Otaku ワールドへようこそ![63]鳥取の中国庭園でコスプレ、再び/GrowHair

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サイボーグとして生まれ変わったGrowHairです。おかげさまで、目の手術は無事成功しました。白内障で真っ白白に濁ってた左目のレンズを人工のものに交換し、久々に3Dの景色を見て感動しました。紅葉した桜並木がきれい。

さて、今回は、11月23日(金・祝)、24日(土)、鳥取の中華庭園「燕趙園」で開かれたコスプレイベントのことをレポートします。

「中華コスプレ日本大会」は昨年9月、今年5月に引き続き、3回目の開催で、参加者もどっと増え、好天にも恵まれ、「彩雲国物語」や「三国志大戦」などの作品に登場するお姫様や武将などに扮するコスプレイヤーたちが、中国庭園の背景に見事に溶け込み、それはそれは華やかだった。

前回の参加者が、今回はコスプレではなく本物の花嫁の姿で披露宴を催し、居合わせた人たちから盛大に祝福される場面もあった。また、今回参加できなかった人から地元宮崎県の芋焼酎「諸葛」が届き、慰労会でみんなでありがたくいただいた。参加者からこれほどまでに愛されているコスプレイベントはなかなかないと思う。スタッフのきめ細かな配慮と、それに応えて協力する参加者たちの心意気の結晶であろう。


●羽田空港を疾走

10月の館山などでちょくちょく撮らせてもらっている万鯉子さんたちのチーム「裏天竺」の4人が、今回はイベントの前日に町長さんを町役場へ表敬訪問するというので、同行させてもらうことに。で、木曜に鳥取入り。

前日、遅くに仕事から帰り、準備やら部屋の片付けやらで寝る暇がなく、そろそろ出かける時間だっけと思ったときには、とっくに出かけていなくてはならない時間だった。気がついて大慌て。6:55羽田発の便に乗るのに、羽田空港駅に着いたのが6:30。ゲートは、第2ターミナルの突端、めちゃ遠い。ひた走る。前を走る4人に追いついてみれば、裏天竺のみなさんだった。おはようございます、ひーはーぜーぜー。後で聞けば、私の後ろ姿を目印にひた走るコスプレイヤーがもう3人。ぎりぎりセーフ。

鳥取空港に着くと、イベント主催者の古川(ふるかわ)氏と山陰放送の取材クルーのお出迎え。山陰放送は3人のコスプレイヤーを3日間密着取材するのだそうで、イベントに先立ってさっそく燕趙園へ撮影に向かう。私は裏天竺のお付きのカメコ(?)として、倉吉白壁土蔵群などを観光した後、湯梨浜町役場へ。

●気さくでノリのいい町長

燕趙園は、JR山陰本線倉吉駅のひとつ手前の松崎駅から徒歩10分ほどのところ、東郷湖のほとりにある。ほぼ隣接する「養生館」は明治17年創業という、風格ある温泉宿。このあたりは東郷温泉と呼ばれ、80℃の湯が湧く。湖畔の対岸には「羽合(はわい)温泉」もある。裏天竺の4人は、養生館に立ち寄って、「西遊記」の「御一行」に変身。燕趙園はテレビドラマ版西遊記のロケ地でもあり、それにちなんだコスというわけだ。

午後、湯梨浜町役場へ、宮脇町長を表敬訪問。新聞やテレビなど、大勢の取材陣を従えて町長室へ。カメラに囲まれての会談だったが、町長をはじめ、町役場の職員の方々も暖かく迎えて下さり、終始笑いの絶えないなごやかな雰囲気であった。万鯉子さんはコスプレの楽しさを力説し、宮脇町長にも薦めていた。「それがリーダーシップってもんでしょう」。町長も「衣装を作ってくれるなら」と、けっこう乗り気だったりして。

帰り際に、町長から「あたご梨」をいただく。かぼちゃほどもあろうかという(←いや、それはいくら何でも大げさだ)特大の梨。帰京する日にみんなでいただいた。大きくても、味は大味ということはなく、甘くて美味。

日本海新聞の記事(写真入り)
< http://www.nnn.co.jp/news/071123/20071123007.html >

鳥〜みんぐの記事(写真5枚入り)
< http://www.treaming.net/modules/bulletin/article.php?storyid=1193 >

●滝でコス撮影

同じ日、イベントのスタッフから、近くにいい滝があると聞いて、行ってみる。燕趙園から車で10分ほどのところにある、今滝と不動滝。針葉樹と広葉樹の混ざる山間に緩やかな小川が流れ、それに沿って滝へ向かう小径がついている。入り口には古い木製の鳥居があり、神々しい空気。

10メートルほどのほぼ垂直な岩壁の手前を水が落ちる。水量はさほど多くないため、滝つぼは浅く、小さい。修行僧が滝行する場所でもある。滝のしぶきであたりは湿っぽく、シダが密生する。木の幹や石につく苔も鮮やかな青で、生き生きとして見える。ニッポンの原風景。幽玄の美。

東郷湖周辺はほぼ真っ平らなのに、さほど遠くないところにこういう風景とは、やや意外だ。我々一行は、口々にこのすばらしい風景を褒め称え、大はしゃぎで撮影になだれ込む。生を喜び尊ぶ自然の声が聞こえてくるような、それによって心が浄化されていくような快適な空間、できれば朝から丸一日でもここに居たいと思うほどであった。

●今回も好評だったイベント

23日(金)24日(土)は、燕趙園でイベント。今回も、北海道、九州、四国を含む日本全国から参加者が集まった。昨年9月の第1回は約50人、今年5月の第2回は約70人と増加傾向だったのが、今回は一気に増えて、約150人になった。

空港で会ったときの裏天竺の4人は、みんなものすごい大荷物を引っ張っていた。飛行機が飛ぶのかと心配になるほど。けど、それで全部ではなく、あらかじめ宿に送っておいた分もあったそうで。衣装や武器などの小道具は言うに及ばず、スーパードルフィーに二胡にカメラにパソコン……。イベントでは、こういうのが魔法のように出てくる、出てくる...。面倒くさがらずに、何でもかんでも持ってきちゃう気合いの入れようがすごい。重いからって、三脚だの長いレンズだのを置いてきた自分が恥ずかしい。

初日の4時からは、コスプレコンテスト。今回は7チームがエントリした。司会は館山でもお会いした通称駱駝さん。審査委員長は鳥取大学の野田教授。審査副委員長は鳥取県文化観光局の田栗副局長。宮脇町長もご列席。各出場者のパフォーマンスの後の撮影タイムでは、後ろの席の人たちが撮影しやすいようにと、お偉い面々までみんな頭を下げて、テーブルに突っ伏す。ほんとうに気さくで親切な方々で、ほのぼのとした空気を醸してくれる。

最初に登場したのは、群馬から車で来たという「筆龍(ペンドラゴン)」の2人、加寮サヤカさんと加寮アスカさん。ゲーム「三国志大戦」の劉備と曹操に扮する。衣装がめちゃめちゃ豪華できれい。会場からどよめきと大きな拍手。剣の戦いも見事に決まる。衣装は全部手縫いで、一日に7時間縫う日もあり、1〜2ヶ月かかって制作したという。

三番目に登場した「だんな一座!!」は第1回からの連続出場。1歳10ヶ月の娘さんを西遊記の孫悟空に仕立て上げ、ギャグ連発で会場を笑わせる。最後に登場したのは、空港で会った3人組「鳥取愛で隊」。「彩雲国物語」の紅秀麗、し(草かんむりに此)静蘭、茶鴛洵に扮する。神奈川県の学校でお互いに知り合った学生なのだそうで。みんな可愛くて、元気がいい。3月に燕趙園に来たときに、鳥取の人たちが快く受け入れてくれて鳥取が大好きになり、このチーム名にしたという。来る当日朝までミシンかけをしていて、空港で全力疾走するはめにあったのだと明かしてくれた。

審査結果の集計の間、第1回優勝チームである「裏天竺」のパフォーマンス。しっかりと仕込んだネタで、会場を沸かせてくれる。模範演技と言えよう。西遊記の御一行がメロンを9つ手に入れるが、4人でどうやって公平に分けようかという割り算ネタ。さて、優勝したのは、最初に登場した「筆龍」。賞金5万円と吉川英治記念館よりの文庫本「三国志」全8巻を獲得した。

続いて開かれた交流会も大いににぎわった。色鮮やかなコスチュームのままで参加したコスプレイヤーたちが、丸い中華テーブルを囲んで、実に華やかな光景。末席(!!)には野田教授や宮脇町長も。「盛り上げ隊」のたすきをかけた万鯉子さんたち裏天竺のメンバーが、席を回って盛り上げる。裏天竺はスタッフの打合せに出たり、受付を勤めたりして大活躍だが、実は正式にはスタッフではなく、これまで親切にしてくれて非常に楽しい思いをさせてくれた鳥取の人たちへのご恩返しで、自主的に動いてくれている。

その後は、ライトアップされた燕趙園で撮影したり、獅子舞を見たり。まる一日たっぷり楽しんでくたくたに疲れてもまだ時間が足りないような気がする、不思議なイベントだ。翌日も丸一日たっぷり楽しむ。イベント終了後は、スタッフとコスプレイヤーたちで慰労会。このとき、前回の参加者から送られてきたお酒をみんなでいただきました。ごちそうさまです。

翌日、日曜は特にイベントではないが、燕趙園のご厚意でコスプレOK、居残り組がずいぶん来たらしい。裏天竺と私は午前中は「鳥取愛で隊」とともに再び滝へ、午後からは花回廊へ。

●冠雪した大山の雄大な姿を望む花回廊

5月にはイベントの翌日に鳥取砂丘へ行ったが、今回は趣向を変えて、県立「とっとり花回廊」へ。米子の南東、大山(だいせん)のほぼ真西に位置する、大規模なフラワーパークだ。四季それぞれの花が一年中楽しめる。周囲1キロの屋根付き回廊が円形に巡る。回廊自体は水平だが、地形が水平ではないので、ところによっては高さ30メートルの空中を歩く。

紅葉した林の向こうに、冠雪した大山を望む。大山はここから見るのが一番きれいだと思う。とうの昔から死火山だが、独立して、でんと構える姿が雄大で美しい。水に侵食されたとみえる溝が深くくっきりとつき、富士山よりも荒々しい印象。

地上にはフラワートレインがゆっくりと回る。線路はなく、タイヤのついた車両なのでバスとも言えそうだが、蒸気機関車の形をしたエンジンつきの車両が、連結器でつながった3両の客車を牽引する。うねうねと曲がりくねった坂だらけの狭い歩道を器用に通り抜けていく。一周約20分。

バラ園あり、水上花壇あり、霧の庭園あり、杉の林あり、とどこもかしこもすばらしい眺め。絶好の……コス撮影ポイントだっ!! またしても大はしゃぎ。事前に許可をもらっていて、更衣室まで用意していただけたこともあり、コス撮影を大いに楽しむことができた。2時間足らずしか時間がなくなってしまったが、駆け足で回りつつ撮りまくった。杉林の中から大山を背景にしたのが、格別にいい絵になったと思う。

鳥取というと、砂丘だけが突出して有名だが、他にもまだまだ知られざるいいところがあることを知った。第4回は来年の5月に予定しているそうだ。行く方は、ついでにあちこちに足を延ばしてみてはいかがだろうか。こういうのがもっと近くにあれば便利だということではなく、鳥取だからこそ、わざわざ行きたいんだ、という気持ちに私もなってきた。

このイベントの運営は、何もかもゆるゆるだ。参加申込みにはいちおう締切りがあるけど、当日の参加も受け付けちゃうという具合に。みんな仲間なんだから、協力しあって楽しい集まりにしようよ、という心意気で成り立っている。何でもかんでもシステム化してきっちり運営したがる最近の世の中一般の傾向とは逆行しているのかもしれない。だけど、それだからこそ、寛大な心と親切心でひとりひとりに対応してくれる鳥取の人たちに心を打たれるのだ。

参加者が増えてくると、今までのようなゆるゆるの運営では難しくなってくるのかもしれない。だけど、希望的には、今まで3回のよさをいつまでも失わず、来た人たちにしみじみといい思い出を残すイベントでありつづけてくれたらと願う。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
カメコ。オタク向けイベントで町おこしと言えば、アニメ「らき☆すた」の舞台となった埼玉県の鷲宮神社もすごいことになってたみたいですね。12月2日(日)、鷲宮町商工会をあげてのイベント「らき☆すたのブランチ&公式参拝in 鷲宮」が開催されたようで。原作者の美水かがみ氏や声優さんたちがゲストに呼ばれ、関連グッズが販売され、約3,500人のファンでにぎわったらしい。オタクが一般人から犯罪者予備軍のように危険視されてたのも遠くない昔だが、いまや隔世の感がある。ちょっとうれしい。
< http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/071202/gam0712021827000-n1.htm >