装飾山イバラ道[2]猫動画を見る/武田瑛夢

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Apple iPod touch 16GB MA627J/AiPod touchを買ったはいいけれど、未だ大した活用ができていない毎日。これがはじめてのiPod購入なので、音楽を持ち歩くということが必要な人ではなかったらしい。

私が家でWEBを見るにはリビングのWindowsノートPCを使うし、メールを書くのは自分の部屋のMacだ。iPod touchが活躍する場は最初からあまりなかったのかも?


iPod touchではYouTubeのプレーヤーがついているので、これを見てみた。すると、動画がフル画面に再生されて驚くほどきれいだ。もちろん元になる動画の画質にもよるけれど、PCで見るよりもなめらかで美しく感じる。

iPod touchの入力システムは慣れれば不思議とスムーズだけど、まだまだ長い文を入れるのはおっくう。私がYouTubeの検索ワードに入れる言葉はたいがいいつも「kitten」。子猫ですね。私はマンション住まいの猫を飼えない猫好きなので、新しい猫動画をチェックするのが楽しみなのだ。

でも、そうそうレベルの高い猫動画は新しく上位のランクに来ないので、いつも同じ動画を見てしまう。iPod touchの画面ではYouTubeの必要部分だけがうまく表示されるようになっているので、画面をタップして快適に動画を選ぶことができる。

最近人気の猫動画は「Kitten and his box(ティッシュの箱の中にいる子猫)」や「Kitten eating melone(メロンを食べる子猫)」「Husky & Kitten(ハスキーと子猫)」などだ。

これが世界の猫好きが見ずにいられない旬の猫動画なのだ。ほとんどの猫動画は、飼い主が猫のおもしろい動きをただずっと撮っている。特にストーリー性もなく、最初から最後まで同じシーンの連続だったりする。

例えば「メロンを食べる子猫」は、最初から最後まで子猫がメロンを食べ続けて終わるのだ。そんな起承転結のない動画になぜ心奪われてしまうのだろう。

猫好きは猫が何をしていようとかわいいので、動画のスタートと同時に「!」と嬉しい驚きが起こる。猫の動作に勝手に期待したり、がっかりしたり、たいしたオチがなくとも満たされて許したりする。だからきっと、見てる側の心の中の一喜一憂による起承転結が作られているようなものなのだ。

しかし、どうもこれは相当な猫好きに限るようで、猫をそんなに好きでもない人にとってはただの緩やかな動画に過ぎないみたい。他人の家の子供の運動のビデオみたいに(興味がないとつらいですよね)。見ている人の心の中にこそコンテンツの旨味が存在しているんだと思う。

動画サイトでは、動画の再生された回数でその魅力を確認し、「みんながおもしろい」と思うものに加わることができる。そして一度見たら気が済むタイプの動画と違って、動物ジャンルの動画は何度見ても楽しい。同じ動画を何度も見る感覚は、好きな音楽を何度も聴くのと似ている。癒し感覚のリピートみたいな感じだ。

時間的には音楽の一曲分くらいの短さで、自分を楽しませることができる猫動画はとっても手軽な気分転換になる。そういう意味では、iPod touchは「動画を身近に置く」ための道具として、私にとっても十分に役に立っているのかも。心に猫が足りなくなったらすぐに補給できるので安心だ。

iPod touchを寝転がって見ると、手のひらの中に猫動画が動く幸せ。他のipodシリーズのようにかっこいいケースが欲しいところだけど、ほとんどが画面のこの形を美しく包むのはむずかしいだろうな。

【たけだ・えいむ】eimu@eimu.com
ibookを運ぶリュックが背中をこすって服が傷むのが最近の悩み。
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武田 瑛夢
エムディエヌコーポレーション 2007-09

by G-Tools , 2007/11/13