールスターズ in 1990

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■来月(10月15日19時より)のアップルストア銀座のセッション
Made on a Macとして画像処理セッション『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.15 グラフィックデザイナーのためのMotion活用術』グラフィックデザイナーの視点で遊ぶモーショングラフィックスの考え方と実例。
PhotoshopやIllustratorで作成した静止画をもとに、AppleのMotionを使いグラフィックデザイナーらしい使い方を検証いたします。予約無用・参加無料

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【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
知らない間にすっかり講義をすることが日課(毎日じゃないので習慣? ですかね)になっていたようで、夏休みのように講義がないと落ち着かなくなっている自分に気がつきました。多分講義をすることで、準備も含めて私自身が色々な刺激を受けているからだと思います。また、セミナー等の終わりに卒業生から声を掛けられることも多くなってきました。もちろん私が講師になる前の卒業生です。それでも、ついつい話しが弾んでしまうのは共通の話題で盛り上がることが出来る仲間ということなのでしょうね。

ところで、ネットで発見した旧友の連絡先が分らないという場合の対処方法は悩みの種です。10年程前に大学生であった友人が、某大学の専任講師をしていることを最近知ったのですが、実は面識がないまま音信不通になっていたのです。でっ、早速メールをしましたが宛先不明で戻ってきてしまいました。かなり最近アップされている情報なのですが、届かないものはどうしようもありません。こんなときの歯がゆさを誰しも経験しているのではないでしょうか。車で少し走る距離にある大学ですが、唐突に押しかけるのも失礼ですからね。自然に出会える時を待つことにしました。

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